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第4章 ベルの恋模様
34 がんばれ!宿泊の攻防戦 2 〔しばしのお別れ〕
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「さあ、星ヶ空湖キャンプ場に着きましたよ」
「やった~教頭、早くお昼にしようよ! ね~」
ベルフィール達7人は、ちょうどお昼ごろ現地に着いた。彼らは、来週行われる5年生の宿泊学習の下見に来たのだった。
「まあ、待てベル。最初にキャンプ場の管理者に挨拶をしておかないと……」
岸川教頭は、学年代表の小田を連れて、管理棟を尋ねた。
・・・・・・・・・・・・・・
「……すみません………来週お世話になる、第1古里小学校の者ですが……」
「ああ、聞いていますよ。今日は、下見ですか?」
管理棟にいたのは、体格がいい背の高い男性と、奥の方で事務作業をしている女性だった。
「はい、1泊させてもらえますか? 全部で7名います」
「じゃあ……書類は…………君、頼むよ」
その男性は、奥の事務員に後を任せた。
「わからないことは、彼女に聞いてください。では、楽しいキャンプを……」
そう言って、彼は管理棟を出て行ってしまった。
「あの~、この書類に全員のお名前と連絡先をご記入ください……」
愛想のない事務員は、レンズの厚い眼鏡をかけていて、あまり表情を見ることはできなかった。それでも、岸川教頭は、できるだけの愛想笑いを作って対応したのだった。
「あの~来週、子ども達がお借りするものと同じテントを貸していただきたいのです」
「おいくつですか?」
「どうする? 小田先生」
「寝るのは、男女別に1つずつ借りるとして……もう一つあると何かに使えないでしょうか?」
「そうだな……。修学旅行なんかでは、よく一部屋余分に借りるしな。じゃあ、3張りお願いします」
「はい、テント3張りですね。あそこの倉庫に入っていますので、勝手に持っていってください」
事務員は、外の小屋を指さした。
「あ、ああ。じゃあ、お借りします。あのー料金は?」
「学校行事の利用の場合、事前の下見は、すべて無料です」
先ほどもらった、パンフレットを指さしながら、彼女は無表情で言った。
2人がもう一度パンフレットを見ると、児童と同じテントなら無料で何張りでも使えるだけではなく、キャンプ場の使用料やキャンプファイヤーの設備や手持ち花火、肝試しのコース使用料金なども無料となっていた。
「教頭先生、ここのキャンプ場は至れり尽くせりですね~」
小田先生は、感心してパンフレットを隅々まで熟読していた。
「でもねえ~あの、事務員さんは、もう少し愛想よくした方が、子供達も嬉しいと思うんだけどなあ~」
岸川教頭は、テントの入った袋を抱えながら、後ろの管理棟をしみじみと見返した。
「そんなもんですか?」
小田先生は、事務員のことなどあまり気にしてはいなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あ、お帰り! 早く、お昼にしようよ!」
ベルフィールは、待ちきれないようだった。
「ベルちゃんに聞いたわよ、教頭先生は料理が得意なんですってね」
すみれ学級の朝子先生が、嬉しそうに言った。
「うちの旦那なんか、からっきしダメなのよ。料理ができる男の人は、いいわよ。教頭先生は、独身なんだから、みんながんばったら?」
朝子先生は、ちょっと笑いながらみんなをからかう様に言った。
今日の参加者で、朝子先生以外の女性は、みんな独身だったので、顔では笑っていたが誰もお互いの心の内は読めなかった。
ただ、ベルフィールだけは、「あ~、教頭は私のだから、ダメよ~。さっきも言ったけど、教頭のお弁当を食べるのは、私って決まってるの!」と、公言してしまっていたのである。
「おいおい、ベルは何を言っているんだい。僕は、召喚主としてだなあ~責任があって、お弁当を食べさせなければならなくて……」
例のごとく、岸川教頭は、焦って頓珍漢な説明をしてしまった。
「あーはいはい。まあ、いいからお昼にしませんか、教頭先生」
小田先生に言われて、みんなはキャンプ場の真ん中にテントを張る場所を確保し、そこでお弁当を食べることにした。
