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石抱きの刑
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長崎の城下町で非合法の賭博が開かれているとの噂を聞きつけた遠山景晋は、銭座組(ぜんざぐみ)の下っ端、源八(げんぱち)を捕らえて、訊問を開始した。
遠山景晋「この城下町のどこで賭場が開かれているか、教えてくれるだけでよい!そうすれば身の安全は保証してやろう」と城下町の地図を源八の前に広げて訊いてみる。
源八「お奉行様、任侠には、仁義ってもんがあるんですよ。殺されたって言えねぇーもんは言えませんねぇー!」と銭座組への仁義を尽くす。
遠山景晋「良かろう!石畳を持って来い!何枚でお前の仁義が折れるか試させてもらう!」と正座させられた源八の太ももに重さ20キロはある、石の板を乗せていく。
源八「ウゥグゥフッ!お奉行様!石が足りないようですよ!さっさと持って来たらどうですか?」と5枚の石畳を太腿に乗せて、笑いながら遠山景晋に追加の石畳を要求する。
遠山景晋「強情な奴め!望み通りに用意してやる!しばらくその状態で待っておれ!」と源八を拷問部屋に置き去りにして、代わりの重石を探しに出て行った。
源八「これが噂の拷問か?やはり噂は噂だな!」と生温い拷問を嘲笑っている。
『スゥ~~!』と拷問部屋の扉が横に開くと、鬼頭仁之助が入って来て「こんなところで何をなさっているのです?そんな重いものを足に乗せても痛いだけですよ!」と源八の太腿に乗っている石畳を取っていく!
源八「おいおい!そんなことして遠山に叱られても知らないぞ!」と余計な事をする鬼頭を睨みつける。
鬼頭「大丈夫ですよ!代わりにこの煎餅を5枚乗せていれば分かりませんから!」と源八の太ももに醤油煎餅を5枚乗せると「重ければ取って食べてもいいですよ!」とニコリと笑ってみせる。
源八「ふっふっふっ!面白いこと言いやがるな!だが自分では食べられないんだよ!手足を縛られているからな!」とひと笑いするとジタバタと手足を動かして見せる。
鬼頭「おっと!これは気が付かず申し訳ありません!どれ口を開けてください!」と源八の太ももから煎餅を1枚取ってから、口に入れる。
源八『バリバリ、ボリボリ、ガリガリ、ごっくん!』と煎餅を噛み砕いて飲み込むと「茶が飲みたいな!」と一言呟きました。
鬼頭「茶はありませんが暇つぶしに昔話はどうですか?このままお奉行様を待つよりかは幾分かマシだと思いますが……。」と源八に訊いてみる。
源八「ああ、頼むよ!出来れば面白い話しを聞きたいな!」と答えました。
鬼頭「む~かし、む~かし、ある村の近くにある池に龍神様が住んでいました。村人は日照りが続くと龍神様に村の娘を生贄に捧げて、雨を降らせてもらっていました」といつも通りにゆっくりと丁寧に話します。
源八「はっはっはっ!神様か!そんなものは居ねえよ!」と鬼頭の話しを茶化します。
鬼頭「その日は日照りが続いた訳でもないのに、村から八太郎(はちたろう)という年老いた男が龍神様の池にやって来ました!八太郎『龍神様!3年前に生贄にした、オラの娘を返してください!オラはどうなってもいいから、お小夜(おさよ)を返してください!』と池に向かって叫んでいます。『ブクブクブクブク!』と池の中から泡が浮かび上がってくると、光り輝く人の姿の龍神様が池の中から出てきました!龍神様『八太郎、お前が生贄にしたのは、この生きているお小夜か?それとも、この死んでいるお小夜か?』と八太郎に『おとっつぁん!おとっつぁん!』と生きているお小夜が呼びかけます。八太郎は『生きているお小夜です!龍神様!生きているお小夜を返してください!』と必死に頼みました。龍神様は『この嘘つきの愚か者が!』と八太郎に叫ぶと頭から『バリバリ、ボリボリ!』と噛み砕いて飲み込みました」と話します。
