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第4章 ベルの恋模様
37 がんばれ!宿泊の攻防戦 5 〔辛い罠〕
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「さあ、今度はカレーライス作りだな……私にまっかせなさい!」
ベルフィールは鍋に野菜を丸ごと入れた。皮も剥かず、切りもしなかったので、見ていた先生達は焦った。
「ちょ、ちょ、ちょっと……ベルちゃん。何やってんのかな?」
細谷先生が、恐る恐る近づき、尋ねた。
「いやーねー、細谷先生ったら……見てわからない? カレー作ってるのよ」
悪びれずに、彼女は真剣に答えた。
「ああ、そうよね!……ベル先生は、魔法を使うのね!……きっとそうよ、すごい魔法でカレーライスを作るのよね」
少し、顔を引きつらせながらも、松田先生は良い方に推測してみた。
「んんー。魔法はね、使っちゃダメって言われてるの、教頭は厳しくてね……これは訓練だって……自分は、あっちで休んでるくせに!」
「あ、そーなんだ………魔法じゃないんだ……」
みんなの顔から微笑みが消えた。
「……これで、火を熾せばいいのよね……」
1人だけ笑顔のベルフィールは、丸ごとの野菜が入った鍋をまだ火のついていない炭の入った釜土に置いた。
見かねた鈴木先生が、ベルフィールの肩を叩きながら諭すように話した。
「ベルちゃんってすごいわね……いやあ、よくできました。じゃあさ、ここからは、私達もお手伝いさせてよね。これは、教頭先生が言ったように、訓練だからみんなが練習しないとダメなのよ。お願いベルちゃん、今度は私達の番ね!」
お母さん先生の鈴木は、うまくベルフィールをおだてながら仕事を分担することに成功したのだった。
「じゃあ……ベルちゃんは、ここまでできたんだから、次は水を汲んで来てくれるかな?
……園部先生と一緒に……あそこの水飲み場の水をお願いね!!」
鈴木先生は、わざと遠くの炊事場を指さした。
すると、園部先生が、「えええ?……どうして……」と、文句を言いそうになったので、鈴木先生は、「生の野菜カレーを食べたくなかったら、黙って言ってらっしゃい……」と、ニッコリ笑ってウィンクした。
「あ……はい……了解っす!」
園部先生は、ポリタンクを持って、素直にベルフィール先生とその場を離れた。
すると、鈴木先生は、早口に残った先生達に指示を出した。
「いい、みんな、急ぐのよ。そうしないと、ベルちゃんが、ちょっと頑張りすぎるから……ね。美子ちゃんとブンちゃんは、野菜を洗って切って。小田先生は、炭に火をつけて。私はご飯を炊くわ……さ、急ぐわよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「こんな水……私の魔法だと、あっという間にどっからでも出せるのになあ~」
「すっごいっすね~ベル先生はー。尊敬するっす。俺も魔法を習いたいなあ~」
「どうでもいいけど、ベンちゃんは、もう少し早く歩けないの?」
「えええーーー、俺、これでも急いで頑張ってるんっすけど?」
「本当~?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あー、ベルちゃーーん……早く―」
炊事場では、カレーの鍋にもちょうどよく火が通り、野菜も食べごろの硬さになってきた。
「さ、ベルちゃん、仕上げよ。このルーを入れてちょうだい」
そう言って、鈴木先生は、カレールーのブロックを彼女に渡した。
ベルフィールは、少し匂いを嗅いで、食べたことのあるカレーライスを思い出した。スパイスの利いた少し辛い味が、病みつきになった彼女だったが、こんなルーで味が出来ているとは思わなかった。
「これ、このままかじっても、おいしいのか?」
思わず、彼女はカレールーをかじりたい衝動に駆られていた。
「ああ! ダメダメ! それは、直接食べてもおいしくないから、絶対だめよ!」
まわりの先生達に、思いっきり否定された。
