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22・火魔法習得
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「こ、これはイケる!」
魔星先生は天才だ。そして、僕も天才だ。四属性を全て一発成功だ。
火は《力》水は《回復》風は《素早さ》地は《防御力》
剛氣と魔力を合わせた結果、こんな風に身体能力を上げることに成功した。
今までの剛氣の五倍ぐらいの力は出せる気がする。
「さて、次は一人でやってみようか」
「ハハッ。楽勝です」
僕の左手から手を離すと魔星先生が言った。
コツは掴んだので、もう先生の手助けは必要ない。
まずは魔力強化をやって……
「あれ?」
やってみたけど、魔力が固まらない。
というよりも右手から火も出ない。強火どころか弱火もだ。
「さっきまでは私が魔力を制御していたから簡単に出来たんだよ。私が君の魔力を使用して、魔力強化を行なっていただけだからね。一人でやろうとすると……まあ、そんな感じかな」
「じゃあ、これが僕の本当の実力なんですね」
つまり天才なのは先生だけで、僕は凡人なんですね。
だから、合氣も習得できないし、火炙りに遭うですね。
そういえば武星様も鉄を燃やして、金づちで打ってました。
僕ってまだまだ鍛えられている途中なんですね。
完成品だと思って、調子に乗ってすみませんでした。
また炉の中にぶち込んじゃってください。
「あーそんなに落ち込まなくてもいいよ」
地面の雑草を引き抜いていると先生が言ってきた。
僕はこの程度の役にしか立たない人間なんだ。
「とりあえず四属性は使えることは分かったからね。君はとにかく火だけを練習すればいい。火を習得できれば、《力》だけじゃなく、《火耐性》も上げられるからね」
「……そうですね。それが出来るなら」
先生が励ましてくれているけど、とても今日中に習得できる気がしない。
落ちこぼれの僕だと、初歩の初歩の火を出すだけでも二ヶ月かかりそうだ。
「出来るよ」
「ふぇっ?」
だけど、そんな僕の肩に先生が手を置いて言ってくれた。
「君が出来ることは私が証明した。次は君がやれるということを証明すればいいんだ。さあ、手を貸して。君が出来るようになるまで、私も手を貸してあげるから」
「せ、先生……!」
な、なんて優しい人なんだ。
師匠なら「何で出来ねえんだよ!」って絶対にキレている。
「とりあえず私が制御するから、十分、二十分魔法を続けて出してみようか」
優しい先生のお陰で僕のやる氣が復活した。
先生と手を繋いで家の周りをグルグルと散歩を始めた。
「全ての魔法は《創造魔法》だ。どんなに種類が多くなっても、元はたった一つの魔法でしかない。つまり火でも水でも一つでも使えれば、全てが使えると思っていい。ルモ、魔法を使うのに一番重要なのは魔力じゃない。《創造力》だ。さあ、創造してごらん。君は最強の火魔法の使い手だ」
「最強、僕は最強だ……」
凄いぞ、どんどんやる氣がみなぎっていく。
今なら悪魔にも師匠にも勝てそうな気がする。
「さて、休憩だ。魔力も氣も使い過ぎると無くなるからね」
「ハァハァ、ハァハァ!」
あれ、おかしいぞ。家の周り歩いていただけで死にかけている。
大汗かいて地面にへばりついている。首絞められて意識失いかける一歩手前だ。
「はい、魔力茶だよ。これ飲んで魔力だけでも回復させようか。私が魔力を持っている茶葉を交配して作った特製茶だよ」
家の中に消えたと思ったら、先生が熱々のお茶を入れたやかんを持ってきた。
「さあ、飲もうか」
「‼︎」
先生、コップがありませんよ。あ、あったみたい。僕の口だった。
やかんの注ぎ口が僕の口の中に優しく突っ込まれた。
「ごぶぅ、ごぶぅ!」
でも、中身が全然優しくない。熱いだけで全然落ち着かない。
「じゃあ頑張ってね」
