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第2章最弱魔王はクラスメートのために頑張るそうです
第46話 壊せ、結婚式
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「あの部屋・・・だよな・・・?」
「あの部屋・・・だね~」
サタンとモカは王城の中のある通路の物影から一つの部屋を見ていた。その部屋の扉は他の部屋と比べて色鮮やかに装飾されていた。明らかに特別な部屋だと分かる。それに扉の前に(祝)と書かれた看板が立て掛けられている。
サタンとモカはその部屋でゴウカと姫様の結婚式をしていると確信した。
「さすがに、あそこを見つからずに突破するのは無理そうだな・・・」
部屋の前には見張りと思われる傭兵騎士が二人。
「そうだね・・・」
サタンとモカはここまで幸運なことに誰にも見つからずに来ることが出来た。
「覚悟はしたか? モカ」
「そんなのとっくに出来てるよ!」
サタンとモカは正面突撃することに決めた。
「よし! じゃあ突撃するぞ――」
サタンとモカが立ち上がった時だった、二人がいる所から隣にある部屋のドアが開いた。
「ん? 何だ、お前たち?」
中から出てきた一人の傭兵騎士がサタンとモカを見て顔をしかめた。
サタンとモカの顔が一気に青ざめる。
「くそっ! 走れモカ!」
サタンが叫んだと同時に走り出す二人。
「あ! 待て!」
サタンとモカを止めようとする声を二人は無視して走った。後ろから大きな笛の音が聞こえた。
「侵入者だーー! 捕まえろーー!」
笛を鳴らした傭兵騎士は結婚式をしている部屋の前にいた二人の傭兵騎士に叫んだ。
「何!?」
「本当だ!? なんだ、お前たち!?」
部屋の前にいた二人の傭兵騎士もサタンとモカに気づき捕らえるために走ってきた。
「なんでこうなるんだよ・・・!」
走りながらサタンがぼやく。
「なんとか突破しようサンタ君!」
「分かってるよ! だからここは俺に任せろ!」
サタンは両手を握りしめて力を込める。
「さぁ、かかってきなぁっ!」
二人の傭兵騎士は持っていた槍をサタンに突きつける。サタンはそれを軽くかわした。
「くらえぇぇ! パァンチ!」
サタンは右手と左手で二人の男の腹に重い拳を一撃めり込ませた。重い拳を一撃、まともにめり込まされた傭兵騎士二人は気を失い倒れる。
「ドアを開けろモカ!」
「うん」
ドアを勢いよく開けるモカ。
「ゴウカっ!」
モカはゴウカの姿を見て叫んだ。ゴウカはモカとサタンの姿を見て目を驚かせている。
「モカっ!? ・・・っと、誰だっけ?」
「ズコーーーー!」
部屋に入るや否やサタンはおもいっきりこけた。
ま、またかよ・・・!
ずっこけてサタンは嘘の名を叫ぶ。
「俺の名前はサンタだぁぁぁーーー!」
「・・・そういえば、そうだった気がする・・・ような?」
サタンの名を聞いて首を傾げながら考えるゴウカ。
「いい加減覚えろよ――って、そんな話してる場合じゃね~な・・・」
サタンは起き上がり振り返った。後から追ってきた傭兵騎士が部屋に入ってきた。
「あいつは俺が倒すからモカは早くゴウカの所に!」
「うん!」
モカはゴウカへと走っていく。
