前世江戸町奉行

ジロ シマダ

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本編‗伊勢山田奉行時代

現代高校生から奉行へ変換

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この世には不思議があふれている

時には異世界に転生

時には異世界に転移

時には過去に逆行

時には未来に順行

 そして前世へ



 共通する理は2つある。
”世界、時を渡るものは元の世界では死んでいるか失踪しているかのどちらかであること”
”世界、時を渡ったものが元の場所に戻ってもそこは平行世界であること”

 歴史は変えることができず、ただただ分岐点ごとに平行世界が広がるという理を歪める存在が現れた。どこで誰が産み出したかわからない魔鏡まきょうを手に歴史改変者れきしかいへんしゃがどんどんと人の魂を消し去っていく。魔鏡まきょうの力は【完全なる魂の消滅】、その力を手にした歴史改変者れきしかいへんしゃに殺されたものの魂は消滅しそれは未来にも影響を及ぼす。前世の魂が死ぬのではなく消滅したことにより未来の魂の存在が不明確になり歴史の修正力が働き、そのものは死んでしまうのだ。

 魔鏡まきょうを手に楽しんでいる歴史改変者れきしかいへんしゃは1人の男の子に反撃を受けた。歴史改変者れきしかいへんしゃは砕け散り自分の手から消えた魔鏡まきょうと、ぼろぼろになった自分に驚愕した。力が入らない体にしてきたであろう倒れている男の子を忌々いまいまし気にみながら姿を消した。

 歴史改変に待ったをかけた男の子の名は大岡忠義のちの大岡忠相である。しかし歴史改変者れきしかいへんしゃの攻撃を受けた忠相の魂は砕けかけ、それを1体の半神半妖 八咫が守護し消滅を免れなんとか体を保っていた。
八咫は割れた魔鏡まきょうと弱った歴史改変者れきしかいへんしゃと強い魂の持ち主である忠相の来世、つまり歴史の修正力に殺されかけた現代高校生の朝比奈に大岡忠相に降りて歴史改変者れきしかいへんしゃと戦うように言った。

 朝比奈はもちろん断ったが復活すればまた歴史改変者れきしかいへんしゃの魔の手が伸びて大切なものが死ぬかもしれないという八咫やたの言葉に戦うことを決意した。慣れない江戸を生きながら、八咫やたからもらった神力と妖力の鍛錬たんれんに励む日々が多く過ぎて朝比奈が忠相になってから早15年が経過しようとしていた。



 そんな忠相21歳は街道沿いの茶屋で団子を食べながら思った。

ーなぜ俺はこの年で奉行をやっているのだろう

忠相は早くも伊勢山田奉行に着任していた。あまりにも早い出世にやっかみもすごいと忠相はげんなりしながら、日々の務めを果たす毎日に辟易する。ただ非番の時はこうしてのんびりできることはうれしいことだと年より臭いことを思い空を見上げた。
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