「い、行ってきます……」
お茶先生に見送られて家を出た。昨日の夜は溺れる夢にうなされた。
夜までお茶飲まされて、火魔法の練習をさせられた。
もうお茶はいらないし、先生とは二度と手を繋ぎたくない。
あんなの逃げられないように捕まえていただけじゃないか。
「よし、アイツで腕試しだ」
とりあえず甘い鍛錬が無いことが分かった。
お腹が破裂するぐらい飲まされて、火魔法を自力で使えるまで調教された。
「やあ、奇遇だね」
「出たな」
まずは町に向かって森を走っていると、当然のように白い悪魔が出てきた。
出てくるのは予想通りだ。その対策は出来ている。
「それにしてもたったの二ヶ月で別の女の家から朝帰りとは……子供の成長は驚きですね」
悪魔が喋っているけど、このチャンスを見逃すつもりはない。
僕の創造力はまだまだなので、火魔法発動には時間がかかる。
両手を合わせると高速で擦り合わせた。
「アチチチチィ」
「……何やってるんですか?」
こうすることによって、高温が発生する。
これは創造力じゃない。現実だ。現実の熱さが僕に火魔法を教えてくれる。
そして、手の平が熱さの限界に耐え切れなくなった時、それは完成する。
「アチチチチィ、あ、熱いい‼︎」
「‼︎」
熱さの限界点を突破した両手を離すと、両手がボッと炎に包まれた。
これは擦り過ぎて燃えているわけじゃない。これは火魔法の炎だ。
「……あり得ない。たったの二日で魔法なんて早過ぎる」
驚く悪魔の顔を見れただけでも頑張ったかいはあった。
だけど、これはただ火魔法を出しただけだ。まだこれの強化もしてない。
《火炎拳》——さらに《力》を上げる為に炎をギュッと固めた。
創造力を高めるカッコいい言葉は魔星様に教わった。
次がその最後の言葉だ。
「今日、持ってきた薬は自分で打つんだね」
強気にそう言うと火炎拳に剛氣を加えた。
僕の身体が剛氣に包まれ、圧縮させていた両手の炎に剛氣が加わり爆発した。
爆発が収まるとマグマのように燃える、真っ赤な炎の拳《紅蓮拳》が完成した。
魔星先生は天才だ。そして、僕も天才だ。四属性を全て一発成功だ。
火は《力》水は《回復》風は《素早さ》地は《防御力》
剛氣と魔力を合わせた結果、こんな風に身体能力を上げることに成功した。
今までの剛氣の五倍ぐらいの力は出せる気がする。
「さて、次は一人でやってみようか」
「ハハッ。楽勝です」
僕の左手から手を離すと魔星先生が言った。
コツは掴んだので、もう先生の手助けは必要ない。
まずは魔力強化をやって……
「あれ?」
やってみたけど、魔力が固まらない。
というよりも右手から火も出ない。強火どころか弱火もだ。
「さっきまでは私が魔力を制御していたから簡単に出来たんだよ。私が君の魔力を使用して、魔力強化を行なっていただけだからね。一人でやろうとすると……まあ、そんな感じかな」
「じゃあ、これが僕の本当の実力なんですね」
つまり天才なのは先生だけで、僕は凡人なんですね。
だから、合氣も習得できないし、火炙りに遭うですね。
そういえば武星様も鉄を燃やして、金づちで打ってました。
僕ってまだまだ鍛えられている途中なんですね。
完成品だと思って、調子に乗ってすみませんでした。
また炉の中にぶち込んじゃってください。
「あーそんなに落ち込まなくてもいいよ」
地面の雑草を引き抜いていると先生が言ってきた。
僕はこの程度の役にしか立たない人間なんだ。
「とりあえず四属性は使えることは分かったからね。君はとにかく火だけを練習すればいい。火を習得できれば、《力》だけじゃなく、《火耐性》も上げられるからね」
「……そうですね。それが出来るなら」
先生が励ましてくれているけど、とても今日中に習得できる気がしない。
落ちこぼれの僕だと、初歩の初歩の火を出すだけでも二ヶ月かかりそうだ。
「出来るよ」
「ふぇっ?」
だけど、そんな僕の肩に先生が手を置いて言ってくれた。