源八は太ももの煎餅をもう1枚、鬼頭に取ってもらい、同じように『バリバリ、ボリボリ!』と食べながら、話しの続きを聞いています。
鬼頭「龍神様はその日、村に血の雨を降らせると、村人達は龍神様の怒りを鎮めるために村の娘を龍神様の池に連れて行き、生贄にしました。生贄になった娘の父親が龍神様の池に向かって走ります。父親の寛吉(かんきち)は池に向かって『お加代(おかよ)を返せー!今すぐ返さないと、池を岩で埋めてしまうぞー!』と龍神様に向かって怒鳴り散らします。『ブクブクブクブク!』と龍神様が池の中から出てくると『寛吉、お前の娘のお加代は、こっちの生きているお加代か?それとも、こっちの死んでいるお加代か?』と寛吉に訊きます。生きているお加代が寛吉に向かって『おとっつぁん、助けて!おとっつぁん、助けて!』と助けを求めます。寛吉『オラの娘はそんな弱虫でもなければ、死んでもいない!さっさとオラの娘を返せー!』と龍神様に怒鳴ります。龍神様『よくぞ見破った!』とお加代の幻を『ふぅー!』と一息で消しました。龍神様『寛吉!儂の腹の中からお加代を連れて来れたなら、お前の望み通りにお加代を返してやろう!ただし、あまり長く腹の中にいるとお加代共々、死ね事になるがな!』と寛吉をちょっとだけ怖がらせました。寛吉は勢いよく龍神様の腹の中に入ると『お加代ー!お加代ー!』と呼び続けます。腹の中にはいままで生贄になった村の娘が何人もいました。寛吉はお小夜を見つけると『お加代を知らないか?お加代を見てないか?』と尋ねます。お小夜は『あっち!』と人差し指で進む方向を教えてくれました。寛吉は『ありがとう!』と言うと、その方向に走って行きました。『おぎゃー!おぎゃー!』と赤ん坊の泣き声が聞こえてきました!寛吉『お加代の泣き声だ!忘れる訳がない!お加代いま行くぞー!』と必死に走ります。けれども、そこには赤ん坊のお加代ともう」と話していると、遠山景晋「待たせたな、源八!さあ、拷問を始めるぞー!」石畳を5枚持って来ました。
鬼頭「源八さん、それでは私は失礼します!頑張ってください!」と立ち上がろうとすると、源八「待ってくれ!けれどもお加代ともう1人なのか!もう1つなのか!続きを教えてくれ!」と必死にジタバタと手足を動かします。
遠山景晋「さあ、源八!10枚耐えられたら、お前を解放してやってもいいぞ!」とニヤリと笑っています。
源八「話しの続きを聞かせてくれたら、何だって教えてやる!」と必死です。遠山景晋「賭場の場所は?」と訊くと、源八「川の近くの茶屋の二階でやっている!」と素直に答えます。遠山景晋「他の場所は?」と訊くと、源八「大浦と西町にある!他は知らねー!早く続きを……。」と必死です。
全てを話し終えたのに源八は結局、鬼頭から話しの続きを聞けないまま、長崎奉行所を釈放されました。
《めでたし、めでたし》
遠山景晋「この城下町のどこで賭場が開かれているか、教えてくれるだけでよい!そうすれば身の安全は保証してやろう」と城下町の地図を源八の前に広げて訊いてみる。
源八「お奉行様、任侠には、仁義ってもんがあるんですよ。殺されたって言えねぇーもんは言えませんねぇー!」と銭座組への仁義を尽くす。
遠山景晋「良かろう!石畳を持って来い!何枚でお前の仁義が折れるか試させてもらう!」と正座させられた源八の太ももに重さ20キロはある、石の板を乗せていく。
源八「ウゥグゥフッ!お奉行様!石が足りないようですよ!さっさと持って来たらどうですか?」と5枚の石畳を太腿に乗せて、笑いながら遠山景晋に追加の石畳を要求する。
遠山景晋「強情な奴め!望み通りに用意してやる!しばらくその状態で待っておれ!」と源八を拷問部屋に置き去りにして、代わりの重石を探しに出て行った。
源八「これが噂の拷問か?やはり噂は噂だな!」と生温い拷問を嘲笑っている。
『スゥ~~!』と拷問部屋の扉が横に開くと、鬼頭仁之助が入って来て「こんなところで何をなさっているのです?そんな重いものを足に乗せても痛いだけですよ!」と源八の太腿に乗っている石畳を取っていく!
