つがいなんて冗談じゃない

ちか

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不在

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 最近、なぜかギルフォード殿下にあまり会わなくなった。

 元々、王弟として公爵として忙しそうにしていたとは言え、お茶会や食事、劇を観に行ったりとわたしとの時間を取るようにしていたのに。

 むしろその時間をたくさん取りたい、ずっと一緒にいたいなど言ってその不満を埋めるかのようにスキンシップも多めだった。

 ところが最近は、お茶会も開かなければ、朝早く出勤し、夜遅くに帰ってくるから食事も一緒に摂ることはないため、あまり顔も合わせないことが続いている。

 何かあったのだろうか?わたしに出来ることは何かないのだろうか?そう思って使用人にギルフォード殿下の様子を聞いたり、伝言を頼んだり、続き扉の隙間からこっそり殿下の部屋に手紙を入れたのだが、音沙汰はなかった。

 そんな日々が二週間ほど続くと、次第に屋敷でのわたしの扱いが雑になって来たように感じた。陰口は前からだし、相変わらずだが、身だしなみを整えてくれる人がなんだか以前ほど丁寧ではなかった。そしてしだいに来なくなって来た。

 また食事の内容も質が落とされた?と思えるものになって来ていた。というか、食事の回数が減って来た。お昼はほぼ呼びに来てくれないし、部屋に持って来てくれるわけでもない。一度、食堂や厨房に行ってみたが、無視された。

 それに以前は四六時中見張り、いえ護衛の方がそばにいたのだが、最近はあまり見かけなくなった。いない時間のが多くなって来たと思う。

 別に豪華な暮らしをしたいわけではないし、護衛の人とずっと一緒だったり、世話を焼かれる方が精神的に疲れるから今の方が楽だ。食事も二食も出してもらえるだけいいと思う。だけど、もしこのまま放置されてもっと酷い状況になってしまったらどうしたらいいんだろう?この世界のことを何知らず、頼れるのは彼だけで彼に見捨てられたらどうしたらいいのか?

 ここまで流されるままだったわたしのせいだ。

 身支度を整えてくれる人やお昼ごはんもなくなり、護衛の人の目を盗んでわたしは屋敷を抜け出した。

 どうしたらいいかわからないけど、衝動のまま外に行った。
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