39 / 94
Episode4.ライバルだった。
0からのスタートである。
しおりを挟む
しばし泣いていたが、少し落ち着いてきたのを見計らって深呼吸をさせた。
「はい、吸って~……吐いて~……吸って~……吐いて~……」
「すぅーはぁー、すぅーはぁー」
時々咳をする茜は苦しそうで、元から涙でびしゃびしゃになっていた瞳にはさらに涙が蓄えられてしまっていた。
過呼吸になってしまう前にどうにかその息を整えることができた。
落ち着いた茜は、過呼吸になるような激しい感情的な涙ではなく、今の自分の周りにある状況を客観的に見て自然と溢れ出す涙を流していた。
今も笑顔を見せているものの、先ほどまでの無理した辛そうな笑顔ではなく、素直に晶子さんとの思い出話を私に語ってくれていた。
「あのとき泣いてた僕に、おばあちゃんはお味噌汁をくれたんです。
家帰ってからじゃないんです、その公園でいつも使っていたお椀に入ったじゃがいもとわかめのお味噌汁飲んだんですよ。
なんでここで泣いてるって分かってお味噌汁持ってきたのって聞いたら……」
晶子さんははははっと豪快に笑ってこう言ったという。
「『あんたがどこでどうしてるかなんておばあちゃんにはすぐに分かるよ。
だって大事な大事な私の孫だもの』って。
それ聞いたとき、なにそれって言いながらすごく嬉しかったのを覚えています」
今まで見たことのないくらい嬉しそうな笑顔。
普通だったら忘れている年齢のことでも、茜はおばあちゃんと~した、おばあちゃんに~と言われたということは鮮明に覚えているらしい。
ずっとそこで茜の話を聞いていたら、小さく晶子さんが呻いた。
みんな同時にばっと晶子さんのほうを見る。
すると彼女の目はぱちっと開き、自分になにが起きているのかわからないとでも言うかのように目をぱちくりさせた。
「私は……どうしたんだい……?」
苦しそうにその体を起こし、頭を押さえて悩む。
そしていきなりふらっと後ろに倒れてしまった。
きっと久々に起き上がったせいでめまいがしたのだろう。
大丈夫、おばあちゃん。
そう言って慌てて体を支えた茜をじっと見つめて、
「ありがとうねぇ。あなた……お名前を教えておくれ……?」
「名前? なに言ってるの、おばあちゃん。僕だよ、茜」
「茜くんって言うのかい……? 優しい子だねぇ、どうしてここにいるんだい?」
「そりゃあもちろんおばあちゃんの様子を見に来たんだよ?」
「おばあちゃん……そうかい、さぞかし素敵なおばあさんなんだろうねぇ。
私みたいな老人は放っておいて、そのおばあさんのお見舞いに行って来たら……」
ずっとおばあさんのところにお見舞いに行ったほうが良いのではないか、茜くんは優しいね、茜くんはどこから来たの?
そうやって茜にたくさんの質問を浴びせた。
それは明らかに初対面の子供への対応であり、自分の孫だという認識がまったくされていないように感じる。
……晶子さんは茜のことをすべて忘れている?
「僕の名前は? 誕生日は? 好きな食べ物は? ……好きなお味噌汁の具は?」
「茜くん、なんでしょう? さっき自分で言ってたじゃない……」
「僕との想い出、おばあちゃん……いや、晶子さんの中にはないの?
