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第36話 深淵の黒騎士

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【氷の実:たくさん食べると氷魔法が使えるようになる。フロストスライムを倒すと落とす】
【魔石結晶:食べるとMPが150回復する。フロストスライムを倒すと落とす】

「もぐもぐ……もぐもぐ……」

 回復するHPはたったの10だけど、あると安心な薬草だ。
 氷の氷柱はフロストスライムが消えると、一緒に消えてくれた。
 傷口は今消しているぞ。

「ふぅー、危なかったぁー」

 HPが【108058】もあると、回復するだけで一苦労だ。
 薬草だけで、お腹いっぱいになっちゃう。

 でも、投げスライム斬りが使えるのは大発見だぞ。
 もっと早くに気づいていれば、使いまくったのになぁー。

「よし! 休憩終わりだぞ!」

 魔法使うスライムは危険だから、今度は使わないスライムに投げスライム斬りで瞬殺だぞ。
 このスライムは絶対に使わないから、安心安全だ。
 右手に短剣を持って、左手を地面に置くと「召喚!」と唱えた。

「人の子よ、深淵より我を呼び出すか?」

 魔法陣から黒い鎧の騎士:ダークナイトスライムが現れた。
 右手に黒い剣、左手に五角形の黒い盾を持っている。
 現れたスライムはすぐ攻撃して来るから、急いで離れると、短剣を投げつけた。

「《スライム斬り!》」

 ヒュンと投げつけた短剣が、ガァンと黒い鎧にぶつかって落ちた。

「えっ? 嘘?」
「……残念だったな。我にスライム斬りは通用せぬ。この漆黒の鎧が全てを防ぐ」

 必殺のスライム斬りが通用しないなら、もう終わりだ。
 逃げ回りながら、遠距離魔法でチマチマ攻撃するしかない。

「スライムキラーの少年よ。次はこちらの番だ。《エンチャント:ファイアソード(炎の剣)!》」

 お断りします。ダークナイトスライムの剣が燃える剣に変わった。
 あれで切られると熱くて痛そうだ。アイテムポーチから剣を取り出すと構えた。

「《疾風突き!》」
「ふぇ!」

 でも、速すぎる!
 剣先を僕に向けたと思ったら、槍のような大きな炎の塊になって、突進して来た。
 気づいたら目の前だ。こんなの避けられない!

「あぶゔ!」

 ドガァンとひき逃げされた。
 ひき逃げされて、地面を転がされた。

「うぅぅ、痛い!」

 熱さよりも痛さが上だ。レベル5スライムはやっぱり強い。

「我が炎と風の合成剣技を受けて、まだ死なぬか。では、次だ。《エンチャント:エアロソード(風の剣)!》——《疾風突き!》」
「うにゃああ!」

 もういいですと遠慮したいけど、ゴオオオと風の唸り声を上げて、突進して来た。
 急いで立ち上がって、大きく跳んで躱した。

「あぶゔ!」

 避けたのに、ドパァンと風の塊に吹き飛ばされた。
 剣先は躱したのに、剣先以外の攻撃範囲が広すぎだよ!
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