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第7話 一番邪魔な婚約者
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「イジメの噂話とかないんですか? 例えば誰がどんな事をやっていたとか」
「えっ、それは……」
「ねぇ……」
「う、うん……」
「んっ?」
自殺の噂話はいいので、イジメの方法と首謀者がいるのか聞いてみた。
今まで三人は盛り上がっていたのに、急にテンションが下がりまくっている。
お互いの顔を見て、明らかに話したくない顔をしている。
多分、近くにイジメていたメイドがいて、仲間を売るのが嫌なのか、報復されるのが嫌なのだろう。
でも、メイド達の薄い人間関係なんてどうでもいい。
こっちは三週間以内に偽の自白剤を作るか、逃げるか決めないといけない。
多少強引な方法でも、さっさと知っている事を話してもらう。
「安心してください。無理に話を聞くつもりはありません。自白剤を作っていると言いましたよね? 実は王子様にも頼まれたんです。秘密なんですが、何でもメイドをイジメていた犯人を探しているみたいなんです」
「それって、もしかして……その自白剤で……」
嘘は言ってない。王子もイジメの犯人を知りたいはずだ。
「はい。でも、自白剤は劇薬なので使われた人は良くて廃人、悪いと死にます。イジメの実行犯だけに使いたいんですけど、このままだと無差別に使用されます。噂話でいいので知りませんか?」
「いや、でも……」
「そうですよね。話したくないですよね? はぁぁ、分かりました。王子様には知っているけど話したくない人達がいたとだけ報告しておきます」
三人のメイド達が話したくなさそうなので、呆れた感じに椅子からスッと立ち上がった。
賢い人間ならば、このまま何も話さなかったら、自白剤を三人に使うと脅していると分かってくれるはずだ。
「ちょっ、ちょっと待ってください⁉︎」
……釣れましたね。
「はい、何ですか?」
期待通りにメイドが、立ち去ろうとする私を慌てて引き止めてきたので、平然とした顔で振り返った。
メイド三人の顔は死刑宣告を受けた死刑囚のように、血の気を失ったように青ざめている。
「噂話なんですけどね。私が実際に見たわけじゃないですよ」
「はいはい、分かっていますよ。どこかの誰かのいい加減な噂話ですよね。そんな話で自白剤を使う人は決まりませんから安心して話してください」
メイドがまた勿体ぶっているので、急いでテーブルに戻ると椅子に座った。
そして、気軽に話しやすいように、噂話を雑談として参考にしないと言った。
当然、そんな話をメイド三人も信じていないし、周りの人達も信じていない。
仲間を売ったという罪悪感を少しでも軽くして、喋りやすくなってもらう為だ。
「実はあのメイドをイジメていたのは、騎士団の兵士達とコンバティール公爵家のリリ様から紹介された使用人達なんですよ」
「それはまた酷い噂話ですね。そんな噂話が流れた理由でもあるんですか?」
ほぼ実名が出たようなものだけど、こんなに簡単に犯人が分かるなら、王子も知っていそうだ。
もしかすると、犯人をどうする事も出来ないから、放置しているのかもしれない。
「それは騎士団が聖女派だからです。しかも、敵国の女ですよ。今まで殺せ殺せと命令されて殺してきた相手と、今度は仲良くしろです。殺すのか、殺さないのか、ハッキリしろと怒っているんですよ」
「そうです。今は戦争賛成の国王様と戦争反対の王子様の対立で面倒な状態なんです。それに王子様の婚約者は聖女様だから、騎士団は王子様の考えを尊重した方が良いのか、悪いのか混乱状態なんです」
噂話ではなく、調査報告を聞かされている気分だ。徹底的に調べられた後みたいだ。
ナターシャが原因で国内分裂が起きていたら、確かにイジメたくなる気持ちは分かる。
それに王子とナターシャの結婚次第では、戦争状態がいきなり和平路線に切り替えられるかもしれない。
前線で戦う兵士達は国王と王子の掌の上で踊らされているようで、相当に苛立っていそうだ。
「確かにそんな噂話も出そうですね。じゃあ、公爵家の方はどうしてそんな噂話が流れたんですか?」
騎士団がナターシャをイジメていた理由は十分に理解できたので、話を公爵家に変えた。
公爵家には姉と妹がいて、両方が婚約者候補だ。それなのに妹の使用人というのが気になる。
妹がやっているなら、姉もやっているはずだ。むしろ、姉妹の使用人ならイジメの共犯だ。
「それはですね。最初の婚約者は聖女様と公爵家のララ様の二人だけだったんです。国民に人気なのが聖女様で、貴族や商人に人気なのがララ様だったんです」
「そうだったんですね。つまりは姉の婚約者を妹が横取りしようとして、三人になったんですね?」
どこから婚約者が三人になったのか、ちょっと展開が分からないけど、姉の物を欲しがる妹は理解できた。