「貴様を討ち取る!」
サタンと対面する傭兵騎士が槍を構える。
「モブのお前が俺に勝てると思ってるのか?」
サタンは傭兵騎士に手をクイクイとやり挑発する。
「黙れぇぇぇえ!」
槍を突き出してサタンへと突進してくる傭兵騎士。
「関係ないやつは黙ってろ!」
サタンは槍を交わし、股間をおもいきり蹴り上げて一瞬で決着をつけた。
「申し、訳、ありま、せん・・レアル様・・・」
傭兵騎士は股間を蹴られた痛みにより目に涙を浮かべて倒れる。
「ふん!そこで寝てろ」
サタンは倒れた傭兵騎士を見下ろした――。
「ゴウカっ!」
「モカ・・・!」
モカは叫んだ。すぐそこにゴウカがいる。
「ねぇ! どうしてこんな――っ」
「すいませんがここを通すわけにはいきませんので・・・!」
モカの前にさっそうとエフノールが立つ。
「・・・っ、どうしても、ダメ・・・?」
エフノールに聞くモカ。
「はい・・・」
エフノールは悔しそうにゆっくりと頷いた。
「じゃあ、仕方ないね・・・」
モカは手を組んで指の関節をほぐした。
「無理にでも通らせてもらうよっ!」
「っ、させませんっ!」
エフノールが腰につけたレイピアを抜く。
「ゴウカくん・・・止めなくていいの・・・?」
「・・・っ!」
本当はゴウカは今すぐ止めにいきたかった。
(出来るなら僕も止めたい・・・! けど――)
ゴウカは出てくる言葉を心にしまって答えた。
「僕にはもう関係のないことですから・・・」
モカは親指と人さし指でピストルの形を作った。そして、人さし指の先にエネルギーを集中させた。
「萌えビーム!!」
モカの人さし指からピンク色をしたハート形のビームがエフノールに向かって勢いよく放たれた。
「っ!」
エフノールがレイピアでハート形のビームを受け止める。
「はあぁぁぁぁ!」
レイピアを振り抜きハート形のビームを真っ二つに横断するエフノール。
「な、なかなかやりますね・・・!」
「まだまだいくよ~」
モカはハート形のビームエフノールに向かって撃ち続けた。
「萌えビーム! ビーム! ビーム! ビィーム!!」
無数のハート形のビームがエフノールに向かっていく。
「モカのやつこんなに強かったのか・・・」
サタンはモカの後ろ姿を見て驚いていた。普段から全く想像が出来ない強さ。
「く・・・」
エフノールは走りながらハート形のビームを交わし続けた。走りながらレアルの事が心配で後ろを見た。レアルはゴウカの背中の後ろで守られている。
(レアル様はゴウカ様に任せて――しまっ――)
一つのハート形のビームがエフノールに直撃した。
「いたたた・・・って、あれ、何もなってない・・・?」
エフノールはハート形のビームを撃たれた自分の体を見た。普通なら大ケガをしているはず。しかし、エフノールの体からは血の一滴すら出ていなかった。直撃したのにだ。
「ふふふふふ・・・」
モカがニヤリと笑い出す。
「ま、まずい・・・」
「ゴウカくん・・・?」
「モカの萌えビームに当たったら――」
「一体、これは何なんです?」
傷ひとつないエフノールが聞く。すると、モカは笑いながら言った。
「さぁ、私に萌えて!」
辺りの空気がしんと静まる。誰も動く事が出来なかった。意味が分からなすぎて。
な、何言ってんだ・・・モカのやつ・・・!
