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第6章 紡ぐ繋がりの中で
81 第6章第16話 職人の涙
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「ブ、ブルー、……あ、あたしは、もう、が、我慢が、……で、できないわーーーー!」
「ま、まて! ピンク! 早まるな!」
「オ、オレも、ゴメン、先、行くわ……」
「アッツ、お前まで!」
「「……いっただき、まーーーーす!……」」
バキ、バキ、……ムシャムシャ……バキバキ……
「おいしーーいーーー!」
「こりゃ、うっめーーー!」
「さっき、展示してあったのも美味しかったけど、焼きたては格別ね!」
「うんうん、この甘――い醤油の味が、すっごく濃いんだ! 俺、温かい煎餅なんて初めて食べたぜ! たまんねーーな!」
「どうだ、美味しいか?旨いだろ! いっぱい食べて……く……れ……この煎餅には……魂がこもってるんだ。オレだけじゃなく、職人仲間みんなの……う、うう、……ズズ……」
「どうした? なぜ、泣くんだ? 折角作った煎餅が食べられて、悔しいのか?」
「おい、青いの! そんなんじゃない。煎餅を食べてもらえて、悔しい職人がどこにいるってんだい! オレは、煎餅を食べてもらえる日をずうっと待っていたんだ! オレの体が、暑さに耐えられるようになった時、全国の職人仲間に呼びかけて、ここに集まってもらったんだ。そして、仲間にも、オレの焼いた煎餅を食べてもらったんだ。でもな、あの時から仲間は皆、人が変わったようにあちこちの店を乗っ取って、勝手に煎餅を焼き始めてしまったんだ。……もうダメだ! オレ達の煎餅は、汚れてしまった! もう、誰も、オレ達の煎餅なんか食ってもらえない!」
真っ赤な目をした煎餅職人は、涙も乾いてしまったのか、ただ悲しい顔をするだけだった。
キィイイイーー! キィイイイーー!………
そんな職人の言葉をかき消すように、店の入り口の方から、奇妙な甲高い声が聞こえて来た。
「う! 敵ね! ピンク、イエロー、戦闘準備よ!」
「「……ウキィイイイーー!……ウキィイイイーー!……」」
「ピンク?イエロー?……どうしたの、あなた達?」
「「……ウキィイイイーー!……ウキィイイイーー!……」」
「「「「…「「「キィイイイーー!キィイイイーー!………」」」…」」」」
いつの間にか、ブルーは、奇妙な甲高い声を発声する職人集団に囲まれてしまった。なんと、その中に交じって、表情を無くしたピンクとイエローも、ブルーに向けて攻撃態勢をとっていたのだ。
「貴様―! ピンクとイエローに、何をしたああああーーー?」
怒りの表情を剥き出しにしたブルーが、この店の煎餅職人に詰め寄った。
「オ、オレは、ただ、煎餅を食べて欲しかった……だけ……な……んだ……ああああー。でも、でも……オレの焼いた煎餅を食うと、みんなこうなってしまう!……もう、お終いだ~だれも、オレの煎餅を食ってくれないんだああああああーーーー! あああああああーーーー!」
「「……ウキィイイイーー!……ウキィイイイーー!……」」
「「「「…「「「キィイイイーー!キィイイイーー!………」」」…」」」」
甲高い声を出す職人集団は、ブルーに向けて、灼熱熱風攻撃を浴びせてきた。焼けつくような醤油風味の熱風は、太陽光線なんかより何倍も威力があった。
「ううう……不味いわ! オンダンコスチュームの冷却メーターが、レッドゾーンを超えてしまったわ……このままだと、熱暴走を起こしてしまう!」
ブルーは、熱風を避けようと、狭い店の中をあちこち逃げ回った。しかし、職人集団の数が多く、どこへ逃げても熱風を浴びてしまった。
その上、熱暴走で動きが遅くなったブルー目掛けて、熱風パンチを叩きこんでくる職人も現れた。
「……う! ……ゲホッ! ゥゥ! ……アウ! ……」
逃げまどうブルーは、どうしても職人の顔を見ると、攻撃ができなかった。
「くっそー、あの職人だって、普通の人間なんだ! ……今は、きっと………」
それどころか、ピンクとイエローも、オンダンパンチを繰り出してきた。
「うう……さすがに、仲間のパンチは、堪えるわ!……」
パリッ!…………ピキッ!
「あ! 不味い……オンダンプロテクターに罅割れが……グファ! …ウッ!」
ブルーは片膝を付き、今にも倒れそうに、苦悶の表情で煎餅職人集団と今は敵になってしまったピンクとイエローを目で追った。
意識が薄れてしまいそうになりながら、ブルーは必至で打開策を考えるのだった!