「この区画は空いていますね。大きな木が数本あって、木陰もあり、炊事場もそんなに遠くない。プレハブトイレの数も十分確保されています」
小田先生が、まわりを見て宿泊学習の予習を行っているようだった。
それに比べ、ベルフィールは、「ああ、このおいしいお弁当ともしばらく、お別れなのね……」と、大げさに涙を拭く真似をしてみせた。
「何、馬鹿なことやってんだよ!」と、岸川教頭に突っ込まれると、「だって、晩ご飯も明日の朝ご飯も、自分達で作るんだろう? 教頭は、作ってくれないんだろう?」
「だって、宿泊学習の下見だぞ。お前たちが頑張らないとダメだろう。教頭が頑張ってもなあ~」
「ええ? そういうことなの? 下見って、ただ、キャンプ場を見るだけじゃないんだ!」
びっくりしたように、お調子者の園部先生が奇声を上げた。
「実は、私も……ただ、見てくるだけなのかと思ってたのよね」
恥ずかしそうに2組の担任の松田先生も静かに言った。
「あははははは」
豪快に養護教諭の細谷先生は、笑って続けた。
「仕方ないさ! 若いやつは、なんも知らないんだ。これから勉強していけばいいさ。今回はキャンプを楽しんでいきな! そして、来週の宿泊学習では、絶対に子供たちに負けるなよ! がんばれよ! いいな!」
「何言ってるんですか? 細谷先生だって、まだまだ若いのに、そんなおっさんみたいなこと言って」
岸川教頭がそう言うと、「そうかな……あははっはははあははは」と、また豪快に笑い飛ばしてしまった。
何度も言うが、細谷文乃養護教諭は女性である。
「でも、ベル先生だって、女性なんだからいいじゃないですか。料理ぐらいできるでしょ? 僕なんか、包丁も握ったことないんですよ」
お調子者の園部勉先生は、それでも自分の不利益を強調し、同情を買おうとした。
ところが、ベルフィールが、「こら! ベン。私が女だから料理ができると思ったら大間違いだぞ! 食べられるものなら、私の料理を食べてみろ! きっと爆発して、月まで飛んで行ってしまうぞ!」と、なんか、偉そうなことを言っているように聞こえるが、「こら! ベル。それだから、ダメなんだ。少なくとも爆発しない料理を作れるようになれよ!」
「……はい……」
教頭に怒られて、ベルフィールは、しぶしぶ返事をしていた。
「ええええ?……そんな、目標でいいの????」
さすがの園部先生も、調子が狂ってしまった。
(つづく)
「やった~教頭、早くお昼にしようよ! ね~」
ベルフィール達7人は、ちょうどお昼ごろ現地に着いた。彼らは、来週行われる5年生の宿泊学習の下見に来たのだった。
「まあ、待てベル。最初にキャンプ場の管理者に挨拶をしておかないと……」
岸川教頭は、学年代表の小田を連れて、管理棟を尋ねた。
・・・・・・・・・・・・・・
「……すみません………来週お世話になる、第1古里小学校の者ですが……」
「ああ、聞いていますよ。今日は、下見ですか?」
管理棟にいたのは、体格がいい背の高い男性と、奥の方で事務作業をしている女性だった。
「はい、1泊させてもらえますか? 全部で7名います」
「じゃあ……書類は…………君、頼むよ」
その男性は、奥の事務員に後を任せた。
「わからないことは、彼女に聞いてください。では、楽しいキャンプを……」
そう言って、彼は管理棟を出て行ってしまった。
「あの~、この書類に全員のお名前と連絡先をご記入ください……」
愛想のない事務員は、レンズの厚い眼鏡をかけていて、あまり表情を見ることはできなかった。それでも、岸川教頭は、できるだけの愛想笑いを作って対応したのだった。
「あの~来週、子ども達がお借りするものと同じテントを貸していただきたいのです」
「おいくつですか?」
「どうする? 小田先生」
「寝るのは、男女別に1つずつ借りるとして……もう一つあると何かに使えないでしょうか?」
「そうだな……。修学旅行なんかでは、よく一部屋余分に借りるしな。じゃあ、3張りお願いします」
「はい、テント3張りですね。あそこの倉庫に入っていますので、勝手に持っていってください」
事務員は、外の小屋を指さした。
「あ、ああ。じゃあ、お借りします。あのー料金は?」
「学校行事の利用の場合、事前の下見は、すべて無料です」
先ほどもらった、パンフレットを指さしながら、彼女は無表情で言った。
