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第5章 ありふれた日常の変化
41 第5章第4話 研究室の曲がり角
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******湖路奈の膝で、眠る太陽******
「……う、うっ……うー…………」
「……所長……また、苦しい顔になってきたの事ですね……苦しいのなかの事ですか?……ねえ……」
湖路奈は、そんな夏野所長の肩をちょっとだけ抱えるように、自分も前のめりになったのだ。
*******研究室2年目の太陽と布礼愛*******
「どうしたの? ……布礼愛さん?」
研究室に来ると、彼女はいつも脇目も振らず、調べ物をしたり、論文を書いたりしているのに、最近は窓の外を見て何か考え事をしている時が多い。そんな様子を見るたび、太陽は気になってどうしようもなかったのだ。
ただ、引っ込み思案な太陽にとって、そんな彼女に声を掛けるのは、とてつもなく大きな勇気がいることだった。
本当にしばらく太陽は悩んだ。たった、これだけの言葉を掛けるのに、1ヶ月も掛かってしまった。
「…………うん……それがね……。わたし少し心配し過ぎかしら?」
「え? ええ? ……、何のこと? 何か心配な事があるの?」
「……あのね! ……校長先生のことなの!」
「校長先生が、どうかしたの?」
太陽には、さっぱり見当がつかなかった。しかし、布礼愛は何か確信でもあるような感じで話し出した。
「最近はね、校長先生が研究室に来なくなったのよ。……最初の頃はよく顔を出して、論文なんかも読んでくれたわ……」
「そう言えばそうかな。……でも、最近は校長先生も学会があるとかで、よく教頭先生と打合せをしているから、忙しいんじゃないかな。……気にすることはないと思うよ」
「でもね、それだけじゃないの! ……懸賞論文の募集を止めてしまったわよね。……私達がこの研修室に招待されるまでは、毎年募集していたのよ。特別研究生も数人いたの! ……でも、私達がこの研究室に来てからは、他の人はみんな卒業してしまったそうよ!」
「そうだったの? ボクは、てっきりボク達だけかと思っていたんだ……」
「そんなことはないわ。……こんなに広い研究室、他にもいろんな実験室もあるのよ、昔は多くの研究生がいたらしいわ」
「……すごいなぁ~、布礼愛さんは、そういうことも考えて調べていたんだ。……ボ、ボクなんか、自分のことで精一杯で、周りのことなんて……ゴメンね……」
「夏野君が謝ることじゃないわ! ……わたしはただ気になる性格だから……他を気にし過ぎて、自分の研究があんまり進んでいないのよ……」
「そんなこと無いよ! 君の研究は、素晴らしいんだ! ……とっても、地球の為には大切なことだから、慌てないで確実に、いろんなことを考えなら進めている布礼愛さんが……正しいんだよ!」
「もう、うふっ! 何よ、夏野君ったら、そんなにムキになって。……でも、ありがと! 太陽君!」
夏野は、そう言って笑顔を見せてくれた彼女のことを、また好きになったのだ。
それから、夏野と布礼愛は、校長のことは気にせず、自分達の研究に没頭することが多くなっていったのだ。
(つづく)
「……う、うっ……うー…………」
「……所長……また、苦しい顔になってきたの事ですね……苦しいのなかの事ですか?……ねえ……」
湖路奈は、そんな夏野所長の肩をちょっとだけ抱えるように、自分も前のめりになったのだ。
*******研究室2年目の太陽と布礼愛*******
「どうしたの? ……布礼愛さん?」
研究室に来ると、彼女はいつも脇目も振らず、調べ物をしたり、論文を書いたりしているのに、最近は窓の外を見て何か考え事をしている時が多い。そんな様子を見るたび、太陽は気になってどうしようもなかったのだ。
ただ、引っ込み思案な太陽にとって、そんな彼女に声を掛けるのは、とてつもなく大きな勇気がいることだった。
本当にしばらく太陽は悩んだ。たった、これだけの言葉を掛けるのに、1ヶ月も掛かってしまった。
「…………うん……それがね……。わたし少し心配し過ぎかしら?」
「え? ええ? ……、何のこと? 何か心配な事があるの?」
「……あのね! ……校長先生のことなの!」
「校長先生が、どうかしたの?」
太陽には、さっぱり見当がつかなかった。しかし、布礼愛は何か確信でもあるような感じで話し出した。
「最近はね、校長先生が研究室に来なくなったのよ。……最初の頃はよく顔を出して、論文なんかも読んでくれたわ……」
「そう言えばそうかな。……でも、最近は校長先生も学会があるとかで、よく教頭先生と打合せをしているから、忙しいんじゃないかな。……気にすることはないと思うよ」
「でもね、それだけじゃないの! ……懸賞論文の募集を止めてしまったわよね。……私達がこの研修室に招待されるまでは、毎年募集していたのよ。特別研究生も数人いたの! ……でも、私達がこの研究室に来てからは、他の人はみんな卒業してしまったそうよ!」
「そうだったの? ボクは、てっきりボク達だけかと思っていたんだ……」
「そんなことはないわ。……こんなに広い研究室、他にもいろんな実験室もあるのよ、昔は多くの研究生がいたらしいわ」
「……すごいなぁ~、布礼愛さんは、そういうことも考えて調べていたんだ。……ボ、ボクなんか、自分のことで精一杯で、周りのことなんて……ゴメンね……」
「夏野君が謝ることじゃないわ! ……わたしはただ気になる性格だから……他を気にし過ぎて、自分の研究があんまり進んでいないのよ……」
「そんなこと無いよ! 君の研究は、素晴らしいんだ! ……とっても、地球の為には大切なことだから、慌てないで確実に、いろんなことを考えなら進めている布礼愛さんが……正しいんだよ!」
「もう、うふっ! 何よ、夏野君ったら、そんなにムキになって。……でも、ありがと! 太陽君!」
夏野は、そう言って笑顔を見せてくれた彼女のことを、また好きになったのだ。
それから、夏野と布礼愛は、校長のことは気にせず、自分達の研究に没頭することが多くなっていったのだ。
(つづく)
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