でも、その理解もメイドに簡単な否定されてしまった。
「いえ、それは違います。ララ様は心の優しい女性なんです。今でもあのメイドと仲が良いぐらいです。でも、それがリリ様は気に入らなかったみたいで、「姉の婚約者を盗るな!」と何度も衝突していました」
「ああ、つまりは姉想いの妹ですか。可愛いですね」
生意気な妹を想像していたのに、次の瞬間には姉想いの可愛い妹を想像してしまった。
「それは分かりませんが、あのメイドの自殺未遂の数日後に、強引にリリ様が婚約者を宣言しました。押しの弱いララ様よりも押しの強いリリ様を貴族達が選んだみたいです」
「まあ、確かにそんな姉に任せていたら、王子様はメイドに取られそうですね。心配で妹に交代させたくなる気持ちは分かります」
……なるほど、なるほど。大体分かってきました。
メイド達の話を聞いて、王子が教えてくれなかった細かな婚約者同士の人間関係が見えてきた。
最初にナターシャをイジメていたのが騎士団の兵士で、それに公爵家のリリが参加する。
その結果、ナターシャが自殺未遂をして、王子と急接近してしまう。
それに危機感を覚えた貴族達がリリを婚約者に推薦した。
つまりはナターシャの事を邪魔に思っているのは、国王、王妃、騎士団、公爵家のリリになると思う。
そして、味方や中立の立場なのが、王子、聖女、騎士団、公爵家のララになると思う。
騎士団だけが、ちょっと微妙な立ち位置で味方にも敵にもなりそうだ。
「ありがとうございます。最後に褐色メイドと個人的に仲が良かった人はいませんか?」
これ以上の噂話は必要なさそうなので、最後にナターシャの協力者を聞いてみた。
「えっ、いないよね? 食事も一人で食べていたし……」
「ララ様とは楽しく話している姿は見た事はありますけど、それ以外は楽しそうとは……」
メイド達は首を傾げている。友達のような人はララぐらいしかいないようだ。
流石に王子の婚約者に精力剤は頼まない。だとしたら、他の誰かに頼んでいる可能性が高い。
謎々みたいな聞き方になったけど、三人に聞いてみた。
「そうですか……では、城の外に欲しい物がある場合、城から出なくてもそれを手に入れられますか?」
「街に出かける友達に頼むとか、お店に直接手紙を出せば送ってくれると思いますよ。それがどうかしたんですか?」
「いえいえ、噂話とはまったく関係ない話です。しばらく城に住む事になるので、買い物の方法を知りたかったんです。ありがとうございます、助かりました」
ナターシャ単独でも精力剤を手に入れる方法はあるみたいだ。
メイド達にお礼を言って、食事を食べ終わると研究室に戻る事にした。
王子の結婚相手は噂話通りならば、ナターシャ以外なら、三人の誰でも良さそうだ。
「えっ、それは……」
「ねぇ……」
「う、うん……」
「んっ?」
自殺の噂話はいいので、イジメの方法と首謀者がいるのか聞いてみた。
今まで三人は盛り上がっていたのに、急にテンションが下がりまくっている。
お互いの顔を見て、明らかに話したくない顔をしている。
多分、近くにイジメていたメイドがいて、仲間を売るのが嫌なのか、報復されるのが嫌なのだろう。
でも、メイド達の薄い人間関係なんてどうでもいい。
こっちは三週間以内に偽の自白剤を作るか、逃げるか決めないといけない。
多少強引な方法でも、さっさと知っている事を話してもらう。
「安心してください。無理に話を聞くつもりはありません。自白剤を作っていると言いましたよね? 実は王子様にも頼まれたんです。秘密なんですが、何でもメイドをイジメていた犯人を探しているみたいなんです」
「それって、もしかして……その自白剤で……」
嘘は言ってない。王子もイジメの犯人を知りたいはずだ。
「はい。でも、自白剤は劇薬なので使われた人は良くて廃人、悪いと死にます。イジメの実行犯だけに使いたいんですけど、このままだと無差別に使用されます。噂話でいいので知りませんか?」
「いや、でも……」
「そうですよね。話したくないですよね? はぁぁ、分かりました。王子様には知っているけど話したくない人達がいたとだけ報告しておきます」
三人のメイド達が話したくなさそうなので、呆れた感じに椅子からスッと立ち上がった。
賢い人間ならば、このまま何も話さなかったら、自白剤を三人に使うと脅していると分かってくれるはずだ。
「ちょっ、ちょっと待ってください⁉︎」
……釣れましたね。
「はい、何ですか?」
期待通りにメイドが、立ち去ろうとする私を慌てて引き止めてきたので、平然とした顔で振り返った。
メイド三人の顔は死刑宣告を受けた死刑囚のように、血の気を失ったように青ざめている。
「噂話なんですけどね。私が実際に見たわけじゃないですよ」
「はいはい、分かっていますよ。どこかの誰かのいい加減な噂話ですよね。そんな話で自白剤を使う人は決まりませんから安心して話してください」
メイドがまた勿体ぶっているので、急いでテーブルに戻ると椅子に座った。
