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Episode4.ライバルだった。
サプライズ成功である。
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梓の提案によって、私はこの壁全体に真っ黒な絵の具を塗った。
そこに赤や青や黄色、緑と言ったカラフルな蛍光塗料を散らしていく。
今私がいるのは梓の家の今は使っていないという物置部屋。比較的狭い。
ちょうど梓のお母さんも幻想的な世界に浸りたいだとか、プラネタリウムを見に東京に行きたいだとか言っていたということで好都合ではないかと決まったのだ。
もちろん私は申し訳ないので猛反対したが……。
1日目は楓や梓のお母さんに頼み込まれて泊まっていくことになった。
梓が俺の部屋で寝る? などとわけのわからないことを顔を赤くして言ってきたが、
「いえ、楓さんのお部屋にお邪魔させていただくので結構です……」
そう即答した。
そんなやり取りを見て、楓だけでなく、梓のお母さんもぷぷっと笑っていた。
なにも面白いことはないように思えたが……なんだろうか。
次の日は土曜日で学校が休みだったので朝早く起きてお母さんの朝食の準備を手伝ってスクランブルエッグとベーコンをいただいてから再び作業に取り掛かった。
買った新しい真っ黒のカーテンを閉めてみると、黒い壁の中にカラフルに光る丸い光が浮かんでいるようにみえた。
まるでホタルが暗い森の中を飛び交っているよう。
私たちは顔を見合わせて、にっと笑った。
「これだけじゃちょっと寂しいよな……」
「この月のシールなんてどうでしょうか」
アイディアを出しつつ、いろいろと工夫を凝らしていって、最終的に出来たのは。
光る月と星のシール、天井にびっしりと垂れ下げられた金色のテープ、そしていろいろな色の蛍光塗料。
やっぱりプラネタリウムなんかと比べると寂しいが、私たちの愛情は遥かにこもっている! なんて変なことを言ってとりあえず完成ということになった。
そして茜に梓から電話をかけて、明日家に来られるか聞いた。
一応理由としては楓が会いたいと言っている、ということで。
すると、『良いですよ』という返事をもらえたので俄然やる気がみなぎってきた。
……それから1日、茜のサプライズバースデーパーティー当日。
インターホンの音を聞いて、私たちは玄関に飛び出していった。
なぜ私もいるのか不思議そうな顔をされたが、どうにかごまかしておいた。
「お邪魔します……」
「あ、今日うちの中には親いないから気軽に入っちゃって。
んで、こっちついて来て」
すたすたと先を行く梓にぴょこぴょこと小走りでついていく茜。
やっぱり可愛いよなぁと改めて感じる。
事前に光をためておいた部屋のドアを開き、彼を招き入れる。
部屋の中を一周見た茜は、
「わあぁ……! これ、ど、どうしたのですか……?」
感嘆する声をあげた。
それを聞いて内心すごく喜びつつ、私と梓はドアの陰から出て2本ずつクラッカーを鳴らした。
「Happy Birthday! 茜ちゃん!」
「お誕生日おめでとうございます……!」
私たちのお祝いの言葉に驚いているのか、口をぽかんと開けたまま動かなくなってしまった。
だがクラッカーの火薬っぽい臭いを嗅いで、びくっと肩が動いた。
私たちのほうをゆっくり振り返って、なにか言うのか、そう思ったら、
「梓先輩……葵先輩……うわあぁぁ……ん……」
目元に手を当ててえぐっえぐっと泣き出した。
「まさか僕のためにこんなことしてくれるなんて……ううっ……」
大泣きである。
服の袖で拭っているので今頃きっと袖は涙でびしょ濡れだろう。
ずっと泣き続けている茜に対し、苦笑しつつ梓は言った。
「俺らのこと、ちょーっと良く見て?」
「え? ……あ、すごく……綺麗ですね……!」
「メイクとヘアセットは楓担当。
俺らがこんな格好で急に登場したらびっくりするだろって思ったんだ」
私は白いシルクもどき生地のロングドレスにアップにした髪。
ちょっと贅沢に、パールのネックレスなども身に着けている。
梓は裏地が赤いチェック柄になっているおしゃれなスーツ。
襟元には揺れる星のアクセサリーが付いていて、ときどき光を反射する。
なにか感想を一生懸命言おうとしていたが、茜はずっと泣き止まなかった。
元から泣き腫らしていた目は、きっと明日さらにひどくなっているであろう……。
私たちは茜が泣き止むのをゆっくり待ちつつ誕生日ケーキを出した。
抹茶風味の緑色のスポンジとクリームに、ピンク色で桜の形に切り取られたストロベリーチョコレート。
若葉と桜、この春っぽい暖かいデザインは、楓が考えてくれた。
部屋のカーテンを開け、中央に置いた黒いテーブルに取り分けたケーキを並べる。
茜の分だけ『16』というろうそくと、皿の上にバラ型にクリームを絞った。
ハッピーバースデートゥーユーを手拍子とともに歌い、いまだ泣き続ける茜を励ました。
このときの茜は泣きつつもそれは嬉し涙で、すごく輝いている笑顔を見せていた。
