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ちょっと我慢すればいい
しおりを挟む驚かれる意味がわからない。この世界ではどの国でも番が一般常識なんだろうか?何だかとてもショックを受けているけど大丈夫だろうか?
そんなことを思っているとギルフォード殿下は気を取り直して咳払いをした。
「コホン、神子様という存在は何か我々と違いお体も特別なのかも知れませんね。ですが私は番だとわかっているので安心して下さい」
そう言われてもわたしには神子も番も何一つ実感はない。そんな不確かなものしかわたしの身分を保証するものがない。今はまだ好待遇だけど、わたしに本当に国を豊かにする力があるかもわからないし、不満を言っていつ手のひらを返されるかわからない。わたしの身の安全は絶対じゃない。
番だからといっていきなり彼のように無条件で好き、愛しているとは思えない。それに日本で生まれ育ったわたしにはあまりスキンシップの習慣もないから昨日からの彼のスキンシップも戸惑うばかりだ。本音を言うと嫌だ。
触られるのは嫌だけど、わざわざ言うほどではない。その一瞬は、嫌だけどちょっと我慢すればいい。
こんなにもてなしてくれる人に、衣食住の面倒を見てもらっているのに文句なんて言えない。
それにわたしはもう彼と結婚しているみたいだし、気まずくなったり嫌われたくない。
だって今のわたしには彼しか頼れる人は居ないんだし。
下手に関係をなくしたらわたしの居場所なんてきっと簡単になくなっちゃう。
夕食は昼食の時よりも彼に話しかけられるくらいには少し余裕が出て来たが、色々考え込んでしまってほとんど味もわからなかった。
夕食を終え、入浴だと言われ自分でやりますからと言ったがここでも聞き入れてはもらえず体を洗われた。
恥ずかしい思いをしながらなんとか入浴と着替えを終えたが、なんだか昨日お城で来た服よりもなんだか薄くてひらひらしていた。
これってルームウェアじゃなくてベビードールってやつじゃないの?ワンピースタイプのルームウェアだったのに。本当にこれであってる?これ着て寝なきゃいけないの?
しかし他に着る物もないので諦めて取り敢えずそのまま寝ることにした。
ベッドサイドの灯り以外の部屋の明かりを落として使用人の人たちが出て行き、ベッドに横になるとすぐに眠気が襲ってきた。
けれど眠いと思うのに眠れない。頭に浮かぶのはこれからのことと家族のこと。
これからこんな生活がずっと続いていくのかなぁ。
そんなことを考えていたらギルフォード殿下の部屋と繋がっているという扉からノック音が響いた。
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