その後、無事にカレーライスは、完成した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「おおお……よくできていますね。おいしいですよ、みなさん……これなら合格です」
先生達は、胸をなでおろした。当日はベルフィール先生だけを近づけなければ成功することがわかった。
夕食の時、ベルフィールが岸川教頭のそばに寄って来て、小声でささやいた。
「どうだ? おいしいだろう。総司の秘密がわかったぞ! あの、キューブがあれば、私だってこれくらいは作れるんだ、今度帰ったら私のカレーを食わしてやるから楽しみにしてろ!」
「ああ。(なんか知らんが、すごい自信だな……キューブって、カレールーの事かな?)」
その後、食べ終わって食器などを片付けていると、「ん? 何だ? これは、キューブじゃないか?」
ベルフィールは、炊事場の端の鏡の前に、きれいな1欠片のカレールーを見つけた。 先ほど自分が鍋に入れた物とは、また違ったパックに入っていた。きれいな模様があった。 手に取ると、1欠片ずつパックを開けるつまみが付いている。
―― ごっくん! ――
思わず、生唾を飲み込んだ。
静かにそのつまみをめくった。香しいカレーの匂いがした。
「ああ~もう、ダメだ~……我慢できないーー」
周りには、誰もいない。
彼女は、一気にパックを口元に持っていき、キューブを取り出し、口の中に放り込んだ。
一口、二口、噛んだ……。
「ぎゃあああああああああああああああああ」
けたたましい叫び声が、辺りに響いた。
「どうした?」
「どうしたの?」
「何事だ!」
「ベル、悪の組織か?」
「ベルちゃん……」
「大丈夫?大丈夫?」
「あふぇ……ふぇえ……ふぇふぇ……ほふぇ……ふぁふぁ……ふぁふぁ……あふぁ…………」
「教頭先生、ベルちゃんの口が……」
「あ! お前、カレーのルーを食ったな!!」
「ふぁあふぁ……ふぁふぁっふぁ……ふぁあいい……」
「まったくもう、早くうがいしてこい! ついでに、歯も磨いてこいよ!」
「ふぁああいいいい……」
「いやあ、みなさん、すみませんね。お騒がせして……どうも、あいつは食いしん坊なもので……」
「いえいえ、大したことじゃなくてよかったですよ。でも、カレールーは、全部使ったはずなのに、ベルちゃんはどこから持って来たんでしょうね~」
「あいつのことだから、その辺で拾ったんじゃないんですかね~あははは……」
笑いながらも、ベルフィールの行動を少し不審に思った岸川教頭だった。
(つづく)
ベルフィールは鍋に野菜を丸ごと入れた。皮も剥かず、切りもしなかったので、見ていた先生達は焦った。
「ちょ、ちょ、ちょっと……ベルちゃん。何やってんのかな?」
細谷先生が、恐る恐る近づき、尋ねた。
「いやーねー、細谷先生ったら……見てわからない? カレー作ってるのよ」
悪びれずに、彼女は真剣に答えた。
「ああ、そうよね!……ベル先生は、魔法を使うのね!……きっとそうよ、すごい魔法でカレーライスを作るのよね」
少し、顔を引きつらせながらも、松田先生は良い方に推測してみた。
「んんー。魔法はね、使っちゃダメって言われてるの、教頭は厳しくてね……これは訓練だって……自分は、あっちで休んでるくせに!」
「あ、そーなんだ………魔法じゃないんだ……」
みんなの顔から微笑みが消えた。
「……これで、火を熾せばいいのよね……」
1人だけ笑顔のベルフィールは、丸ごとの野菜が入った鍋をまだ火のついていない炭の入った釜土に置いた。
見かねた鈴木先生が、ベルフィールの肩を叩きながら諭すように話した。
「ベルちゃんってすごいわね……いやあ、よくできました。じゃあさ、ここからは、私達もお手伝いさせてよね。これは、教頭先生が言ったように、訓練だからみんなが練習しないとダメなのよ。お願いベルちゃん、今度は私達の番ね!」
お母さん先生の鈴木は、うまくベルフィールをおだてながら仕事を分担することに成功したのだった。
「じゃあ……ベルちゃんは、ここまでできたんだから、次は水を汲んで来てくれるかな?
