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第一章
第6話『海賊船への乗船』
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セレナは甲板から落ちて来た縄梯子を登って海賊船に乗船すると、直ぐに看板の上にいた10人程の海賊達に囲まれました。
「凄えな。金貨50枚は出す奴がいるんじゃねぇか」
「おい、アリー。この女は俺達へのお土産か?」
「馬鹿、しぃ~⁉︎ 静かにしろよ! ロデリックの兄貴に見つかったらどうすんだよ!」
アリーと呼ばれた顔色の悪い男が慌てた様子で、集まった海賊達に静かにするように言っています。でも、少し遅かったようです。
「おい、アリー! 何やってんだよ! 船長は食糧を買って来いと言っただけだろうが! テメェーはお使いの一つも出来ねぇのか!」
「あちゃー……」
甲板にいる海賊達をのし退けて、一番大柄で逞しい赤黒い肌の男が、怒鳴り声を上げながら、アリーとセレナの前までやって来ました。
「いや、兄貴! この上玉の女を見れば、船長も文句は言わねえって。まだ、船長は起きてんだろ? 紹介するからよ」
「ほぉー、この女か……まったく馬鹿野郎が! とっくに酒飲んで寝ているよ。今起こせば、女と一緒に殺されんぞ。さっさと船倉に隠しておけ。紹介するなら明日の朝にしろ」
「へい、兄貴。すいやせん!」
アリーはペコペコと兄貴に頭を下げながら、セレナを連れて船倉に向かいました。
アリーへの罰は不思議な事にないようです。
兄貴と呼ばれた男はセレナの顔をチラッと見ると、罰を与えるのは早いと考え直しました。
王妃に選ばれる程の色気と美貌は、歳を取っても、少しも落ちていないようです。
「チッ……テメェーらも、船倉に行くんじゃねぇぞ! 女は船長のもんだ。見つけた奴はブチ殺して海に放り込むからな!」
兄貴と呼ばれる強そうな海賊の一声に、甲板の海賊達一斉に、『ヘイ‼︎』が答えました。船長の次に、この海賊船の中で偉いみたいです。
♦︎
「さあ、奥さん。今日からしばらくはここに寝泊まりしてもらうぜ。何、安心していいぜ。商品を傷物にする馬鹿な奴はいねぇからよ。ここに酒と食べもんを置いて行くから、好きに飲み食いしてくれよ。あんまり飲み過ぎると吐くから気をつけてくれよな。掃除するのも大変だからよ。へっへへへへ」
顔色の悪い男は檻の中にセレナを入れると、食糧を渡して、鍵をかけて船倉から出て行きました。
檻の中には簡素なトイレがあり、そこから海に排泄物を落とすみたいです。衛生状態はお世辞にも良いとは言えません。
「ああっ、ウォルター……ごめんなさい」
セレナは一人になると急に目眩がして、床に倒れ込みました。ここまで何とか気丈に振る舞っていましたが、自分の事よりも息子の事がずっーと気になっていました。
冷静になって考えれば、陸まで海賊達に大人しく従って、隙を見つけて一緒に逃げ出せばよかったんだと、何度も自分の決断を後悔しました。
息子の目の前で、海賊達に嬲りものにされる姿を見られたくないと、そう思ってしまったのです。
結局は息子が苦しむ姿と、息子に軽蔑される事を恐れてしまった自分の弱さだと、セレナは自分を責め続けます。
でも、それでも死のうとは考えていません。生きていれば、本当にいつか息子が、助けに来てくれるかもしれない。そんな日が訪れるかもしれないと信じているからです。
「ウォルター、頑張って生きるのよ」
セレナは手を合わせると、揺れる床の上で静かに祈りました。
♦︎
「はぁはぁ、お母様……」
ウォルターは海賊船に追い付いていました。
空はとっくに暗くなり、不気味な黒い海面は、甲板にある松明の灯りを映すだけです。
「早く入り口を見つけないと……」
甲板の海賊達に見つからないように、ウォルターは船の周囲を泳いで、入れる場所を探しています。でも、見つかりません。
それに船は激しく海面を上下するので、ウォルターの疲労が蓄積した腕では、船体の壁をよじ登る力もありません。登っている途中で振り落とされて、海面に叩きつけられてしまいます。
そうなれば、もう泳ぐ力も残っていません。
「探してないのは、船の底しかないよ。お母様……僕……くっ!」
ウォルターは覚悟を決めると、海の底に潜りました。僅かな水面の灯りを頼りに、船底に入れそうな場所を探します。そして、小さな穴が空いているのを見つけました。
「がぼぉ⁉︎ (あそこから入れそうかも!)」
水中で大きく手足を動かして、ウォルターは四角い穴に向かって、全力で泳いで行きます。
何とか入れそうな穴だと確認すると、頭から穴に飛び込みました。
「凄えな。金貨50枚は出す奴がいるんじゃねぇか」
「おい、アリー。この女は俺達へのお土産か?」
