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時は少し遡って②ギルフォードside
しおりを挟む「はぁ?陛下からの使者だと」
「はい」
「一体何があったというのか」
「構わん、入室を許可する」
そうして一人の男が執務室に入って来た。
「それで用件は?」
「陛下よりこちらをお渡しするようにと」
そう言って使者が差し出したものを見て驚いた。
「これは緊急召集の!」
「はい」
「一体何があったというのだ!」
「私の口からはお伝えすることは出来ません。臨時の会議を開かれることになり、緊急召集の通達がこちらになります」
そう言って彼は俺の側近にそれを渡すなり、素早く退出の挨拶を済ませ執務室を後にした。
「はぁ……一体何なのだ?」
「殿下、こちらを」
そう言って側近は先ほどの通達を渡して来た。目を通すと議題は極秘のためか書かれておらず、日時のみの記載だった。
よほど緊急なのだろう。今日の午後に開かれるという。
通達の紙も縁が赤く染められており、これは何をおいても優先すべき緊急事態の際に使われるものだ。
それだけでもうこの会議の重要を表している。
午後になり、会議棟へと向かった。
*****
「はぁ?真の神子様がお出ましになられただと?」
一体何の悪い冗談だ
神子様の公表をした後に、ギルモア侯爵が緊急に謁見を申し込みをして来たという。
侯爵が言うには、神子様を半年ほど前に自領内で保護したのだという。神子様はとても憔悴したご様子で回復を待っていたため、こちらへの報告が遅れたのだという。
どうして神子様だとわかったのかというと、神子様が回復するにつれ、自領内での収穫量が上がったのだという。ここ数年は不作とまでは行かずともあまり、よくなかったのだという。
それが保護した少女が元気になるにつれ、自領内が豊かになって来たと感じられ、これはきっと伝説の神子様に違いないと思い、陛下へ報告せねばと思っていた矢先に神子様がお出ましになったと公表され、一体どういうことかと思い、このまま報告したのでは我が領内で保護した神子様が不遇な目に遭いかねないと思い独自に調査していたという。
そこで陛下の元に現れた神子様は未だ何の奇跡ももたらしていないということなどを調べ、偽物が陛下を騙していると思い、義憤に燃え、この度、報告に来たという。
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