19 / 108
第2章 密かな悪の企み(悪の組織登場)
19 ベルの過去 1 〔エリート第1係〕
しおりを挟む
「ベルちゃん、少しは落ち着いたかい?」
飛行基地で待っていた鎌田技師は、ベルフィールの心配を気にしてすぐに声を掛けた。
「ええ、だいぶいいわ。何せ、調子に乗って、70個もおにぎり食べちゃったのよね~、50個でやめとけって教頭に言われたのに、止まらなくてね~」
もういつもの陽気なベルに戻っていたので、鎌田は何も言わなかった。
「ねー、この際だから聞いちゃうけど、ベルちゃんって、どのくらい強いの?」
直球のめぐみは、まわりくどいのは苦手だ。何でも真っすぐに解決したいのだ。
「どのくらいって言われてもねー……」
ベルは、何て説明すればいいか困ってしまった。
「私は、前の学校で一緒に戦ったこともあるけど、ベルは大抵どんな悪い奴でも一人でやっつけていたわね」
めぐみが、思い出しながら話した。
「そうだろう! ここの学校だって、ベルの技が決まって、大抵悪の化身が木っ端微塵になったんだ。だから、僕は強いって……思っていたんだ」
なぜか、教頭は少しムキになってベルの強さを強調した。
「ああ……じゃあ、私がいた部署の話を聞いてもらったらいいかな?」
ベルが、真剣な顔で三人に向かって話し出した。
「私は、向こうの世界で、有名な警備会社に勤めているんだ。社員が五万人、全世界と言っても私の世界のことだけど……約80%のシェアをカバーしているんだ。敵は、魔物や悪の化身、ゾンビから幽霊まで、何でもありなんだ。その中で、私は、勤めた時から第一係百人に選ばれて活躍していたんだ」
「やっぱり、ベルはすごく強いんじゃないか! な!」
なぜか、教頭は嬉しそうだったが、
「まあ、話は最後まで聞いてほしいな。私は、その中で、百番目だったんだ。その警備会社は、百人ずつ係が分かれていて、それは強さの順になっている。もちろん第一係が一番強いんだ。……今まで、そんな私が戦っていた“悪の化身”と言うのは、その第一係の中で、さらに四人がグループになって戦ってやっと勝てるぐらいの強さだったんだ。私は、その四人の中には入れず、補欠だったんだよ。誰かがお休みの時だけ、代わりをする役目だったんだ。あちこちのグループに行ったよ。まあ、お手伝いだね。だから、役割は単純さ。最初の囮とか、最後の後始末とか、ちょっとだけ、みんなのお手伝いなんかが多かったんだ」
「そ、そ、それでも、第一係なんだから、強いんだよな、な」
教頭は、まだ強さをアピールしていたが……。
「まあ、他の係よりは強いということになっていたなあ……、ただな……私には弱点があるだろう?」
「弱点?……あ!……ガス欠だね」
めぐみが頭を押さえて叫んだ。
「そう、すぐにお腹が減って、動けなくなるんだ。それで、失敗を重ねてしまってさ。……クビになりかけたんだ」
「え! クビ?」
「でもね……社長がいい人でね……何でも異世界から転生してきた人らしくて……私も異世界に行ったらうまくいくかもしれないって考えて、私を召喚してもらうシステムを考え出したんだ。……それが、この手帳の召喚魔法陣だ。……これを使えば一年間だけ、異世界に行けるんだ」
「そうか、だからベルは、本社から異世界に出向してきたと同じ扱いなんだ……」
教頭は、妙に納得していた。
「きっと、その社長は、こっちの世界でどこかの警備会社の社長が、強盗に襲われて死んじゃって、転生したんだね。……それで、異世界で同じような会社作ったんだ。……うまいことやったよね」
めぐみは、うらやましがっていた。
「そうやって、こっちの世界に出向してきて、今回で十回ぐらいになるけど、今までは全部、悪の化身は向こうで戦ったやつと同じくらい強かったんだ。……私がやられそうになったこともたくさんあった。……こんなに簡単に私が勝てるのは、今回が初めてなんだ」
「そうか、そこまで聞くと、妙に納得するなあ」
教頭は、腕を組んで考え込んでしまった。
「まあ、そこでわしが今までの敵をちょっと分析してみることにしたんだ」
「さすが、技師長」
「夕べから、データを入れてな……分析を待つだけなんだが、もう少しかかりそうだな。……じゃあ、分析結果が出るまで、一杯やるか!」
鎌田技師長は、みんなの分もコップを用意してあった。しばらく、この飛行基地は、宴会場に早変わりするのであった。今日は、鎌田技師長の持ち込みの“焼酎”である。
技師長はそのままで、めぐみはライムで割って、教頭はお湯割りで、ベルは意外に牛乳で割って赤いサイダーを混ぜるのが好みだった。
「「「「 かんぱーい 」」」」
(つづく)
飛行基地で待っていた鎌田技師は、ベルフィールの心配を気にしてすぐに声を掛けた。
「ええ、だいぶいいわ。何せ、調子に乗って、70個もおにぎり食べちゃったのよね~、50個でやめとけって教頭に言われたのに、止まらなくてね~」
もういつもの陽気なベルに戻っていたので、鎌田は何も言わなかった。
「ねー、この際だから聞いちゃうけど、ベルちゃんって、どのくらい強いの?」
直球のめぐみは、まわりくどいのは苦手だ。何でも真っすぐに解決したいのだ。
「どのくらいって言われてもねー……」
ベルは、何て説明すればいいか困ってしまった。
「私は、前の学校で一緒に戦ったこともあるけど、ベルは大抵どんな悪い奴でも一人でやっつけていたわね」
めぐみが、思い出しながら話した。
「そうだろう! ここの学校だって、ベルの技が決まって、大抵悪の化身が木っ端微塵になったんだ。だから、僕は強いって……思っていたんだ」
なぜか、教頭は少しムキになってベルの強さを強調した。
「ああ……じゃあ、私がいた部署の話を聞いてもらったらいいかな?」
ベルが、真剣な顔で三人に向かって話し出した。
「私は、向こうの世界で、有名な警備会社に勤めているんだ。社員が五万人、全世界と言っても私の世界のことだけど……約80%のシェアをカバーしているんだ。敵は、魔物や悪の化身、ゾンビから幽霊まで、何でもありなんだ。その中で、私は、勤めた時から第一係百人に選ばれて活躍していたんだ」
「やっぱり、ベルはすごく強いんじゃないか! な!」
なぜか、教頭は嬉しそうだったが、
「まあ、話は最後まで聞いてほしいな。私は、その中で、百番目だったんだ。その警備会社は、百人ずつ係が分かれていて、それは強さの順になっている。もちろん第一係が一番強いんだ。……今まで、そんな私が戦っていた“悪の化身”と言うのは、その第一係の中で、さらに四人がグループになって戦ってやっと勝てるぐらいの強さだったんだ。私は、その四人の中には入れず、補欠だったんだよ。誰かがお休みの時だけ、代わりをする役目だったんだ。あちこちのグループに行ったよ。まあ、お手伝いだね。だから、役割は単純さ。最初の囮とか、最後の後始末とか、ちょっとだけ、みんなのお手伝いなんかが多かったんだ」
「そ、そ、それでも、第一係なんだから、強いんだよな、な」
教頭は、まだ強さをアピールしていたが……。
「まあ、他の係よりは強いということになっていたなあ……、ただな……私には弱点があるだろう?」
「弱点?……あ!……ガス欠だね」
めぐみが頭を押さえて叫んだ。
「そう、すぐにお腹が減って、動けなくなるんだ。それで、失敗を重ねてしまってさ。……クビになりかけたんだ」
