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おまけ
7:悪い男
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俺、戸村 勇には、トラウマがある。
運良く顔パーツの配置が整っている俺は、それなりに恋愛経験を積む事が出来た。
しかし、終わりはいつも同じ。最中にしてしまう顔の所為で相手を怖がらせてしまっていた。
好きな人に怯えられるショックは、相当キツい。恋心が冷めても無いのに別れを切り出されるのも辛かった。
友人の紹介で左藤 文也と出会った。先輩だったけど、気安くて面倒見の良い人。
本人はあまり自覚は無いけれど、可愛い仕草をするから渋い見た目とのギャップがすごかった。
初めて男を好きになった。卒業する前に玉砕覚悟で告白したら、まさじゃのOKだった。
それからの日々は順風満帆。
文也は、すごい素直に好意を伝えてくれる。キスが好きなのに、俺との行為に順応して顔を見ないようにしてくれていた。
けれど、文也にだって俺の顔を見たい欲求がある。歴代の元カノと一緒だ。
大丈夫大丈夫と言っていたのに、結局全員と破局した。
大好きな文也と別れるリスクが発生するなら、絶対に見せるべきではないと思っていた。
けれど、文也は文也なりに俺のトラウマに歩み寄ってくれた。
「お前が見たくなるように、俺は俺で頑張るから」
一緒に暮らしていれば、強引に見る事も盗撮だって可能なのに、俺の意思を尊重してくれた。
その自力の歩み寄りが、どれほど嬉しかったことか。
キスが好きなのに、最もして欲しい時に俺は後ろにいる。もどかしくて仕方ないだろうに。
何やら意気込んでいる文也だったが、俺は長期出張で家を空ける事になってしまった。
いつもなら、二、三日の調整で済むんだけど、今回は技術者つきっきりでお世話しないといけない機械が同行している。
「一ヶ月も出張とか……はぁぁ」
「こっちの持ち寄り機材だからなぁ。トラブったら一ヶ月じゃ済まないし」
「けど、戸村先輩まで駆り出さなくても……」
「そこなんだよねー。部門一緒だけど、別チームなのにココにいる」
同僚の女性と話していたが、やはり疑問があった。
理由は思ったより単純でどうしようもない事。
「顔?」
「すまん。戸村の顔、先方がエラい気に入ってて。ザ・好青年って感じで」
「俺は清涼剤って事ですか!?」
「……すまん。けど、技術の腕は確かだからサポートして欲しいんだ」
「わかりました……」
顔面接待業技術者……愛想振り撒いてさっさと帰ろう。
泊まる場所は、用意された社宅をお借りする事に。
食事と寝泊まりだけ。
文也とのメールのやり取りで心を癒しながら、ベッドにもぐる。
二週間後、文也から通話をしたいと連絡を受けた。俺も声が聞きたい。断る理由も無い。
無難な会話から始まったが、文也の吐息が荒くなっていた。
俺の声聞いて興奮したらしい。俺もだけど。
『ごめん。電話越しなのに……』
「別に良い。恋人に欲情されて悪い気はしないさ」
『はぁ……勇、あのさ』
「なに?」
『…………お、れ、今からオナニーするから、声……聞いてて、くんない?』
とんでもないお願いだった。即了承した。
電話越しに聞こえる喘ぎ声に勃たないわけがない。
切な気に俺を呼ぶ文也。俺を想って尻に指入れて、あのエロい顔をしてるのか。
自分のを扱きながら、夢中で聞き入っていた。
スッキリしつつも、寂しさが募る。
通話は毎夜行った。
そしてたまにテレフォンセックスをしたのだが、コレは文也の作戦か?
