校内人事の人手不足で召喚したのは、最強エルフ! 悪には強いが家事には弱く、生活支える隣人教頭!!

根 九里尾

文字の大きさ
38 / 108
第4章 ベルの恋模様

38 がんばれ!宿泊の攻防戦 6 〔神秘の火花〕

しおりを挟む
「教頭、こんな感じでいいのか?」
「ああ、さすが、力仕事はベルに限るな~」
「何言ってんだよ、これも訓練なら、みんなでやった方がいいじゃないのか~」

「まあ~あんまり細かいこと言うなよ。夕ご飯の後だから、みんなも疲れているんだ。いいじゃないか~」




「さあ、みんな~キャンプファイヤーの準備ができたぞ~」



 他のみんなが、手持ち花火の準備をしている間に、ベルフィールが1人でキャンプファイヤーの“やぐら”を組んでしまった。しかも、太い丸太で10段の“やぐら”を。


「わ~、すっごい!」

 松田先生が、目を輝かせて喜んだ。

「本格的っすねー」

 園部そのべ先生も感心していた。

「早く点火しましょう。これは、着火式が必要ね。やっぱり点火の女神役は、ベルフィール先生でいいわよね!」

「「「「意義なーーし」」」」

 細谷ほそや先生が、怪しげな笑みを浮かべながら、ベルフィールを引っ張って自分達のテントへ入って行った。
 しばらくして、細谷先生は、白い布をドレスに見立てて体に纏ったベルフィールを連れてキャンプファイヤーの“やぐら”の前に現れた。
 
「うん! これより、点火式をはじめます。大いなる火の女神様!」

 大げさに細谷先生は、セリフを言って、着火棒をベルフィールに渡した。

「これより、この大地に、めぐみの火をいただきますよう、お願いいたします」

 そう言って、ベルフィールの着火棒の先にガスライターで火をつけた。

「おお大地の精霊よ! この火のめぐみを受け取るがいい!」

 ベルフィールは、🎵🎶🎵🎶華麗なBGMに合わせて、火のついた着火棒をもって舞った。
 そして、キャンプファイヤーに、点火したのだった。
 火は、ゆっくりと“やぐら”の根本に燃え移り、少しずつ、少しずつ、上に燃え移っていった。

 みんなは、小さな炎と大きく舞うベルフィールを黙って目で追った。どちらも、幻想的な雰囲気を漂わせていた。だれもが、炎と踊りと雰囲気に吸い込まれていた時、いきなりBGMがオクラホマミキサーに変わった。
 そのとたんに、先生達から大きな拍手が沸き起こった。

「よーし、踊ろう。我々も! ベル、こっちにおいで!」
「え? 私、これ踊れないよ」
「大丈夫だ。僕が教えてやるから。さあ、手を出して!」

 岸川教頭きしかわきょうとうは、ベルフィールの手を取ると、片手を肩に回して寄り添いながら同じ方向を向いて進んだ。

総司そうじ、わたしの踊り見てくれた?」
「あ、ああ、火の神様、きれいだったよ。踊りも上手だったよ。今だって……」

 みんな、ベルフィールの踊りの虜になっていた。





 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 キャンプファイヤーも終盤になった頃、小田先生が水の入ったバケツを持って来た。

「さあ、そろそろ……やろうか」
「そっすね、今なら、燃え残りのキャンプファイヤーの火で花火ができっすね」
「終わったら、バケツに入れるんだぞ!」

 それぞれ、手持ちの花火を選んで、キャンプファイヤーの残り火で火をつけては、楽しんだ。

「わーきれい! これ、見て! 七色に変わるわ!」
「私のも勢いがすごいよ」

「ベル、花火はやったことがあるか?」
「んーん? きれいなのは、初めてかな」
「きれいじゃないのって?」
「ドッカンと爆発するやつとか、爆発しても煙しか出ないやつとか」
「おいおい……それは、ただの爆弾だろ!」

 教頭は、呆れてしまったが、いくつか楽しくてきれいな花火を渡して火をつけてやった。

「わ~、きれいだな! これは、爆発はしないんだな。すっごいな!!」

 ベルフィールが、喜んで花火を楽しんでいると、足元に見慣れぬ黒いものが転がって来た。

「教頭、この黒いのも花火か?」

 そう言われて、教頭が振り向くと、黒いものに、何やら、長い尻尾らしいものが見えた。

「あ、ベル、飛べ! それはネズミ花火だ! それは、変な動きをするんだ。危ないぞ!!」

 同時に、黒いものは、その場で、火花を出しながらクルクルとものすごい勢いで回り出した。

「わあっ! えい! とお!」

 ベルフィールは、その場はジャンプして回避したが、ネズミ花火は、回転しながら彼女を追いかけてきた。
 回転速度が速まり、その分、火花の飛ぶ範囲も広くなった。

「しつこい! 何この花火? あっちいけ!! エイ!」

 ベルフィールのつま先キックが炸裂した。

「きゃあ~助けて~……」
 近くにいた先生達にも、このネズミ花火が悪さをした。

「……エイ……トオ……ヤア……ソレ…………………」

 ベルフィールは、湖の方まで蹴飛ばしてやった。

「いやあ~ベルちゃん、助かったよ~、あんな怖い花火は、もう嫌だよ~」

 さすがの細谷先生も腰砕けになっていた。

「ところで、あんな花火を買ったのは、誰なのよ~?」

 鈴木先生が少し怒りながら周りを見渡した。

「いやいや、買い出しはしたっすけど、だれもあんな花火は買ってないっすから」

 園部先生が、青くなって弁解した。

「じゃあ、どうしてあんな変な花火が入っていたのかしらね~」

「いや、変な花火ってだけじゃないかもしれないなあ~(あれは、妙に長く燃えていたぞ、それに誰が火をつけたんだ? 先生達なら火をつける前にわかるはずだが……)」

 岸川教頭は、ベルフィールが放り込んだネズミ花火が飛んで行った湖の方を見ながら、頭を掻きむしった。



(つづく)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。 剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。 それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。 そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー 「ご命令と解釈しました、シン様」 「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」 次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた

ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。 遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。 「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。 「異世界転生に興味はありますか?」 こうして遊太は異世界転生を選択する。 異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。 「最弱なんだから努力は必要だよな!」 こうして雄太は修行を開始するのだが……

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

処理中です...