2 / 16
序章
第2話
しおりを挟む
スキル『瓦割り』を喰らった彼は、小指の骨がポキィと折れていました。
スキルを使ったヒョロノッポが『やべぇ~!骨まで割っちゃた!』と笑い出した事で、他のイジメっ子達も硬くなっていた表情が和らいでいきました。
「あと9本あるからな!手が終わったら足の指、足の指が終わったら帰してやるけど、明日も明後日も明々後日もずっ~と、ずっ~~~~と、スキルを使うまで続けるからな!」
「ひっぐぅっ!……お願い、スキルの名前だけで許してください!スキルは絶対に使ったら駄目なんです!」
彼の右手の薬指に、デコピンしようとしていたヒョロノッポがニヤニヤしながら離れていきました。
眼鏡をかけた小柄な男の子が彼に近づいて、折れた小指を回復させようとしましたが、下手に回復させると指が変形するので、どうしようかと悩んでいました。
太っちょのガキ大将はそんな事は気にせずに、さっさとスキルの名前を言えと急かし続けます。
「絶対に誰にも内緒だよ!僕のスキルは『絶体絶命』呪文を唱えるだけで絶体絶命のピンチが起こるんだよ!だから絶対に使ったら駄目なんだ」
彼のスキルを聞いた、太っちょのガキ大将が目を見開いて爛々と輝かせています。
まるで最高の玩具を見つけて今にも大喜びして走り出しそうです。
「絶体絶命のピンチになるのかぁ~、それは使ったら駄目だよなぁ~、……でも1回だけならいいだろう?」
「駄目!本当に使ったら駄目なんだよ!」
ボォグゥ、彼のお腹を太っちょが思い切り殴りました。
彼はお腹を押さえて苦しそうに地面に蹲りましたが、ボォグゥ、ガァツゥ、ドォツ、ドォツとそんな彼を太っちょは無言で殴ったり、蹴ったりします。
そして、地面に倒れた彼を蹴りつけながら命令します。
「使え!使え!使え!使え!使え!使え!」
最初は黙って見ていた他のイジメっ子達も太っちょに加わって、倒れた彼を蹴りつけながら命令します。
「「「「使え!使え!使え!使え~~!」」」」
彼は必死に膝を丸めて、両腕で頭と顔を守っていましたが、横から上から顔と身体を蹴られたり、踏みつけられます。
(……もういいかな?……僕は頑張ったよね?……どうせ死なない程度に痛め付けて、また明日も明後日もイジメられるんだよね?……だったら使ってもいいよね?)
彼は薄れゆく意識の中でスキルを使ってしまいました。
「……バルス……」
突然、女の人の声が街中の人間や動物達の頭の中に聞こえ始めました。
「スキル『絶体絶命』が使用されました。3分後に魔王と1万の軍勢がこの街を襲撃します。勇気と知恵で絶体絶命のピンチを乗り越えてください。スキル『絶体絶命』が使用されました。」
同じ事を2回言うと、謎の声は消えてしまいました。
⚫︎スキル『絶体絶命』:呪文を唱えるだけで発動。使用者が死亡した場合もスキルの効果は継続。
「……はぁ~~??てめぇ~~何してんだよ!さっさと解除しろよ!解除しないと殺すぞ!」
太っちょは大慌てで倒れている彼を揺さぶって、スキルを解除させようとしますが、弱々しい声で『一度発動したら解除は出来ないよ』の言葉で事の重要性に初めて気づきました。
街の住民も新手の悪戯なのか、本当の事なのか分からずに、馬鹿らしいと笑っている人、とりあえず武器を用意する人、夕飯の支度に戻る人、ほとんどの人が悪戯と判断して、普通の生活に戻っていきました。
……3分後。街の周囲の地上と上空は魔物の大群に囲まれる事になりました。
⚫︎最上級ハーピー:女性の顔を持つ鳥型亜人モンスター。レベル=75、HP=7400、MP=2897、腕力=1289、体力=893、知性=1261、精神=1002、敏捷=1146、器用さ=963。
⚫︎最上級リザードマン:筋骨隆々な蜥蜴の亜人モンスター。剣、斧、槍、盾と様々な武器を使いこなす。レベル=73、HP=6900、MP=1907、腕力=1502、体力=974、知性=829、精神=827、敏捷=1085、器用さ=768。
「……勝てない」
スキル『ステータス化』:色々なものを数値として見る事が出来る。レベル上昇により、見えるものが増えていく。
街の住民も悪戯ではない事が分かり、武器を持って戦う決意を漲らせていました。
1人の住民が魔王の軍勢をスキルで調べた結果、最悪の結果が出てしまいました。
⚫︎街の自警団:街を守る兵士。13歳から入団可能で日々訓練と鍛錬に励む。レベル=30、HP=4900、MP=1852、腕力=436、体力=433、知性=391、精神=255、敏捷=389、器用さ=224。
街の人口は4万人を超えていますが、実際に戦える人は2万人以下です。
戦っても勝ち目がないので、スキル『交渉』やスキル『説得』などを持つ住民に協力してもらって魔王に何とか金品だけで見逃してもらう事に決めました。
グゥシャ、グゥシャ、頭を掴まれたスキル『交渉』『説得』を持つ2人の住民が卵のように潰されました。スキル『誘惑』を持つ美女を差し出しても、グゥシャと頭を潰されました。
「我を愚弄するつもりか?我に猿女と交れと申すのか?猿が服を着て、言葉を喋れば人間扱いされると本気で思っているのか?……アッハッハッハッハッハッ……皆殺しにしろ!」