『ぁ、あッ、勇……好き、好きぃ』
「はぁ……文也、もっと声聞かせて」
『ふぅ、んんぅ、あッ、あああ!』
文也の顔が見たくてたまらない。
どんな顔で、俺の事想って自慰に耽ってるんだ。
抱きたい。キスしてやりたい。気持ち良くしてやりたい。
もっともっと、愛してやりたい。
『ひぅ……うっ、んん』
「イった?」
『イ、ってる……ぁ、あっ、奥が、きゅんきゅんする……とどかなぃ』
「…………俺ので突かれたい?」
『んっんっ……キスしながら、奥に挿れられたい……ぁ、あっ! 勇ので、イきた、いっ!』
「っ文也……」
妄想の中だけでも、俺は文也を犯しまくっているようだ。考えただけで、甘イきしている文也に、そろそろ俺は我慢の限界だった。
しかし、俺の思い虚しく、トラブルが起きてしまった。
機械の不具合。原因を探って解決するのに三日かかった。文也成分が枯渇して死にそうだ。
出張から帰っても延長した分の仕事の皺寄せが押し寄せて家に帰れなかった。
今こうしてる間にも、文也は俺を恋しがっているんじゃないかと悶々としてしまう。
会社のトイレで、エロい顔の文也の写真見て抜いてしまった。徹夜だから、性処理はこうでもしないと出来ないんだ。
やっと帰れる……フラフラしながら、懐かしの我が家へ帰宅して、シャワーを浴びてから寝室へ行くと……目元の赤い文也が縮こまって眠っていた。
「……ッ……」
自分の目が、一気に鋭くなっていく感覚。止められない。
喉奥から、獣のような低い唸り声が漏れていく。
眠っている文也の上に四つん這いで跨り、寝顔を堪能しようとしたら……不意に自分の口端からヨダレが垂れている事に気付く。
マジの獣じゃん。
『ドクン……ドクン……』
「ぅ……ゔ、ゔぁ」
文也にアイマスクをつけて、スルリとパジャマの下の皮膚に手を這わせる。
後ろに触れると、柔らかい。先程まで自慰をしていたのだろう。
「(寂しい思いさせて……帰ってきたら、寝込み襲うって……ヤバいよ俺)」
文也なら許してくれるって、どこかで思ってるから、こんな暴挙に出れるんだ。
都合の良い変な信頼だな。
文也が目を覚ました後、罪悪感もあって、いつものように顔を見たいというお願いに拒絶出来なかった。
俺が、勇の顔見たいって気持ちもあったから……一瞬だけ、目を合わせた。
しかし、その一瞬で……文也は、極まっていた。
「勇、すご……カッ……コィ」
「んぅ!?」
初めて言われた。初めての反応だった。初めて……勇の顔見た。
写真で見た物より、ずっとエロくて、可愛らしい。
ヤっていてわかったのは、勇が本当に俺の顔が好きって事だった。
寝落ちした文也を風呂に入れて後処理をしてから布団に一緒に入る。
ああ……文也、悪い男に捕まったなぁ。
運良く顔パーツの配置が整っている俺は、それなりに恋愛経験を積む事が出来た。
しかし、終わりはいつも同じ。最中にしてしまう顔の所為で相手を怖がらせてしまっていた。
好きな人に怯えられるショックは、相当キツい。恋心が冷めても無いのに別れを切り出されるのも辛かった。
友人の紹介で左藤 文也と出会った。先輩だったけど、気安くて面倒見の良い人。
本人はあまり自覚は無いけれど、可愛い仕草をするから渋い見た目とのギャップがすごかった。
初めて男を好きになった。卒業する前に玉砕覚悟で告白したら、まさじゃのOKだった。
それからの日々は順風満帆。
文也は、すごい素直に好意を伝えてくれる。キスが好きなのに、俺との行為に順応して顔を見ないようにしてくれていた。
けれど、文也にだって俺の顔を見たい欲求がある。歴代の元カノと一緒だ。
大丈夫大丈夫と言っていたのに、結局全員と破局した。
大好きな文也と別れるリスクが発生するなら、絶対に見せるべきではないと思っていた。
けれど、文也は文也なりに俺のトラウマに歩み寄ってくれた。
「お前が見たくなるように、俺は俺で頑張るから」
一緒に暮らしていれば、強引に見る事も盗撮だって可能なのに、俺の意思を尊重してくれた。
その自力の歩み寄りが、どれほど嬉しかったことか。
キスが好きなのに、最もして欲しい時に俺は後ろにいる。もどかしくて仕方ないだろうに。
何やら意気込んでいる文也だったが、俺は長期出張で家を空ける事になってしまった。
いつもなら、二、三日の調整で済むんだけど、今回は技術者つきっきりでお世話しないといけない機械が同行している。
「一ヶ月も出張とか……はぁぁ」