「君が出来ることは私が証明した。次は君がやれるということを証明すればいいんだ。さあ、手を貸して。君が出来るようになるまで、私も手を貸してあげるから」
「せ、先生……!」
な、なんて優しい人なんだ。
師匠なら「何で出来ねえんだよ!」って絶対にキレている。
「とりあえず私が制御するから、十分、二十分魔法を続けて出してみようか」
優しい先生のお陰で僕のやる氣が復活した。
先生と手を繋いで家の周りをグルグルと散歩を始めた。
「全ての魔法は《創造魔法》だ。どんなに種類が多くなっても、元はたった一つの魔法でしかない。つまり火でも水でも一つでも使えれば、全てが使えると思っていい。ルモ、魔法を使うのに一番重要なのは魔力じゃない。《創造力》だ。さあ、創造してごらん。君は最強の火魔法の使い手だ」
「最強、僕は最強だ……」
凄いぞ、どんどんやる氣がみなぎっていく。
今なら悪魔にも師匠にも勝てそうな気がする。
「さて、休憩だ。魔力も氣も使い過ぎると無くなるからね」
「ハァハァ、ハァハァ!」
あれ、おかしいぞ。家の周り歩いていただけで死にかけている。
大汗かいて地面にへばりついている。首絞められて意識失いかける一歩手前だ。
「はい、魔力茶だよ。これ飲んで魔力だけでも回復させようか。私が魔力を持っている茶葉を交配して作った特製茶だよ」
家の中に消えたと思ったら、先生が熱々のお茶を入れたやかんを持ってきた。
「さあ、飲もうか」
「‼︎」
先生、コップがありませんよ。あ、あったみたい。僕の口だった。
やかんの注ぎ口が僕の口の中に優しく突っ込まれた。
「ごぶぅ、ごぶぅ!」
でも、中身が全然優しくない。熱いだけで全然落ち着かない。
「じゃあ頑張ってね」
「い、行ってきます……」
お茶先生に見送られて家を出た。昨日の夜は溺れる夢にうなされた。
夜までお茶飲まされて、火魔法の練習をさせられた。
もうお茶はいらないし、先生とは二度と手を繋ぎたくない。
あんなの逃げられないように捕まえていただけじゃないか。
「よし、アイツで腕試しだ」
とりあえず甘い鍛錬が無いことが分かった。
お腹が破裂するぐらい飲まされて、火魔法を自力で使えるまで調教された。
「やあ、奇遇だね」
「出たな」
まずは町に向かって森を走っていると、当然のように白い悪魔が出てきた。
出てくるのは予想通りだ。その対策は出来ている。
「それにしてもたったの二ヶ月で別の女の家から朝帰りとは……子供の成長は驚きですね」
悪魔が喋っているけど、このチャンスを見逃すつもりはない。
僕の創造力はまだまだなので、火魔法発動には時間がかかる。
両手を合わせると高速で擦り合わせた。
「アチチチチィ」
「……何やってるんですか?」
こうすることによって、高温が発生する。
これは創造力じゃない。現実だ。現実の熱さが僕に火魔法を教えてくれる。
そして、手の平が熱さの限界に耐え切れなくなった時、それは完成する。
「アチチチチィ、あ、熱いい‼︎」
「‼︎」
熱さの限界点を突破した両手を離すと、両手がボッと炎に包まれた。
これは擦り過ぎて燃えているわけじゃない。これは火魔法の炎だ。
「……あり得ない。たったの二日で魔法なんて早過ぎる」
驚く悪魔の顔を見れただけでも頑張ったかいはあった。
だけど、これはただ火魔法を出しただけだ。まだこれの強化もしてない。
《火炎拳》——さらに《力》を上げる為に炎をギュッと固めた。
創造力を高めるカッコいい言葉は魔星様に教わった。
次がその最後の言葉だ。
「今日、持ってきた薬は自分で打つんだね」
強気にそう言うと火炎拳に剛氣を加えた。
僕の身体が剛氣に包まれ、圧縮させていた両手の炎に剛氣が加わり爆発した。
爆発が収まるとマグマのように燃える、真っ赤な炎の拳《紅蓮拳》が完成した。
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