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第六章
第6話『姉のお願い事』
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——発掘現場に作られた岩の建物。
「多分、こっちかな? ふぅー、数が多過ぎる」
キアラは発掘現場から集められた陶器や土器の破片と格闘していました。
鑑定スキルを使ったパズルゲームみたいなものですが、複数のパズルゲームが混ざった状態なので、難易度はかなり高めです。しかも、パズルのピースが足りないという欠陥品です。
「キアラ姉さん、食事の時間だよ。休憩にしよう」
そんな疲れているキアラの元に、お弁当を二つ持ったウォルターがやって来ました。
時刻はちょうど午前から午後に変わったところです。
「んっ? もうそんな時間なんだ」
「そうだよ。はい、今日も作って来たみたいだから食べないと……」
「そうだね……」
二人は青の水玉模様と赤の水玉模様の布で包まれているお弁当をジッーと見ています。
最近、ミファリスがお弁当を作って来て、「お昼に食べて」と渡して来るようになりました。
毒殺するつもりがあるのかと、最初は疑いましたが、キアラの鑑定スキルで無毒だという事は分かっています。
二人は床に座ると、青のウォルター用と赤のキアラ用のお弁当をそれぞれ手に取って、水玉模様の布を解いていきます。
解いた布の中から、薄茶色の楕円形の木製お弁当箱が出て来ました。
二人は慎重にフタを開けると、色鮮やかな斬殺された野菜達が姿を現しました。
「……どう?」
「大丈夫だと思う」
ウォルターは自分のお弁当箱の中身を確認した後に、キアラに聞きました。
二人のお弁当箱の中身は一緒なので、聞いているのは、毒が入っていないかです。
キアラは色鮮やかな斬殺された野菜達をチェックします。そして、しっかりと安全性を確認しました。
「今日は野菜を切っただけか……これは嫌がらせなのか?」
「そうじゃないとは思うけど、昨日は薄く切ったパンにジャムを塗っただけだったし……」
ウォルターは中途半端に繋がったキャベツの千切りを持ち上げています。
一応は千切りや輪切り、短冊切りやいちょう切りと、切り方の練習をしているのは分かります。
それにドレッシングもかけられているので、切った後に一手間加えた事も分かります。
味も普通に美味しいので、食べるだけなら問題ありません。
「まあ、ミファリスの好きにさせればいいよ。作りたいなら、作らせればいいし。それよりも、キアラ姉さんは順調なの?」
ミファリスが意味不明な行動を取るのには慣れています。
考えるだけ時間の無駄だと、ウォルターは千切りキャベツを口の中に放り込むと、キアラに聞きました。
予定通りならば、そろそろLVがMAXになるはずです。
【スキル『鑑定LV6』=対象のかなりの情報を知る事が出来る。】
「あと少しだけど、本当にこんな事をやっていていいの? 薬とかそんなのを探した方がいいと思うよ」
必要な作業だと言われて、来る日も来る日も陶器のパズルを完成させましたが、キアラもミファリスと同じで、記憶喪失の薬を探した方がいいと思っています。
ですが、それが出来れば苦労はしません。ウォルターには、鑑定スキルを鍛えさせる目的があります。
「キアラ姉さんの言う通り、僕もそれが出来ればいいと思うよ。でも、それが出来ないから、姉さんに鑑定スキルを鍛えて欲しいんだよ。鍛え込んだ鑑定スキルならば、母さんの状態がより詳しく分かるでしょう」
「それはまあ、最初に見た時よりは詳しく見れたけど……」
王妃の名前や身長、体重、年齢、血液型、誕生日までは見る事が出来ています。
これで正式な誕生日が出来ると、王様は喜んでいましたが、知りたい情報はそれではないです。
キアラはこのまま鑑定スキルを上げても意味がないかもしれないと、心配しています。
ウォルターが期待するような結果を出す事が出来なかった時、自分がどうなるのかと不安になっています。
期待されればされる程に、責任という重圧がのしかかり、スキルが上がらなければと思ってしまいます。
「ねぇ、姉さん。きっと大丈夫だと思うから。まずは僕を信じて、鑑定スキルを鍛えてみて。駄目でも、キアラ姉さんには王妃様の使用人になってもらうよ。駄目だった時も、しっかりと考えているんだから」
そんなキアラの複雑な心境を、ウォルターは長年一緒に過ごしてきたからこそ、分かってしまいます。
期待をしていないと言えば嘘ですが、困らせたり、不安にさせるつもりはまったくありません。
失敗しても、成功しても、駄目でも、姉さんは姉さんのまま変わる事のない、大切で大事な存在です。
そして、その弟のような存在の気持ちはしっかりと姉に伝わったようです。
不安な顔に笑みを取り戻すと、ウォルターの頭を優しく撫で回しました。
「そうだね。ウォルターのお母さんなんだから、ウォルターの信じたやり方が一番いいよね」
