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第7章 移り行く、こころのパッチワーク
82 変わらない日常 2 〔楽しい仲間達〕
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「かんぱーい!」
恒例になっている『祝勝慰労会』をやってるんだ。もちろん、僕の家のリビングだ。
僕は、岸川総司。みんなは忘れたかもしれないけど、僕は第一古里山小学校の教頭なんだ。だけど、最近は誰も“教頭先生”って呼んでくれないんだよね。
たぶん、ベルのせいなんだ。ベルが、僕のことを名前で呼ぶから、小学生なんか真似をして“ソージ教頭”って言うんだよ。
『ソージ、ソージって、僕は掃除当番の担当じゃね~』って言いたいけど、言えるわけがないし。
まあ、親しみを込めて呼んでいるベルだから、僕は平気なんだけど…………。でも、僕が“ベル”って呼ぶと、あんまり嬉しそうな顔はしないんだ。
だからと言って“ベルフィール”って、呼ぶと機嫌が悪くなるから、仕方なく“ベル”って呼んでいるんだけど……?
「今日の敵は、少し手こずったな~総司よ」
センセは、握り寿司を摘まみながら、敵の分析を始めた。
「まさか、校舎の暖房設備に『無限良心回路ウェイブ』が混入しているなんてな」
「そうそう、先輩がやけに校舎内が暑いっていうから変だなあとは、思ったんだけど」
それで、玉佐間さんが、校舎の壁を手当たり次第に壊しまくってくれたから、あの悪い電波を作り出すAI回路を見つけることができたんだ。
「本当にアンディスのスキャンは、役に立つよね」
ジョンが、いつものようにアンディスの頭をなでながら褒めていたら、やっぱり顔を赤くしてモジモジしながら下を向いてしまった。
「本当にアンディスは、戦いになるとあんなに勇敢なのに、ちょっと褒めたぐらいですぐ照れるんだから……もう~」と、ジョンが笑顔でグラスを傾けていた。
「まあ、アンディスのスキャンで見つかったのは、よかったんだが……あれだけ壁を壊せばなあ~」
一緒に壁をハンマーで殴って壊していた、高背さんが頭を掻きながらつぶやいた。
「まさか、壁に埋め込んである暖房配管に紛れて、AIが増殖してるなんて思わないっしょ?……だって、今までは機械にしか入り込んでいなかったんだから」
メグミが、ウニを頬張りながら弁解した。
「考えようによっては、あいつらも困ってきたんだなあ。だから、ちょっとでも機械がある暖房設備に入り込んだんだぞ」
さっきからマグロばかり食べているセンセは、少し嬉しそうにしていた。
「えっと、それは僕らが頑張って敵を困らせているって考えていいのかな~」
「総司、その通りだぞ。あと一息だ! これからも頑張るぞー!」
近くの『すしだぞー』から出前を取って、20人前の握りとオードブル、それに各種アルコールが、みんなの話を盛り上げ、今日の疲れを癒してくれた。
「それにしても、ベルちゃんは、よく頑張ったわね~むき出しになった暖房配管を片っ端からメガトンパンチで叩き壊していて、見ている私もすっきりしちゃった」
ジョンは、戦いの最中もよくベルを見ていて、必ず最後に褒めている。褒められたベルも嬉しそうなのだが、その顔を見て、ジョンも嬉しそうにしている。
「ジョンちゃんなんか、これからの方が忙しいんでしょ」
「うーんそーね。今日は、校舎を壊したところが多いから、保険の見積もりや修理の手配、それに校舎修繕の補助金申請と、事務処理はたくさんあるわ」
「でも、いつもテキパキやって、すぐ終わらせるんだもん。やっぱり『事務処理の鬼』と言われるだけはあるわよね」
「まあねー。私も、通称『悪の組織』だけじゃ食べていけないから、ここの小学校の事務補佐として雇ってもらえたので、助かるわ~。岸川教頭先生のお陰よ!」
「うおー、僕のことをそう呼んで、褒めてくれるのは、ジョンちゃんだけだよ~」
「あーーーーソージ、あーしだって……ほえてうわしょー……うぃっ……ソージはりょーりーだって……じょおうすだひー……せんあくだって……うまひんだもんねーー、あたひのパンツありゃってくれるひーーーーー」
「おいおい、ベル?……どうした?……あ、またこんなに飲んで!」
ベルの周りには、ビール、日本酒、ワインの瓶が所狭しと転がっていた。その周りを見ると、センセはもう突っ伏して寝ているし、高背さんはイビキをかいている。
メグミだって、椅子に座ったまま、天井を見上げて放心している。
「センセ! センセ!……そろそろ解散にしよ……ね」と、起こしてから、他のみんなもタクシーに乗せて送り出した。
まあ、毎週のことだから、僕も慣れてきたけど……本当に仲良しになってよかったなあ。このまま最後まで楽しい思い出がたくさんできれば……ベルだって……。
「さあ、ベル……ここは片づけるから、ソファでお休み……」
酔いつぶれたベルを抱えて、ソファベッドに運んだ。
「寝冷えするなよ~……」
毛布と布団を掛け、肩を冷やさないように両手を布団の中に入れた。
ああ、もう11月が終わるなあ……そろそろ雪も降るかなあ~……あと4か月か……
(つづく)
恒例になっている『祝勝慰労会』をやってるんだ。もちろん、僕の家のリビングだ。
僕は、岸川総司。みんなは忘れたかもしれないけど、僕は第一古里山小学校の教頭なんだ。だけど、最近は誰も“教頭先生”って呼んでくれないんだよね。
たぶん、ベルのせいなんだ。ベルが、僕のことを名前で呼ぶから、小学生なんか真似をして“ソージ教頭”って言うんだよ。
『ソージ、ソージって、僕は掃除当番の担当じゃね~』って言いたいけど、言えるわけがないし。
まあ、親しみを込めて呼んでいるベルだから、僕は平気なんだけど…………。でも、僕が“ベル”って呼ぶと、あんまり嬉しそうな顔はしないんだ。
だからと言って“ベルフィール”って、呼ぶと機嫌が悪くなるから、仕方なく“ベル”って呼んでいるんだけど……?