「え! クビ?」
「でもね……社長がいい人でね……何でも異世界から転生してきた人らしくて……私も異世界に行ったらうまくいくかもしれないって考えて、私を召喚してもらうシステムを考え出したんだ。……それが、この手帳の召喚魔法陣だ。……これを使えば一年間だけ、異世界に行けるんだ」
「そうか、だからベルは、本社から異世界に出向してきたと同じ扱いなんだ……」
教頭は、妙に納得していた。
「きっと、その社長は、こっちの世界でどこかの警備会社の社長が、強盗に襲われて死んじゃって、転生したんだね。……それで、異世界で同じような会社作ったんだ。……うまいことやったよね」
めぐみは、うらやましがっていた。
「そうやって、こっちの世界に出向してきて、今回で十回ぐらいになるけど、今までは全部、悪の化身は向こうで戦ったやつと同じくらい強かったんだ。……私がやられそうになったこともたくさんあった。……こんなに簡単に私が勝てるのは、今回が初めてなんだ」
「そうか、そこまで聞くと、妙に納得するなあ」
教頭は、腕を組んで考え込んでしまった。
「まあ、そこでわしが今までの敵をちょっと分析してみることにしたんだ」
「さすが、技師長」
「夕べから、データを入れてな……分析を待つだけなんだが、もう少しかかりそうだな。……じゃあ、分析結果が出るまで、一杯やるか!」
鎌田技師長は、みんなの分もコップを用意してあった。しばらく、この飛行基地は、宴会場に早変わりするのであった。今日は、鎌田技師長の持ち込みの“焼酎”である。
技師長はそのままで、めぐみはライムで割って、教頭はお湯割りで、ベルは意外に牛乳で割って赤いサイダーを混ぜるのが好みだった。
「「「「 かんぱーい 」」」」
(つづく)
0
あなたにおすすめの小説
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた
歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。
剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。
それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。
そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー
「ご命令と解釈しました、シン様」
「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」
次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます
内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」
――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。
カクヨムにて先行連載中です!
(https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)
異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。
残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。
一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。
そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。
そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。
異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。
やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。
さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。
そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。
転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた
ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。
遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。
「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。
「異世界転生に興味はありますか?」
こうして遊太は異世界転生を選択する。
異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。
「最弱なんだから努力は必要だよな!」
こうして雄太は修行を開始するのだが……
ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
『召喚ニートの異世界草原記』
KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。
ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。
剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。
――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。
面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。
そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。
「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。
昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。
……だから、今度は俺が――。
現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。
少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。
引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。
※こんな物も召喚して欲しいなって
言うのがあればリクエストして下さい。
出せるか分かりませんがやってみます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる