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第7章 移り行く、こころのパッチワーク
81 変わらない日常 1 〔安息のホームベース〕
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僕は、時々思い出すんだ……あの夏休みのことを。
楽しかったなあー。
そりゃあ、今だって楽しいさ。毎日、みんなと一緒にやれるんだ。戦う意味もはっきりした。形だけは、『敵だ!』って叫んでいるけど、本当は仲間だって分かったんだ!
センセだって、メグだって、一生懸命頑張ってくれる。
それに、ベルなんかは、もう僕の家に住み着いてしまった。いつも一緒にいられて、本当は嬉しいはずなんだ……けど。
「ベル~、ベル~、……晩ご飯できたよー」
今日は、隣の小学校に外勤したから疲れたのかな~。まったく寝相が悪いんだから……。
「ベル~ってば、起きてご飯を食べよう……ほら、お腹出してると風邪引くぞ……」
いつものように、リビングのソファーに横になって気持ちよく寝てるだけど……毛布1枚だと、……ほら、すぐ落ちるんだ。
もー、お腹もお尻もちゃんと仕舞わないと、ダメだからな~。
「……?……ふぁぁああ~……うん? ソージ、ご飯?」
「ああ、そうだよ……今晩は焼肉だぞ!」
「わあー、ソージの焼肉はおいしいんだよね~」
「いいから、早く、何か履いておいで」
「えー? いいじゃん別に、これの方が楽なんだよーー」
「ダメだってば。女の子がTシャツとパンツだけなんて、恥ずかしいだろう?」
ベルは、疲れたらすぐ服を脱ぐんだ。
この間、センセがリビングのソファをソファベッドに改造してくれた。寝る時は、横のボタン一つで背もたれがフラットになり、寝やすくなるんだ。おまけに、クッションも3段階の硬さ調節ができるんだ。
普段のソファは、硬めのクッションだけど、お昼寝の時は、硬さを一段階下げるんだ。そしたら、ちょうどよい硬さになって、短い時間で気持ち良く目が覚めるそうだ。
『……そうだ』というのは、ベルの感想だ。だって、僕はこのソファベッドで寝たことはないんだ。このソファベッドを占領しているのは、ベルなんだ。もちろん、夜もここで寝ている。
自分の家が隣にあるから、そっちで寝た方がいいんじゃないか? って言うんだけど、ベルは言うことを聞かない。ここで、寝た方が楽だっていうんだよなあ~。
確かに、ここで寝ていれば、時間になったら起こすし、食事も僕がつくる。洗濯だって僕がするから、ベルはラクチンに決まってる……
「ソージ、焼肉おいしかったね!……やっぱりソージは、料理が上手だよ!」
「何言ってんだよ……焼肉なんて、だれでもできるの! ただ、肉を焼くだけなんだからさ」
「そんなことないよ。あたしが焼いたドラゴンの肉は、硬かったし、あんまり味もしなかったなあ~」
「ドラゴン? の焼肉?」
まったく、ベルと一緒にいると驚くことが多いんだ。
「あ!……ベル、また寝ようとしてる!……いいから、寝る前にシャワー浴びておいで。このまま寝たら、焼肉の匂いまみれになるから」
「……あ、……うん、……シャワー浴びてくる………」
もう眠たいんだな。今日は、隣の小学校で『無限良心回路ウェイブ』を放出していたAI回路を10個も破壊したし、アンディス達と訓練も兼ねた模擬戦闘もやったからなあ。
見物人も多かったから、アンディスなんか張り切って、空中連続技とか仕掛けて来るし、受けるベルも楽しそうだったけど、たぶん疲れたんだ……きっと。
まあ、おかげでみんなの目が釘付けになっていたので、裏側のAI回路をセンセとうまく破壊することができたんだ。
「……あーあ、ベルこんなところで、脱ぐなよ~。言ったろ、脱ぐのはシャワールームの脱衣所にしろって。そこで、脱げばすぐ洗濯機に入れられるのに……」
こんなところで脱いだら、僕が集めて歩かなきゃならないし……まったくもう。
「ベル~、着替えはそこの引き出しに入ってるからなー。ちゃんとパンツは、履いてこいよー」
「分かってるよー……子どもじゃないんだから、ちゃんとできるって!」
本当に、分かっているのかなあ。
僕が焼肉の後片付けをしているうちに、シャワーから上がったベルは、また毛布一枚を被りソファベッドにひっくり返った。
そして、すぐに小さな寝息を立てていた。表情は、安らかな笑顔にも見える柔らかいものだった。
もう、10月だから、毛布1枚じゃ寒くなるなあ……。
(つづく)
楽しかったなあー。
そりゃあ、今だって楽しいさ。毎日、みんなと一緒にやれるんだ。戦う意味もはっきりした。形だけは、『敵だ!』って叫んでいるけど、本当は仲間だって分かったんだ!
