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1章:闇に殺された国
番外:配下たち
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「ヒャルゴ様! ヒャルゴ様!」
いくらヒャルゴの背に兵士が呼びかけても振り返ることも、馬の足を緩めることもない。ヒャルゴは悲痛な表情を浮かべたまま、手綱を握るだけ。煤を巻き上げ奔る馬の苦しそうな嘶きが悲しくヒャルゴの耳に届く。それでもヒャルゴは手綱を緩めなかった。
城が見えない距離まで馬を走らせ、ようやくヒャルゴは速度を緩めた。ヒャルゴは振り返り兵士ではなく、見えない城に視線を送った。今すぐにアルロの元にとって返したいと下唇を噛む。
(私だけでも共に行こう、と言ってほしかった)
アルロの声を思い出し、ヒャルゴは悔しさに涙が浮かぶ。言い付けに背きたいがアルロの考えも思いも理解できる。不安そうな兵士の顔には無理な笑みを浮かべ
「お前たちのことは、クヴァシル卿に頼み今後の生活の支障のないようにしてもらう」
と返した。秘書官として、アルロに任された信用のためにヒャルゴは国を家族も国も失ったであろう兵士の気持ちをこれ以上、落とさせないために行動しなくてはいけない。
「そんなことどうでもよいのです!」
ヒャルゴはそのような言葉が返ってくるとは思わなかった。叫んだのは小麦色の頭のいつもは大人しい男だった。目の前の男が叫び声を発したこと、発した言葉にさすがの氷の秘書官も頭が追い付かない。
「俺は、殿下と共にありたいと望んだ者です。ヒャルゴ様も同じでしょ!」
「・・・・・・」
「本当ならあの場に留まり、できることなら共に行きたかった!でも、自分ではあの方の足を引っ張ってしまい、自分の存在が障害となるから」
「おまえ」
言葉を失うヒャルゴを無視して、小麦の男は城の方角に視線を動かした。黒く焦げた大地から煤が風に乗り舞う。灰色に雲る空がより汚く不吉に見え、男の気持ちを収縮させる。
「怖いんです。俺、怖いです。でも俺たちが待っていたらあの方は戻ってきてくださる、そう思います」
どんどん弱くなる声にヒャルゴは目を閉じ
「そうだな」
と小さく返すことしかできなかった。
「自分たちが殿下の帰る場所なのだ」
ヒャルゴは自分にも言い聞かせ、戻りたいと疼く手で手綱を握りこんだ。
(戻ってはならない。私は言われた地で殿下をお迎えせねばならないのだ)
ヒャルゴは振り返っていた馬を戻し手綱を捌いた。馬は嫌がるように嘶くが、すぐに主人の意を汲み奔り出す。ヒャルゴはひかれる後ろ髪を振り払い、約束の地に向かう。
奇跡と希望はあると信じ
いくらヒャルゴの背に兵士が呼びかけても振り返ることも、馬の足を緩めることもない。ヒャルゴは悲痛な表情を浮かべたまま、手綱を握るだけ。煤を巻き上げ奔る馬の苦しそうな嘶きが悲しくヒャルゴの耳に届く。それでもヒャルゴは手綱を緩めなかった。
城が見えない距離まで馬を走らせ、ようやくヒャルゴは速度を緩めた。ヒャルゴは振り返り兵士ではなく、見えない城に視線を送った。今すぐにアルロの元にとって返したいと下唇を噛む。
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と返した。秘書官として、アルロに任された信用のためにヒャルゴは国を家族も国も失ったであろう兵士の気持ちをこれ以上、落とさせないために行動しなくてはいけない。
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「・・・・・・」
「本当ならあの場に留まり、できることなら共に行きたかった!でも、自分ではあの方の足を引っ張ってしまい、自分の存在が障害となるから」
「おまえ」
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「怖いんです。俺、怖いです。でも俺たちが待っていたらあの方は戻ってきてくださる、そう思います」
どんどん弱くなる声にヒャルゴは目を閉じ
「そうだな」
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