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番外編①
第一話・盃の恋愛事情
しおりを挟む『なんか、思ってたのと違った……』
『格闘技? 結局は殴り合いじゃん』
『ごめん……やっぱ怖ぇわ』
『杯杯多がこんなナヨナヨしたヤツだなんて知らなかった!』
『俺の知ってる盃じゃね!』
『私の好きな盃と違う』
セフレから、交際に発展した事は何度もあった。
誰でも良いってほど心は軽くない。俺も相手が好きだからこそ、交際に発展した。
しかし、俺と過ごすと皆が口々に“違う”と言って俺から離れていった。
社会人として生きる俺、性に奔放な俺、好戦的な俺……相手にとって受け入れられない俺が居れば、破局へ一直線。身体から始まった関係だからこそ、期待されるのは夜ではなく日頃の俺だ。
特に、総合格闘技の大会へ出ている事をカミングアウトした時、毎度怯えられて最悪だった……喧嘩したとしても俺は無闇矢鱈に暴力を振るうつもりはない。子どもじゃあるまいし。
けれど、俺の技量は剥き出しの包丁を持っているようなものだと言われた事があった。
俺の持つ武力が、いつ自分へ振り下ろされるかわからないストレスに耐えかねて、俺から離れていく。
俺は、生来の暴力性を格闘技で発散させている為、リングを離れられない。あの場所がなければ、それこそ包丁を台所ではなく誰かに向けてしまうかもしれない。
杯杯多との交流から発展して交際した場合は、ほぼ一〇〇パーセント……普段の俺に落胆される。
男らしさに欠けた、性にだらしないサラリーマンだ。無理もない。
女性男性、双方と交際しては“違う”と言われて、破局して。
恋愛を諦めて久しい。
ありのままの俺を受け入れてくれる人なんて、この世に居ないのかもしれない。
「盃?」
「!」
そんな事を考えていた三年前の自分に言ってやりたい。
全部愛してくれる男と巡り合うから、悩まずそのまま生きていいって。
「…………」
目の前にいる、この男が。
「どうした? ぼーっとして」
全部、受け入れてくれたんだ。
社会人として生きる俺も、性に奔放な俺も、好戦的な俺も……全てだ。
俺にとって何より嬉しい事を当たり前のように与えて抱き締めてくれた。
「ちょっと考え事」
「なになに? エッチな事?」
「竹葉の事」
「エッチな事じゃん」
「ははは、そうかも」
俺には勿体無いくらいの優しい男。
顔もそこまで悪くないし、声も好みだし……それに何よりも、エロいところが好ましい。
身体を初めて繋げた時から、竹葉は特別だった。最初は相性が良いってだけだったけど、一緒に笑ったり食事をしているうちに……気付かないフリをしていたけど、彼にセフレ以上の感情を抱き始めるのにそう長くはかからなかった。
「竹葉の事、もっと知りたい」
「……初恋は友達のお父さん」
「おおっと! ヤバい情報出てきた!」
俺達は付き合って間もない。まだまだこれからだ。ゆっくりと進んでいこう。
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