そして、気軽に話しやすいように、噂話を雑談として参考にしないと言った。
当然、そんな話をメイド三人も信じていないし、周りの人達も信じていない。
仲間を売ったという罪悪感を少しでも軽くして、喋りやすくなってもらう為だ。
「実はあのメイドをイジメていたのは、騎士団の兵士達とコンバティール公爵家のリリ様から紹介された使用人達なんですよ」
「それはまた酷い噂話ですね。そんな噂話が流れた理由でもあるんですか?」
ほぼ実名が出たようなものだけど、こんなに簡単に犯人が分かるなら、王子も知っていそうだ。
もしかすると、犯人をどうする事も出来ないから、放置しているのかもしれない。
「それは騎士団が聖女派だからです。しかも、敵国の女ですよ。今まで殺せ殺せと命令されて殺してきた相手と、今度は仲良くしろです。殺すのか、殺さないのか、ハッキリしろと怒っているんですよ」
「そうです。今は戦争賛成の国王様と戦争反対の王子様の対立で面倒な状態なんです。それに王子様の婚約者は聖女様だから、騎士団は王子様の考えを尊重した方が良いのか、悪いのか混乱状態なんです」
噂話ではなく、調査報告を聞かされている気分だ。徹底的に調べられた後みたいだ。
ナターシャが原因で国内分裂が起きていたら、確かにイジメたくなる気持ちは分かる。
それに王子とナターシャの結婚次第では、戦争状態がいきなり和平路線に切り替えられるかもしれない。
前線で戦う兵士達は国王と王子の掌の上で踊らされているようで、相当に苛立っていそうだ。
「確かにそんな噂話も出そうですね。じゃあ、公爵家の方はどうしてそんな噂話が流れたんですか?」
騎士団がナターシャをイジメていた理由は十分に理解できたので、話を公爵家に変えた。
公爵家には姉と妹がいて、両方が婚約者候補だ。それなのに妹の使用人というのが気になる。
妹がやっているなら、姉もやっているはずだ。むしろ、姉妹の使用人ならイジメの共犯だ。
「それはですね。最初の婚約者は聖女様と公爵家のララ様の二人だけだったんです。国民に人気なのが聖女様で、貴族や商人に人気なのがララ様だったんです」
「そうだったんですね。つまりは姉の婚約者を妹が横取りしようとして、三人になったんですね?」
どこから婚約者が三人になったのか、ちょっと展開が分からないけど、姉の物を欲しがる妹は理解できた。
でも、その理解もメイドに簡単な否定されてしまった。
「いえ、それは違います。ララ様は心の優しい女性なんです。今でもあのメイドと仲が良いぐらいです。でも、それがリリ様は気に入らなかったみたいで、「姉の婚約者を盗るな!」と何度も衝突していました」
「ああ、つまりは姉想いの妹ですか。可愛いですね」
生意気な妹を想像していたのに、次の瞬間には姉想いの可愛い妹を想像してしまった。
「それは分かりませんが、あのメイドの自殺未遂の数日後に、強引にリリ様が婚約者を宣言しました。押しの弱いララ様よりも押しの強いリリ様を貴族達が選んだみたいです」
「まあ、確かにそんな姉に任せていたら、王子様はメイドに取られそうですね。心配で妹に交代させたくなる気持ちは分かります」
……なるほど、なるほど。大体分かってきました。
メイド達の話を聞いて、王子が教えてくれなかった細かな婚約者同士の人間関係が見えてきた。
最初にナターシャをイジメていたのが騎士団の兵士で、それに公爵家のリリが参加する。
その結果、ナターシャが自殺未遂をして、王子と急接近してしまう。
それに危機感を覚えた貴族達がリリを婚約者に推薦した。
つまりはナターシャの事を邪魔に思っているのは、国王、王妃、騎士団、公爵家のリリになると思う。
そして、味方や中立の立場なのが、王子、聖女、騎士団、公爵家のララになると思う。
騎士団だけが、ちょっと微妙な立ち位置で味方にも敵にもなりそうだ。
「ありがとうございます。最後に褐色メイドと個人的に仲が良かった人はいませんか?」
これ以上の噂話は必要なさそうなので、最後にナターシャの協力者を聞いてみた。
「えっ、いないよね? 食事も一人で食べていたし……」
「ララ様とは楽しく話している姿は見た事はありますけど、それ以外は楽しそうとは……」
メイド達は首を傾げている。友達のような人はララぐらいしかいないようだ。
流石に王子の婚約者に精力剤は頼まない。だとしたら、他の誰かに頼んでいる可能性が高い。
謎々みたいな聞き方になったけど、三人に聞いてみた。
「そうですか……では、城の外に欲しい物がある場合、城から出なくてもそれを手に入れられますか?」
「街に出かける友達に頼むとか、お店に直接手紙を出せば送ってくれると思いますよ。それがどうかしたんですか?」
「いえいえ、噂話とはまったく関係ない話です。しばらく城に住む事になるので、買い物の方法を知りたかったんです。ありがとうございます、助かりました」
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