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38 エルフィーナの手が押したもの 2(そうさせたもの?)
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「上尾参謀、降参しますよ。意地悪言わないで、教えてくださいよ~」
いつもの調子で校長先生は、文共局の参謀にも親し気に話しかけたんだ。
それを聞いた、僕は内心ハラハラしながら、「申し訳ありません、私どもには分かりかねます……」と、妙に丁寧な言い方をして、相手の出方を待つことにした。
上尾参謀は、中肉中背の極めて特徴のないサラリーマンタイプの人だが、四角い眼鏡とその奥の細い眼は、相手を緊張させる武器になっていると思った。
「あははは……教頭先生、そんなに緊張しないでくださいよ。普段は、こんな分析はね、滅多にしないんですから……でもね…………」
上尾参謀は、四角いレンズの奥の細い目に力を入れ、もう一度、校長先生と僕を見てから口元を緩め笑顔になった。
そして、向井さんから自分も資料を受け取り、しみじみ眺めはじめた。
………………………
「子ども達に行ったアンケートの中で、大山里小学校の6年2組だけが100%の項目があったんですよ。そして、それは、全国でも他にはなかったんです」
「え! うちの学校だけですか?……いったいそれは、どういうものですか?」
僕は、早く聞きたくて前のめりになってしまった。
「簡単なアンケートですよ……1つは、“誰かの役にたったことがあるか?”で、もう1つは……」
「え? 1つじゃないんですか?」
「まあ、教頭先生、落ち着いてください。……もう1つは、“学校は、楽しいか?”です。」
「ああーー。そうですか」
妙に納得した校長先生を見て、今度は逆に上尾参謀が、少し焦って説明を続けた。
「あのー、普通は、どちらのアンケートも、ABCDの4段階で回答し、大体AとBが混じるものなのです。まあ、どちらかと言うとBの評価が多くなりますよね。そうですよね、人間ですから“だいたい○○○”とか“おおよそ○○○”のような解答になります。ところが、この学校の6年2組だけは、全員が“A”の解答だったんです。全員が“誰かの役に立っていると感じていて”全員が“学校が楽しい”と思っているんです」
「うーーん」
まあ、僕にしたら納得なところはあった。
「やっぱりだ、なあ向井君。局のみんなは“そんなのたまたまだ”と言っていたけど、私は感じたんだよ。この2つのアンケート結果は、何か関係があるんだ。いや、絶対大切な秘密があるんだ。今の校長先生と教頭先生の反応を見て、確信した。あなた達は、この結果は、当然だと思っていたんでしょ?……どんな秘密があるんですか……私に教えてください」
上尾参謀は、細い目を見開いて、校長先生と僕に迫ってきた。
「いやあーー困ったなあ。ねえ、素田教頭先生……僕達には、何もわからないしねえ……」
「……はあ……」
僕も校長先生も、曖昧な返事で誤魔化そうと思ったんだ。
「いや、大丈夫です……。こんな大切なことをすぐに教えてもらえるとは、思ってませんから。だから勝手に調べさせてもらいます……いいですね!」
上尾参謀は、職務というよりは、自分の説が正しいかどうかを証明したいというのが本心のように見えたが、その心意気は傍目にも純粋に感じる部分さえあった。
「仕方ありませんね、文共局の上尾さんにそう言われては…………どうぞお好きなように。ただ、子ども達の邪魔だけはしないでくださいね」
校長先生は、いつものようにあっさり認めて、何でも協力すると約束したんだ。そして、いつものように、その仕事は、教頭である僕に任されることになった。
「では、来週1週間調査に入りますから、この向井君をよろしく頼みます」
と、言って文共局の2人は帰って行った。
「え? 校長先生、1週間も調査するんですかね……」
「そうらしいな……いったい何をするのやら」
「しかも、上尾さん本人がするのかと思ったら、推進指導係の向井さんが来るらしいですね。今日は、一言も話してなかったけど……大丈夫でしょうか?」
