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第7章 涼しい風を吹かせるために
91 第7章第6話 湖路奈の役割
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「まあ、待ってくれ。順番に話そう。今、地球は謎のウィルスexに侵されている。このウィルスは、今から100年前に人類を脅かした“ウィルスoz”が変異したものではないかというのが、布礼愛の学説だったんだ。しかし、布礼愛は、その学説に基づいて、この“ウィルスex”に対する、ワクチンと特効薬の理論を開発していたんだ。……ところが……このワクチンと特効薬の製造に着手しようとした時、布礼愛は殺されてしまった。……あの時、僕がもっと布礼愛の研究のことを理解していれば……。このウィルスexの中には、意志を持ったものが現れていたんだ。そんなことに僕は全然気づかず、ただ毎日を無駄に過ごしていたんだ!」
「……ひ、ひょっとして、お姉ちゃんは、そのウィルスに殺されたの?」
な、なんてことなの! ミー先輩のお姉ちゃん、布礼愛さんは、事故で亡くなったんじゃないのね。
「ミー先輩!」
あたしは、思わずミー先輩に駆け寄ったの。もう、言葉はいらなかったわ。ミー先輩は、黙ってあたしの顔を見ると、しっかり両手を握ってくれたの。
「直接、ウィルスexが手を下した訳じゃないんだ。でも、布礼愛の研究が自分達を脅かすということを理解したウィルスexは、何の関係も無い人間に憑りついて邪魔することを覚えたんだ」
何? じゃあ、布礼愛さんを殺したのは、……え? うそ? どうして?
「そう、我々が……。す、すまん、……夏野君、南中子君。ウィルスexに憑りつかれたとはいえ、すべては僕らの責任なんだ……」
校長先生、……そうだったのか……だから、校長先生はあんなに一生懸命に温暖化阻止に熱心だったんだ。自分達の罪滅ぼしの気持ちが……。
「……う、うう……うううう……あっちょ~~ん~~……」
「ああ、泣かないでおくれ、むっちょん。これは、仕方のないことなんだ。だから、僕はなんとか力になれるように、できることなら何でもやるから」
横を見ると、教頭先生と事務長も泣き崩れているわ。きっと同じ気持ちなのね。
「みんな、泣かないでくれ! 君達が悪い訳じゃないんだ。そんなことは、布礼愛だって分かっているよ。いや、彼女はとっくの昔に分かっていたんだ。だから、湖路奈を作ってくれたんだよ!」
「え? お姉ちゃんは、こうなることを分かっていたの? それが、どうして湖路奈ちゃんなの?」
そうよね、自分が狙われていることが分かっていたなら、研究を止めて隠れるとか、逃げるとかすれば良かったのに。あ! いや、あの布礼愛お姉ちゃんなら、絶対にそんなことはしないわ。
あたしのお母さんが亡くなった時も、誰も責めなかったの。そして、いっつも楽しいことばかり言ってあたしを元気づけてくれたわ。あれは、あたしに前を見ることだけを教えていたのね。振り返っても、決して自分の為にはならない、次のことを考えるのが大事なんだって……。
「夏野室長! 湖路奈ちゃんって、……布礼愛さんの分身なのね!」
あたしは、今にも崩れてしまいそうなミー先輩を支えながら、布礼愛さんの顔をはっきりと思い出すことができた。
(つづく)
「……ひ、ひょっとして、お姉ちゃんは、そのウィルスに殺されたの?」
な、なんてことなの! ミー先輩のお姉ちゃん、布礼愛さんは、事故で亡くなったんじゃないのね。
「ミー先輩!」
あたしは、思わずミー先輩に駆け寄ったの。もう、言葉はいらなかったわ。ミー先輩は、黙ってあたしの顔を見ると、しっかり両手を握ってくれたの。
「直接、ウィルスexが手を下した訳じゃないんだ。でも、布礼愛の研究が自分達を脅かすということを理解したウィルスexは、何の関係も無い人間に憑りついて邪魔することを覚えたんだ」
何? じゃあ、布礼愛さんを殺したのは、……え? うそ? どうして?
「そう、我々が……。す、すまん、……夏野君、南中子君。ウィルスexに憑りつかれたとはいえ、すべては僕らの責任なんだ……」
校長先生、……そうだったのか……だから、校長先生はあんなに一生懸命に温暖化阻止に熱心だったんだ。自分達の罪滅ぼしの気持ちが……。
「……う、うう……うううう……あっちょ~~ん~~……」
「ああ、泣かないでおくれ、むっちょん。これは、仕方のないことなんだ。だから、僕はなんとか力になれるように、できることなら何でもやるから」
横を見ると、教頭先生と事務長も泣き崩れているわ。きっと同じ気持ちなのね。
「みんな、泣かないでくれ! 君達が悪い訳じゃないんだ。そんなことは、布礼愛だって分かっているよ。いや、彼女はとっくの昔に分かっていたんだ。だから、湖路奈を作ってくれたんだよ!」
「え? お姉ちゃんは、こうなることを分かっていたの? それが、どうして湖路奈ちゃんなの?」
そうよね、自分が狙われていることが分かっていたなら、研究を止めて隠れるとか、逃げるとかすれば良かったのに。あ! いや、あの布礼愛お姉ちゃんなら、絶対にそんなことはしないわ。
あたしのお母さんが亡くなった時も、誰も責めなかったの。そして、いっつも楽しいことばかり言ってあたしを元気づけてくれたわ。あれは、あたしに前を見ることだけを教えていたのね。振り返っても、決して自分の為にはならない、次のことを考えるのが大事なんだって……。
「夏野室長! 湖路奈ちゃんって、……布礼愛さんの分身なのね!」
あたしは、今にも崩れてしまいそうなミー先輩を支えながら、布礼愛さんの顔をはっきりと思い出すことができた。
(つづく)
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