源八「おいおい!そんなことして遠山に叱られても知らないぞ!」と余計な事をする鬼頭を睨みつける。
鬼頭「大丈夫ですよ!代わりにこの煎餅を5枚乗せていれば分かりませんから!」と源八の太ももに醤油煎餅を5枚乗せると「重ければ取って食べてもいいですよ!」とニコリと笑ってみせる。
源八「ふっふっふっ!面白いこと言いやがるな!だが自分では食べられないんだよ!手足を縛られているからな!」とひと笑いするとジタバタと手足を動かして見せる。
鬼頭「おっと!これは気が付かず申し訳ありません!どれ口を開けてください!」と源八の太ももから煎餅を1枚取ってから、口に入れる。
源八『バリバリ、ボリボリ、ガリガリ、ごっくん!』と煎餅を噛み砕いて飲み込むと「茶が飲みたいな!」と一言呟きました。
鬼頭「茶はありませんが暇つぶしに昔話はどうですか?このままお奉行様を待つよりかは幾分かマシだと思いますが……。」と源八に訊いてみる。
源八「ああ、頼むよ!出来れば面白い話しを聞きたいな!」と答えました。
鬼頭「む~かし、む~かし、ある村の近くにある池に龍神様が住んでいました。村人は日照りが続くと龍神様に村の娘を生贄に捧げて、雨を降らせてもらっていました」といつも通りにゆっくりと丁寧に話します。
源八「はっはっはっ!神様か!そんなものは居ねえよ!」と鬼頭の話しを茶化します。
鬼頭「その日は日照りが続いた訳でもないのに、村から八太郎(はちたろう)という年老いた男が龍神様の池にやって来ました!八太郎『龍神様!3年前に生贄にした、オラの娘を返してください!オラはどうなってもいいから、お小夜(おさよ)を返してください!』と池に向かって叫んでいます。『ブクブクブクブク!』と池の中から泡が浮かび上がってくると、光り輝く人の姿の龍神様が池の中から出てきました!龍神様『八太郎、お前が生贄にしたのは、この生きているお小夜か?それとも、この死んでいるお小夜か?』と八太郎に『おとっつぁん!おとっつぁん!』と生きているお小夜が呼びかけます。八太郎は『生きているお小夜です!龍神様!生きているお小夜を返してください!』と必死に頼みました。龍神様は『この嘘つきの愚か者が!』と八太郎に叫ぶと頭から『バリバリ、ボリボリ!』と噛み砕いて飲み込みました」と話します。
源八は太ももの煎餅をもう1枚、鬼頭に取ってもらい、同じように『バリバリ、ボリボリ!』と食べながら、話しの続きを聞いています。
鬼頭「龍神様はその日、村に血の雨を降らせると、村人達は龍神様の怒りを鎮めるために村の娘を龍神様の池に連れて行き、生贄にしました。生贄になった娘の父親が龍神様の池に向かって走ります。父親の寛吉(かんきち)は池に向かって『お加代(おかよ)を返せー!今すぐ返さないと、池を岩で埋めてしまうぞー!』と龍神様に向かって怒鳴り散らします。『ブクブクブクブク!』と龍神様が池の中から出てくると『寛吉、お前の娘のお加代は、こっちの生きているお加代か?それとも、こっちの死んでいるお加代か?』と寛吉に訊きます。生きているお加代が寛吉に向かって『おとっつぁん、助けて!おとっつぁん、助けて!』と助けを求めます。寛吉『オラの娘はそんな弱虫でもなければ、死んでもいない!さっさとオラの娘を返せー!』と龍神様に怒鳴ります。龍神様『よくぞ見破った!』とお加代の幻を『ふぅー!』と一息で消しました。龍神様『寛吉!儂の腹の中からお加代を連れて来れたなら、お前の望み通りにお加代を返してやろう!ただし、あまり長く腹の中にいるとお加代共々、死ね事になるがな!』と寛吉をちょっとだけ怖がらせました。寛吉は勢いよく龍神様の腹の中に入ると『お加代ー!お加代ー!』と呼び続けます。腹の中にはいままで生贄になった村の娘が何人もいました。寛吉はお小夜を見つけると『お加代を知らないか?お加代を見てないか?』と尋ねます。お小夜は『あっち!』と人差し指で進む方向を教えてくれました。寛吉は『ありがとう!』と言うと、その方向に走って行きました。『おぎゃー!おぎゃー!』と赤ん坊の泣き声が聞こえてきました!寛吉『お加代の泣き声だ!忘れる訳がない!お加代いま行くぞー!』と必死に走ります。けれども、そこには赤ん坊のお加代ともう」と話していると、遠山景晋「待たせたな、源八!さあ、拷問を始めるぞー!」石畳を5枚持って来ました。
鬼頭「源八さん、それでは私は失礼します!頑張ってください!」と立ち上がろうとすると、源八「待ってくれ!けれどもお加代ともう1人なのか!もう1つなのか!続きを教えてくれ!」と必死にジタバタと手足を動かします。
遠山景晋「さあ、源八!10枚耐えられたら、お前を解放してやってもいいぞ!」とニヤリと笑っています。
源八「話しの続きを聞かせてくれたら、何だって教えてやる!」と必死です。遠山景晋「賭場の場所は?」と訊くと、源八「川の近くの茶屋の二階でやっている!」と素直に答えます。遠山景晋「他の場所は?」と訊くと、源八「大浦と西町にある!他は知らねー!早く続きを……。」と必死です。
全てを話し終えたのに源八は結局、鬼頭から話しの続きを聞けないまま、長崎奉行所を釈放されました。
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