Paranoia

伽藍堂

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偶然と必然

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   僕がこの場所に来てしまったのは偶然ではなく、
必然だったのかもしれない。


   「おい、弥朶。お前今日日直だったよな?」
「はい、そうですが……」
この先生はあまり好きではない。
喋り方はとても冷たく、目つきが鋭い
何故このような人が教師になれたのかが不思議だ。

「今日の放課後、明日使う予定の視聴覚室の
   掃除があるから日直で掃除することになったん
   だ。だからお前今日はホームルーム終わってから
   教室で待機な。」
「あっ、そうなんですか。
        わかりました。」
僕は渋々返事をした。
別に掃除が嫌だとか放課後用事があるわけでもないんだけど、ただ単にこの人と一緒にいる時間が増えることが嫌なのだ。
それに、もう一人の日直はクラスでも中々目立っている、少しギャルっぽい女の子だ。
僕の通っている学校は、特にそう言った進学校ではなく、学力も普通より少し下ぐらいなのでそう言った人も少なくはない。


   そして放課後を迎え、僕は先生が来るのを待った。
先生が来るまで、彼女はずっとダルそうにして、携帯をいじっている。
「じゃあ、お前ら今から視聴覚室に行くから
   付いて来い。」

「はーい」
彼女はダルそうに返事をして携帯をポケットにしまった。
「はい」
僕は、嫌悪感を隠して返事をした。

「今から、明日使う机と椅子をこの雑巾で拭い
   て貰うから、終わったら職員室まで来てくれ。
   その時に一緒に、雑巾を、洗って持って来い、
    いいな?」
「はい、わかりました。」

先生が行ってから、僕は黙々と掃除をし始めた。
すると、
「なぁ、私今から友達と遊びに行かなきゃだから、
   後頼んだわ」
「えっ、でも……」
その瞬間、彼女は僕を睨んだこれ以上言ってはいけないと思った僕は何も言わなかった。
「じゃあ、後よろしく  先生には適当に言っておい 
   おいてー」
そう言うと、彼女は教室を後にした。

僕は使い終わった雑巾を洗い、職員室に持って行った。

「弥朶、もう一人はどうした?」
「体調が悪いと言って帰りました。」
「あぁ、そうか悪かったな。
   お疲れ、帰っていいぞ」
そうぶっきら棒に言い放ちドアを閉めた。

帰る準備をして僕は学校を後にした。
帰り道、普段ならそのまま家に向かうのだが、
今日は疲れが溜まっていたのかいつもなら近づかない林の方へ行ってみたくなった。
その場所は草木が生い茂り、人の背の高さぐらいの草が生えている。
僕はその草をかき分け前へと進んだ。
5分ぐらい草むらの中を進んでいると、
いきなり草が無くなり、一本の道が続いている
殺風景な場所に出た。
何気なく僕はその道を歩き始めた。
しばらく歩いていると一つの小屋らしきものが見えた。
こんな場所に小屋があるなんて……
僕は、この小屋に人は住んでいるのか。
住んでいるとするならばどんな人が住んでいるのか。と、どうしようもない好奇心に駆られた。
気づくと僕は、その小屋のドアを叩いていた……
   
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