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終 二度目の恋は永遠に
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マリア様が投獄されてからしばらくして、同じようにユーグレン公爵の審議がおこなわれた。
私はその場には列席していなかったものの、後にアンドリュー様から話を聞く限り特に新たな情報はなさそうだ。
やはり国王や王太子マルクス様に毒を持っていたのは真実で、マルクス様がその事実を悟ってしまったことが想定外であったらしい。
アンドリュー様を標的にしなかったのは、マリア様の想い人であると同時に第二王子という立場が公爵にとって非常に都合のいい立場であったからだという。
国王や王太子ほど城の中で権力を持たないため、ユーグレン一派に逆らうことは難しいと考えていたのだろう。
そしてマリア様の企みで私の記憶を失ったことにより、うまく取り入ることで王族との繋がりを得ることを目論んだ。
さらに国王と王太子が毒の影響で衰弱したところをアンドリュー様に王位を継承させることで、より一層国政を我が物にしたかったのだろう。
だがそれも全て失敗に終わってしまったというわけだ。
公爵は命を奪う極刑だけは免れることができるよう懇願していたようだが、王族に毒を盛り王位を狙う企みは反逆罪にあたる。
それもかなりの重罪に値するだろう。
既に公爵の座を失うことは決まってはいたものの、もちろんその程度で済むはずがないのだ。
最終的にアンドリュー様が公爵に下した量刑は、斬首という最も重いものであった。
そして同時に発表されたマリア様の処罰は、数年間強制労働に就かせた後で流罪にするというものだ。
これは公爵に比べてマリア様の罪状が僅かに少なかったこと。
本当かはわからないがアンドリュー様の命を危険に晒すつもりはなかったこと、などが挙げられるらしい。
『すまない。あの女が君に与えた苦痛を考えたら、このような生ぬるいものではすまされないはずなのに……』
アンドリュー様はそう言って何度も私に謝罪した。
だが彼の判断は正しいものであり、当然のことをしたまでのこと。
ここで私情を挟みマリア様にも死罪を命じたならば、王家に対する印象が悪くなってしまう。
王家は公私混同することなく正しい判断を下すことができるのだと、国民に知らしめるには十分であっただろう。
長らく毒に侵され続けた国王は未だ体調に波はあるものの、体を起こしていられる時間も長くなってきたと聞いている。
そしてこれを機に、王太子マルクス様に王位を譲り渡す準備を始めたらしい。
マルクス様は戴冠式の日にあわせて結婚式もおこない、めでたくトルーアの新国王夫妻が誕生する予定だ。
「セラフィナ、式のドレスは決めたのか? 君の好きなものを何着でも選ぶといい」
第二王子妃としての執務を終えて一息ついていた私の元へ、アンドリュー様がやってきた。
彼の言う「式」とは、王太子夫妻のものではなく私とアンドリュー様の結婚式のことだ。
新たな始まりを祝うと共に、これから先の人生への誓いを新たにしたいと彼が提案したのである。
「限られた方たちをお呼びして、こぢんまりとした式にする予定なのでは?」
二度目の式はしなくてもいいと言う私に対し、最小限の規模にするからと押し切ったアンドリュー様。
だが実際に支度が始まってみれば、彼は想像以上に浮かれているように思える。
「君にとっては二度目かもしれないが、私にとっては初めてと言っても過言ではない。だから君のドレス姿を見るのが楽しみで仕方ないんだ」
私に関する一切の記憶を失ってしまったアンドリュー様は、もちろん一度目の結婚式での記憶も持ち合わせていない。
ニコニコと嬉しそうに支度を進める彼の姿を目の当たりにして、胸がずきんと痛むことがないと言えば嘘になるだろう。
だがそれも以前よりは遥かに息を潜めるようになっており、この現実を心から受け止めることができる日もそう遠くはないのではないかと思っている。
以前のアンドリュー様と、今私の目の前で微笑んでいるアンドリュー様。
どちらも私が恋した彼には変わりないのだから。
「ああ、そうだ。式にはウェスカーたちも参列してもらう手筈を整えているよ」
「ありがとうございます。アシェラたちも喜ぶことでしょう」
数少ない私の味方となり支えてくれたアシェラ、ノエル、ウェスカーの三人は今も変わらず私に支えてくれている。
どうやらウェスカーはノエルに気があるようで、アシェラが二人をくっつけようと躍起になっているらしい。
ウェスカーは外出時の私の護衛と城内の警護を、ノエルは侍女頭として城の使用人たちをまとめる立場へと出世した。
そしてアシェラはというと、これまで通り私の一番近くでその幸せを見届けてくれているのだ。
世話になった彼らを式に呼びたいと言い出したのは私だが、アンドリュー様もそれに快く応じてくれたのは記憶に新しい。
使用人の彼らを参列させるのは珍しい光景かもしれないが、それもまた新たな王家の始まりということでいい記念になることだろう。
