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Episode4.ライバルだった。
可愛い系男子である。
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低身長ながらもいきなりのいけめん族の登場に、女子たちも頬を赤らめつつ視線を交わし合って呆然とする。
私もそのあまりの変わりように目を丸くした。
「あ、あなたっ誰なのよっ」
完璧にパニックに陥っている女子1人が震える声で尋ねる。
それはここにいる全員が聞きたいことである。
その質問を聞いたいけめん族は、自分を親指でぐっと指してにかっと白い歯を見せた。
どこか怪しげではあるが、そんな仕草1つ1つがかっこ良く見えるのはなぜだろうか。
「俺は1年1組の如月 茜。バスケ部」
「ずいぶん背低いねぇ、何?なの?」
こんなに背低いのにバスケ部。
きっとぜんぜん上手くなれずレギュラーにはなれないんだろうな、なんて勝手に失礼なことを考えていた。
子供扱いされてむっとした表情を見せ、
「今は150?だけど、俺の成長期はこれからだからな!」
と胸を張った。
高1男子が150?とは……かなり低い。
そんなやり取りをじっと見ていた女子のうちの1人が手をぽんと叩いた。
「なーんか見覚えあるなって思ってたけど思い出した!
あのバスケ部の小さなエース、『地味ちびくん』でしょ!?」
「そっその名前で呼ぶなっ」
地味でちびだから地味ちびくん……ネーミングセンスがなさすぎる。
そんなことを考えていたとき、茜は睨んでこう言った。
「俺はあんたらと仲良くおしゃべりする気はない。
気が済んだらさっさとどこかへ行け、面倒なやつらだな」
「あたしらのことそんな風に言って良いの?」
「同級生の男子に頼めば君なんて一撃なんだけどなぁ」
「かっこ良いからってそこは許さないかんね?」
「あんたがこの女の代わりになってくれたら良いけどぉ」
また1人1人話し、今度は茜を脅している。
彼はそれにまったく動じず、冷静に冷めた目で彼女らを見た。
「あんたらどーせ同級生の男子だとか仲間の女子だとかがいないとなんにも出来ない弱いやつらなんでしょう?
そういうの……醜いと思いません?」
「なっ……あ、あなた覚悟しておきなさいよ!」
美しさ、可愛さを人間最大の意義だと思っているらしい女子たちの心は、脅しにも動じない茜の『醜い』という鋭い一言によって崩された。
眉を歪ませ、あからさまにむっとした表情。
そして正論をぶつけられて赤くした顔のまま走ってこの部屋から出て行った。
私は助けてくれた茜にお礼を言ったほうが良いか迷っていたら、茜はぺたんとその場に座り込んでしまった。
慌てて駆け寄って、
「大丈夫ですか……?」
するとこちらをちらと見た茜が目に涙を浮かべた。
口がほにょほにょと歪み、震えている姿を見ると、泣くのを堪えているようだ。
「いや……僕、ああいう人たちに立ち向かったことなくて……。
こ、怖かったぁ、逃げてくれて良かったぁ……」
ほわぁと強張った顔が緩んでいく。
先ほどまでの先輩へのため口やきつい言葉、そして俺という一人称は無理して使っていたようで、実はかなり気弱な1年生だった。
なんというか、ちょっと、可愛い?
ついに泣き出した茜に戸惑い、頭を撫でてあげていたとき、この部屋の扉が勢い良く開かれる。
思い返せば言い争っているとき授業開始のチャイムが鳴っていたので、先生かと思ってびくっとした。
だがそこにいたのはある程度見慣れてきたお顔、梓がいた。
「葵ちゃん……な、なにがあった……?」
状況を理解できていない梓の間抜け面は、女子に立ち向かったかっこ良い茜を見た後だとさらにかっこ悪く見えた。
私もそのあまりの変わりように目を丸くした。
「あ、あなたっ誰なのよっ」
完璧にパニックに陥っている女子1人が震える声で尋ねる。
それはここにいる全員が聞きたいことである。
その質問を聞いたいけめん族は、自分を親指でぐっと指してにかっと白い歯を見せた。
どこか怪しげではあるが、そんな仕草1つ1つがかっこ良く見えるのはなぜだろうか。
「俺は1年1組の如月 茜。バスケ部」
「ずいぶん背低いねぇ、何?なの?」
こんなに背低いのにバスケ部。
きっとぜんぜん上手くなれずレギュラーにはなれないんだろうな、なんて勝手に失礼なことを考えていた。
子供扱いされてむっとした表情を見せ、
「今は150?だけど、俺の成長期はこれからだからな!」
と胸を張った。
高1男子が150?とは……かなり低い。
そんなやり取りをじっと見ていた女子のうちの1人が手をぽんと叩いた。
「なーんか見覚えあるなって思ってたけど思い出した!
あのバスケ部の小さなエース、『地味ちびくん』でしょ!?」
「そっその名前で呼ぶなっ」
地味でちびだから地味ちびくん……ネーミングセンスがなさすぎる。
そんなことを考えていたとき、茜は睨んでこう言った。
「俺はあんたらと仲良くおしゃべりする気はない。
気が済んだらさっさとどこかへ行け、面倒なやつらだな」
「あたしらのことそんな風に言って良いの?」
「同級生の男子に頼めば君なんて一撃なんだけどなぁ」
「かっこ良いからってそこは許さないかんね?」
「あんたがこの女の代わりになってくれたら良いけどぉ」
また1人1人話し、今度は茜を脅している。
彼はそれにまったく動じず、冷静に冷めた目で彼女らを見た。
「あんたらどーせ同級生の男子だとか仲間の女子だとかがいないとなんにも出来ない弱いやつらなんでしょう?
そういうの……醜いと思いません?」
「なっ……あ、あなた覚悟しておきなさいよ!」
美しさ、可愛さを人間最大の意義だと思っているらしい女子たちの心は、脅しにも動じない茜の『醜い』という鋭い一言によって崩された。
眉を歪ませ、あからさまにむっとした表情。
そして正論をぶつけられて赤くした顔のまま走ってこの部屋から出て行った。
私は助けてくれた茜にお礼を言ったほうが良いか迷っていたら、茜はぺたんとその場に座り込んでしまった。
慌てて駆け寄って、
「大丈夫ですか……?」
するとこちらをちらと見た茜が目に涙を浮かべた。
口がほにょほにょと歪み、震えている姿を見ると、泣くのを堪えているようだ。
「いや……僕、ああいう人たちに立ち向かったことなくて……。
こ、怖かったぁ、逃げてくれて良かったぁ……」
ほわぁと強張った顔が緩んでいく。
先ほどまでの先輩へのため口やきつい言葉、そして俺という一人称は無理して使っていたようで、実はかなり気弱な1年生だった。
なんというか、ちょっと、可愛い?
ついに泣き出した茜に戸惑い、頭を撫でてあげていたとき、この部屋の扉が勢い良く開かれる。
思い返せば言い争っているとき授業開始のチャイムが鳴っていたので、先生かと思ってびくっとした。
だがそこにいたのはある程度見慣れてきたお顔、梓がいた。
「葵ちゃん……な、なにがあった……?」
状況を理解できていない梓の間抜け面は、女子に立ち向かったかっこ良い茜を見た後だとさらにかっこ悪く見えた。
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