センセだって、メグだって、一生懸命頑張ってくれる。
それに、ベルなんかは、もう僕の家に住み着いてしまった。いつも一緒にいられて、本当は嬉しいはずなんだ……けど。
「ベル~、ベル~、……晩ご飯できたよー」
今日は、隣の小学校に外勤したから疲れたのかな~。まったく寝相が悪いんだから……。
「ベル~ってば、起きてご飯を食べよう……ほら、お腹出してると風邪引くぞ……」
いつものように、リビングのソファーに横になって気持ちよく寝てるだけど……毛布1枚だと、……ほら、すぐ落ちるんだ。
もー、お腹もお尻もちゃんと仕舞わないと、ダメだからな~。
「……?……ふぁぁああ~……うん? ソージ、ご飯?」
「ああ、そうだよ……今晩は焼肉だぞ!」
「わあー、ソージの焼肉はおいしいんだよね~」
「いいから、早く、何か履いておいで」
「えー? いいじゃん別に、これの方が楽なんだよーー」
「ダメだってば。女の子がTシャツとパンツだけなんて、恥ずかしいだろう?」
ベルは、疲れたらすぐ服を脱ぐんだ。
この間、センセがリビングのソファをソファベッドに改造してくれた。寝る時は、横のボタン一つで背もたれがフラットになり、寝やすくなるんだ。おまけに、クッションも3段階の硬さ調節ができるんだ。
普段のソファは、硬めのクッションだけど、お昼寝の時は、硬さを一段階下げるんだ。そしたら、ちょうどよい硬さになって、短い時間で気持ち良く目が覚めるそうだ。
『……そうだ』というのは、ベルの感想だ。だって、僕はこのソファベッドで寝たことはないんだ。このソファベッドを占領しているのは、ベルなんだ。もちろん、夜もここで寝ている。
自分の家が隣にあるから、そっちで寝た方がいいんじゃないか? って言うんだけど、ベルは言うことを聞かない。ここで、寝た方が楽だっていうんだよなあ~。
確かに、ここで寝ていれば、時間になったら起こすし、食事も僕がつくる。洗濯だって僕がするから、ベルはラクチンに決まってる……
「ソージ、焼肉おいしかったね!……やっぱりソージは、料理が上手だよ!」
「何言ってんだよ……焼肉なんて、だれでもできるの! ただ、肉を焼くだけなんだからさ」
「そんなことないよ。あたしが焼いたドラゴンの肉は、硬かったし、あんまり味もしなかったなあ~」
「ドラゴン? の焼肉?」
まったく、ベルと一緒にいると驚くことが多いんだ。
「あ!……ベル、また寝ようとしてる!……いいから、寝る前にシャワー浴びておいで。このまま寝たら、焼肉の匂いまみれになるから」
「……あ、……うん、……シャワー浴びてくる………」
もう眠たいんだな。今日は、隣の小学校で『無限良心回路ウェイブ』を放出していたAI回路を10個も破壊したし、アンディス達と訓練も兼ねた模擬戦闘もやったからなあ。
見物人も多かったから、アンディスなんか張り切って、空中連続技とか仕掛けて来るし、受けるベルも楽しそうだったけど、たぶん疲れたんだ……きっと。
まあ、おかげでみんなの目が釘付けになっていたので、裏側のAI回路をセンセとうまく破壊することができたんだ。
「……あーあ、ベルこんなところで、脱ぐなよ~。言ったろ、脱ぐのはシャワールームの脱衣所にしろって。そこで、脱げばすぐ洗濯機に入れられるのに……」
こんなところで脱いだら、僕が集めて歩かなきゃならないし……まったくもう。
「ベル~、着替えはそこの引き出しに入ってるからなー。ちゃんとパンツは、履いてこいよー」
「分かってるよー……子どもじゃないんだから、ちゃんとできるって!」
本当に、分かっているのかなあ。
僕が焼肉の後片付けをしているうちに、シャワーから上がったベルは、また毛布一枚を被りソファベッドにひっくり返った。
そして、すぐに小さな寝息を立てていた。表情は、安らかな笑顔にも見える柔らかいものだった。
もう、10月だから、毛布1枚じゃ寒くなるなあ……。
(つづく)
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