「セラフィナ」
不意に名を呼ばれて顔を上げると、両手を広げたアンドリュー様と目が合った。
まるでおいでとばかりに広げられた腕の中に、私はそっと身を預ける。
「このように明るいうちから、困った第二王子様ですわね」
「もうすぐ公爵になるだろう?」
そう、マルクス様の即位と同時にアンドリュー様は公爵位を賜ることが決定したのだ。
いずれは王城を出て新たな暮らしが始まるのだろう。
不安がないかと言われれば嘘になるが、新生活への希望に満ち溢れているのもまた事実だ。
抱きしめ合った私たちを、懐かしいオルゴールの音色が包み込む。
結局この音色を耳にしたアンドリュー様が私の記憶を思い出すことはなかったが、この旋律はやはり彼の中の何かを呼び起こすことは間違いないらしい。
『あと一歩で何かが頭の中に蘇りそうな、そんな感覚に陥るんだ』
オルゴールを鳴らすたびにアンドリュー様はそんなことを言う。
私の記憶の入ったガラス玉はマリア様の手によって破壊されてしまったが、旋律の中にも記憶が残されているなんて、そんな奇跡のようなことがあるのだろうか?
いつか断片的な記憶を彼が取り戻す日が来るのかはわからない。
だが私はその日を恐れてはいないのだ。
なぜならアンドリュー様は、いつだって私のことを愛してくれていたのだから。
彼が記憶を失った後で私に二度目の恋をしたように、私も新しい彼に対して二度目の恋心を抱いた。
一度目よりも時に激しく、時に自分を見失いそうになるその感情をなんと呼べばいいだろう。
お互いに醜いところも曝け出せるようになった二度目の関係が、私は好きだ。
「あ、オルゴールが止まってしまいましたわ」
私はゆっくりと体を離してオルゴールの元へ向かうと、金色の指輪を外す。
少し屈んでその指輪を木箱に嵌め込み、ぐるぐるとネジを回すように回転させた。
閉じかけた蓋が再び開き、旋律が奏でられ始める。
「ほら、また鳴り始めました」
そう言って得意げに彼の方を振り返ると、そこには微笑みを携えたアンドリュー様の姿があった。
私は彼の元へと小走りで駆け寄ると、再びその広い胸元に勢いよく飛び込む。
「いつかもし、私の記憶が戻ったならば……君は以前の私の方を好きになるだろうか?」
おどけたようにそう尋ねるアンドリュー様だが、彼もきっと以前の記憶を取り戻すことを少し恐れているのかもしれない。
私が好きなのは以前の彼であると、心のどこかで不安に思っているからなのだろう。
「もっともっと、あなたのことを好きになるだけですわ」
私は彼を安心させるかのように、背を撫でてそう言った。
「でも……そうですね。もしもあなたの記憶が戻ったなら、あの日の答え合わせをしたいです」
「答え合わせ……?」
「もしも記憶が戻ったら……きっとその時にわかりますわ」
「そうか。ではその時を楽しみにしよう」
アンドリュー様が記憶を失ってしまう瞬間に、何を考え何を恐れていたのか。
そして私の声は最後まで届いていたのか。
きっとその頃には、あの辛かった日に正面から向き合うことができているだろう。
あの日の彼の苦しみを、私も共に味わい分かち合いたかった。
アンドリュー様は腕に込める力を強めると、子どものような顔でこちらを覗き込む。
「踊ろうか? セラ」
「ええ、ぜひ。二人だけの舞踏会ですね」
懐かしい愛おしいオルゴールの旋律に合わせて、私たちは未来への幸せなステップを踏み始めたのであった。
FIN
────────────────────
これにて完結となります。
10月からの連載で途中に休載期間も挟んでしまったため、長期連載となりました。
その都度展開を考えながら書いていたため、未熟な点もあったかと思いますが、最後まで読んでくださり本当にありがとうございました。
完結したので感想欄も開放しております。
アンドリューが途中で記憶を取り戻すパターンの結末も考えたのですが、記憶を失っても恋に落ちる二人を書きたかったので、今回の結末を選択しました。
いつか奇跡が起きて、アンドリューの記憶は戻るかもしれません。
その時はゆっくり記憶の答え合わせをしながら、きっと二人で新しい幸せを見つけてくれると思います。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。
また次回作でお会いできたら嬉しいです。
私はその場には列席していなかったものの、後にアンドリュー様から話を聞く限り特に新たな情報はなさそうだ。
やはり国王や王太子マルクス様に毒を持っていたのは真実で、マルクス様がその事実を悟ってしまったことが想定外であったらしい。
アンドリュー様を標的にしなかったのは、マリア様の想い人であると同時に第二王子という立場が公爵にとって非常に都合のいい立場であったからだという。
国王や王太子ほど城の中で権力を持たないため、ユーグレン一派に逆らうことは難しいと考えていたのだろう。
そしてマリア様の企みで私の記憶を失ったことにより、うまく取り入ることで王族との繋がりを得ることを目論んだ。
