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第9章 虹ヶ丘の未来を見据えて〔美代乃の視点〕
87 第9章第3話 迷いの種
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===== 主な登場人物 =====
■みょんちゃん(桜山 美代乃【さくらやま みよの】)
122歳・女・虹ヶ丘小学校初代校長
■岡崎 志津奈【おかざき しずな】
虹ヶ丘学園中等部1年・女・岡崎医院の娘
■中村 太郎【なかむら たろう】
虹ヶ丘学園中等部1年・男・中村八百屋の息子
■上杉 三成実【うえすぎ みなみ】
上杉電器商会の娘で従業員・女・25歳
==================
「うんとね……、わたし、迷ってるの……」
「そうか~、迷ってるのか。……それはな、ここを真っすぐに行って、3つ目の信号を右に行けばすぐだぞ!」
「あーっそっかー……じゃなくて! それは、役場の場所でしょ、みーちゃんったら!」
「あ? 役場じゃなかったか? じゃあ、図書館へはな~」
「もう、図書館なんか、毎日行ってるから、知ってるわよ! もうー、すぐみーちゃんは茶化すんだから」
「あははは、すまんな、……ま、これで少しは力も抜けたんじゃないかい?」
ふぉふぉふぉ……さすが三成実ちゃんじゃのう。一気に場の空気を壊しおったわい。これで、志津奈ちゃんも気張らずに話せるじゃろ。
「あのね、わたしが迷ってるのは、将来何になりたいかってことなの」
「それじゃ、しーちゃんは今日学校で先生が話してた、将来設計っていうのをもう考えてるのかい?」
「おや、太郎君、今日の入学式でもうそんな話が出たのかい?」
「はい、みょんちゃん、そうなんです。入学式の中で校長先生がおっしゃったんです。もう、中学生は将来を見据えた自分の好きな勉強を極めていいんだって」
「ははああーん、アイツ、そんな偉そうなことをいったのかい? まあ、『自分の好きな勉強』っていうのは、その通りだけどね」
「そういえば、桜山校長先生って、みょんちゃんのお孫さんなんでしょ?」
「うん、まあ、そんなとこだけどね……」
今の学園長は、北野君の息子が継いでいるんじゃが、初等部の校長には、わしの孫がなったんじゃ。息子の大樹は、じいさんの仕事を継いで桜山建設の社長を務めておるが、孫の葉之介は学校の先生になったんじゃ。とにかく子供と遊ぶのが好きで先生になったんじゃ。校長になったのも、遊ぶ時間がたくさん作れるからっていう理由なんじゃが、まったく何を考えているのやら。
それでも葉之介は、本当に毎日が楽しそうなんじゃ。ま、それだけ、自分も好きな勉強をしてきたんじゃろうからな。
「……それよりな、志津奈ちゃんは、その話を聞いて、何を迷ってるんだい?」
「あのね、みょんちゃん。わたしは、将来成りたいものがいっぱいあって、迷っているのよ」
「え? もうしーちゃんは、迷うほど将来の目標があるの?」
「太郎君、何をいってるの。わたし達の3年前の冒険を思い出してよ。あれだけ、いろんな人のことを知ったのよ。……まあ、半分はみょちゃんに教えてもらったんだけどね。……それでも、わたしは他の人が知らないこともいっぱい知ることができたの。だから、憧れみたいなものもいっぱいできたっていうのかなあ~」
「そうだね、しーちゃんのいう通りだよ。僕だって、同じ冒険をしたんだ。あの時会ったみょんちゃんがいたからこそ、今、こうしてみょんちゃんと仲良くなれたんだもんね」
「そうだのう、あの時はわしも若かったから……ん? 志津奈ちゃんと太郎君は、あの時とそんなに変わってないがのう、あははは」
「そりゃそうだよね、みょんちゃんにとっては103年前だけど、あたし達にとっては3年前なんだもんね」
