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12・お誘い※
しおりを挟む麗華さんと一緒に住めば、どうなるかなんとなく予想は付いていた。
『ギィ……ギシィ……』
「はっ、んん……希さん、大丈夫ですか?」
「だ、だいじょぶ……れす」
麗華さんに跨って腰を振る僕。
覚えたての営みの快楽に二人して溺れている。今日は騎乗位で動いて欲しいという要望に応えている最中である。
「はぁ……気持ち良いですか?」
「んっ……はい、きもちぃ……うららかさんの、おっきくて、奥まで届いて……はぁ、んぅ」
「……もっと俺を感じてください」
お尻を鷲掴まれて、突き上げる腰の動きと共に腰を動かされる。
「んんっ、あぁっ、はげしい……んっ」
「希さん、希さん……愛しています」
「あっ、んん……は、ぼく、僕も、すき、あぁぁ」
麗華さんに揺さ振られながら、僕はそのままガクガクと腿を痙攣させながらイってしまった。
僕のその様を見て麗華さんも僕のナカで果てる。
「はぁ、はぁ……」
「希さん……」
「ふぇ?」
「もう一回」
「え? え? ひゃぁ!?」
この後、三回戦程ヤり、ヘトヘトになってしまった。
若い性欲は凄まじいな。
「希さん、朝ですよー起きてください」
「う、うん……」
翌朝、麗華さんの声に起こされて、ベッドの上で伸びをする。
「おはようございます」
「おはよぉ……ざます」
「身体、大丈夫ですか?」
「……筋肉痛かも」
太腿がツキツキする。
運動不足を実感させられる。
毎日ヤってるわけではないが、昨日みたいに激しい夜を過ごしたら翌日は何処かしら筋肉痛になっている。
「朝食の準備出来てますから、食べましょう」
「はい」
麗華さんが用意してくれた食事を摂った後、二人で一緒に片付けをして、仕事に行く準備を整える。
麗華さんが化粧をする様子を眺めているとみるみるうちに美しい女性に変貌していく。
これは毎日見てるけど、全然飽きない。教育番組の蛹の羽化を眺めてる気分だ。
「希さん、俺の顔ばかり見ていて楽しいですか?」
「麗華さん綺麗だから」
「あらやだぁ~お上手。もう……ほら、ネクタイ曲がっていますよ」
「ありがとう」
麗華さんに身嗜みを整えてもらい、二人で出勤する。
ああ、ダメになりそう。こんなに甘々な生活でいいのだろうか。
幸せすぎて怖い。
ずっと一緒に居たいけど、引っ越しの目処が立ったら僕はココを出て行かなければならない。
いつまでも居候は出来ないし、麗華さんにも迷惑がかかる。
けど、離れたくないな。
「どうしました? 希さん」
「え? あ、なんでもないです」
「そうですか? なんか元気がないように見えたんですが」
「気のせいです」
「なら、いいんですけど……」
電車に揺られながら、心情も揺らいでいる。
この幸せな時間が終わらなければいいのに。
そんな願いとは裏腹に物件探しは順調に進んでいく。
「引っ越し?」
「うん。ちょっとヤバい事あって、引っ越す事にした」
佐々木さんに、ヤバい事の所為で付き合ってくれた晩御飯ゲネが不発だった事を伝えた。
「あれだけ付き合わせておいて、不発かい!」
心底呆れた声色でため息を吐かれる。
僕だって不本意だ。
けれど、仕事から帰って夕飯や休みの日にご飯は作れているのは、練習のおかげだ。
自炊のスキルは向上した。
居候の身でこれ以上麗華さんにおんぶに抱っこで居るわけにはいかないし。
「電車に乗る時間短縮するのに会社に出来るだけ近いとこ探しててさ。そしたらちょうど良いとこあったんだ」
「……良い事なのに、なんでそんな落ち込んでるんだよ」
「いや、今さ……恋人の家に転がり込んでて」
「は?」
「ヤバい事が起きたから部屋に居たくなくて……」
佐々木さんがドン引きしているのを感じる。分かる。
「今、居候中なんだけど、引っ越し目処立ったら出てかなきゃならなくて……」
「あーあーあー、なるほど。一緒に居たいのか」
「……簡単に言えば、そうです」
「一緒に住もうとか、同棲しようって言えばいいだろ」
でも、そんな事言って麗華さんの迷惑にならないだろうか?
