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Episode2.温もりだった。
本気である。
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今私の隣には楓だけがいる。
梓は風呂に入っていて、おばさんはまた店に戻った。
自作の単語カードを見ながらぶつぶつ呟いている私は気にせず、マニキュアとペディキュアを塗り、パックしている。
その姿に目が止まり、じっと見ていると、
「塗ってみる?」
とマニキュアを差し出された。
それは青くてきらきらしていたが、学校があるのでと断る。
すると奥から蝶の形をしたボトルを持ってきた楓は、
「これ、水で流すだけで落ちるから塗ってみな?」
「やったことないので……」
「んじゃ私が塗るから、手出して」
言われるがままに手を差し出すと丁寧にマニキュアを塗られていく。
うっすら水色でつやつやしていて綺麗だった。
「ちょっとオーディションの練習してみよっか」
いきなり提案してきた楓は真顔でオーディションに対する本気が窺えた。
ついその熱意に動かされてしまい、楓の部屋に入った。
「水着審査あるらしいからこれ着てみて、私のだけど」
部屋のクローゼットから引っ張り出されてきた水着は上品な青……藍色と言うのだろうか? を基調とし、そこに真っ赤なハイビスカスの花とつやのあるパールがあしらわれている。
楓に後ろを向いていてもらい、水着に着替えたが、
「ちょっと胸だけが苦しいです……」
「うわー超絶理想体型じゃん! ウエスト細っ脚長っうらやましいっ」
褒めちぎられているが気の利いた言葉は返せない。
そんな私に不快感を感じる様子でもないような楓がまたメイクとヘアメイクを施してくれる。
青いアイシャドウと真っ赤なリップを塗っただけだがかなり印象は違ってみえる。
ここまで見ていて、楓が青が好きだということがわかるだろう。
髪は私のウェーブを活かしてポニーテール。
真っ黒髪だからお団子は似合わないか……と考えてくれ、この髪型になった。
「ほい、完成っ」
「ありがとうございました……」
「あーのね、実はこれが本題なんだけど、梓のことどう思う?」
ずばっと来た本題に戸惑いつつも、
「頭が良くて人気のある方だと思います」
「そういうことじゃなく。異性として好き? 嫌い?」
やっぱりそっちなのか、と思った。
こういうことを聞かれたこともからかって以外はなかったので、真面目に聞かれてしまうと模範解答がイマイチわからない。
なので正直に今の気持ちを話した。
「私なんかを梓さんのような人気のある人が好きだなんて冗談だと思っています。
私ははっきり言って梓さんのことを好きとも嫌いとも思っていません」
「あらー梓もかわいそうな子だねぇ」
そんな同情したようなことを言ってはいるものの面白がっているようだ。
にやにやしていて、嬉しそうである。
これ本人に言わないでくださいね、と言うと、わかったわかったと雑に返事をされた。
ひとしきり笑った楓はいきなり真面目な表情になり、
「でもね、あいつけっこう本気だと思うよ? あんなんで女性経験0なはず」
「そうなんですか!?」
「うん。本気で好きな人なんてほぼ出来たことないと思うし」
私の中でかなり梓に対するイメージが変わった。
今までは女子をとっかえひっかえしていて、女子みんなに好きだよーなんて言っちゃう人だと思っていた。
だが話を聞いてちゃんと女子のことを考えていて、一途だということを知った。
……まあ元のイメージもひどかったけれど。
「そういうことだから、ちゃんとあいつのこと考えてあげてね?」
そう苦笑いする楓は弟思いの良い姉の顔をしていた。
姉弟の絆に感動していると、下の階から『ボディソープとタオルー!』という叫び声が響いて来た。
はいはーい、と応えた楓だったが、いきなり腹を押さえてトイレへ駆け込んだ。
「ご、ごめん、めっちゃ腹痛……っ!
悪いんだけど、お風呂の横の棚にあるタオルとボディソープの詰め替え持ってお風呂の梓に届けてくれない?