当然サタンにも意味が分からなかった。
「あ、あれ~私に萌えない?」
モカはエフノールが思ったように反応しなかったのかそんな事を聞き出した。
「どうして私があなたに萌えないといけないんです?」
エフノールの答えにモカは少し後ずさった。
「嘘・・・だ、だったら萌えるまで」
モカはハート形のビームを撃ち続けた。その全てがエフノールに直撃する。
「ど、どう? 私のことが可愛くてしょうがなくなったりなんかしてない・・・?」
ゆっくりとエフノールに聞くモカ。
「ええ、全く!」
エフノールには何も変わった様子が見られなかった。
「そ、そんな・・・どうして?」
「私を萌えさせることが出来るのはレアル様だけだからです! あなたに萌えたりなどしません!」
エフノールの胸をはった発言を聞いて顔を真っ赤にするレアル。
「ちょ、ちょっとエフノール、何を言ってるんですの!」
レアルはゴウカの後ろから叫んだ。ゴウカはそんなレアルを傍で見ていて思った。
(確かに・・・これは萌えるよ・・・けど――モカの萌えビームが効かないとなるとこれは――)
「そ、そんなことってありなの!? 私の萌えビームが効かないなんて・・・どうしようサンタ君!」
モカはショックを受けながらサタンに聞く。
「・・・いや、知らねーよ!?」
突然聞いてきたモカにサタンはとっさに答えた。
「そうだよね・・・・・・だ、だったら、そのレアル様って人を私に萌えさせるしかない!」
モカはとっさに思いつき、標的をゴウカの後ろにいるレアルに向けた。
「いっけぇーーー!」
レアルに向けて無駄だと分かっていても萌えビームを撃つ。
「レアル様には指一本たりとも触れさせません!」
エフノールがレイピアでハート形のビームを打ち返した。打ち返されたハート形のビームはサタンへと勢いよくとんでくる。
「うわっ!」
サタンはそれをかわした。ハート形のビームはサタンが倒した傭兵騎士に直撃した。
その途端倒れていたはずの傭兵騎士が目をハートの形にして起き上がった。そして、
「モカちゅわ~ん、可愛い~愛してる~~チュッチュッ!」
モカにメロメロとなって愛を叫んだ。
な、なんて恐ろしいビームなんだ・・・! もしあれが、俺に当たっていたら――
サタンはメロメロとなっている傭兵騎士を見て心底ゾッとした。
「あれが彼女の技なんですか? ゴウカ様」
メロメロとなった傭兵騎士を見ながらエフノールが問う。
「はい」
「なんと恐ろしい・・・」
エフノールは大きな息を飲む。
「いえ、本当に恐ろしいのは――」
ゴウカが萌えビームの恐ろしさについて言おうとした時、モカが、
「お願い! 私と一緒に戦って!」
メロメロとなった傭兵騎士にお願いした。すると、傭兵騎士は、
「うん、任せて! モカちゅわんのために俺一生懸命頑張るよ!」
傭兵騎士が槍の先端をエフノールに向けた。
「な・・・!?」
傭兵騎士がエフノールに向かって槍を突き出して走ってくる。エフノールは槍にレイピアをぶつけた。レイピアと槍のぶつかる音が響く。
「しっかりしなさい! 目を覚ましなさい!」
レイピアと槍がぶつかりながらエフノールが傭兵騎士に呼びかける。
「うるさい! 俺はモカちゅわんの為に~お前を倒す!」
傭兵騎士はエフノールの呼びかけに全く答えなかった。
「エフノールさん、気を付けてください! 萌えビームを受けたやつは時間が経つかモカが気を失うまでモカに萌え続けたままです!」
ゴウカが戦っているエフノールに言う。
「ちょっとゴウカ! どうして教えるの!?」
エフノールに教えるゴウカにモカが拗ねる。
エフノールは傭兵騎士とぶつかりながら、
(だったら、彼女を倒すしかありませんね。せっかくゴウカ様の好きな人ですから手を出さないでおこうと思っていましたが仕方ないですね)
モカを気絶させる事を決めた。
エフノールは傭兵騎士を退けてそのままモカへと向かっていき、レイピアをモカへと勢いよく投げた。
「キャッ・・・!」
勢いよく飛んでくるレイピアをモカは間一髪で避けたが地面に尻もちをついてしまった。その一瞬でモカの背後へと回り込むエフノール。
そして――、
「悪く思わないくださいね・・・」
漫画などよくある首トンをした。
「う、そ・・・ゴウカ・・・っ!」
首トンをくらったモカは最後にゴウカの名前を呟いて気を失ってしまった。
エフノールの首トンを見てサタンは、
ほ、本当に首トンってあるのか・・・――って、そんなこと思ってる場合じゃねぇな!
