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Episode7.恋だった。
暴露である。
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やきもちなんて今までの私にはなかった感情である。
私の中にたくさんの新たな感情を芽生えさせる梓に対する、ある種の恐怖心のようなものを持ちつつも、彼の方に顔を向ける。
するとその瞬間、私の唇に柔らかいものが当たった。
私の視界には、離れていく梓の真っ赤な顔が写っていた。
やっと今起こったことを理解したとき、
「じゃあさっさと帰ろうぜ!」
と梓は言って私の手と自分の手を繋ぎとめて歩き出した。
そう言った彼の顔も真っ赤で口に手を当てていたが、私はなにも言わずに、
「……っ……はい……」
とだけ言ってついていった。
翌日、勘の良い人に悟られないよう別々に登校した私たちは、人だかりの出来ている掲示板を見た。
なにか学校で新たなイベントでもあるのかな?
そう思って背伸びしてまで掲示板を見ると、キスする男女と手を繋いで歩く男女という2枚の写真が貼られていた。
どちらも同じカップルのようだ。
だがその上に書かれた文字を見た瞬間に私たちは凍りついた。
『2年生の成績TOP2の2人は恋人!?』
前回の中間テストの成績は、1位猪瀬梓、2位和泉葵である。
少し離れたところで同時に凍りついた私たちは、ぎこちない動きながらも互いに目を見合わせた。
ちょうど私たちが同じタイミングでそれを見たことに気が付いたクラスメートの男子が、手にマイクを持っているようなふりをして梓に尋ねた。
「お二人が付き合っているというのは本当ですか!?」
「いや……ちょ……っ」
「学年……いや、学校内の人気者、梓くんと、地味な和泉さんのカップルなんて、女子の皆さんが悲しんでますよ?」
「いやぁー梓くーん!」
「そんな女に騙だまされちゃだめよー!」
いかに梓が女子に愛されているか身をもって感じるほど女子の悲鳴が聞こえた。
その中でも、どうしてあんな女と……というような声が多い。
私はその居心地の悪さからさっさと早足で学校に入り、自分の席に座った。
だがどこか騒がしい。
そうだ、私の席は窓際だった。
自分の席から思わず人の群れを見下ろしていたが、ずっと梓は人に囲まれたまま。
私のことには誰も気付かず、梓はしどろもどろになって違うってば……そう弁明していた。
私は男子に興味本位で質問攻めにされ、梓ファンの女子になんでなんでと悲鳴をあげられ戸惑う梓がどうにもかわいそうに思ってしまった。
同時に、可愛いなとまで思ってしまった。
そしてついつい教室を飛び出し、マフラーを外すのも忘れたまま梓の元へと走って行った。
いきなりの私の再登場にざわつく。
「おおーと、彼女さんご登場!」
一気に人の波が私の方へとやって来た、と同時に梓も私の隣に来てくれた。
「葵ちゃん! なんでもう一回来ちゃったの! 俺に任せて……」
「みなさん! 私、和泉葵は! 梓さんと! お付き合いさせていただいてます!
釣り合っていない? そんなこととっくのとうに身をもって感じています!
ですが、私が彼のことが好きなことは嘘ではありません!
