糸魔術師の日常

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退屈な成人式

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天窓から差し込む光がステンドグラスを通り、七色の彩りを映し出す講堂で、エグジムは盛大に吐きたい溜息を堪えるのに必死だった。
日取りは第2の休息日。月に4度ある休息日のうち、かつて天地創造の神が人に掲示を示したとされる日。毎月のように来る所謂「神聖な日」というやつだ。
エグジムとしては「聖職者がいつにも増して元気に寄付金を募る日」でしかなく、大半の人はそのイメージばかりだろう。
普段なら礼拝のたびに銅貨一枚で済むところを、この日は2枚要求される。安いゆえ特に問題にはなってないが、ボロい商売だよなあとつい思ってしまう。

「と、このように神は告げられ、そして我々にその恩寵を下さったのです」

ほぼ同じ話のリピートな礼拝を聞き流し、何度目か分からない欠伸を咬み殺す。
礼拝堂にはエグジムと同じくらいの、15歳程度の男女ばかりが集まっており、それぞれ思い思いに礼拝時間を過ごしている。共通のルールは五月蠅くしないこと、席を立たないこと。そのくらいだ。
外は春。門出が多い4の月は気候も安定しており、不快感などなく1日を過ごすことが出来る。街路は花で匂い立ち、外に出るだけで心地よい。それ故か、色々な物事がこの時期から始まる。

「諸君らの中で国を、人を守り、神の正しい教えのもと活躍してくれる人が出る事を確信しています」

ハゲがよく映える司教が両手を上げて高らかに述べる。ノリノリだ。ステンドグラスからさす導きに照らされ眩く光る頭皮を惜しげもなく晒している。きっとこの瞬間も毛根は死滅してるだろう。
反射する光がとても眩しい。

「この場を借り、諸君らの成人を祝福いたす!一同、礼!」

掛け声に合わせ、その場の全員が手を組み頭を垂れ、太陽と月を組み合わせモチーフにした神教のシンボルへ祈りを捧げる。
エグジムも「早く終わってくださいな」と不謹慎な願いを込めつつ手を組み形だけの祈りを行う。そろそろ終わるかな。

「では次に、魔術測定の儀を執り行う」

忘れてた。次はこれか。
まだ終わらない。どうにも長引きそうだと察したエグジムは再びため息。
何にしろ、この日エグジムは正式に15歳、成人を迎えたのだった。
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