三成実ちゃんのいう通りだのう、わしが歩んできた100年の道を、この後、この子達は歩み続けるんだわ。迷って当然かもしれんな~。
(つづく)
■みょんちゃん(桜山 美代乃【さくらやま みよの】)
122歳・女・虹ヶ丘小学校初代校長
■岡崎 志津奈【おかざき しずな】
虹ヶ丘学園中等部1年・女・岡崎医院の娘
■中村 太郎【なかむら たろう】
虹ヶ丘学園中等部1年・男・中村八百屋の息子
■上杉 三成実【うえすぎ みなみ】
上杉電器商会の娘で従業員・女・25歳
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「うんとね……、わたし、迷ってるの……」
「そうか~、迷ってるのか。……それはな、ここを真っすぐに行って、3つ目の信号を右に行けばすぐだぞ!」
「あーっそっかー……じゃなくて! それは、役場の場所でしょ、みーちゃんったら!」
「あ? 役場じゃなかったか? じゃあ、図書館へはな~」
「もう、図書館なんか、毎日行ってるから、知ってるわよ! もうー、すぐみーちゃんは茶化すんだから」
「あははは、すまんな、……ま、これで少しは力も抜けたんじゃないかい?」
ふぉふぉふぉ……さすが三成実ちゃんじゃのう。一気に場の空気を壊しおったわい。これで、志津奈ちゃんも気張らずに話せるじゃろ。
「あのね、わたしが迷ってるのは、将来何になりたいかってことなの」
「それじゃ、しーちゃんは今日学校で先生が話してた、将来設計っていうのをもう考えてるのかい?」
「おや、太郎君、今日の入学式でもうそんな話が出たのかい?」
「はい、みょんちゃん、そうなんです。入学式の中で校長先生がおっしゃったんです。もう、中学生は将来を見据えた自分の好きな勉強を極めていいんだって」
「ははああーん、アイツ、そんな偉そうなことをいったのかい? まあ、『自分の好きな勉強』っていうのは、その通りだけどね」
「そういえば、桜山校長先生って、みょんちゃんのお孫さんなんでしょ?」
「うん、まあ、そんなとこだけどね……」
今の学園長は、北野君の息子が継いでいるんじゃが、初等部の校長には、わしの孫がなったんじゃ。息子の大樹は、じいさんの仕事を継いで桜山建設の社長を務めておるが、孫の葉之介は学校の先生になったんじゃ。とにかく子供と遊ぶのが好きで先生になったんじゃ。校長になったのも、遊ぶ時間がたくさん作れるからっていう理由なんじゃが、まったく何を考えているのやら。
それでも葉之介は、本当に毎日が楽しそうなんじゃ。ま、それだけ、自分も好きな勉強をしてきたんじゃろうからな。
「……それよりな、志津奈ちゃんは、その話を聞いて、何を迷ってるんだい?」
「あのね、みょんちゃん。わたしは、将来成りたいものがいっぱいあって、迷っているのよ」
「え? もうしーちゃんは、迷うほど将来の目標があるの?」
「太郎君、何をいってるの。わたし達の3年前の冒険を思い出してよ。あれだけ、いろんな人のことを知ったのよ。……まあ、半分はみょちゃんに教えてもらったんだけどね。……それでも、わたしは他の人が知らないこともいっぱい知ることができたの。だから、憧れみたいなものもいっぱいできたっていうのかなあ~」
「そうだね、しーちゃんのいう通りだよ。僕だって、同じ冒険をしたんだ。あの時会ったみょんちゃんがいたからこそ、今、こうしてみょんちゃんと仲良くなれたんだもんね」
「そうだのう、あの時はわしも若かったから……ん? 志津奈ちゃんと太郎君は、あの時とそんなに変わってないがのう、あははは」
「そりゃそうだよね、みょんちゃんにとっては103年前だけど、あたし達にとっては3年前なんだもんね」
三成実ちゃんのいう通りだのう、わしが歩んできた100年の道を、この後、この子達は歩み続けるんだわ。迷って当然かもしれんな~。
(つづく)
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