「今日の敵は、少し手こずったな~総司よ」
センセは、握り寿司を摘まみながら、敵の分析を始めた。
「まさか、校舎の暖房設備に『無限良心回路ウェイブ』が混入しているなんてな」
「そうそう、先輩がやけに校舎内が暑いっていうから変だなあとは、思ったんだけど」
それで、玉佐間さんが、校舎の壁を手当たり次第に壊しまくってくれたから、あの悪い電波を作り出すAI回路を見つけることができたんだ。
「本当にアンディスのスキャンは、役に立つよね」
ジョンが、いつものようにアンディスの頭をなでながら褒めていたら、やっぱり顔を赤くしてモジモジしながら下を向いてしまった。
「本当にアンディスは、戦いになるとあんなに勇敢なのに、ちょっと褒めたぐらいですぐ照れるんだから……もう~」と、ジョンが笑顔でグラスを傾けていた。
「まあ、アンディスのスキャンで見つかったのは、よかったんだが……あれだけ壁を壊せばなあ~」
一緒に壁をハンマーで殴って壊していた、高背さんが頭を掻きながらつぶやいた。
「まさか、壁に埋め込んである暖房配管に紛れて、AIが増殖してるなんて思わないっしょ?……だって、今までは機械にしか入り込んでいなかったんだから」
メグミが、ウニを頬張りながら弁解した。
「考えようによっては、あいつらも困ってきたんだなあ。だから、ちょっとでも機械がある暖房設備に入り込んだんだぞ」
さっきからマグロばかり食べているセンセは、少し嬉しそうにしていた。
「えっと、それは僕らが頑張って敵を困らせているって考えていいのかな~」
「総司、その通りだぞ。あと一息だ! これからも頑張るぞー!」
近くの『すしだぞー』から出前を取って、20人前の握りとオードブル、それに各種アルコールが、みんなの話を盛り上げ、今日の疲れを癒してくれた。
「それにしても、ベルちゃんは、よく頑張ったわね~むき出しになった暖房配管を片っ端からメガトンパンチで叩き壊していて、見ている私もすっきりしちゃった」
ジョンは、戦いの最中もよくベルを見ていて、必ず最後に褒めている。褒められたベルも嬉しそうなのだが、その顔を見て、ジョンも嬉しそうにしている。
「ジョンちゃんなんか、これからの方が忙しいんでしょ」
「うーんそーね。今日は、校舎を壊したところが多いから、保険の見積もりや修理の手配、それに校舎修繕の補助金申請と、事務処理はたくさんあるわ」
「でも、いつもテキパキやって、すぐ終わらせるんだもん。やっぱり『事務処理の鬼』と言われるだけはあるわよね」
「まあねー。私も、通称『悪の組織』だけじゃ食べていけないから、ここの小学校の事務補佐として雇ってもらえたので、助かるわ~。岸川教頭先生のお陰よ!」
「うおー、僕のことをそう呼んで、褒めてくれるのは、ジョンちゃんだけだよ~」
「あーーーーソージ、あーしだって……ほえてうわしょー……うぃっ……ソージはりょーりーだって……じょおうすだひー……せんあくだって……うまひんだもんねーー、あたひのパンツありゃってくれるひーーーーー」
「おいおい、ベル?……どうした?……あ、またこんなに飲んで!」
ベルの周りには、ビール、日本酒、ワインの瓶が所狭しと転がっていた。その周りを見ると、センセはもう突っ伏して寝ているし、高背さんはイビキをかいている。
メグミだって、椅子に座ったまま、天井を見上げて放心している。
「センセ! センセ!……そろそろ解散にしよ……ね」と、起こしてから、他のみんなもタクシーに乗せて送り出した。
まあ、毎週のことだから、僕も慣れてきたけど……本当に仲良しになってよかったなあ。このまま最後まで楽しい思い出がたくさんできれば……ベルだって……。
「さあ、ベル……ここは片づけるから、ソファでお休み……」
酔いつぶれたベルを抱えて、ソファベッドに運んだ。
「寝冷えするなよ~……」
毛布と布団を掛け、肩を冷やさないように両手を布団の中に入れた。
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