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第6章 メカニック・サマーバケーション
71 はじめての出張? 2 〔神秘の大地〕
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僕は、岸川総司。悪の組織から学校を守る防衛隊の隊長だ! とは言っても、今その悪の組織の人達と一緒に、ここ世界遺産の地『知山海の大自然』に来ている。
どうして悪の組織と一緒か? って。
なんとそれは、フェイクだったんだ。彼らは『悪』でなく、やっぱりみんなの役に立とうと頑張っていたんだ。(詳しくは58話ぐらいから読んでね!)
だから僕達は、今、協力して新しい敵に立ち向かうために、ここにやって来た!
オジロン号を降りた僕は、一瞬異世界に来てしまったのかと錯覚した。もちろん異世界には行ったことはないが、きっとこんな感じじゃないかと思ってしまった。
確かに、しっかりと両足でグラウンドの土を踏みしめて立っている。けれど、眼前の切り立った山肌は、すぐにグラウンドの端から始まっている。まるで、そこから山が生えているようだ。
そして、背後に聞こえるのは、涼しいさざ波の音。山とは真逆のグラウンドの端には横切る舗装道路が1本あるだけ。その向こうは、石や砂で縁取られた真っ青な絨毯で、どこまでも伸びていた。
晴れ渡る午前中の青空の下、まるで自分は天空を浮遊している神秘の島にいるようだった。
僕は、ふと我に返り周りを見ると、ベルも、メグミも、あの玉佐間さんでさえ、放心状態だった。
「……センセ……センセ、大丈夫か?」
傍へ行って声を掛けた。
「ああ、心配するな!……わしは、大丈夫だ……わしは○○省の研究がいやになって辞めた時、しばらくこの地でお世話になっておったんじゃ」
「センセ、こんなところに居たのか?……いくら探しても見つからないはずだ」
「ん、まあな。最初は、もう研究はやめて、ここで静かに生きて行こうと思ったんじゃ。でもな、この景色を見ているうちに、無性にやる気が湧いてきたんじゃ」
鎌田センセは、真っ青な海を眺めながら、懐かしそうに話してくれた。
「ここはな、世界遺産に登録されておるんじゃが、自然が豊かな事だけではないんだ」
「え? 他に何か有名な事があるんですか?」
「ここはな、伝説があって…………『魂の光を灯す大地』………と、言われているんだ」
「魂の光を灯す大地?」
「ああそうだ。この大地にはなあ、人の魂を浄化し、また新たな希望の光を灯してくれる神秘のエネルギーが宿っているんだよ」
確かに、この知山海町は、僕達の町からは少し離れている。でも、同じ行政区分になっていて、転勤異動の範囲内だから、学校間の人事異動はよく行われている。
だからなんだなあ~知山海町の学校から転勤してきた先生は、やけに意欲的だと言われるし、仕事に疲れたら知山海へ旅行に行ってきたらと勧められる。
そんな話を聞いて、もう一度周りの景色を見た僕は、体の奥底に小さな炎が灯ったような気がした。
「お!…………ツヨシじゃないか?……また、遊びに来たか?」
たぶん珍しいと思って近寄ってきたのだろう。何人も僕らの近くに集まってきた。その地元の1人が、鎌田センセを見て、嬉しそうに近づいてきた。
「あ! お前、サットじゃないのか?……年とったな~」
「何言ってる。お前だって、おっさんじゃないか」
「ああそうだな。お互いおっさんだ。あはっはあはあはは……」
何だか、2人はお互いの体を叩き合って、笑みを浮かべ再会を懐かしんでいた。
「センセ、この人は?」
「おおお、すまんなあ。この悟はな、この辺で漁師をやっているんだが、わしがここにいる時にとっても世話になったんじゃ」
「そうなんですか!……センセが大変お世話になりまして」
「おや、お前がセンセだってか? じゃあ、何か、遠足にでも来たか? あははははは……」
「まあ、半分は遠足みたいなもんだけど……。わしらは、悪者退治に来たんじゃ。最近この辺で、怪しい出来事は起きてないか?」
「……ひょっとして、あれか? 真夜中の1時間だけ『魂の洞窟』が光らないっていう噂か?」
「ああ、あのいつも光輝いている『魂の洞窟』か?……それが、夜中だけ光らない?」
鎌田センセは、難しい顔をして顎髭を手で撫でながら、山の方に目を向けた。
「じゃあ、おっちゃん。これからすぐにその何とかの洞窟へ行こうよ!」
いつの間にか、正気にもどっていたベルが、嬉しそうにはしゃいでいた。メグミもジョンも、物珍しそうに目を輝かせて、出発の合図を待っているようだった。
「お前達、今行ってもダメだぞ! 噂では、真夜中じゃないと、怪しいことは起きないんだ。……それより、せっかく知山海に来たんだ。もうすぐ昼になるから、うまいもんでも食っていけよ。久しぶりだから、他のみんなにも声を掛けてみっからよ。ツヨシ、いつもの番屋で、待ってろや。オレもすぐ用意して行くからよ~」
悟さんは、何人か仲間を連れて、どこかへ行ってしまった。
「先輩……何かうまい物食えるんですか?」
涎を垂らしながら玉佐間さんが、すり寄って来た。もちろん、来る前から楽しみしていた高背君は、もう目がうっとりとしていた。
「私、海のお魚とか大好きなのよね~。アンディーが一緒だとお魚の骨とかとってくれたりするわよね~」
「もちろんです、お嬢様。魚だけなく、ウニでも、ホタテでも、素手で剥けますから安心してください」
なぜか、夜まで待つことになったが…………すごい宴会になりそうな予感がしてきたぞ。
(つづく)
どうして悪の組織と一緒か? って。
なんとそれは、フェイクだったんだ。彼らは『悪』でなく、やっぱりみんなの役に立とうと頑張っていたんだ。(詳しくは58話ぐらいから読んでね!)
