エルフ降臨! 美人のエルフィーナは、訳アリ小学校教師になる?

根 九里尾

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09 誕生!エルフの学級 1 (妖精?の羽根)

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「エル、大丈夫か?」


 僕は、心配でたまらなかった。朝の出勤は、一緒に出掛けるようにしているんだ。
 僕は、教頭だから他の職員よりも出勤するのが早いんだ。でも、エルフィーナもそれに付き合ってくれている。

 今日は、着任式・始業式・入学式と続き、最初に子ども達と会う日なんだ。一緒に歩きながら出勤しているところなんだけど、やっぱり心配でしょうがない。


「何が?」

「何がって、始めて子ども達に会うんだぞ。緊張しないのか?」
「緊張? なぜ? 子どもでしょ? ……別に魔物でも、ダンジョンから現れるモンスターでもないでしょうに」

「そりゃそうだが……」

 エルは、落ち着いたものだな。僕なんか、始めて担任をもった時は、不安で不安でたまらなかったのを覚えているよ。


「それより直人、今日はいろんな式とかあって、教室ではあんまり時間が無いようだけど、何をすればいいの?」

「まあ、主に教科書を配れば、終わりなんだが……大事なのは子ども達と、どれだけ仲良くなれるかだろうな……。そこが、これからの1年間を左右するんだ」



「ふーーん、そーか」
 エルフィーナは、何かを考えているようだったが、それ以上は何も言わなかった。

 学校に着いても、周りの先生と話をしながら、教科書など今日配布するものの準備を熱心にするだけだった。






 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 着任式・始業式で、多少はエルフィーナの容姿に注目は集まったが、すぐに式も終わり、主役は1年生の入学式に移っていった。
 6年生にとっては、前年度のうちに練習済みであるので、エルフィーナが何もしなくても、予定通りの行動でうまく入学式を終えることができた。


 ☆☆☆☆☆☆6年2組の学級開きだ。

 僕は、気づかれないように、6年2組の教室の近くまで行ってみた。心配で、居ても立ってもいられなかったんだ。
 ☆☆☆☆☆☆



「エル先生、一緒に行きましょう」
「ありがとうございます、山田先生。支援員の千恵実ちえみ先生は、もう教室ですか?」

「ええ、彼女は子どもの支援が主な仕事なので、休み時間も一緒にいることが多いんだ」
「大変ですね」
「その分、授業中は、少し楽をさせてあげないとな」
「気をつけます……」


「さあ、ここが6年2組だ。教室では、君がメインの指導者だ。誰にも遠慮はいらない、思い切ってやってくれ。そのうえで、助けてほしいことは、遠慮なく僕や千恵実先生に言ってくれ、わかったね」

「はい」





 ☆☆☆☆☆☆☆
 あーあ、山田先生、あんなこと言って大丈夫かな~。もっと傍で見てあげたいけど、僕が教室の近くでウロチョロしてると、子ども達も落ち着かないからなあ~。
 この辺からだったら、大丈夫かな………。
 ☆☆☆☆☆☆



「みなさん、おはようございます。改めて、今年1年間、どうぞよろしくお願いします。エルフィーナです」



「………………………………」

 子ども達の反応はなかった。誰一人、口を開くものはいなかった。



「では、教科書など、新学期に必要なものを配っていきます。山田先生や千恵実先生もお願いいたします」
「わかりました……」


「山田先生! 自分で持って行っていいですか?」
「あ、ああ、うん………………」

「……………………」



 ☆☆☆☆☆☆
 あー、山田先生が、困ってるなあ~。どうしたんだ? 学級の子ども達がなんか変だなあ。助けに行った方がいいかな…………。
 ☆☆☆☆☆☆



「いいわよ、どうぞ。自分達でお手伝いしてくれるのね、わかったわよ……」

「……ふん……」



 ☆☆☆☆☆☆☆
 わあー、何人かがエルの手から教科書を持っていったぞ……。後の子は、積んであるものを勝手に配り始めた……大丈夫かな……。
 あーー、心配だなあ~
 ☆☆☆☆☆☆☆



「ありがとうね、思ったより早く終わったわ……さすが6年生だわ」

「……………………」




 ☆☆☆☆☆☆☆
 やっぱり、誰も答えない。雰囲気悪いな~。
 ふぇーー心配だよーー。
 助けに行った方がいいかなあ~あ~…………。

 あれ? 1人の女の子がエルフィーナに近寄って、話しかけてるぞ。
 ☆☆☆☆☆☆☆



「先生?……先生は……妖精なの?」



 ☆☆☆☆☆☆
 あの女の子は、周りの子とは違うぞ。なんの屈託もなく、まっすぐな目でエルフィーナと目を合わせてる。
 エルフィーナも当たり前のように、女の子の質問を真剣に考えてるみたいだ。
 ☆☆☆☆☆☆



「妖精? ……あなた達からみれば妖精なのかな。でもね、どうして、妖精ってわかったの?」

「だって、先生の背中には、5枚もの羽根がついてるんだもの!」

「そっか、やっぱり美穂みほちゃんには、見えたんだね!」

「あれ? 先生、私のこと知ってるの?」

「もちろん知ってるよ、橋本美穂はしもと みほちゃんでしょ。素直ないい子よ。何でも一生懸命に頑張る子、とっても優しい子なのよね」

「どうして知ってるの?」

「花村先生がね、大好きだって言ってたのよ、だから私も大好きになったの」



 ☆☆☆☆☆☆
 あ、ここで、授業終了のチャイムが鳴った。
 ☆☆☆☆☆☆



「それじゃ、今日は、これでおしまいにしましょう。明日からこの6年2組32名の学級で、一緒に勉強していきましょうね。よろしくお願いしますね。気を付けて帰るのよ……」











 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「エル先生、びっくりしたでしょう?」
「え、山田先生、何がです」

「美穂ちゃんは、私が担当している子なんですが、時々不思議なことを言うんです。勉強が苦手なんですが、友達とのコミュニケーションもあんまり上手じゃありません。でも、学級のみんなは、美穂ちゃんのことをとても大事に思っていて、いつも仲間に入れてくれたり、かばってくれたりします。不思議なことを言っても決して馬鹿にしたりしないんですよ」

「そうなんですか」



「前の担任の花村先生は、そういうところが厳しくて、人の気持ちを大切にしないと、自分も大切にしてもらえないと、いつも言っていましたよ……」


「私も見ててエル先生が、自然に美穂ちゃんの言葉に合わせてあげていて素敵だったなあ、なんか嘘じゃないような気になって、思わず背中を見ちゃったの。でも、私には見えなかったんだけどね」

「千恵実先生にだって、そのうちに見えると思うわ。私を信じていてもらえればね」

「そっか……。気長に待つことにするね、ちゃんと信じてね」

「ありがとう」




(つづく)
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