だんだんと状況が悪くなっている事に気づく。モカが気を失って一人になってしまったサタン。向こうにはゴウカとエフノール。そして――、
「あれ、俺は一体・・・?」
目を覚ました傭兵騎士。これで一人対三人。
「何をしているんですか! 早く彼女を拘束しなさい!」
「あっ、はい!」
目を覚ました傭兵騎士がエフノールに言われモカを拘束しようとする。
「おい、やめろ・・・!」
拘束しようとする傭兵騎士の肩をサタンが掴んだ。
「何だとぉ~・・・って、さっきはよくもやってくれたなぁ! お前もついでに拘束してやるっ!」
「うるせぇ!」
サタンに襲いかかった傭兵騎士。しかし、鈍い音と共に再び地面に倒れた。サタンは傭兵騎士のお腹に重い拳をめり込ませたのだ。
「また、一瞬かよ・・・!」
傭兵騎士は再び意識を失った――。
「おい! 今度は俺が相手だ」
傭兵騎士を倒したサタンはエフノールを見る。
「ふ、なかなかやるようですね。いいでしょう、私が相手に――」
レイピアを構え直そうとするエフノールを、
「待って!」
ゴウカが止めた。
「ゴウカくん・・・?」
レアル言葉を無視してゴウカがサタンへと歩いてくる。
「エフノールさん、こいつは、底が知れないから危険だよ。だから、僕が戦う」
ゴウカはエフノールの前に立って腕を伸ばす。
「ゴウカ様」
「エフノールさんはレアル様を守ってあげて」
「分かりました!」
エフノールは頷いてレアルの所へと行った。
「さぁ、待たせたね・・・えー――」
ゴウカはレアルの元にエフノールが到着するのを見届けるとサタンへと向き直った。
「ほんと俺には興味ないんだな・・・そのネタももう飽きたぜ」
未だにゴウカに名前を覚えてもらえないサタンは大きなため息を吐きながら言う。
「ごめんね~僕興味ない人は本当に興味ないんだよね~」
頭をかきながらアハハと笑って舌をペロっと出すゴウカ。
「最後にもう一度だけ言ってやる! 俺はお前を倒す男、サンタだ!」
サタンはゴウカを指差してもう一度だけどね最後に嘘の名を言った。
「そうそう、サンタだ! 思い出したよ! 名前も分かったし――それじゃあ、やろっか!」
一瞬にして雰囲気が変わったゴウカ。
(この短期間の間に君がどれだけ強くなったか僕に見せてくれ――サンタ!)
「っ、ゴウカ・・・!」
サタンはゴウカから溢れ出る熱気を感じた――。
「あの部屋・・・だね~」
サタンとモカは王城の中のある通路の物影から一つの部屋を見ていた。その部屋の扉は他の部屋と比べて色鮮やかに装飾されていた。明らかに特別な部屋だと分かる。それに扉の前に(祝)と書かれた看板が立て掛けられている。
サタンとモカはその部屋でゴウカと姫様の結婚式をしていると確信した。
「さすがに、あそこを見つからずに突破するのは無理そうだな・・・」
部屋の前には見張りと思われる傭兵騎士が二人。
「そうだね・・・」
サタンとモカはここまで幸運なことに誰にも見つからずに来ることが出来た。
「覚悟はしたか? モカ」
「そんなのとっくに出来てるよ!」
サタンとモカは正面突撃することに決めた。
「よし! じゃあ突撃するぞ――」
サタンとモカが立ち上がった時だった、二人がいる所から隣にある部屋のドアが開いた。
「ん? 何だ、お前たち?」
中から出てきた一人の傭兵騎士がサタンとモカを見て顔をしかめた。
サタンとモカの顔が一気に青ざめる。
「くそっ! 走れモカ!」
サタンが叫んだと同時に走り出す二人。
「あ! 待て!」
サタンとモカを止めようとする声を二人は無視して走った。後ろから大きな笛の音が聞こえた。
「侵入者だーー! 捕まえろーー!」
笛を鳴らした傭兵騎士は結婚式をしている部屋の前にいた二人の傭兵騎士に叫んだ。
「何!?」
「本当だ!? なんだ、お前たち!?」
部屋の前にいた二人の傭兵騎士もサタンとモカに気づき捕らえるために走ってきた。
「なんでこうなるんだよ・・・!」
走りながらサタンがぼやく。
「なんとか突破しようサンタ君!」
「分かってるよ! だからここは俺に任せろ!」
サタンは両手を握りしめて力を込める。
「さぁ、かかってきなぁっ!」
二人の傭兵騎士は持っていた槍をサタンに突きつける。サタンはそれを軽くかわした。
「くらえぇぇ! パァンチ!」
サタンは右手と左手で二人の男の腹に重い拳を一撃めり込ませた。重い拳を一撃、まともにめり込まされた傭兵騎士二人は気を失い倒れる。
「ドアを開けろモカ!」
「うん」
ドアを勢いよく開けるモカ。
「ゴウカっ!」
モカはゴウカの姿を見て叫んだ。ゴウカはモカとサタンの姿を見て目を驚かせている。
「モカっ!? ・・・っと、誰だっけ?」
「ズコーーーー!」
部屋に入るや否やサタンはおもいっきりこけた。
ま、またかよ・・・!
