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第6章 メカニック・サマーバケーション
70 はじめての出張? 1 〔鳥のように……〕
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「みんな準備はいいか?」
まだ、朝の4時だというのに全員集合してしまった。時間前だけど、どうもみんなは早く出発したいらしいので、少し繰り上げた。
「ソージ、なんかワクワクするね~」
「ベルちゃんったら、遠足気分じゃないの~」
「そういうお前さんだって、リュックの中はオヤツだらけなんじゃろ?」
「あーもう~おっちゃんったら~……そんなこと言うとオヤツあげないわよ!」
「ほら、やっぱりオヤツじゃないかい!」
狭い艦載機の操縦席は、出発前から美味しそうなお菓子の匂いがプンプンしていた。
「あんまりオヤツばかり積むとバランスが悪くなるんだけどなあ~」
「大丈夫よソージ、私のはオヤツじゃないから……ほらね!」
ベルが、バックから取り出して見せたのは、バナナだった。それも、5房もあった。
「おいおい!……確かにバナナは、オヤツじゃなくて、デザートだけど……」
「大丈夫だって、ソージにもあげるからさ! 心配しなくても!」
あー、はいはい。
「それじゃー出発するぞー! 目標は、ここから北北東へ約160キロメートルだ」
「了解! ソージ!」
「発進―――!」
あっという間に艦載機は、目立たないように高度1000メートルまで急上昇した後、鳥と同じくらいのスピードで『知山海の峰の山小学校』を目指した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
知山海の町は、高い山と深い海に囲まれたきれいな町だ。
平地は少ないが、それでも海岸を走る道路は1本道で、どこまでも続いているように見える。所々に開けた住宅街や商店街が散らばっている。どの場所でも、片方が木々の生い茂る山で、もう片方が深海に繋がる海になっている。
灰色のアスファルトの道路を挟んで、山の深緑と海の濃紺は、晴天の夏の風景としては、他では見られないまさに世界遺産といえるだろう。
漁業者が多いこの町で、日の出の頃は、一番忙しい時かもしれない。夏休みということもあり、子供の姿も見える。
「父ちゃん、何か知らんが……大きな鳥が飛んでるぞ!」
「ん? カラスだろ?」
「いや、カラスなら、オラだってわかるぞ。嘴が長くて、羽根が広がって……何か後ろの方が白くなってるなあ~」
「ああ、そりゃ、お前、『オジロワシ』だべ~……よく、あの高い木にも止まっているべ~」
「そっか、オジロワシか~………あ! こっちに来たぞ~!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ベル! 着陸態勢に入るぞ! 目標、下の峰の山小学校のグラウンドにする」
「了解!……垂直着陸準備~」
「エンジン制御……下方噴射……」
「動力制御……バランス確認……着陸5秒前……4……3……2……1……着陸!」
「動力確認……エンジン停止……機内の電源を補助電源に切り替える」
「さあ、みんな降りるぞ!」
「ソージ、人が集まってきたよ」
「子供もいるぞ!」
「こんな朝早くから、何をやっているんだ」
「キッシー見て、何か棒みたいの持ってる人もいるみたいよ」
「総司、気をつけろ! わしら怪しまれてるかもしれんぞ」
「とにかく僕が先に降りてみるよ!」
艦載機の搭乗口を開けて、その階段を降り始めると、十数人の人だかりがざわめき出した。
『おおおーー、オジロワシから人が降りてきたぞーー。すっげーでっかいオジロワシだな~。このオジロワシ、真っすぐ降りてきたぞーーーー。わわわわわああああ……』
「総司、みんな『オジロワシ』って言ってるぞ?……何のことだ?」
「さあ~?」
「機長! たぶんですね……住民達は、この艦載機を鳥の『オジロワシ』だと思ったんでしょう。あまりにも突然だったので、びっくりして、鳥のオジロワシと飛行機を間違えたんですよ」
アンディーが、持ち前の『アナライズイング(分析能力)』を使って、解析してくれた。
「そうだソージ! この艦載機の名前を『オジロン号』ってするのは、どう?……なんか艦載機って呼ぶの味気ないしさ~」
「オジロン号か?……どうだいみんな?」
「いいんじゃないか、わしの作ったメカにも名前が付いたら、嬉しいぞ!」
センセは、鼻を高くしてご満悦だ。
「ところで、俺達は、なんのためにここにやって来たんだ?……まさか、この機体に名前をつけるために来たんじゃあるまい?」