「……何か……何か方法は…………ウゥゥゥゥゥ…………もう、もう少し……もう少し耐えれば…………」
(つづく)
「ま、まて! ピンク! 早まるな!」
「オ、オレも、ゴメン、先、行くわ……」
「アッツ、お前まで!」
「「……いっただき、まーーーーす!……」」
バキ、バキ、……ムシャムシャ……バキバキ……
「おいしーーいーーー!」
「こりゃ、うっめーーー!」
「さっき、展示してあったのも美味しかったけど、焼きたては格別ね!」
「うんうん、この甘――い醤油の味が、すっごく濃いんだ! 俺、温かい煎餅なんて初めて食べたぜ! たまんねーーな!」
「どうだ、美味しいか?旨いだろ! いっぱい食べて……く……れ……この煎餅には……魂がこもってるんだ。オレだけじゃなく、職人仲間みんなの……う、うう、……ズズ……」
「どうした? なぜ、泣くんだ? 折角作った煎餅が食べられて、悔しいのか?」
「おい、青いの! そんなんじゃない。煎餅を食べてもらえて、悔しい職人がどこにいるってんだい! オレは、煎餅を食べてもらえる日をずうっと待っていたんだ! オレの体が、暑さに耐えられるようになった時、全国の職人仲間に呼びかけて、ここに集まってもらったんだ。そして、仲間にも、オレの焼いた煎餅を食べてもらったんだ。でもな、あの時から仲間は皆、人が変わったようにあちこちの店を乗っ取って、勝手に煎餅を焼き始めてしまったんだ。……もうダメだ! オレ達の煎餅は、汚れてしまった! もう、誰も、オレ達の煎餅なんか食ってもらえない!」
真っ赤な目をした煎餅職人は、涙も乾いてしまったのか、ただ悲しい顔をするだけだった。
キィイイイーー! キィイイイーー!………
そんな職人の言葉をかき消すように、店の入り口の方から、奇妙な甲高い声が聞こえて来た。
「う! 敵ね! ピンク、イエロー、戦闘準備よ!」
「「……ウキィイイイーー!……ウキィイイイーー!……」」
「ピンク?イエロー?……どうしたの、あなた達?」
「「……ウキィイイイーー!……ウキィイイイーー!……」」
「「「「…「「「キィイイイーー!キィイイイーー!………」」」…」」」」
いつの間にか、ブルーは、奇妙な甲高い声を発声する職人集団に囲まれてしまった。なんと、その中に交じって、表情を無くしたピンクとイエローも、ブルーに向けて攻撃態勢をとっていたのだ。
「貴様―! ピンクとイエローに、何をしたああああーーー?」
怒りの表情を剥き出しにしたブルーが、この店の煎餅職人に詰め寄った。
「オ、オレは、ただ、煎餅を食べて欲しかった……だけ……な……んだ……ああああー。でも、でも……オレの焼いた煎餅を食うと、みんなこうなってしまう!……もう、お終いだ~だれも、オレの煎餅を食ってくれないんだああああああーーーー! あああああああーーーー!」
「「……ウキィイイイーー!……ウキィイイイーー!……」」
「「「「…「「「キィイイイーー!キィイイイーー!………」」」…」」」」
甲高い声を出す職人集団は、ブルーに向けて、灼熱熱風攻撃を浴びせてきた。焼けつくような醤油風味の熱風は、太陽光線なんかより何倍も威力があった。
「ううう……不味いわ! オンダンコスチュームの冷却メーターが、レッドゾーンを超えてしまったわ……このままだと、熱暴走を起こしてしまう!」
ブルーは、熱風を避けようと、狭い店の中をあちこち逃げ回った。しかし、職人集団の数が多く、どこへ逃げても熱風を浴びてしまった。
その上、熱暴走で動きが遅くなったブルー目掛けて、熱風パンチを叩きこんでくる職人も現れた。
「……う! ……ゲホッ! ゥゥ! ……アウ! ……」
逃げまどうブルーは、どうしても職人の顔を見ると、攻撃ができなかった。
「くっそー、あの職人だって、普通の人間なんだ! ……今は、きっと………」
それどころか、ピンクとイエローも、オンダンパンチを繰り出してきた。
「うう……さすがに、仲間のパンチは、堪えるわ!……」
パリッ!…………ピキッ!
「あ! 不味い……オンダンプロテクターに罅割れが……グファ! …ウッ!」
ブルーは片膝を付き、今にも倒れそうに、苦悶の表情で煎餅職人集団と今は敵になってしまったピンクとイエローを目で追った。
意識が薄れてしまいそうになりながら、ブルーは必至で打開策を考えるのだった!
「……何か……何か方法は…………ウゥゥゥゥゥ…………もう、もう少し……もう少し耐えれば…………」
(つづく)
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