ずっこけてサタンは嘘の名を叫ぶ。
「俺の名前はサンタだぁぁぁーーー!」
「・・・そういえば、そうだった気がする・・・ような?」
サタンの名を聞いて首を傾げながら考えるゴウカ。
「いい加減覚えろよ――って、そんな話してる場合じゃね~な・・・」
サタンは起き上がり振り返った。後から追ってきた傭兵騎士が部屋に入ってきた。
「あいつは俺が倒すからモカは早くゴウカの所に!」
「うん!」
モカはゴウカへと走っていく。
「貴様を討ち取る!」
サタンと対面する傭兵騎士が槍を構える。
「モブのお前が俺に勝てると思ってるのか?」
サタンは傭兵騎士に手をクイクイとやり挑発する。
「黙れぇぇぇえ!」
槍を突き出してサタンへと突進してくる傭兵騎士。
「関係ないやつは黙ってろ!」
サタンは槍を交わし、股間をおもいきり蹴り上げて一瞬で決着をつけた。
「申し、訳、ありま、せん・・レアル様・・・」
傭兵騎士は股間を蹴られた痛みにより目に涙を浮かべて倒れる。
「ふん!そこで寝てろ」
サタンは倒れた傭兵騎士を見下ろした――。
「ゴウカっ!」
「モカ・・・!」
モカは叫んだ。すぐそこにゴウカがいる。
「ねぇ! どうしてこんな――っ」
「すいませんがここを通すわけにはいきませんので・・・!」
モカの前にさっそうとエフノールが立つ。
「・・・っ、どうしても、ダメ・・・?」
エフノールに聞くモカ。
「はい・・・」
エフノールは悔しそうにゆっくりと頷いた。
「じゃあ、仕方ないね・・・」
モカは手を組んで指の関節をほぐした。
「無理にでも通らせてもらうよっ!」
「っ、させませんっ!」
エフノールが腰につけたレイピアを抜く。
「ゴウカくん・・・止めなくていいの・・・?」
「・・・っ!」
本当はゴウカは今すぐ止めにいきたかった。
(出来るなら僕も止めたい・・・! けど――)
ゴウカは出てくる言葉を心にしまって答えた。
「僕にはもう関係のないことですから・・・」
モカは親指と人さし指でピストルの形を作った。そして、人さし指の先にエネルギーを集中させた。
「萌えビーム!!」
モカの人さし指からピンク色をしたハート形のビームがエフノールに向かって勢いよく放たれた。
「っ!」
エフノールがレイピアでハート形のビームを受け止める。
「はあぁぁぁぁ!」
レイピアを振り抜きハート形のビームを真っ二つに横断するエフノール。
「な、なかなかやりますね・・・!」
「まだまだいくよ~」
モカはハート形のビームエフノールに向かって撃ち続けた。
「萌えビーム! ビーム! ビーム! ビィーム!!」
無数のハート形のビームがエフノールに向かっていく。
「モカのやつこんなに強かったのか・・・」
サタンはモカの後ろ姿を見て驚いていた。普段から全く想像が出来ない強さ。
「く・・・」
エフノールは走りながらハート形のビームを交わし続けた。走りながらレアルの事が心配で後ろを見た。レアルはゴウカの背中の後ろで守られている。
(レアル様はゴウカ様に任せて――しまっ――)
一つのハート形のビームがエフノールに直撃した。
「いたたた・・・って、あれ、何もなってない・・・?」
エフノールはハート形のビームを撃たれた自分の体を見た。普通なら大ケガをしているはず。しかし、エフノールの体からは血の一滴すら出ていなかった。直撃したのにだ。
「ふふふふふ・・・」
モカがニヤリと笑い出す。
「ま、まずい・・・」
「ゴウカくん・・・?」
「モカの萌えビームに当たったら――」
「一体、これは何なんです?」
傷ひとつないエフノールが聞く。すると、モカは笑いながら言った。
「さぁ、私に萌えて!」
辺りの空気がしんと静まる。誰も動く事が出来なかった。意味が分からなすぎて。
な、何言ってんだ・・・モカのやつ・・・!