だから僕達は、今、協力して新しい敵に立ち向かうために、ここにやって来た!
オジロン号を降りた僕は、一瞬異世界に来てしまったのかと錯覚した。もちろん異世界には行ったことはないが、きっとこんな感じじゃないかと思ってしまった。
確かに、しっかりと両足でグラウンドの土を踏みしめて立っている。けれど、眼前の切り立った山肌は、すぐにグラウンドの端から始まっている。まるで、そこから山が生えているようだ。
そして、背後に聞こえるのは、涼しいさざ波の音。山とは真逆のグラウンドの端には横切る舗装道路が1本あるだけ。その向こうは、石や砂で縁取られた真っ青な絨毯で、どこまでも伸びていた。
晴れ渡る午前中の青空の下、まるで自分は天空を浮遊している神秘の島にいるようだった。
僕は、ふと我に返り周りを見ると、ベルも、メグミも、あの玉佐間さんでさえ、放心状態だった。
「……センセ……センセ、大丈夫か?」
傍へ行って声を掛けた。
「ああ、心配するな!……わしは、大丈夫だ……わしは○○省の研究がいやになって辞めた時、しばらくこの地でお世話になっておったんじゃ」
「センセ、こんなところに居たのか?……いくら探しても見つからないはずだ」
「ん、まあな。最初は、もう研究はやめて、ここで静かに生きて行こうと思ったんじゃ。でもな、この景色を見ているうちに、無性にやる気が湧いてきたんじゃ」
鎌田センセは、真っ青な海を眺めながら、懐かしそうに話してくれた。
「ここはな、世界遺産に登録されておるんじゃが、自然が豊かな事だけではないんだ」
「え? 他に何か有名な事があるんですか?」
「ここはな、伝説があって…………『魂の光を灯す大地』………と、言われているんだ」
「魂の光を灯す大地?」
「ああそうだ。この大地にはなあ、人の魂を浄化し、また新たな希望の光を灯してくれる神秘のエネルギーが宿っているんだよ」
確かに、この知山海町は、僕達の町からは少し離れている。でも、同じ行政区分になっていて、転勤異動の範囲内だから、学校間の人事異動はよく行われている。
だからなんだなあ~知山海町の学校から転勤してきた先生は、やけに意欲的だと言われるし、仕事に疲れたら知山海へ旅行に行ってきたらと勧められる。
そんな話を聞いて、もう一度周りの景色を見た僕は、体の奥底に小さな炎が灯ったような気がした。
「お!…………ツヨシじゃないか?……また、遊びに来たか?」
たぶん珍しいと思って近寄ってきたのだろう。何人も僕らの近くに集まってきた。その地元の1人が、鎌田センセを見て、嬉しそうに近づいてきた。
「あ! お前、サットじゃないのか?……年とったな~」
「何言ってる。お前だって、おっさんじゃないか」
「ああそうだな。お互いおっさんだ。あはっはあはあはは……」
何だか、2人はお互いの体を叩き合って、笑みを浮かべ再会を懐かしんでいた。
「センセ、この人は?」
「おおお、すまんなあ。この悟はな、この辺で漁師をやっているんだが、わしがここにいる時にとっても世話になったんじゃ」
「そうなんですか!……センセが大変お世話になりまして」
「おや、お前がセンセだってか? じゃあ、何か、遠足にでも来たか? あははははは……」
「まあ、半分は遠足みたいなもんだけど……。わしらは、悪者退治に来たんじゃ。最近この辺で、怪しい出来事は起きてないか?」
「……ひょっとして、あれか? 真夜中の1時間だけ『魂の洞窟』が光らないっていう噂か?」
「ああ、あのいつも光輝いている『魂の洞窟』か?……それが、夜中だけ光らない?」
鎌田センセは、難しい顔をして顎髭を手で撫でながら、山の方に目を向けた。
「じゃあ、おっちゃん。これからすぐにその何とかの洞窟へ行こうよ!」
いつの間にか、正気にもどっていたベルが、嬉しそうにはしゃいでいた。メグミもジョンも、物珍しそうに目を輝かせて、出発の合図を待っているようだった。
「お前達、今行ってもダメだぞ! 噂では、真夜中じゃないと、怪しいことは起きないんだ。……それより、せっかく知山海に来たんだ。もうすぐ昼になるから、うまいもんでも食っていけよ。久しぶりだから、他のみんなにも声を掛けてみっからよ。ツヨシ、いつもの番屋で、待ってろや。オレもすぐ用意して行くからよ~」
悟さんは、何人か仲間を連れて、どこかへ行ってしまった。
「先輩……何かうまい物食えるんですか?」
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「私、海のお魚とか大好きなのよね~。アンディーが一緒だとお魚の骨とかとってくれたりするわよね~」
「もちろんです、お嬢様。魚だけなく、ウニでも、ホタテでも、素手で剥けますから安心してください」
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