第一王子『剣聖』第二王子『賢者』第三王子『泳ぐ』 〜使えないスキルだと追放された第三王子は世界を自由に泳ぎたい〜

もう書かないって言ったよね?

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第一章

第1話『第三王子の誕生』

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「スキル『泳ぐ』だと……それがクロノスのスキルだと言うのか⁉︎」

 小さな赤ん坊を抱いた、王冠を被った金髪の男が、黒ローブの魔法使いに信じられないと聞き返しました。

「間違いありません。第三王子のクロノス様のスキルは『泳ぐ』です」
「ば、馬鹿な⁉︎ 第一王子は『剣聖』、第二王子は『賢者』だぞ! それがクロノスは、『泳ぐ』だと……本当にワシの子供なのか?」

 国王はショックのあまりに赤ん坊を床に落としそうになりましたが、そこは何とか耐えました。
 ゆっくりと玉座に座ると、赤ん坊の髪や瞳をマジマジと観察していきます。

 茶色の髪は、金髪の王と違います。茶色の瞳は、青色の瞳の王と違います。
 王には、間違いなく、自分の子供だと言えるだけの自信がなくなってきました。

 王妃が自分に隠れて、誰かの子供を産んだという、つまらない憶測が頭に過ぎっては消えていきます。

「……病死にしろ」

 ボソッと玉座に座る国王は呟くように、魔法使いに言いました。

「はっ? 国王様、今、何と言いましたか?」

 思わず、魔法使いは聞き返しました。

「クロノスを病死にしろと言ったのだ!」
「で、ですが⁉︎ 王妃様には、何と……」

 今度はハッキリと国王は言いました。その言葉に魔法使いの男は慌てています。
 どんなに使えないスキルだと言っても、生きている第三王子を簡単に病死にする事は出来ません。

「フム……では、追放処分にする。ワシの子供でもない赤ん坊を、王宮に置く事は出来ぬと伝えておけ。従えないと言うようならば、その赤ん坊と一緒に追放しろ。ワシ以外の男と寝るような女を側に置くつもりはない」
「かしこまりました。本当にそれでよろしいのですか?」

 魔法使いはもう一度、国王に確かめました。
 使えないスキルだと知った事による、一時的な気の迷い、ショックで言っているだけかもしれないからです。

「ああ、それでいい。剣聖と賢者だ。泳ぐだけしか出来ない第三王子がいれば、影でどんな噂が広がるか分かったものじゃない。さっさとコレを処分しろ」
「分かりました。すぐに……」

 国王は猫の子供のように、魔法使いに赤ん坊を渡すと、バァッバァッと手を擦って、手についたバイ菌を床に落としました。

 ♦︎

「そうですか……陛下はそのように言っていましたか……」

 王妃の部屋にやって来た魔法使いは、赤ん坊を王妃に手渡すと、国王の伝言を伝えました。
 栗色の長い髪の王妃は赤ん坊を優しく撫でながら、静かに魔法使いの言葉を聞き続けました。

「はい、ですが、一時的な気の迷いです。王妃様は今は我慢して、陛下が落ち着くのを、お待ちください。それまでの辛抱です」
「その必要はありません。この子と一緒に王宮を出ます」
「王妃様、それはなりません‼︎ 第一王子と第二王子には王妃様が必要です!」
 
 王妃の言葉に魔法使いは慌てて、考え直すように説得します。
 二人の王子は高過ぎる能力によって、大人でも手がつけられない程の悪ガキになっています。
 もう国王と王妃以外の誰の言う事も聞きません。
 このまま成長すれば、さらに手がつけられない悪ガキに成長するのは目に見えています。

「それはわたくしをこの子と一緒に追放するんですから、陛下が何とかするのでしょう。それにこの王宮では、この子は自由に泳げません。せっかく素晴らしいスキルがあるのです。こんな泳げる場所もない狭い王宮には勿体ないです。私が責任を持って、育てると陛下にお伝えください」
「王妃様……」

 そう言うと、王妃は僅かな手荷物を持って、赤ん坊と一緒に王宮を出て行きました。
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