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第9章 虹ヶ丘の未来を見据えて〔美代乃の視点〕
90 第9章第6話 出会いは深刻で
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====この場面の主な登場人物====
■岡崎 芯也(おかざき しんや)…岡崎医院開業者・医師
■岡崎 幸子(おかざき さちこ)…芯也の妻・医師免許所持
■岡崎 和美(おかざき なごみ)…岡崎家長女
■岡崎 始(おかざき はじめ)…岡崎家長男
□岡崎 志津奈(おかざき しずな)は、始の長女(芯也の孫)
■桜山 美代乃(さくらやま みよの)…みょんちゃん
※ナレーター……現在(122歳の美代乃)昔を思い出している
===================
「えっとね、みょんちゃん。僕は、この病院のことよりももっと大事なことに今夢中になっているんだよ」
芯ちゃんは、笑顔でそんなことをいうんじゃ。わしは、少し驚きもしたんだけど、あの芯ちゃんは普通の人が考えんようなことをやる子だっから、なんか嬉しかったのを覚えてるよ。きっと、またわしの驚くことをしてくれるんだと思ったんじゃ。
「僕は、あの時、とっても悲しかったんだ。そう、みょんちゃんが心臓の病気だって分かった時さ」
「まあ、芯ちゃんったら、わたしが病気なのがそんなに悲しかったの? うふっ」
まあ、あの頃は、村のみんながわしの病気のことは知ってて、よく助けてくれたから、てっきり芯ちゃんもそうなんじゃないかと思ったのよね。ところが、彼が話してくれたのは、そんな小さなことじゃなかったの。
「僕はね、この村にお医者さんがいなかったのを悲しいって思ったんだ。だって、病気や怪我をしても直してくれる人がいないってことなんだよ」
「ああ……なるほどね」
「あれ? みょんちゃん、がっかりした? もちろん、みょんちゃんの事も心配してたんだよ」
「あはは、バカね~。そんなの、普段からみんなが心配してくれるのはよく分かってたわよ! 学校を作った時だって、あんなにお世話になったのよ。みんなが協力してくれなきゃ、虹ヶ丘小学校はできなかったんだから」
「ふふふ、あのねみょんちゃん、うちの人はこんなこといってますけど、本当はみょちゃんのことが何よりも心配だったんですよ」
「あら、さっちゃん、それ、どういうこと?」
「ご存じのように、私と芯也さんは、東京の大学病院で知り合ったんです。その頃、芯也さんは色々な課を渡り歩き医療全般の知識と技術を身につけようとがんばっていました。でも、ただ一つなかなか勉強できなかったものがあったんです」
「お、おい、サチコ……そ、それは、いいよ」
「何言ってんの。大事なことよ。あなたは、誰よりもみょんちゃんを助けたいと思っていたのよ」
「ねえねえ、さっちゃん、教えてよ! その話、もっと詳しく。わたしを助けるどうのこうのはいいからさ、東京の大学病院での馴れ初めを聞かせて欲しいなあ。芯ちゃんはね、普段は絶対そういうことはしゃべらないのよ。まったく、堅物なんだからさ」
「ああー、みょんちゃんまで、そんなこといって……」
「うん、任せて! あのね、最初に大学病院で彼と出会った時、彼はとっても深刻な顔をしていたのよ。うーん、深刻っていうか、困った感じがしたわ」
「まあな、あの時は学校を任せていた北野達から手紙が来てたんだよ。みょんちゃんの体調が思わしくないってな」
そうだったわね。学校は順調だったんだけど、わしは無理ができなくなっていたなあ。だから、大事なことだけ目を通して、後はほとんど北野君達に任せていたなあ。
「そんな芯也さんと会った時、実は私も悩んでたことがあって落ち込んでいたの。でも、彼の顔を見たとたん、自分の悩みなんか忘れちゃうくらいの気持ちになったのよね」
(つづく)
■岡崎 芯也(おかざき しんや)…岡崎医院開業者・医師
■岡崎 幸子(おかざき さちこ)…芯也の妻・医師免許所持
■岡崎 和美(おかざき なごみ)…岡崎家長女
■岡崎 始(おかざき はじめ)…岡崎家長男
□岡崎 志津奈(おかざき しずな)は、始の長女(芯也の孫)
■桜山 美代乃(さくらやま みよの)…みょんちゃん
※ナレーター……現在(122歳の美代乃)昔を思い出している
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「えっとね、みょんちゃん。僕は、この病院のことよりももっと大事なことに今夢中になっているんだよ」
芯ちゃんは、笑顔でそんなことをいうんじゃ。わしは、少し驚きもしたんだけど、あの芯ちゃんは普通の人が考えんようなことをやる子だっから、なんか嬉しかったのを覚えてるよ。きっと、またわしの驚くことをしてくれるんだと思ったんじゃ。
「僕は、あの時、とっても悲しかったんだ。そう、みょんちゃんが心臓の病気だって分かった時さ」
「まあ、芯ちゃんったら、わたしが病気なのがそんなに悲しかったの? うふっ」
まあ、あの頃は、村のみんながわしの病気のことは知ってて、よく助けてくれたから、てっきり芯ちゃんもそうなんじゃないかと思ったのよね。ところが、彼が話してくれたのは、そんな小さなことじゃなかったの。
「僕はね、この村にお医者さんがいなかったのを悲しいって思ったんだ。だって、病気や怪我をしても直してくれる人がいないってことなんだよ」
「ああ……なるほどね」
「あれ? みょんちゃん、がっかりした? もちろん、みょんちゃんの事も心配してたんだよ」
「あはは、バカね~。そんなの、普段からみんなが心配してくれるのはよく分かってたわよ! 学校を作った時だって、あんなにお世話になったのよ。みんなが協力してくれなきゃ、虹ヶ丘小学校はできなかったんだから」
「ふふふ、あのねみょんちゃん、うちの人はこんなこといってますけど、本当はみょちゃんのことが何よりも心配だったんですよ」
「あら、さっちゃん、それ、どういうこと?」
「ご存じのように、私と芯也さんは、東京の大学病院で知り合ったんです。その頃、芯也さんは色々な課を渡り歩き医療全般の知識と技術を身につけようとがんばっていました。でも、ただ一つなかなか勉強できなかったものがあったんです」
「お、おい、サチコ……そ、それは、いいよ」
「何言ってんの。大事なことよ。あなたは、誰よりもみょんちゃんを助けたいと思っていたのよ」
「ねえねえ、さっちゃん、教えてよ! その話、もっと詳しく。わたしを助けるどうのこうのはいいからさ、東京の大学病院での馴れ初めを聞かせて欲しいなあ。芯ちゃんはね、普段は絶対そういうことはしゃべらないのよ。まったく、堅物なんだからさ」
「ああー、みょんちゃんまで、そんなこといって……」
「うん、任せて! あのね、最初に大学病院で彼と出会った時、彼はとっても深刻な顔をしていたのよ。うーん、深刻っていうか、困った感じがしたわ」
「まあな、あの時は学校を任せていた北野達から手紙が来てたんだよ。みょんちゃんの体調が思わしくないってな」
そうだったわね。学校は順調だったんだけど、わしは無理ができなくなっていたなあ。だから、大事なことだけ目を通して、後はほとんど北野君達に任せていたなあ。
「そんな芯也さんと会った時、実は私も悩んでたことがあって落ち込んでいたの。でも、彼の顔を見たとたん、自分の悩みなんか忘れちゃうくらいの気持ちになったのよね」
(つづく)
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