さらに国王と王太子が毒の影響で衰弱したところをアンドリュー様に王位を継承させることで、より一層国政を我が物にしたかったのだろう。
だがそれも全て失敗に終わってしまったというわけだ。
公爵は命を奪う極刑だけは免れることができるよう懇願していたようだが、王族に毒を盛り王位を狙う企みは反逆罪にあたる。
それもかなりの重罪に値するだろう。
既に公爵の座を失うことは決まってはいたものの、もちろんその程度で済むはずがないのだ。
最終的にアンドリュー様が公爵に下した量刑は、斬首という最も重いものであった。
そして同時に発表されたマリア様の処罰は、数年間強制労働に就かせた後で流罪にするというものだ。
これは公爵に比べてマリア様の罪状が僅かに少なかったこと。
本当かはわからないがアンドリュー様の命を危険に晒すつもりはなかったこと、などが挙げられるらしい。
『すまない。あの女が君に与えた苦痛を考えたら、このような生ぬるいものではすまされないはずなのに……』
アンドリュー様はそう言って何度も私に謝罪した。
だが彼の判断は正しいものであり、当然のことをしたまでのこと。
ここで私情を挟みマリア様にも死罪を命じたならば、王家に対する印象が悪くなってしまう。
王家は公私混同することなく正しい判断を下すことができるのだと、国民に知らしめるには十分であっただろう。
長らく毒に侵され続けた国王は未だ体調に波はあるものの、体を起こしていられる時間も長くなってきたと聞いている。
そしてこれを機に、王太子マルクス様に王位を譲り渡す準備を始めたらしい。
マルクス様は戴冠式の日にあわせて結婚式もおこない、めでたくトルーアの新国王夫妻が誕生する予定だ。
「セラフィナ、式のドレスは決めたのか? 君の好きなものを何着でも選ぶといい」
第二王子妃としての執務を終えて一息ついていた私の元へ、アンドリュー様がやってきた。
彼の言う「式」とは、王太子夫妻のものではなく私とアンドリュー様の結婚式のことだ。
新たな始まりを祝うと共に、これから先の人生への誓いを新たにしたいと彼が提案したのである。
「限られた方たちをお呼びして、こぢんまりとした式にする予定なのでは?」
二度目の式はしなくてもいいと言う私に対し、最小限の規模にするからと押し切ったアンドリュー様。
だが実際に支度が始まってみれば、彼は想像以上に浮かれているように思える。
「君にとっては二度目かもしれないが、私にとっては初めてと言っても過言ではない。だから君のドレス姿を見るのが楽しみで仕方ないんだ」
私に関する一切の記憶を失ってしまったアンドリュー様は、もちろん一度目の結婚式での記憶も持ち合わせていない。
ニコニコと嬉しそうに支度を進める彼の姿を目の当たりにして、胸がずきんと痛むことがないと言えば嘘になるだろう。
だがそれも以前よりは遥かに息を潜めるようになっており、この現実を心から受け止めることができる日もそう遠くはないのではないかと思っている。
以前のアンドリュー様と、今私の目の前で微笑んでいるアンドリュー様。
どちらも私が恋した彼には変わりないのだから。
「ああ、そうだ。式にはウェスカーたちも参列してもらう手筈を整えているよ」
「ありがとうございます。アシェラたちも喜ぶことでしょう」
数少ない私の味方となり支えてくれたアシェラ、ノエル、ウェスカーの三人は今も変わらず私に支えてくれている。
どうやらウェスカーはノエルに気があるようで、アシェラが二人をくっつけようと躍起になっているらしい。
ウェスカーは外出時の私の護衛と城内の警護を、ノエルは侍女頭として城の使用人たちをまとめる立場へと出世した。
そしてアシェラはというと、これまで通り私の一番近くでその幸せを見届けてくれているのだ。
世話になった彼らを式に呼びたいと言い出したのは私だが、アンドリュー様もそれに快く応じてくれたのは記憶に新しい。
使用人の彼らを参列させるのは珍しい光景かもしれないが、それもまた新たな王家の始まりということでいい記念になることだろう。
「セラフィナ」
不意に名を呼ばれて顔を上げると、両手を広げたアンドリュー様と目が合った。
まるでおいでとばかりに広げられた腕の中に、私はそっと身を預ける。
「このように明るいうちから、困った第二王子様ですわね」
「もうすぐ公爵になるだろう?」
そう、マルクス様の即位と同時にアンドリュー様は公爵位を賜ることが決定したのだ。
いずれは王城を出て新たな暮らしが始まるのだろう。
不安がないかと言われれば嘘になるが、新生活への希望に満ち溢れているのもまた事実だ。
抱きしめ合った私たちを、懐かしいオルゴールの音色が包み込む。
結局この音色を耳にしたアンドリュー様が私の記憶を思い出すことはなかったが、この旋律はやはり彼の中の何かを呼び起こすことは間違いないらしい。
『あと一歩で何かが頭の中に蘇りそうな、そんな感覚に陥るんだ』
オルゴールを鳴らすたびにアンドリュー様はそんなことを言う。
私の記憶の入ったガラス玉はマリア様の手によって破壊されてしまったが、旋律の中にも記憶が残されているなんて、そんな奇跡のようなことがあるのだろうか?