僕と住むメリットってなんだ? お互い家事も出来るし、料理もそこそこ。恋人だからといって一緒に暮らす必要もない。
『一緒に暮らしましょう』と言って『え? なんで? 嫌です』って返されたら、立ち直れない気がする。
僕の不安を察したように、佐々木さんが僕の頭を軽く小突く。
『コツン』
「何考えてるか知らないけど、無駄な心配してねえで、男ならガツンと行けよ。ダメならダメな理由潰せ」
佐々木さんの言葉にハッとさせられる。
「(……そうだよ。僕がウジウジ考えていたって、何も解決しない。僕は麗華さんと一緒に暮らしたい……ただ、それだけ。麗華さんにメリットを求めてるわけじゃない。存在自体がメリットだし)」
僕の顔つきが変わったからか、僕の背中をバンと叩いて励まされる。
痛い。
※※※
今日は僕の方が帰りが早く、先に帰宅した。
麗華さんが帰って来る前に僕はお風呂の準備とご飯の準備を終える。
「(……なんだか新婚みたいだな)」
などと考えて配膳を済ませてソファに座って待っていると麗華さんの声が聞こえてきた。
玄関に行くと靴を脱いで揃えている麗華さんの背中が見えた。
「(このアングルだと本当に妻の帰り出迎える旦那みたいだ)」
「あ、ただいま」
「おかえり。お風呂沸いてますよ」
「ありがとうございます」
例の三択を麗華さんに言う必要はない。
麗華さんは一にお風呂、二に食事と流れが決まっているからだ。三に僕が入ったのは最近だ。
お風呂に入った麗華さんを待っている間、リビングでテレビを見てボーッとする。
暫くして、ホカホカした様子で戻ってきた麗華さん。
「希さん、お待たせしました」
「いえいえ、今日もお疲れ様でした」
キッチンの食卓で向き合いながら食事を摂り始める。
今日の献立は生姜焼きにキャベツの千切り、味噌汁と白米。
美味しそうに食べてくれる麗華さんに胸が暖かくなる。
食後はお茶を飲みながらゆったりとした時間を過ごす。
今日あった出来事を話しながら穏やかな時間を過ごした後、そろそろ同棲について聞いてみようかと口を開けるも、上手く言葉が出て来ず、麗華さんがそんな僕の様子に首を傾げた。
「希さん?」
「麗華さん、あの、その……」
いざ聞こうとすると口籠ってしまう。
やはり、聞くのが怖い。
「どうしました? 何か話があるんですか?」
「……ぁ……はい」
「なんですか?」
ああ、駄目だ。やっぱり聞けない。
『一緒に住みませんか?』なんて言ったらやっぱり、迷惑じゃないか?
断られてもおかしくない。契約期間とかもある。急過ぎるし、手続きも結構あるし、そもそも僕の自己満足だし……そんな考えばかりがグルグル回って、言い出せない。
僕が黙っていると、麗華さんが困ったように眉を下げた。
ああ、言わないと。言わないといけないのに。
そう思えば思う程、声が出なくなる。
麗華さんはうーんっと顎に指を当てながら、何やら考えているようだ。
「あーー待ってください。当てますから、言わないで」
「!」
僕の顔をじっと見つめた後、麗華さんはニッコリ笑って僕に告げた。
「セックスの頻度が高いから少し控えたい……とか?」
「ち、違います!!」
良い笑顔で言う事ではないだろう!
確かに頻度は高いけど、不満はない。むしろ幸せでしかない。
僕はブンブンと勢いよく首を振る。
すると、麗華さんがホッと安堵のため息を吐いた。
「なんだ、違うんですか。じゃぁ……アレかな。俺が作るご飯が口に合わないとか?」
今度はションボリとしながら呟くが、それも全然違う。
「そんなわけないです! 麗華さんのご飯はいつも美味しいですし、毎日頂きたいぐらいですよ!」
僕の言葉を聞いて、一瞬目を丸くした後、僕の反応が面白かったらしくニンマリと
なんか恥ずかしい。穴があったら入りたい気分だ。
そんな僕を余所に麗華さんはクスクスと笑っていた。
「毎日は疲れるんで、交代制にしましょう」
「あ、そうですね……」
「献立の相談してから予算内に収められるようにあーだこーだ言ってケチな買い物しないとですね」
「はい。ちゃんと節制はしな、い……と」
あれ? なんだ、この会話……?
「…………麗華さん」
「はい?」
「なんか察してません?」
「さぁ?」
絶対分かってるだろ。
どうやら、僕が言いやすいように誘導してくれていたようだ。
「敵わないな……」
「なんの話ですか?」
「僕と同棲しませんかって話です」
「……はは、なんだ。俺と同じ事考えてたんですね」
やっぱり、と言いたげに満足そうな表情で笑う麗華さんに、僕はチラチラと様子を伺いながら恐る恐る尋ねる。
「言っておいてこう言うのもおかしいんですが、本当にいいんですか?」
「家事が分担出来て楽になりますし、希さんと居ると楽しいし、美味しいご飯も作ってくれるし、良いこと尽くめなので、断る理由がありませんよ。最も、それら全部無くても、希さんが居てくれるなら俺はそれで充分ですけどね」
「……っ、僕も麗華さんが側に居てくれるなら、それが一番嬉しいです」
僕達はお互いに顔を見合わせて、照れくさそうに笑い合った。
そして、物件探しは振り出しに戻り二人入居可のマンションを探すことになった。
家賃を折半出来る上に、僕と麗華さんの収入を考えれば、今よりグレードアップした部屋に住めるだろうが、良い部屋が理想の部屋というわけではないので、二人で話し合って決めた。
それから、必要な物を揃えたり、引っ越し業者を手配したりと忙しくしているうちにあっと言う間に時間が過ぎていった。
不動産に行って内見や住所変更の手続きやら、色々あり、やっと落ち着いた頃には季節はすっかり春になっていた。
「この狭いベッドも寝納めですね」
「……この密着具合が無くなるのは寂しいです」
「俺も」
新居のベッドはセミダブルで、今までの物と比べると余裕がある。
こんな落ちないように抱き締め合って眠る事もなくなるのかと思うと少し残念だったりする。
「…………ぅう……ムラムラする」
「僕らの頻度が高いのって密着度が高かったからですかね?」
「そうかもしれませんね。けど、我慢します」
「はは……当分はお互いお預けですね」
そう言うと、麗華さんはギュッと両目を瞑り、顔をクシャっと歪ませた後、僕の胸に顔を押し付けてきた。
その日の夜はお互いの温もりを感じながら眠りについた。
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