当然サタンにも意味が分からなかった。
「あ、あれ~私に萌えない?」
モカはエフノールが思ったように反応しなかったのかそんな事を聞き出した。
「どうして私があなたに萌えないといけないんです?」
エフノールの答えにモカは少し後ずさった。
「嘘・・・だ、だったら萌えるまで」
モカはハート形のビームを撃ち続けた。その全てがエフノールに直撃する。
「ど、どう? 私のことが可愛くてしょうがなくなったりなんかしてない・・・?」
ゆっくりとエフノールに聞くモカ。
「ええ、全く!」
エフノールには何も変わった様子が見られなかった。
「そ、そんな・・・どうして?」
「私を萌えさせることが出来るのはレアル様だけだからです! あなたに萌えたりなどしません!」
エフノールの胸をはった発言を聞いて顔を真っ赤にするレアル。
「ちょ、ちょっとエフノール、何を言ってるんですの!」
レアルはゴウカの後ろから叫んだ。ゴウカはそんなレアルを傍で見ていて思った。
(確かに・・・これは萌えるよ・・・けど――モカの萌えビームが効かないとなるとこれは――)
「そ、そんなことってありなの!? 私の萌えビームが効かないなんて・・・どうしようサンタ君!」
モカはショックを受けながらサタンに聞く。
「・・・いや、知らねーよ!?」
突然聞いてきたモカにサタンはとっさに答えた。
「そうだよね・・・・・・だ、だったら、そのレアル様って人を私に萌えさせるしかない!」
モカはとっさに思いつき、標的をゴウカの後ろにいるレアルに向けた。
「いっけぇーーー!」
レアルに向けて無駄だと分かっていても萌えビームを撃つ。
「レアル様には指一本たりとも触れさせません!」
エフノールがレイピアでハート形のビームを打ち返した。打ち返されたハート形のビームはサタンへと勢いよくとんでくる。
「うわっ!」
サタンはそれをかわした。ハート形のビームはサタンが倒した傭兵騎士に直撃した。
その途端倒れていたはずの傭兵騎士が目をハートの形にして起き上がった。そして、
「モカちゅわ~ん、可愛い~愛してる~~チュッチュッ!」
モカにメロメロとなって愛を叫んだ。
な、なんて恐ろしいビームなんだ・・・! もしあれが、俺に当たっていたら――
サタンはメロメロとなっている傭兵騎士を見て心底ゾッとした。
「あれが彼女の技なんですか? ゴウカ様」
メロメロとなった傭兵騎士を見ながらエフノールが問う。
「はい」
「なんと恐ろしい・・・」
エフノールは大きな息を飲む。
「いえ、本当に恐ろしいのは――」
ゴウカが萌えビームの恐ろしさについて言おうとした時、モカが、
「お願い! 私と一緒に戦って!」
メロメロとなった傭兵騎士にお願いした。すると、傭兵騎士は、
「うん、任せて! モカちゅわんのために俺一生懸命頑張るよ!」
傭兵騎士が槍の先端をエフノールに向けた。
「な・・・!?」
傭兵騎士がエフノールに向かって槍を突き出して走ってくる。エフノールは槍にレイピアをぶつけた。レイピアと槍のぶつかる音が響く。
「しっかりしなさい! 目を覚ましなさい!」
レイピアと槍がぶつかりながらエフノールが傭兵騎士に呼びかける。
「うるさい! 俺はモカちゅわんの為に~お前を倒す!」
傭兵騎士はエフノールの呼びかけに全く答えなかった。
「エフノールさん、気を付けてください! 萌えビームを受けたやつは時間が経つかモカが気を失うまでモカに萌え続けたままです!」
ゴウカが戦っているエフノールに言う。
「ちょっとゴウカ! どうして教えるの!?」
エフノールに教えるゴウカにモカが拗ねる。
エフノールは傭兵騎士とぶつかりながら、