いつか断片的な記憶を彼が取り戻す日が来るのかはわからない。
だが私はその日を恐れてはいないのだ。
なぜならアンドリュー様は、いつだって私のことを愛してくれていたのだから。
彼が記憶を失った後で私に二度目の恋をしたように、私も新しい彼に対して二度目の恋心を抱いた。
一度目よりも時に激しく、時に自分を見失いそうになるその感情をなんと呼べばいいだろう。
お互いに醜いところも曝け出せるようになった二度目の関係が、私は好きだ。
「あ、オルゴールが止まってしまいましたわ」
私はゆっくりと体を離してオルゴールの元へ向かうと、金色の指輪を外す。
少し屈んでその指輪を木箱に嵌め込み、ぐるぐるとネジを回すように回転させた。
閉じかけた蓋が再び開き、旋律が奏でられ始める。
「ほら、また鳴り始めました」
そう言って得意げに彼の方を振り返ると、そこには微笑みを携えたアンドリュー様の姿があった。
私は彼の元へと小走りで駆け寄ると、再びその広い胸元に勢いよく飛び込む。
「いつかもし、私の記憶が戻ったならば……君は以前の私の方を好きになるだろうか?」
おどけたようにそう尋ねるアンドリュー様だが、彼もきっと以前の記憶を取り戻すことを少し恐れているのかもしれない。
私が好きなのは以前の彼であると、心のどこかで不安に思っているからなのだろう。
「もっともっと、あなたのことを好きになるだけですわ」
私は彼を安心させるかのように、背を撫でてそう言った。
「でも……そうですね。もしもあなたの記憶が戻ったなら、あの日の答え合わせをしたいです」
「答え合わせ……?」
「もしも記憶が戻ったら……きっとその時にわかりますわ」
「そうか。ではその時を楽しみにしよう」
アンドリュー様が記憶を失ってしまう瞬間に、何を考え何を恐れていたのか。
そして私の声は最後まで届いていたのか。
きっとその頃には、あの辛かった日に正面から向き合うことができているだろう。
あの日の彼の苦しみを、私も共に味わい分かち合いたかった。
アンドリュー様は腕に込める力を強めると、子どものような顔でこちらを覗き込む。
「踊ろうか? セラ」
「ええ、ぜひ。二人だけの舞踏会ですね」
懐かしい愛おしいオルゴールの旋律に合わせて、私たちは未来への幸せなステップを踏み始めたのであった。
FIN
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これにて完結となります。
10月からの連載で途中に休載期間も挟んでしまったため、長期連載となりました。
その都度展開を考えながら書いていたため、未熟な点もあったかと思いますが、最後まで読んでくださり本当にありがとうございました。
完結したので感想欄も開放しております。
アンドリューが途中で記憶を取り戻すパターンの結末も考えたのですが、記憶を失っても恋に落ちる二人を書きたかったので、今回の結末を選択しました。
いつか奇跡が起きて、アンドリューの記憶は戻るかもしれません。
その時はゆっくり記憶の答え合わせをしながら、きっと二人で新しい幸せを見つけてくれると思います。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。
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切なく心臓をぎゅーっと握られ、痛い痛い😭と泣きながら読む物語ですね……大好物です💕
わーい嬉しいお言葉、ありがとうございます☺️💓
いつも通りのすれ違いラブなのですが、まだ途中までしか書けていないので完結までドキドキです🤣
最後まで頑張ります♡