「さあ……まあ、何とかなるかな………」
(つづく)
いつもの調子で校長先生は、文共局の参謀にも親し気に話しかけたんだ。
それを聞いた、僕は内心ハラハラしながら、「申し訳ありません、私どもには分かりかねます……」と、妙に丁寧な言い方をして、相手の出方を待つことにした。
上尾参謀は、中肉中背の極めて特徴のないサラリーマンタイプの人だが、四角い眼鏡とその奥の細い眼は、相手を緊張させる武器になっていると思った。
「あははは……教頭先生、そんなに緊張しないでくださいよ。普段は、こんな分析はね、滅多にしないんですから……でもね…………」
上尾参謀は、四角いレンズの奥の細い目に力を入れ、もう一度、校長先生と僕を見てから口元を緩め笑顔になった。
そして、向井さんから自分も資料を受け取り、しみじみ眺めはじめた。
………………………
「子ども達に行ったアンケートの中で、大山里小学校の6年2組だけが100%の項目があったんですよ。そして、それは、全国でも他にはなかったんです」
「え! うちの学校だけですか?……いったいそれは、どういうものですか?」
僕は、早く聞きたくて前のめりになってしまった。
「簡単なアンケートですよ……1つは、“誰かの役にたったことがあるか?”で、もう1つは……」
「え? 1つじゃないんですか?」
「まあ、教頭先生、落ち着いてください。……もう1つは、“学校は、楽しいか?”です。」
「ああーー。そうですか」
妙に納得した校長先生を見て、今度は逆に上尾参謀が、少し焦って説明を続けた。
「あのー、普通は、どちらのアンケートも、ABCDの4段階で回答し、大体AとBが混じるものなのです。まあ、どちらかと言うとBの評価が多くなりますよね。そうですよね、人間ですから“だいたい○○○”とか“おおよそ○○○”のような解答になります。ところが、この学校の6年2組だけは、全員が“A”の解答だったんです。全員が“誰かの役に立っていると感じていて”全員が“学校が楽しい”と思っているんです」
「うーーん」
まあ、僕にしたら納得なところはあった。
「やっぱりだ、なあ向井君。局のみんなは“そんなのたまたまだ”と言っていたけど、私は感じたんだよ。この2つのアンケート結果は、何か関係があるんだ。いや、絶対大切な秘密があるんだ。今の校長先生と教頭先生の反応を見て、確信した。あなた達は、この結果は、当然だと思っていたんでしょ?……どんな秘密があるんですか……私に教えてください」
上尾参謀は、細い目を見開いて、校長先生と僕に迫ってきた。
「いやあーー困ったなあ。ねえ、素田教頭先生……僕達には、何もわからないしねえ……」
「……はあ……」
僕も校長先生も、曖昧な返事で誤魔化そうと思ったんだ。
「いや、大丈夫です……。こんな大切なことをすぐに教えてもらえるとは、思ってませんから。だから勝手に調べさせてもらいます……いいですね!」
上尾参謀は、職務というよりは、自分の説が正しいかどうかを証明したいというのが本心のように見えたが、その心意気は傍目にも純粋に感じる部分さえあった。
「仕方ありませんね、文共局の上尾さんにそう言われては…………どうぞお好きなように。ただ、子ども達の邪魔だけはしないでくださいね」
校長先生は、いつものようにあっさり認めて、何でも協力すると約束したんだ。そして、いつものように、その仕事は、教頭である僕に任されることになった。
「では、来週1週間調査に入りますから、この向井君をよろしく頼みます」
と、言って文共局の2人は帰って行った。
「え? 校長先生、1週間も調査するんですかね……」
「そうらしいな……いったい何をするのやら」
「しかも、上尾さん本人がするのかと思ったら、推進指導係の向井さんが来るらしいですね。今日は、一言も話してなかったけど……大丈夫でしょうか?」
「さあ……まあ、何とかなるかな………」
(つづく)
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