そんなわけ、ないよね!? そうでしょう、おばあちゃん!」
「なんで茜くんは泣いているんだい……?」
頬に手を添えて愛おしそうに撫でた後、本当になにもわからないような顔で聞く。
誰かにいじめられたのかい、そんな言葉は茜にとって痛みにしかならない。
「いえ、なんでもありません。
僕最近、身長伸びないなぁって悩んでいて……なにか晶子さんおすすめの身長伸ばす食事とかないですか?」
「そうだねぇ、じゃがいもとわかめのお味噌汁かもしれないねぇ。
思えば昔、知ってる誰かがそのお味噌汁を大好きって言ってくれたっけねぇ」
「晶子さんのお味噌汁、僕にも飲ませてください。
その大好きって言っていた人の喜ぶ顔が見える気がします……」
「だったらすぐに作るよ、また会った時にでも、ね」
じゃあそれを楽しみにしてます、また来ますね、失礼しました。
そう言って足早にこの病室を出て行った。
若干下を向いたまま晶子さんのほうを振り向くこともなく出て行く。
乱暴に力を入れられたドアは、ガチャンという音とともに閉まった。
「では、俺たちも失礼します」
そう言いつつ私たちもこの胸の中は苦しみでいっぱいになっていた。
茜が出て行ったという方向に走って向かうと、公園のブランコに座る茜がいた。
名前を呼んで私はもう1つのブランコに、梓はこのブランコの前にある鉄の柵に腰掛けた。
そのまましばし誰もなにも話さない状況が続いたが、茜が一点をぼーっと見つめたまま話し出した。
「さっきなんで泣いてるのって聞かれたとき、正直におばあちゃん、僕だよ、あなたの孫なんだよって言おうって思ったんです。
でも、どうしても……言えなかった」
こういうときこそ泣くことができない。
人間とはなぜ変なときにだけ涙が出てしまうのだろうか。
「僕が無理矢理孫なんだって言っても、それは押し付けただけになってしまうので。
おばあちゃんと僕の出会いは今日、これからまた想い出を作っていかなきゃだめなんだって気付いたので隠しちゃいました。
いつかまた笑顔でじゃがいもとわかめのお味噌汁を差し出して『茜、今日も学校楽しかったのかい?』そんなおばあちゃんが見られるようにしたいんです。
焦らずゆっくりと、おばあちゃんの記憶を取り戻していきます」
そう語った茜の表情はいつもの可愛らしい表情とはぜんぜん違い、しっかり未来を見つめ、決心した強い意志を持った表情だった。
その瞳は、めらめらと燃えていた。
「はい、吸って~……吐いて~……吸って~……吐いて~……」
「すぅーはぁー、すぅーはぁー」
時々咳をする茜は苦しそうで、元から涙でびしゃびしゃになっていた瞳にはさらに涙が蓄えられてしまっていた。
過呼吸になってしまう前にどうにかその息を整えることができた。
落ち着いた茜は、過呼吸になるような激しい感情的な涙ではなく、今の自分の周りにある状況を客観的に見て自然と溢れ出す涙を流していた。
今も笑顔を見せているものの、先ほどまでの無理した辛そうな笑顔ではなく、素直に晶子さんとの思い出話を私に語ってくれていた。
「あのとき泣いてた僕に、おばあちゃんはお味噌汁をくれたんです。
家帰ってからじゃないんです、その公園でいつも使っていたお椀に入ったじゃがいもとわかめのお味噌汁飲んだんですよ。
なんでここで泣いてるって分かってお味噌汁持ってきたのって聞いたら……」
晶子さんははははっと豪快に笑ってこう言ったという。
「『あんたがどこでどうしてるかなんておばあちゃんにはすぐに分かるよ。
だって大事な大事な私の孫だもの』って。
それ聞いたとき、なにそれって言いながらすごく嬉しかったのを覚えています」
今まで見たことのないくらい嬉しそうな笑顔。
普通だったら忘れている年齢のことでも、茜はおばあちゃんと~した、おばあちゃんに~と言われたということは鮮明に覚えているらしい。
ずっとそこで茜の話を聞いていたら、小さく晶子さんが呻いた。
みんな同時にばっと晶子さんのほうを見る。
すると彼女の目はぱちっと開き、自分になにが起きているのかわからないとでも言うかのように目をぱちくりさせた。
「私は……どうしたんだい……?」
苦しそうにその体を起こし、頭を押さえて悩む。
そしていきなりふらっと後ろに倒れてしまった。
きっと久々に起き上がったせいでめまいがしたのだろう。
大丈夫、おばあちゃん。
そう言って慌てて体を支えた茜をじっと見つめて、
「ありがとうねぇ。あなた……お名前を教えておくれ……?」
「名前? なに言ってるの、おばあちゃん。僕だよ、茜」
「茜くんって言うのかい……? 優しい子だねぇ、どうしてここにいるんだい?」
「そりゃあもちろんおばあちゃんの様子を見に来たんだよ?」
「おばあちゃん……そうかい、さぞかし素敵なおばあさんなんだろうねぇ。
私みたいな老人は放っておいて、そのおばあさんのお見舞いに行って来たら……」
ずっとおばあさんのところにお見舞いに行ったほうが良いのではないか、茜くんは優しいね、茜くんはどこから来たの?
