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アナザールート その36 side 夕立 フラッシュバック
しおりを挟む今回もエロはございません…
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お兄さんが、立ち去った後。頭から金髪のウィッグを外し、ベッドに横たわる時雨ちゃんのウィッグも外してあげた。
これで僕らは男の娘の夕立と時雨ではなく、ただのハルカとカオルだ。
食欲もぜんぜん無かったけれど、消耗した体力を補う為にお兄さんがくれたビニール袋の中にあった、ゼリー食品・・・ウィ○インゼリーを有り難くいただくことにして、封を切り、中身を無理やり飲み込む。
カオル君にも栄養補給…せめて水を飲ませてあげたかったけれど、相変わらず意識は戻らず、ただグッタリとベッドに横たわったままで水さえ飲んでくれそうには見えない。
いったん諦めてカオル君の傷の手当を•••ジャージを脱がせて身体中の傷を消毒し、化膿止めになる抗生物質入りの軟膏を塗りこんだ。
こんなものまで用意してくれたお兄さんには頭が下がる。
心の中で手を合わせながら使わせて貰った。
カオル君の手当てをしながら、自分の身体に少しずつ変調か起きていることを自覚していた。
何かのスイッチが切れたように、急激な疲労感が襲いかかる。
手足が鉛のよう重い。
あまりにも激しい疲労感で、途中何度も気が遠くなりかけた。
それでも、何度かカオル君の身体にもたれるようにして手当てを終えていった。
全てを終えて、カオル君にジャージを着せ終えるともう動けなかった。
本当なら二段ベッドの上に登って休むべきなのはわかっていた。
だけど、今の僕にはそれは登山のよう感じられて、とても登れる気がしなかった。
「カオル君、隣ごめんね。」
だから、悪いとは思いながらカオル君の隣に横になって、一枚の毛布を分けあって眠りにつく。
カオル君の体温、吐息を感じながら眼を閉じると、僕はあっという間に眠りに落ちていった。
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泥のような深い眠り、消耗し切った身体はただひたすらに睡眠を求めていた。
それを破ったのは、カオル君の絶叫だった。
「うああああああああああああああぁ!!!」
カオル君は、両手で頭を抱え、背中をそらすようにして絶叫している。
それは、お兄さんが言っていた禁断症状だ。
1年前、あのパーティーに参加させられた先輩にそっくりだった。
「カオル君•••」
名前を呼びながら手を伸ばす。
「もうやだぁあああ!!」
カオル君は僕の手を振り払い、泣きながらベッドの端まで這いずって、頭を抱えてうずくまる。
「もうやだぁ•••、こんなのやだぁ•••許してよ•••助けて•••、まけをぉ•••負けを認めます•••、認めますからぁ•••」
ああ、この言葉は僕がカオル君を•••時雨ちゃんを壊してしまった時の言葉だ。
おそらく、カオル君は幻覚の中で昨夜のあの時のことをもう一度追体験している。
それはあまりにも残酷なことだった。
あの時の恐怖、痛み、悔しさ、孤独。
例え幻覚であっても、夢の中でも、二度とあんな思いはしたくない。
なのに、カオル君は幻覚の中であの時の中に閉じ込められ、あの時の体験が繰り返しフラッシュバックし続けている。
「ごめんなさい•••ごめんなさい•••、生意気でごめんなさい•••、口ごたえしてごめんなさい•••、男の娘でごめんなさい•••」
カオル君はベッドの隅っこで頭を抱えて縮こまり、泣きながら謂れのない懺悔を繰り返す。
カオル君の目には、今でも、あの仮面を被った大人達、そして嬉々として自分を嬲った僕の姿が映っているのだろうか。
「雌犬奴隷の…時雨です。僕の身体を…お好きなだけ、オモチャに・・・してください。」
透明なガラス玉のような目をしてあの時の言葉を繰り返す。
そんな痛々しいカオル君を見ていられない。
僕はカオル君にゆっくりと近づいて、抱き締めた。
それでどうにかなる訳がない事はわかっていたけれど、抱き締める事で伝えられる何かがある。お兄さんが僕を抱き締めてくれたように。
だから、それを伝えたかった。
「いやぁああああああああ゛あ゛あ゛!!!、許して!・・・ゆるじてぇ!!・・・ゆるしてぇええええ!!!!」
だけど、それはカオル君の心には届かない・・・
カオル君は恐怖でパニックを起こし、僕の腕の中でがむしゃらに暴れ、泣きながら許しを乞い続ける。
僕とカオル君の体格は似たようなものだ。
カオル君に本来の力で抵抗されたなら、そうそう押さえ込めるはずが無い。
けれど、僕の腕の中でもがくカオル君は驚くほど弱々しくて、僕は易々とカオル君を抱きしめた。
昨夜、あれほど泣き、身体中の体液を絞り出され、何度も何度も、気絶するまで、気絶しても、起こされてまたイかされた。
そして、あれから食事はおろか、水さえも口にしていない。
もう、体力が限界なんだ…
カオル君のあまりの弱々しさが悲しくて、瞳から涙が溢れる。
カオル君は今日を生きることができるのだろうか?
「もし死んじまったら、警察なんかに届けるなよ、死体はこっちで始末する。」
そんな、店長の言葉を思い出し、全身が不安と恐怖で凍りついた。
「カオル君・・・カオル君・・・」
僕は泣きながらカオル君を抱き締めて、その名を呼び続けた。
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