(だったら、彼女を倒すしかありませんね。せっかくゴウカ様の好きな人ですから手を出さないでおこうと思っていましたが仕方ないですね)
モカを気絶させる事を決めた。
エフノールは傭兵騎士を退けてそのままモカへと向かっていき、レイピアをモカへと勢いよく投げた。
「キャッ・・・!」
勢いよく飛んでくるレイピアをモカは間一髪で避けたが地面に尻もちをついてしまった。その一瞬でモカの背後へと回り込むエフノール。
そして――、
「悪く思わないくださいね・・・」
漫画などよくある首トンをした。
「う、そ・・・ゴウカ・・・っ!」
首トンをくらったモカは最後にゴウカの名前を呟いて気を失ってしまった。
エフノールの首トンを見てサタンは、
ほ、本当に首トンってあるのか・・・――って、そんなこと思ってる場合じゃねぇな!
だんだんと状況が悪くなっている事に気づく。モカが気を失って一人になってしまったサタン。向こうにはゴウカとエフノール。そして――、
「あれ、俺は一体・・・?」
目を覚ました傭兵騎士。これで一人対三人。
「何をしているんですか! 早く彼女を拘束しなさい!」
「あっ、はい!」
目を覚ました傭兵騎士がエフノールに言われモカを拘束しようとする。
「おい、やめろ・・・!」
拘束しようとする傭兵騎士の肩をサタンが掴んだ。
「何だとぉ~・・・って、さっきはよくもやってくれたなぁ! お前もついでに拘束してやるっ!」
「うるせぇ!」
サタンに襲いかかった傭兵騎士。しかし、鈍い音と共に再び地面に倒れた。サタンは傭兵騎士のお腹に重い拳をめり込ませたのだ。
「また、一瞬かよ・・・!」
傭兵騎士は再び意識を失った――。
「おい! 今度は俺が相手だ」
傭兵騎士を倒したサタンはエフノールを見る。
「ふ、なかなかやるようですね。いいでしょう、私が相手に――」
レイピアを構え直そうとするエフノールを、
「待って!」
ゴウカが止めた。
「ゴウカくん・・・?」
レアル言葉を無視してゴウカがサタンへと歩いてくる。
「エフノールさん、こいつは、底が知れないから危険だよ。だから、僕が戦う」
ゴウカはエフノールの前に立って腕を伸ばす。
「ゴウカ様」
「エフノールさんはレアル様を守ってあげて」
「分かりました!」
エフノールは頷いてレアルの所へと行った。
「さぁ、待たせたね・・・えー――」
ゴウカはレアルの元にエフノールが到着するのを見届けるとサタンへと向き直った。
「ほんと俺には興味ないんだな・・・そのネタももう飽きたぜ」
未だにゴウカに名前を覚えてもらえないサタンは大きなため息を吐きながら言う。
「ごめんね~僕興味ない人は本当に興味ないんだよね~」
頭をかきながらアハハと笑って舌をペロっと出すゴウカ。
「最後にもう一度だけ言ってやる! 俺はお前を倒す男、サンタだ!」
サタンはゴウカを指差してもう一度だけどね最後に嘘の名を言った。
「そうそう、サンタだ! 思い出したよ! 名前も分かったし――それじゃあ、やろっか!」
一瞬にして雰囲気が変わったゴウカ。
(この短期間の間に君がどれだけ強くなったか僕に見せてくれ――サンタ!)
「っ、ゴウカ・・・!」
サタンはゴウカから溢れ出る熱気を感じた――。
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「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
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