2人がもう一度パンフレットを見ると、児童と同じテントなら無料で何張りでも使えるだけではなく、キャンプ場の使用料やキャンプファイヤーの設備や手持ち花火、肝試しのコース使用料金なども無料となっていた。
「教頭先生、ここのキャンプ場は至れり尽くせりですね~」
小田先生は、感心してパンフレットを隅々まで熟読していた。
「でもねえ~あの、事務員さんは、もう少し愛想よくした方が、子供達も嬉しいと思うんだけどなあ~」
岸川教頭は、テントの入った袋を抱えながら、後ろの管理棟をしみじみと見返した。
「そんなもんですか?」
小田先生は、事務員のことなどあまり気にしてはいなかった。
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「あ、お帰り! 早く、お昼にしようよ!」
ベルフィールは、待ちきれないようだった。
「ベルちゃんに聞いたわよ、教頭先生は料理が得意なんですってね」
すみれ学級の朝子先生が、嬉しそうに言った。
「うちの旦那なんか、からっきしダメなのよ。料理ができる男の人は、いいわよ。教頭先生は、独身なんだから、みんながんばったら?」
朝子先生は、ちょっと笑いながらみんなをからかう様に言った。
今日の参加者で、朝子先生以外の女性は、みんな独身だったので、顔では笑っていたが誰もお互いの心の内は読めなかった。
ただ、ベルフィールだけは、「あ~、教頭は私のだから、ダメよ~。さっきも言ったけど、教頭のお弁当を食べるのは、私って決まってるの!」と、公言してしまっていたのである。
「おいおい、ベルは何を言っているんだい。僕は、召喚主としてだなあ~責任があって、お弁当を食べさせなければならなくて……」
例のごとく、岸川教頭は、焦って頓珍漢な説明をしてしまった。
「あーはいはい。まあ、いいからお昼にしませんか、教頭先生」
小田先生に言われて、みんなはキャンプ場の真ん中にテントを張る場所を確保し、そこでお弁当を食べることにした。
「この区画は空いていますね。大きな木が数本あって、木陰もあり、炊事場もそんなに遠くない。プレハブトイレの数も十分確保されています」
小田先生が、まわりを見て宿泊学習の予習を行っているようだった。
それに比べ、ベルフィールは、「ああ、このおいしいお弁当ともしばらく、お別れなのね……」と、大げさに涙を拭く真似をしてみせた。
「何、馬鹿なことやってんだよ!」と、岸川教頭に突っ込まれると、「だって、晩ご飯も明日の朝ご飯も、自分達で作るんだろう? 教頭は、作ってくれないんだろう?」
「だって、宿泊学習の下見だぞ。お前たちが頑張らないとダメだろう。教頭が頑張ってもなあ~」
「ええ? そういうことなの? 下見って、ただ、キャンプ場を見るだけじゃないんだ!」
びっくりしたように、お調子者の園部先生が奇声を上げた。
「実は、私も……ただ、見てくるだけなのかと思ってたのよね」
恥ずかしそうに2組の担任の松田先生も静かに言った。
「あははははは」
豪快に養護教諭の細谷先生は、笑って続けた。
「仕方ないさ! 若いやつは、なんも知らないんだ。これから勉強していけばいいさ。今回はキャンプを楽しんでいきな! そして、来週の宿泊学習では、絶対に子供たちに負けるなよ! がんばれよ! いいな!」
「何言ってるんですか? 細谷先生だって、まだまだ若いのに、そんなおっさんみたいなこと言って」
岸川教頭がそう言うと、「そうかな……あははっはははあははは」と、また豪快に笑い飛ばしてしまった。
何度も言うが、細谷文乃養護教諭は女性である。
「でも、ベル先生だって、女性なんだからいいじゃないですか。料理ぐらいできるでしょ? 僕なんか、包丁も握ったことないんですよ」
お調子者の園部勉先生は、それでも自分の不利益を強調し、同情を買おうとした。
ところが、ベルフィールが、「こら! ベン。私が女だから料理ができると思ったら大間違いだぞ! 食べられるものなら、私の料理を食べてみろ! きっと爆発して、月まで飛んで行ってしまうぞ!」と、なんか、偉そうなことを言っているように聞こえるが、「こら! ベル。それだから、ダメなんだ。少なくとも爆発しない料理を作れるようになれよ!」
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