「馬鹿、しぃ~⁉︎ 静かにしろよ! ロデリックの兄貴に見つかったらどうすんだよ!」
アリーと呼ばれた顔色の悪い男が慌てた様子で、集まった海賊達に静かにするように言っています。でも、少し遅かったようです。
「おい、アリー! 何やってんだよ! 船長は食糧を買って来いと言っただけだろうが! テメェーはお使いの一つも出来ねぇのか!」
「あちゃー……」
甲板にいる海賊達をのし退けて、一番大柄で逞しい赤黒い肌の男が、怒鳴り声を上げながら、アリーとセレナの前までやって来ました。
「いや、兄貴! この上玉の女を見れば、船長も文句は言わねえって。まだ、船長は起きてんだろ? 紹介するからよ」
「ほぉー、この女か……まったく馬鹿野郎が! とっくに酒飲んで寝ているよ。今起こせば、女と一緒に殺されんぞ。さっさと船倉に隠しておけ。紹介するなら明日の朝にしろ」
「へい、兄貴。すいやせん!」
アリーはペコペコと兄貴に頭を下げながら、セレナを連れて船倉に向かいました。
アリーへの罰は不思議な事にないようです。
兄貴と呼ばれた男はセレナの顔をチラッと見ると、罰を与えるのは早いと考え直しました。
王妃に選ばれる程の色気と美貌は、歳を取っても、少しも落ちていないようです。
「チッ……テメェーらも、船倉に行くんじゃねぇぞ! 女は船長のもんだ。見つけた奴はブチ殺して海に放り込むからな!」
兄貴と呼ばれる強そうな海賊の一声に、甲板の海賊達一斉に、『ヘイ‼︎』が答えました。船長の次に、この海賊船の中で偉いみたいです。
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「さあ、奥さん。今日からしばらくはここに寝泊まりしてもらうぜ。何、安心していいぜ。商品を傷物にする馬鹿な奴はいねぇからよ。ここに酒と食べもんを置いて行くから、好きに飲み食いしてくれよ。あんまり飲み過ぎると吐くから気をつけてくれよな。掃除するのも大変だからよ。へっへへへへ」
顔色の悪い男は檻の中にセレナを入れると、食糧を渡して、鍵をかけて船倉から出て行きました。
檻の中には簡素なトイレがあり、そこから海に排泄物を落とすみたいです。衛生状態はお世辞にも良いとは言えません。
「ああっ、ウォルター……ごめんなさい」
セレナは一人になると急に目眩がして、床に倒れ込みました。ここまで何とか気丈に振る舞っていましたが、自分の事よりも息子の事がずっーと気になっていました。
冷静になって考えれば、陸まで海賊達に大人しく従って、隙を見つけて一緒に逃げ出せばよかったんだと、何度も自分の決断を後悔しました。
息子の目の前で、海賊達に嬲りものにされる姿を見られたくないと、そう思ってしまったのです。
結局は息子が苦しむ姿と、息子に軽蔑される事を恐れてしまった自分の弱さだと、セレナは自分を責め続けます。
でも、それでも死のうとは考えていません。生きていれば、本当にいつか息子が、助けに来てくれるかもしれない。そんな日が訪れるかもしれないと信じているからです。
「ウォルター、頑張って生きるのよ」
セレナは手を合わせると、揺れる床の上で静かに祈りました。
♦︎
「はぁはぁ、お母様……」
ウォルターは海賊船に追い付いていました。
空はとっくに暗くなり、不気味な黒い海面は、甲板にある松明の灯りを映すだけです。
「早く入り口を見つけないと……」
甲板の海賊達に見つからないように、ウォルターは船の周囲を泳いで、入れる場所を探しています。でも、見つかりません。
それに船は激しく海面を上下するので、ウォルターの疲労が蓄積した腕では、船体の壁をよじ登る力もありません。登っている途中で振り落とされて、海面に叩きつけられてしまいます。
そうなれば、もう泳ぐ力も残っていません。
「探してないのは、船の底しかないよ。お母様……僕……くっ!」
ウォルターは覚悟を決めると、海の底に潜りました。僅かな水面の灯りを頼りに、船底に入れそうな場所を探します。そして、小さな穴が空いているのを見つけました。
「がぼぉ⁉︎ (あそこから入れそうかも!)」
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何とか入れそうな穴だと確認すると、頭から穴に飛び込みました。
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(読者様から縦書きだと顔文字が!という指摘を頂きましたので、注意書をと。ただ、表現たとして顔文字を出しているで、顔を出してた時には一通り読み終わった後で横書きで見て頂けると嬉しいです)
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