「こっちの持ち寄り機材だからなぁ。トラブったら一ヶ月じゃ済まないし」
「けど、戸村先輩まで駆り出さなくても……」
「そこなんだよねー。部門一緒だけど、別チームなのにココにいる」
同僚の女性と話していたが、やはり疑問があった。
理由は思ったより単純でどうしようもない事。
「顔?」
「すまん。戸村の顔、先方がエラい気に入ってて。ザ・好青年って感じで」
「俺は清涼剤って事ですか!?」
「……すまん。けど、技術の腕は確かだからサポートして欲しいんだ」
「わかりました……」
顔面接待業技術者……愛想振り撒いてさっさと帰ろう。
泊まる場所は、用意された社宅をお借りする事に。
食事と寝泊まりだけ。
文也とのメールのやり取りで心を癒しながら、ベッドにもぐる。
二週間後、文也から通話をしたいと連絡を受けた。俺も声が聞きたい。断る理由も無い。
無難な会話から始まったが、文也の吐息が荒くなっていた。
俺の声聞いて興奮したらしい。俺もだけど。
『ごめん。電話越しなのに……』
「別に良い。恋人に欲情されて悪い気はしないさ」
『はぁ……勇、あのさ』
「なに?」
『…………お、れ、今からオナニーするから、声……聞いてて、くんない?』
とんでもないお願いだった。即了承した。
電話越しに聞こえる喘ぎ声に勃たないわけがない。
切な気に俺を呼ぶ文也。俺を想って尻に指入れて、あのエロい顔をしてるのか。
自分のを扱きながら、夢中で聞き入っていた。
スッキリしつつも、寂しさが募る。
通話は毎夜行った。
そしてたまにテレフォンセックスをしたのだが、コレは文也の作戦か?
『ぁ、あッ、勇……好き、好きぃ』
「はぁ……文也、もっと声聞かせて」
『ふぅ、んんぅ、あッ、あああ!』
文也の顔が見たくてたまらない。
どんな顔で、俺の事想って自慰に耽ってるんだ。
抱きたい。キスしてやりたい。気持ち良くしてやりたい。
もっともっと、愛してやりたい。
『ひぅ……うっ、んん』
「イった?」
『イ、ってる……ぁ、あっ、奥が、きゅんきゅんする……とどかなぃ』
「…………俺ので突かれたい?」
『んっんっ……キスしながら、奥に挿れられたい……ぁ、あっ! 勇ので、イきた、いっ!』
「っ文也……」
妄想の中だけでも、俺は文也を犯しまくっているようだ。考えただけで、甘イきしている文也に、そろそろ俺は我慢の限界だった。
しかし、俺の思い虚しく、トラブルが起きてしまった。
機械の不具合。原因を探って解決するのに三日かかった。文也成分が枯渇して死にそうだ。
出張から帰っても延長した分の仕事の皺寄せが押し寄せて家に帰れなかった。
今こうしてる間にも、文也は俺を恋しがっているんじゃないかと悶々としてしまう。
会社のトイレで、エロい顔の文也の写真見て抜いてしまった。徹夜だから、性処理はこうでもしないと出来ないんだ。
やっと帰れる……フラフラしながら、懐かしの我が家へ帰宅して、シャワーを浴びてから寝室へ行くと……目元の赤い文也が縮こまって眠っていた。
「……ッ……」
自分の目が、一気に鋭くなっていく感覚。止められない。
喉奥から、獣のような低い唸り声が漏れていく。
眠っている文也の上に四つん這いで跨り、寝顔を堪能しようとしたら……不意に自分の口端からヨダレが垂れている事に気付く。
マジの獣じゃん。
『ドクン……ドクン……』
「ぅ……ゔ、ゔぁ」
文也にアイマスクをつけて、スルリとパジャマの下の皮膚に手を這わせる。
後ろに触れると、柔らかい。先程まで自慰をしていたのだろう。
「(寂しい思いさせて……帰ってきたら、寝込み襲うって……ヤバいよ俺)」
文也なら許してくれるって、どこかで思ってるから、こんな暴挙に出れるんだ。
都合の良い変な信頼だな。
文也が目を覚ました後、罪悪感もあって、いつものように顔を見たいというお願いに拒絶出来なかった。
俺が、勇の顔見たいって気持ちもあったから……一瞬だけ、目を合わせた。
しかし、その一瞬で……文也は、極まっていた。
「勇、すご……カッ……コィ」
「んぅ!?」
初めて言われた。初めての反応だった。初めて……勇の顔見た。
写真で見た物より、ずっとエロくて、可愛らしい。
ヤっていてわかったのは、勇が本当に俺の顔が好きって事だった。
寝落ちした文也を風呂に入れて後処理をしてから布団に一緒に入る。
ああ……文也、悪い男に捕まったなぁ。
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