「そうそう。それにキアラ姉さんには、そこまで期待してないから安心してよ。無理だと思ってやろうかな、ぐらいにしか思ってないんだから」
ウォルターの余計な一言に、キアラは取り戻した笑みをまた捨てました。
ピタリと撫で回す手を止めると、能面のような顔でウォルターの頭を鷲掴みにします。
鋭い五本の爪が頭皮に沈んでいきます。
「へぇー、そうなんだ。私がこれだけ頑張っているのに、駄目で元々だったんだ。へぇー……」
「あれ? ちょっと、姉さん? 痛いんだけど……」
「ねぇ、ウォルター? お母さんの記憶が、私のお陰で戻った時にして欲しい事があるんだけどいいかな?」
ほとんど脅迫ですが、要求を聞かないと拷問は続きます。ついでに不機嫌なままです。
ウォルターは仕方ないと思いつつも、姉の暴力に屈しました。
「痛い……それはいいけど、無理な事は無理だからね」
「うっふふふ。言われなくても分かっているから大丈夫よ。凄く簡単なお願いだから安心して」
キアラはウォルターの頭を爪で掴むのをやめると、再び笑顔で撫で回し始めました。
キアラのお願いは一つだけです。ミファリスの追放処分です。
でも、わざわざお願いを使わなくても、それは時間の問題のようです。
だとしたら、別のお願いを聞いてもらってもいいかもしれない。
キアラはちょっとだけ別のお願いを考えてみました。
隣には少し大人っぽくなった弟のような存在が座っています。
冗談で結婚をお願いしてみるのも面白いかもしれないと思いました。
無理だと断られたら、ちょっとショックです。
でも、それ以上にショックなのは、「良いよ」と返事された時です。
弟にそんな目で見られていると意識したら、こっちもそういう目で意識していまいます。
家族の関係が壊れてしまうような危険なお願いをするべきか、キアラは真剣に悩んでいます。
そんなキアラの横でウォルターは、さっさと野菜サラダを食べ終わりました。
「ごちそうさま。あれ? 姉さんも早く食べなよ。ゆっくり食べていると、ミファリスに不味いのを無理やり食べていると思われるよ」
「ああっ、うん……すぐに食べるから」
キアラは食事にも手を付けず、お願い事に夢中になっていました。
ウォルターに言われて、慌てて口の中に野菜達を放り込みました。
そして、自分のスキルが駄目で元々なのを思い出しました。
つまり考えるだけ無駄だったという事です。
キアラは冷静さを取り戻すと、複雑なパズルゲームに戻りました。
「多分、こっちかな? ふぅー、数が多過ぎる」
キアラは発掘現場から集められた陶器や土器の破片と格闘していました。
鑑定スキルを使ったパズルゲームみたいなものですが、複数のパズルゲームが混ざった状態なので、難易度はかなり高めです。しかも、パズルのピースが足りないという欠陥品です。
「キアラ姉さん、食事の時間だよ。休憩にしよう」
そんな疲れているキアラの元に、お弁当を二つ持ったウォルターがやって来ました。
時刻はちょうど午前から午後に変わったところです。
「んっ? もうそんな時間なんだ」
「そうだよ。はい、今日も作って来たみたいだから食べないと……」
「そうだね……」
二人は青の水玉模様と赤の水玉模様の布で包まれているお弁当をジッーと見ています。
最近、ミファリスがお弁当を作って来て、「お昼に食べて」と渡して来るようになりました。
毒殺するつもりがあるのかと、最初は疑いましたが、キアラの鑑定スキルで無毒だという事は分かっています。
二人は床に座ると、青のウォルター用と赤のキアラ用のお弁当をそれぞれ手に取って、水玉模様の布を解いていきます。
解いた布の中から、薄茶色の楕円形の木製お弁当箱が出て来ました。
二人は慎重にフタを開けると、色鮮やかな斬殺された野菜達が姿を現しました。
「……どう?」
「大丈夫だと思う」
ウォルターは自分のお弁当箱の中身を確認した後に、キアラに聞きました。
二人のお弁当箱の中身は一緒なので、聞いているのは、毒が入っていないかです。
キアラは色鮮やかな斬殺された野菜達をチェックします。そして、しっかりと安全性を確認しました。
「今日は野菜を切っただけか……これは嫌がらせなのか?」
「そうじゃないとは思うけど、昨日は薄く切ったパンにジャムを塗っただけだったし……」
ウォルターは中途半端に繋がったキャベツの千切りを持ち上げています。
一応は千切りや輪切り、短冊切りやいちょう切りと、切り方の練習をしているのは分かります。
それにドレッシングもかけられているので、切った後に一手間加えた事も分かります。
味も普通に美味しいので、食べるだけなら問題ありません。
「まあ、ミファリスの好きにさせればいいよ。作りたいなら、作らせればいいし。それよりも、キアラ姉さんは順調なの?」
ミファリスが意味不明な行動を取るのには慣れています。
考えるだけ時間の無駄だと、ウォルターは千切りキャベツを口の中に放り込むと、キアラに聞きました。
予定通りならば、そろそろLVがMAXになるはずです。
【スキル『鑑定LV6』=対象のかなりの情報を知る事が出来る。】