スキルを使ったヒョロノッポが『やべぇ~!骨まで割っちゃた!』と笑い出した事で、他のイジメっ子達も硬くなっていた表情が和らいでいきました。
「あと9本あるからな!手が終わったら足の指、足の指が終わったら帰してやるけど、明日も明後日も明々後日もずっ~と、ずっ~~~~と、スキルを使うまで続けるからな!」
「ひっぐぅっ!……お願い、スキルの名前だけで許してください!スキルは絶対に使ったら駄目なんです!」
彼の右手の薬指に、デコピンしようとしていたヒョロノッポがニヤニヤしながら離れていきました。
眼鏡をかけた小柄な男の子が彼に近づいて、折れた小指を回復させようとしましたが、下手に回復させると指が変形するので、どうしようかと悩んでいました。
太っちょのガキ大将はそんな事は気にせずに、さっさとスキルの名前を言えと急かし続けます。
「絶対に誰にも内緒だよ!僕のスキルは『絶体絶命』呪文を唱えるだけで絶体絶命のピンチが起こるんだよ!だから絶対に使ったら駄目なんだ」
彼のスキルを聞いた、太っちょのガキ大将が目を見開いて爛々と輝かせています。
まるで最高の玩具を見つけて今にも大喜びして走り出しそうです。
「絶体絶命のピンチになるのかぁ~、それは使ったら駄目だよなぁ~、……でも1回だけならいいだろう?」
「駄目!本当に使ったら駄目なんだよ!」
ボォグゥ、彼のお腹を太っちょが思い切り殴りました。
彼はお腹を押さえて苦しそうに地面に蹲りましたが、ボォグゥ、ガァツゥ、ドォツ、ドォツとそんな彼を太っちょは無言で殴ったり、蹴ったりします。
そして、地面に倒れた彼を蹴りつけながら命令します。
「使え!使え!使え!使え!使え!使え!」
最初は黙って見ていた他のイジメっ子達も太っちょに加わって、倒れた彼を蹴りつけながら命令します。
「「「「使え!使え!使え!使え~~!」」」」
彼は必死に膝を丸めて、両腕で頭と顔を守っていましたが、横から上から顔と身体を蹴られたり、踏みつけられます。
(……もういいかな?……僕は頑張ったよね?……どうせ死なない程度に痛め付けて、また明日も明後日もイジメられるんだよね?……だったら使ってもいいよね?)
彼は薄れゆく意識の中でスキルを使ってしまいました。
「……バルス……」
突然、女の人の声が街中の人間や動物達の頭の中に聞こえ始めました。
「スキル『絶体絶命』が使用されました。3分後に魔王と1万の軍勢がこの街を襲撃します。勇気と知恵で絶体絶命のピンチを乗り越えてください。スキル『絶体絶命』が使用されました。」
同じ事を2回言うと、謎の声は消えてしまいました。
⚫︎スキル『絶体絶命』:呪文を唱えるだけで発動。使用者が死亡した場合もスキルの効果は継続。
「……はぁ~~??てめぇ~~何してんだよ!さっさと解除しろよ!解除しないと殺すぞ!」
太っちょは大慌てで倒れている彼を揺さぶって、スキルを解除させようとしますが、弱々しい声で『一度発動したら解除は出来ないよ』の言葉で事の重要性に初めて気づきました。
街の住民も新手の悪戯なのか、本当の事なのか分からずに、馬鹿らしいと笑っている人、とりあえず武器を用意する人、夕飯の支度に戻る人、ほとんどの人が悪戯と判断して、普通の生活に戻っていきました。
……3分後。街の周囲の地上と上空は魔物の大群に囲まれる事になりました。
⚫︎最上級ハーピー:女性の顔を持つ鳥型亜人モンスター。レベル=75、HP=7400、MP=2897、腕力=1289、体力=893、知性=1261、精神=1002、敏捷=1146、器用さ=963。
⚫︎最上級リザードマン:筋骨隆々な蜥蜴の亜人モンスター。剣、斧、槍、盾と様々な武器を使いこなす。レベル=73、HP=6900、MP=1907、腕力=1502、体力=974、知性=829、精神=827、敏捷=1085、器用さ=768。
「……勝てない」
スキル『ステータス化』:色々なものを数値として見る事が出来る。レベル上昇により、見えるものが増えていく。
街の住民も悪戯ではない事が分かり、武器を持って戦う決意を漲らせていました。
1人の住民が魔王の軍勢をスキルで調べた結果、最悪の結果が出てしまいました。
⚫︎街の自警団:街を守る兵士。13歳から入団可能で日々訓練と鍛錬に励む。レベル=30、HP=4900、MP=1852、腕力=436、体力=433、知性=391、精神=255、敏捷=389、器用さ=224。
街の人口は4万人を超えていますが、実際に戦える人は2万人以下です。
戦っても勝ち目がないので、スキル『交渉』やスキル『説得』などを持つ住民に協力してもらって魔王に何とか金品だけで見逃してもらう事に決めました。
グゥシャ、グゥシャ、頭を掴まれたスキル『交渉』『説得』を持つ2人の住民が卵のように潰されました。スキル『誘惑』を持つ美女を差し出しても、グゥシャと頭を潰されました。
「我を愚弄するつもりか?我に猿女と交れと申すのか?猿が服を着て、言葉を喋れば人間扱いされると本気で思っているのか?……アッハッハッハッハッハッ……皆殺しにしろ!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる