校内人事の人手不足で召喚したのは、最強エルフ! 悪には強いが家事には弱く、生活支える隣人教頭!!

根 九里尾

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第6章 メカニック・サマーバケーション

72 はじめての出張? 3 〔歓迎の夜〕

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「ソージ、すごいご馳走だよ!」

 目の前に並んだたくさんの食べ物を見て、ベルの『食いしん坊』がまた目を覚ましたようだった。
 鎌田センセの知り合いの人もたくさん集まった『番屋ばんや』と呼ばれたところは、正確には番屋だったところを寄り合い集会所に改築した場所だった。

 倉庫のような広い場所が、土間になっていて、たくさんの炭火焼のテーブルが置かれていた。炭火の上には、畳半畳分ぐらいの鉄板が置かれ、そこには大きな『鮭』が、丸ごと一匹三枚下ろしの姿で焼かれ始めていた。
 
 他にも、ウニやイクラといった高級な珍味が惜しげもなく皿に山盛りとなって、あちこちのテーブルに置かれていた。


「あ! ジョン、お前の大好物のホタテもあるぞ! もう、ベルちゃんとのホタテ勝負は止めてくれよ……あははははは」
 
「もう、玉佐間たまさまさんったら、今日は、他の料理も食べますから、大丈夫ですよ!」
「そうだぞ! 玉ちゃん、もう私達は仲良しなんだから、対決勝負なんかしないんだぞ!」

 ベルが、ジョンの後ろから顔を覗かせ、笑顔で言い返していた。
 その間にも、センセの周りには、たくさんの地元の人が集まって、再会を喜んでいた。 ここに居た時、センセはきっと楽しかったんだろうなとわかるほど、みんなと話している時の顔は嬉しそうだった。








「…………キッシー、魚が焼けて来たよ! ひっくり返さなくていいのかなあ?」

 料理には、うるさいメグミが、鉄板の上を見ながら、心配そうにして聞いてきた。


 ただ、普通に焼くだけならこの辺でひっくり返すんだろうけど。それじゃ、普通の焼き魚だぞ……と、周りを見ていると、この間の悟さんが、何やらあちこちの魚にタレのようなものをかけて回っていた。




「うん、ここもいいかな!」

 さとるさんは、僕らの魚を見て、手に持っていたボウルから、大量にタレをかけてくれた。

「おっちゃん、これ、何? 見たことないよ、こんな料理!」
「ああ、これか? これはな、『じゃんじゃん焼き』って言ってな、ここら辺の名物料理なんだ!」
 
 鎌田センセが、名前を教えてくれた頃、タレにも熱が伝わり出したようで、悟さんともう一人、男の人がやって来た。

「ああ、カズさん、元気だっか? あの頃は、この『じゃんじゃん焼き』をよくご馳走になったよな」

 その男の人を見て、懐かしそうにセンセが喜んで肩を叩いた。

「おおツヨシも元気そうだべ! また、オレが作ってやるから、待ってろ!」

 鮭の半身にかけたタレは、味噌と砂糖とお酒といくつかの調味料を混ぜて柔らかく溶いたものだった。
 カズさんの説明によれば、もう一つ加えるそうなのだが、それは各家庭の秘伝の味付けで、極秘らしい。カズさんの家は、『醤油とソースを混ぜて少し入れるんだ』と内緒で教えてくれた。

「よーし、ここからが本番だ! これに、玉ねぎ、キャベツを乗せて、一気に……」

 言うが早いか、カズさんと悟さんは、お好み焼きをひっくり返すようなステンレスのヘラで、鮭とタレと野菜を勢いよく混ぜ出した。
 鮭の半身に味噌ダレが染みこむように、そして野菜がちょうどよく焦げて鮭の味に馴染むように、何度も何度も鉄板の上でひっくり返しながら混ぜた。

 半身二枚は、跡形もなくほぐされ、味噌ダレと混じって香ばしい香りが漂い始めた。

「さあ、このまま箸で摘まんで、食べていいべ。好きなところからつついてみな」

 カズさんが、そういうので、僕らは炭火焼きの鉄板の周りに集まって、鮭のほぐれた身を摘まんで食べてみた。

「うぉーーソージ、これ、すっごくおいしいぞ! 魚がこんなに甘じょっぱくて、口の中で踊っているようだぞ!」

 本当にベルの食べっぷりは、見ていても楽しいな。

「きゃあー最高! 玉ねぎの辛みが少し残っているのが、この甘い魚の味にピッタリだわ!」
「私、これならアンディーに骨をとってもらわなくても平気! だって、骨も焼けてて、丁度いい硬さで食べられるんだもん」

 メグミもジョンも、おいしそうに食べる姿は、とてもかわいく見えた。もちろん、ベルだって何倍も可愛いさ!


「総司、そんなに女の子ばかりに見とれてないで、これどうだ?」

 センセに声をかけられて、『はっ!』と我に返ると、口から涎が垂れていた。慌てて、袖で拭いて、センセの方を見ると、『ニヤッ』っと笑って、悟さんから受け取った一升瓶を持ち上げて振って見せていた。

「うう……、いいですね……でも、夜中のことがあるから、少しですよ!」

 僕は隊長として、そうは言ったが、男達は、『鮭のじゃんじゃん焼き』を摘まみにしながら、地酒の『北の勝負』に舌鼓を打った。
 もちろん、今のアンディーは、僕達男性陣の仲間なので、一緒にお酒も飲むし、魚も食べていた。
 アンディーはイカタコでコーティングしたアンドロイドなんだけど、そう言えば、自然界でもイカやタコは小魚を食べたりしてたよな~。これは、自然の摂理かな?

 「まあ、いいかあ~…………この酒は、縁起のいい名前だ…………それじゃあ、夜中の勝負! 絶対勝つぞ!」

「「「「 おーーー! 」」」」

 歓声を上げながら夜の宴は、続いていった。



(つづく)
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