私と梓は、サプライズバースデーパーティーが成功したね。
そういう意味を込めて2人でVサインした。
そこに赤や青や黄色、緑と言ったカラフルな蛍光塗料を散らしていく。
今私がいるのは梓の家の今は使っていないという物置部屋。比較的狭い。
ちょうど梓のお母さんも幻想的な世界に浸りたいだとか、プラネタリウムを見に東京に行きたいだとか言っていたということで好都合ではないかと決まったのだ。
もちろん私は申し訳ないので猛反対したが……。
1日目は楓や梓のお母さんに頼み込まれて泊まっていくことになった。
梓が俺の部屋で寝る? などとわけのわからないことを顔を赤くして言ってきたが、
「いえ、楓さんのお部屋にお邪魔させていただくので結構です……」
そう即答した。
そんなやり取りを見て、楓だけでなく、梓のお母さんもぷぷっと笑っていた。
なにも面白いことはないように思えたが……なんだろうか。
次の日は土曜日で学校が休みだったので朝早く起きてお母さんの朝食の準備を手伝ってスクランブルエッグとベーコンをいただいてから再び作業に取り掛かった。
買った新しい真っ黒のカーテンを閉めてみると、黒い壁の中にカラフルに光る丸い光が浮かんでいるようにみえた。
まるでホタルが暗い森の中を飛び交っているよう。
私たちは顔を見合わせて、にっと笑った。
「これだけじゃちょっと寂しいよな……」
「この月のシールなんてどうでしょうか」
アイディアを出しつつ、いろいろと工夫を凝らしていって、最終的に出来たのは。
光る月と星のシール、天井にびっしりと垂れ下げられた金色のテープ、そしていろいろな色の蛍光塗料。
やっぱりプラネタリウムなんかと比べると寂しいが、私たちの愛情は遥かにこもっている! なんて変なことを言ってとりあえず完成ということになった。
そして茜に梓から電話をかけて、明日家に来られるか聞いた。
一応理由としては楓が会いたいと言っている、ということで。
すると、『良いですよ』という返事をもらえたので俄然やる気がみなぎってきた。
……それから1日、茜のサプライズバースデーパーティー当日。
インターホンの音を聞いて、私たちは玄関に飛び出していった。
なぜ私もいるのか不思議そうな顔をされたが、どうにかごまかしておいた。
「お邪魔します……」
「あ、今日うちの中には親いないから気軽に入っちゃって。
んで、こっちついて来て」
すたすたと先を行く梓にぴょこぴょこと小走りでついていく茜。
やっぱり可愛いよなぁと改めて感じる。
事前に光をためておいた部屋のドアを開き、彼を招き入れる。
部屋の中を一周見た茜は、
「わあぁ……! これ、ど、どうしたのですか……?」
感嘆する声をあげた。
それを聞いて内心すごく喜びつつ、私と梓はドアの陰から出て2本ずつクラッカーを鳴らした。
「Happy Birthday! 茜ちゃん!」
「お誕生日おめでとうございます……!」
私たちのお祝いの言葉に驚いているのか、口をぽかんと開けたまま動かなくなってしまった。
だがクラッカーの火薬っぽい臭いを嗅いで、びくっと肩が動いた。
私たちのほうをゆっくり振り返って、なにか言うのか、そう思ったら、
「梓先輩……葵先輩……うわあぁぁ……ん……」
目元に手を当ててえぐっえぐっと泣き出した。
「まさか僕のためにこんなことしてくれるなんて……ううっ……」
大泣きである。
服の袖で拭っているので今頃きっと袖は涙でびしょ濡れだろう。
ずっと泣き続けている茜に対し、苦笑しつつ梓は言った。
「俺らのこと、ちょーっと良く見て?」
「え? ……あ、すごく……綺麗ですね……!」
「メイクとヘアセットは楓担当。
俺らがこんな格好で急に登場したらびっくりするだろって思ったんだ」
私は白いシルクもどき生地のロングドレスにアップにした髪。
ちょっと贅沢に、パールのネックレスなども身に着けている。
梓は裏地が赤いチェック柄になっているおしゃれなスーツ。
襟元には揺れる星のアクセサリーが付いていて、ときどき光を反射する。
なにか感想を一生懸命言おうとしていたが、茜はずっと泣き止まなかった。
元から泣き腫らしていた目は、きっと明日さらにひどくなっているであろう……。
私たちは茜が泣き止むのをゆっくり待ちつつ誕生日ケーキを出した。
抹茶風味の緑色のスポンジとクリームに、ピンク色で桜の形に切り取られたストロベリーチョコレート。
若葉と桜、この春っぽい暖かいデザインは、楓が考えてくれた。
部屋のカーテンを開け、中央に置いた黒いテーブルに取り分けたケーキを並べる。
茜の分だけ『16』というろうそくと、皿の上にバラ型にクリームを絞った。
ハッピーバースデートゥーユーを手拍子とともに歌い、いまだ泣き続ける茜を励ました。
このときの茜は泣きつつもそれは嬉し涙で、すごく輝いている笑顔を見せていた。
私と梓は、サプライズバースデーパーティーが成功したね。
そういう意味を込めて2人でVサインした。
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