最後尾の特設席で、今まで外ばかり眺めていた玉佐間さんが、シートベルトを外して立ち上がった。
(つづく)
まだ、朝の4時だというのに全員集合してしまった。時間前だけど、どうもみんなは早く出発したいらしいので、少し繰り上げた。
「ソージ、なんかワクワクするね~」
「ベルちゃんったら、遠足気分じゃないの~」
「そういうお前さんだって、リュックの中はオヤツだらけなんじゃろ?」
「あーもう~おっちゃんったら~……そんなこと言うとオヤツあげないわよ!」
「ほら、やっぱりオヤツじゃないかい!」
狭い艦載機の操縦席は、出発前から美味しそうなお菓子の匂いがプンプンしていた。
「あんまりオヤツばかり積むとバランスが悪くなるんだけどなあ~」
「大丈夫よソージ、私のはオヤツじゃないから……ほらね!」
ベルが、バックから取り出して見せたのは、バナナだった。それも、5房もあった。
「おいおい!……確かにバナナは、オヤツじゃなくて、デザートだけど……」
「大丈夫だって、ソージにもあげるからさ! 心配しなくても!」
あー、はいはい。
「それじゃー出発するぞー! 目標は、ここから北北東へ約160キロメートルだ」
「了解! ソージ!」
「発進―――!」
あっという間に艦載機は、目立たないように高度1000メートルまで急上昇した後、鳥と同じくらいのスピードで『知山海の峰の山小学校』を目指した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
知山海の町は、高い山と深い海に囲まれたきれいな町だ。
平地は少ないが、それでも海岸を走る道路は1本道で、どこまでも続いているように見える。所々に開けた住宅街や商店街が散らばっている。どの場所でも、片方が木々の生い茂る山で、もう片方が深海に繋がる海になっている。
灰色のアスファルトの道路を挟んで、山の深緑と海の濃紺は、晴天の夏の風景としては、他では見られないまさに世界遺産といえるだろう。
漁業者が多いこの町で、日の出の頃は、一番忙しい時かもしれない。夏休みということもあり、子供の姿も見える。
「父ちゃん、何か知らんが……大きな鳥が飛んでるぞ!」
「ん? カラスだろ?」
「いや、カラスなら、オラだってわかるぞ。嘴が長くて、羽根が広がって……何か後ろの方が白くなってるなあ~」
「ああ、そりゃ、お前、『オジロワシ』だべ~……よく、あの高い木にも止まっているべ~」
「そっか、オジロワシか~………あ! こっちに来たぞ~!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ベル! 着陸態勢に入るぞ! 目標、下の峰の山小学校のグラウンドにする」
「了解!……垂直着陸準備~」
「エンジン制御……下方噴射……」
「動力制御……バランス確認……着陸5秒前……4……3……2……1……着陸!」
「動力確認……エンジン停止……機内の電源を補助電源に切り替える」
「さあ、みんな降りるぞ!」
「ソージ、人が集まってきたよ」
「子供もいるぞ!」
「こんな朝早くから、何をやっているんだ」
「キッシー見て、何か棒みたいの持ってる人もいるみたいよ」
「総司、気をつけろ! わしら怪しまれてるかもしれんぞ」
「とにかく僕が先に降りてみるよ!」
艦載機の搭乗口を開けて、その階段を降り始めると、十数人の人だかりがざわめき出した。
『おおおーー、オジロワシから人が降りてきたぞーー。すっげーでっかいオジロワシだな~。このオジロワシ、真っすぐ降りてきたぞーーーー。わわわわわああああ……』
「総司、みんな『オジロワシ』って言ってるぞ?……何のことだ?」
「さあ~?」
「機長! たぶんですね……住民達は、この艦載機を鳥の『オジロワシ』だと思ったんでしょう。あまりにも突然だったので、びっくりして、鳥のオジロワシと飛行機を間違えたんですよ」
アンディーが、持ち前の『アナライズイング(分析能力)』を使って、解析してくれた。
「そうだソージ! この艦載機の名前を『オジロン号』ってするのは、どう?……なんか艦載機って呼ぶの味気ないしさ~」
「オジロン号か?……どうだいみんな?」
「いいんじゃないか、わしの作ったメカにも名前が付いたら、嬉しいぞ!」
センセは、鼻を高くしてご満悦だ。
「ところで、俺達は、なんのためにここにやって来たんだ?……まさか、この機体に名前をつけるために来たんじゃあるまい?」
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(つづく)
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