どうか……彼のことだけを……攻めないで……」
久々に大声を出して過呼吸のようになってしまった私の肩を抱き、梓が言う。
「てことで、俺らのことはほっといてくれるかな?」
その困ったように眉を下げた笑顔に、女子はみんなやられていた。
仕方ないなぁ、といった様子ではあるが、渋々頷いてくれた。
その女子の反応を見ていた男子は、お互いに顔を見合わせて、
「し、仕方ねぇなぁ……」
「ま、まぁ女の子が言ってるんだもんな……」
女子は梓に、男子は女子に嫌われないようにという心の中が見えたが、とりあえず私たちの恋愛騒動は幕を閉じた。
……と思ったのは、大きな間違いだったのかもしれない。
私たちは堂々と宣言したおかげで、堂々と交際することができるようになった。
思い切って暴露してしまったが……まあ結果オーライだ。
私は彼と一緒にいられる時間が増えて、嬉しいばかりであった。
私の中にたくさんの新たな感情を芽生えさせる梓に対する、ある種の恐怖心のようなものを持ちつつも、彼の方に顔を向ける。
するとその瞬間、私の唇に柔らかいものが当たった。
私の視界には、離れていく梓の真っ赤な顔が写っていた。
やっと今起こったことを理解したとき、
「じゃあさっさと帰ろうぜ!」
と梓は言って私の手と自分の手を繋ぎとめて歩き出した。
そう言った彼の顔も真っ赤で口に手を当てていたが、私はなにも言わずに、
「……っ……はい……」
とだけ言ってついていった。
翌日、勘の良い人に悟られないよう別々に登校した私たちは、人だかりの出来ている掲示板を見た。
なにか学校で新たなイベントでもあるのかな?
そう思って背伸びしてまで掲示板を見ると、キスする男女と手を繋いで歩く男女という2枚の写真が貼られていた。
どちらも同じカップルのようだ。
だがその上に書かれた文字を見た瞬間に私たちは凍りついた。
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少し離れたところで同時に凍りついた私たちは、ぎこちない動きながらも互いに目を見合わせた。
ちょうど私たちが同じタイミングでそれを見たことに気が付いたクラスメートの男子が、手にマイクを持っているようなふりをして梓に尋ねた。
「お二人が付き合っているというのは本当ですか!?」
「いや……ちょ……っ」
「学年……いや、学校内の人気者、梓くんと、地味な和泉さんのカップルなんて、女子の皆さんが悲しんでますよ?」
「いやぁー梓くーん!」
「そんな女に騙だまされちゃだめよー!」
いかに梓が女子に愛されているか身をもって感じるほど女子の悲鳴が聞こえた。
その中でも、どうしてあんな女と……というような声が多い。
私はその居心地の悪さからさっさと早足で学校に入り、自分の席に座った。
だがどこか騒がしい。
そうだ、私の席は窓際だった。
自分の席から思わず人の群れを見下ろしていたが、ずっと梓は人に囲まれたまま。
私のことには誰も気付かず、梓はしどろもどろになって違うってば……そう弁明していた。
私は男子に興味本位で質問攻めにされ、梓ファンの女子になんでなんでと悲鳴をあげられ戸惑う梓がどうにもかわいそうに思ってしまった。
同時に、可愛いなとまで思ってしまった。
そしてついつい教室を飛び出し、マフラーを外すのも忘れたまま梓の元へと走って行った。
いきなりの私の再登場にざわつく。
「おおーと、彼女さんご登場!」
一気に人の波が私の方へとやって来た、と同時に梓も私の隣に来てくれた。
「葵ちゃん! なんでもう一回来ちゃったの! 俺に任せて……」
「みなさん! 私、和泉葵は! 梓さんと! お付き合いさせていただいてます!
釣り合っていない? そんなこととっくのとうに身をもって感じています!
ですが、私が彼のことが好きなことは嘘ではありません!
どうか……彼のことだけを……攻めないで……」
久々に大声を出して過呼吸のようになってしまった私の肩を抱き、梓が言う。
「てことで、俺らのことはほっといてくれるかな?」
その困ったように眉を下げた笑顔に、女子はみんなやられていた。
仕方ないなぁ、といった様子ではあるが、渋々頷いてくれた。
その女子の反応を見ていた男子は、お互いに顔を見合わせて、
「し、仕方ねぇなぁ……」
「ま、まぁ女の子が言ってるんだもんな……」
女子は梓に、男子は女子に嫌われないようにという心の中が見えたが、とりあえず私たちの恋愛騒動は幕を閉じた。
……と思ったのは、大きな間違いだったのかもしれない。
私たちは堂々と宣言したおかげで、堂々と交際することができるようになった。
思い切って暴露してしまったが……まあ結果オーライだ。
私は彼と一緒にいられる時間が増えて、嬉しいばかりであった。
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