「あと少しだけど、本当にこんな事をやっていていいの? 薬とかそんなのを探した方がいいと思うよ」
必要な作業だと言われて、来る日も来る日も陶器のパズルを完成させましたが、キアラもミファリスと同じで、記憶喪失の薬を探した方がいいと思っています。
ですが、それが出来れば苦労はしません。ウォルターには、鑑定スキルを鍛えさせる目的があります。
「キアラ姉さんの言う通り、僕もそれが出来ればいいと思うよ。でも、それが出来ないから、姉さんに鑑定スキルを鍛えて欲しいんだよ。鍛え込んだ鑑定スキルならば、母さんの状態がより詳しく分かるでしょう」
「それはまあ、最初に見た時よりは詳しく見れたけど……」
王妃の名前や身長、体重、年齢、血液型、誕生日までは見る事が出来ています。
これで正式な誕生日が出来ると、王様は喜んでいましたが、知りたい情報はそれではないです。
キアラはこのまま鑑定スキルを上げても意味がないかもしれないと、心配しています。
ウォルターが期待するような結果を出す事が出来なかった時、自分がどうなるのかと不安になっています。
期待されればされる程に、責任という重圧がのしかかり、スキルが上がらなければと思ってしまいます。
「ねぇ、姉さん。きっと大丈夫だと思うから。まずは僕を信じて、鑑定スキルを鍛えてみて。駄目でも、キアラ姉さんには王妃様の使用人になってもらうよ。駄目だった時も、しっかりと考えているんだから」
そんなキアラの複雑な心境を、ウォルターは長年一緒に過ごしてきたからこそ、分かってしまいます。
期待をしていないと言えば嘘ですが、困らせたり、不安にさせるつもりはまったくありません。
失敗しても、成功しても、駄目でも、姉さんは姉さんのまま変わる事のない、大切で大事な存在です。
そして、その弟のような存在の気持ちはしっかりと姉に伝わったようです。
不安な顔に笑みを取り戻すと、ウォルターの頭を優しく撫で回しました。
「そうだね。ウォルターのお母さんなんだから、ウォルターの信じたやり方が一番いいよね」
「そうそう。それにキアラ姉さんには、そこまで期待してないから安心してよ。無理だと思ってやろうかな、ぐらいにしか思ってないんだから」
ウォルターの余計な一言に、キアラは取り戻した笑みをまた捨てました。
ピタリと撫で回す手を止めると、能面のような顔でウォルターの頭を鷲掴みにします。
鋭い五本の爪が頭皮に沈んでいきます。
「へぇー、そうなんだ。私がこれだけ頑張っているのに、駄目で元々だったんだ。へぇー……」
「あれ? ちょっと、姉さん? 痛いんだけど……」
「ねぇ、ウォルター? お母さんの記憶が、私のお陰で戻った時にして欲しい事があるんだけどいいかな?」
ほとんど脅迫ですが、要求を聞かないと拷問は続きます。ついでに不機嫌なままです。
ウォルターは仕方ないと思いつつも、姉の暴力に屈しました。
「痛い……それはいいけど、無理な事は無理だからね」
「うっふふふ。言われなくても分かっているから大丈夫よ。凄く簡単なお願いだから安心して」
キアラはウォルターの頭を爪で掴むのをやめると、再び笑顔で撫で回し始めました。
キアラのお願いは一つだけです。ミファリスの追放処分です。
でも、わざわざお願いを使わなくても、それは時間の問題のようです。
だとしたら、別のお願いを聞いてもらってもいいかもしれない。
キアラはちょっとだけ別のお願いを考えてみました。
隣には少し大人っぽくなった弟のような存在が座っています。
冗談で結婚をお願いしてみるのも面白いかもしれないと思いました。
無理だと断られたら、ちょっとショックです。
でも、それ以上にショックなのは、「良いよ」と返事された時です。
弟にそんな目で見られていると意識したら、こっちもそういう目で意識していまいます。
家族の関係が壊れてしまうような危険なお願いをするべきか、キアラは真剣に悩んでいます。
そんなキアラの横でウォルターは、さっさと野菜サラダを食べ終わりました。
「ごちそうさま。あれ? 姉さんも早く食べなよ。ゆっくり食べていると、ミファリスに不味いのを無理やり食べていると思われるよ」
「ああっ、うん……すぐに食べるから」
キアラは食事にも手を付けず、お願い事に夢中になっていました。
ウォルターに言われて、慌てて口の中に野菜達を放り込みました。
そして、自分のスキルが駄目で元々なのを思い出しました。
つまり考えるだけ無駄だったという事です。
キアラは冷静さを取り戻すと、複雑なパズルゲームに戻りました。
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<前作ラストで書いた(本当に描きたかったこと)をやってみようと思ったセルフスピンオフです!うまく行くかどうかはホント不安でしかありませんが、表現方法とか教えて頂けると幸いです>
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