……園部先生と一緒に……あそこの水飲み場の水をお願いね!!」
鈴木先生は、わざと遠くの炊事場を指さした。
すると、園部先生が、「えええ?……どうして……」と、文句を言いそうになったので、鈴木先生は、「生の野菜カレーを食べたくなかったら、黙って言ってらっしゃい……」と、ニッコリ笑ってウィンクした。
「あ……はい……了解っす!」
園部先生は、ポリタンクを持って、素直にベルフィール先生とその場を離れた。
すると、鈴木先生は、早口に残った先生達に指示を出した。
「いい、みんな、急ぐのよ。そうしないと、ベルちゃんが、ちょっと頑張りすぎるから……ね。美子ちゃんとブンちゃんは、野菜を洗って切って。小田先生は、炭に火をつけて。私はご飯を炊くわ……さ、急ぐわよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「こんな水……私の魔法だと、あっという間にどっからでも出せるのになあ~」
「すっごいっすね~ベル先生はー。尊敬するっす。俺も魔法を習いたいなあ~」
「どうでもいいけど、ベンちゃんは、もう少し早く歩けないの?」
「えええーーー、俺、これでも急いで頑張ってるんっすけど?」
「本当~?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あー、ベルちゃーーん……早く―」
炊事場では、カレーの鍋にもちょうどよく火が通り、野菜も食べごろの硬さになってきた。
「さ、ベルちゃん、仕上げよ。このルーを入れてちょうだい」
そう言って、鈴木先生は、カレールーのブロックを彼女に渡した。
ベルフィールは、少し匂いを嗅いで、食べたことのあるカレーライスを思い出した。スパイスの利いた少し辛い味が、病みつきになった彼女だったが、こんなルーで味が出来ているとは思わなかった。
「これ、このままかじっても、おいしいのか?」
思わず、彼女はカレールーをかじりたい衝動に駆られていた。
「ああ! ダメダメ! それは、直接食べてもおいしくないから、絶対だめよ!」
まわりの先生達に、思いっきり否定された。
その後、無事にカレーライスは、完成した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「おおお……よくできていますね。おいしいですよ、みなさん……これなら合格です」
先生達は、胸をなでおろした。当日はベルフィール先生だけを近づけなければ成功することがわかった。
夕食の時、ベルフィールが岸川教頭のそばに寄って来て、小声でささやいた。
「どうだ? おいしいだろう。総司の秘密がわかったぞ! あの、キューブがあれば、私だってこれくらいは作れるんだ、今度帰ったら私のカレーを食わしてやるから楽しみにしてろ!」
「ああ。(なんか知らんが、すごい自信だな……キューブって、カレールーの事かな?)」
その後、食べ終わって食器などを片付けていると、「ん? 何だ? これは、キューブじゃないか?」
ベルフィールは、炊事場の端の鏡の前に、きれいな1欠片のカレールーを見つけた。 先ほど自分が鍋に入れた物とは、また違ったパックに入っていた。きれいな模様があった。 手に取ると、1欠片ずつパックを開けるつまみが付いている。
―― ごっくん! ――
思わず、生唾を飲み込んだ。
静かにそのつまみをめくった。香しいカレーの匂いがした。
「ああ~もう、ダメだ~……我慢できないーー」
周りには、誰もいない。
彼女は、一気にパックを口元に持っていき、キューブを取り出し、口の中に放り込んだ。
一口、二口、噛んだ……。
「ぎゃあああああああああああああああああ」
けたたましい叫び声が、辺りに響いた。
「どうした?」
「どうしたの?」
「何事だ!」
「ベル、悪の組織か?」
「ベルちゃん……」
「大丈夫?大丈夫?」
「あふぇ……ふぇえ……ふぇふぇ……ほふぇ……ふぁふぁ……ふぁふぁ……あふぁ…………」
「教頭先生、ベルちゃんの口が……」
「あ! お前、カレーのルーを食ったな!!」
「ふぁあふぁ……ふぁふぁっふぁ……ふぁあいい……」
「まったくもう、早くうがいしてこい! ついでに、歯も磨いてこいよ!」
「ふぁああいいいい……」
「いやあ、みなさん、すみませんね。お騒がせして……どうも、あいつは食いしん坊なもので……」
「いえいえ、大したことじゃなくてよかったですよ。でも、カレールーは、全部使ったはずなのに、ベルちゃんはどこから持って来たんでしょうね~」
「あいつのことだから、その辺で拾ったんじゃないんですかね~あははは……」
笑いながらも、ベルフィールの行動を少し不審に思った岸川教頭だった。
(つづく)
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