服はそのまま水着で良いから、お願い!」
「は、はいっ」
私は楓の申し訳ないと思う気持ちに動かされ、1階の風呂の前まで走っていった。
梓は風呂に入っていて、おばさんはまた店に戻った。
自作の単語カードを見ながらぶつぶつ呟いている私は気にせず、マニキュアとペディキュアを塗り、パックしている。
その姿に目が止まり、じっと見ていると、
「塗ってみる?」
とマニキュアを差し出された。
それは青くてきらきらしていたが、学校があるのでと断る。
すると奥から蝶の形をしたボトルを持ってきた楓は、
「これ、水で流すだけで落ちるから塗ってみな?」
「やったことないので……」
「んじゃ私が塗るから、手出して」
言われるがままに手を差し出すと丁寧にマニキュアを塗られていく。
うっすら水色でつやつやしていて綺麗だった。
「ちょっとオーディションの練習してみよっか」
いきなり提案してきた楓は真顔でオーディションに対する本気が窺えた。
ついその熱意に動かされてしまい、楓の部屋に入った。
「水着審査あるらしいからこれ着てみて、私のだけど」
部屋のクローゼットから引っ張り出されてきた水着は上品な青……藍色と言うのだろうか? を基調とし、そこに真っ赤なハイビスカスの花とつやのあるパールがあしらわれている。
楓に後ろを向いていてもらい、水着に着替えたが、
「ちょっと胸だけが苦しいです……」
「うわー超絶理想体型じゃん! ウエスト細っ脚長っうらやましいっ」
褒めちぎられているが気の利いた言葉は返せない。
そんな私に不快感を感じる様子でもないような楓がまたメイクとヘアメイクを施してくれる。
青いアイシャドウと真っ赤なリップを塗っただけだがかなり印象は違ってみえる。
ここまで見ていて、楓が青が好きだということがわかるだろう。
髪は私のウェーブを活かしてポニーテール。
真っ黒髪だからお団子は似合わないか……と考えてくれ、この髪型になった。
「ほい、完成っ」
「ありがとうございました……」
「あーのね、実はこれが本題なんだけど、梓のことどう思う?」
ずばっと来た本題に戸惑いつつも、
「頭が良くて人気のある方だと思います」
「そういうことじゃなく。異性として好き? 嫌い?」
やっぱりそっちなのか、と思った。
こういうことを聞かれたこともからかって以外はなかったので、真面目に聞かれてしまうと模範解答がイマイチわからない。
なので正直に今の気持ちを話した。
「私なんかを梓さんのような人気のある人が好きだなんて冗談だと思っています。
私ははっきり言って梓さんのことを好きとも嫌いとも思っていません」
「あらー梓もかわいそうな子だねぇ」
そんな同情したようなことを言ってはいるものの面白がっているようだ。
にやにやしていて、嬉しそうである。
これ本人に言わないでくださいね、と言うと、わかったわかったと雑に返事をされた。
ひとしきり笑った楓はいきなり真面目な表情になり、
「でもね、あいつけっこう本気だと思うよ? あんなんで女性経験0なはず」
「そうなんですか!?」
「うん。本気で好きな人なんてほぼ出来たことないと思うし」
私の中でかなり梓に対するイメージが変わった。
今までは女子をとっかえひっかえしていて、女子みんなに好きだよーなんて言っちゃう人だと思っていた。
だが話を聞いてちゃんと女子のことを考えていて、一途だということを知った。
……まあ元のイメージもひどかったけれど。
「そういうことだから、ちゃんとあいつのこと考えてあげてね?」
そう苦笑いする楓は弟思いの良い姉の顔をしていた。
姉弟の絆に感動していると、下の階から『ボディソープとタオルー!』という叫び声が響いて来た。
はいはーい、と応えた楓だったが、いきなり腹を押さえてトイレへ駆け込んだ。
「ご、ごめん、めっちゃ腹痛……っ!
悪いんだけど、お風呂の横の棚にあるタオルとボディソープの詰め替え持ってお風呂の梓に届けてくれない?
服はそのまま水着で良いから、お願い!」
「は、はいっ」
私は楓の申し訳ないと思う気持ちに動かされ、1階の風呂の前まで走っていった。
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