そうやって茜にたくさんの質問を浴びせた。
それは明らかに初対面の子供への対応であり、自分の孫だという認識がまったくされていないように感じる。
……晶子さんは茜のことをすべて忘れている?
「僕の名前は? 誕生日は? 好きな食べ物は? ……好きなお味噌汁の具は?」
「茜くん、なんでしょう? さっき自分で言ってたじゃない……」
「僕との想い出、おばあちゃん……いや、晶子さんの中にはないの?
そんなわけ、ないよね!? そうでしょう、おばあちゃん!」
「なんで茜くんは泣いているんだい……?」
頬に手を添えて愛おしそうに撫でた後、本当になにもわからないような顔で聞く。
誰かにいじめられたのかい、そんな言葉は茜にとって痛みにしかならない。
「いえ、なんでもありません。
僕最近、身長伸びないなぁって悩んでいて……なにか晶子さんおすすめの身長伸ばす食事とかないですか?」
「そうだねぇ、じゃがいもとわかめのお味噌汁かもしれないねぇ。
思えば昔、知ってる誰かがそのお味噌汁を大好きって言ってくれたっけねぇ」
「晶子さんのお味噌汁、僕にも飲ませてください。
その大好きって言っていた人の喜ぶ顔が見える気がします……」
「だったらすぐに作るよ、また会った時にでも、ね」
じゃあそれを楽しみにしてます、また来ますね、失礼しました。
そう言って足早にこの病室を出て行った。
若干下を向いたまま晶子さんのほうを振り向くこともなく出て行く。
乱暴に力を入れられたドアは、ガチャンという音とともに閉まった。
「では、俺たちも失礼します」
そう言いつつ私たちもこの胸の中は苦しみでいっぱいになっていた。
茜が出て行ったという方向に走って向かうと、公園のブランコに座る茜がいた。
名前を呼んで私はもう1つのブランコに、梓はこのブランコの前にある鉄の柵に腰掛けた。
そのまましばし誰もなにも話さない状況が続いたが、茜が一点をぼーっと見つめたまま話し出した。
「さっきなんで泣いてるのって聞かれたとき、正直におばあちゃん、僕だよ、あなたの孫なんだよって言おうって思ったんです。
でも、どうしても……言えなかった」
こういうときこそ泣くことができない。
人間とはなぜ変なときにだけ涙が出てしまうのだろうか。
「僕が無理矢理孫なんだって言っても、それは押し付けただけになってしまうので。
おばあちゃんと僕の出会いは今日、これからまた想い出を作っていかなきゃだめなんだって気付いたので隠しちゃいました。
いつかまた笑顔でじゃがいもとわかめのお味噌汁を差し出して『茜、今日も学校楽しかったのかい?』そんなおばあちゃんが見られるようにしたいんです。
焦らずゆっくりと、おばあちゃんの記憶を取り戻していきます」
そう語った茜の表情はいつもの可愛らしい表情とはぜんぜん違い、しっかり未来を見つめ、決心した強い意志を持った表情だった。
その瞳は、めらめらと燃えていた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。
前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。
外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。
もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。
そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは…
どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。
カクヨムでも同時連載してます。
よろしくお願いします。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる