【異世界マジシャン】三流マジシャン助手の女子高生がタネも仕掛けも必要ない異世界でマジックで荒稼ぎします!

もう書かないって言ったよね?

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第20話

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 私はマジシャンだ。異世界マジシャンが自分のマジックを信じられないでどうする。
 そんな都合のいい言い訳を用意して買ってしまった。買ってしまったのだ。
 三流マジシャンの叔父を見てれば分かる。プライドだけじゃご飯は食べられないのだ。
 時には商店街で土下座して、マジックやらせてください、と頼まないといけないのだ。

「さあ、泣いても笑ってもこれが決勝戦だ! この戦いの勝者が今年の覇者だ!」
「ご、ごくり……」

 すっかり空は暗くなり、闘技場を照らす光が太陽から人工物に変わってしまった。
 舞台中央に立つ兵士が観客と私のボルテージを嫌でも上げていく。
 この手に握る紙切れが優勝者次第で、ゴミにも大金にも変わってしまう。
 紙に書かれた名前の二人はすでに舞台に上がっている。

 私が大金・金貨千二百枚を手に入れる確率は破格の五十パーセントだ。
 決して私がこうなるように二人の試合を手助けしたわけじゃない。
 対戦者の動きがちょっと変だった時もあったけど、きっと怪我が原因だ。
 マジックが勝手に発動して、対戦者を妨害していたわけじゃない。

「それでは選手の紹介を始めます。百五十三センチ、四十五キロ、職業『剣士』……素早い動きと鋭い剣技で数々の出場者を血の海に沈めた黒き殺戮モンスター……剣士セラああああ‼︎」
「「「うおおおおお‼︎」」」「きゃあああああ‼︎」

 観客に混じって私も叫んだ。本戦一回戦からずっと応援してきた古参のファンだ。
 いや、むしろ最初の町から旅してきたチームメイトだ。
 一緒にパフェも食べたことがあるマブダチだ。

「対する選手は……百七十五センチ、六十六キロ、職業『空手家』……『武器は必要ない。私の拳が武器だ』その言葉の通りに立ち塞がる選手をことごとく地に沈め、ついにこの地にたどり着いた。鋼の拳、鋼の身体、鋼の魂……伝説の空手家ユリいいいい‼︎」
「「「うおおおおお‼︎」」「結婚してくれえええ‼︎」

 いや、結婚は慎重に決めた方がいいですよ。
 興奮しすぎの観客にそんな冷静なツッコミを入れてみた。
 あっちも大人気だ。しかも伝説付きだ。

「さあ、これ以上私の言葉は必要だろうか? いや、必要ない‼︎ 続きは剣と拳が語ってくれるさ‼︎ 両者戦闘用意‼︎ 第五回武闘会決勝戦……試合……か、か、か」
「ご、ごくり……」

 溜めるねぇ~♪

「開始いいいい‼︎」
「「「うおおおおお‼︎」」」

 運命の決勝戦が始まった。戦いの鐘は鳴らない。両者が正面衝突する勢いで向かっていく。
 セラさんは剣を身体の左側に横に振り抜くように構え、空手家の左拳は剣を振り抜いた瞬間の剣の柄を握るセラさんの手を狙っている。
 剣の刃が身体に食い込み前にセラさんの手をカウンターで砕いて、剣を握れなくしてからボコるつもりだ。
 空手家の狙いはメンタルマジックで分かっている。私はセラさんと予言マジックを信じて見守るだけだ。

「ぐぅがあああ!」

 バキィ。と何やってんの⁉︎ 信じていたのにもう裏切られた。
 セラさんが剣を左から右に空手家の胴を狙って振り抜いた。
 その瞬間を狙って空手家が腰を左に素早くひねって、左拳を振り回した。
 正確無比な一撃がセラさんの右手を粉砕して、セラさんが柄から右手を放して痛がっている。
 メンタルマジックでセラさんの頭を覗いてみると、

(痛ええええ! 痛ええええ!)

 演技じゃなくて、ガチに痛がっていた。それでも柄を握る左手は放していない。
 左手一本で剣を振り回して、空手家が近づけように舞台の端に逃げている。

 ☆メンタルマジック発動☆

(まったく困ったお姉さんですね。バレないように治療するのは大変なんですよ)

「えっ? この声って……」

 勝手にメンタルマジックが発動したと思ったら、ラナさんの声が聞こえてきた。
 近くにいるのかと探してみたけどいなかった。

「気の所為……?」

 この観客の中から探せるわけがない。気の所為ということにして舞台に視線を戻した。
 ちょうどセラさんが舞台の端で転んでいた。あれじゃあ伝説は超えられない。
 予言マジック大失敗かと思っていたら、

「だあああ!」
「ぐっ……!」
「えっ?」

 セラさんが負傷したはずの右手で剣を素早く振り回した。
 トドメを刺そう接近していた空手家が右太ももをズパァと切られている。

(一体どういうことだ⁉︎ 確かに剣が握れぬほどに砕いたはずだ⁉︎)

 空手家の声が聞こえてきた。私もセラさんが痛がっていた声を聞いている。
 転んだ時に服の中に隠し持っていた凄い薬でも使ったのだろうか? 反則だけど。

「んっ? んんっ?」

 誰にも気づかれずに反則したとセラさんを疑って見ていると、転んだセラさんの近くに立っていたフードを被った白魔道士の胸に目がいった。
 深く被ったフードで顔は見えないけど、胸は観客席からでも分かるぐらい膨らんでいる。
 まさかと思ったけど、そのまさかだった。

 ☆メンタルマジック発動☆

(ふぅー、誰にもバレてないみたいねぇ♪)
 
「ああああ~~‼︎ ああああ~~‼︎」
「くぅぅぅ、うるせい嬢ちゃんだな」

 白魔導士の頭の中を覗いたら大当たりだった。
 犯人見つけて、思わず指を指して叫んでしまった。
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