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全知全能と石相撲
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大きな石のゴーレム。角ばったような体には細かく文字が刻まれており、手足は太く、青い結晶のような物が目の代わりに嵌め込まれている。
「よし、起動しろ!」
ラクリオの言葉に応じるように、ゴーレムの体に刻まれた文字が青白く輝き、青い結晶の目に光が宿った。ゴーレムは僅かに身動ぎして、その目がラクリオの方を見る。
「ちょっと動いてみろ。連携四番」
その命令を聞いたゴーレムが、突然俊敏な動きで手足を振るい出した。空手の型のように決められた動きを、流れるように目にも留まらぬ速さで見せたゴーレムに、僕は息を呑んだ。この質量の物体が、あんな速度で動くというのは驚異的である。
「へへ、どうよ……オラも、中々のもん作るだろ?」
「うん、驚いたよ」
とは言え、これでイシが負けるとは微塵も思えないけれど。
「まぁ、分かってる。こんな程度で勝てるわきゃねぇって話だろ」
黙りこくった僕に、ラクリオは笑った。
「今回で勝ちを拾えるとは、オラも思っちゃいねぇさ……だが、次は、その次は……はたまたその次なら……勝てるかも知れねぇだろ?」
「そう、だねぇ……」
勝てるかなぁ。木人の寿命がどのくらいかは知らないけど、それが尽きるまでにイシに勝てるように……なれば、良いけれど。
「ま、兎も角見てくれよ。オラのゴーレムの雄姿って奴をな……!」
ニヤリと笑みを浮かべて、ゴーレムを連れて出て行ったラクリオ。僕もその後ろを付いて行くと、周りもまたアレかとガヤガヤ話しながら集まり始めた。
「治、来てたのね」
「うん、ついさっきね」
僕の横に並び立ったのは、スイだった。緑色の髪に、琥珀色の目。その手には木製の杖を持っている。
「何よ、先に私に顔を見せてくれたら良いのに」
「あはは、こっちは約束だからさ。ラクリオがまたイシに挑みたいって言うからね」
ふーん、とスイはラクリオと共に歩くゴーレムを見た。
「またアレをやるのね……無理じゃないの?」
「そんなの分かってるよ。ラクリオも」
「それでも、試すのね?」
「失敗から得られる経験もあるってことだね」
僕らが話していると、ラクリオがこちらを向いて目を細めた。
「お前ら……オラが万に一つでも勝つとは思わねぇのかよ。オラはまだちょっと信じてるぞ」
「あはは、イシの強さは僕が一番分かってるからね……僕は、イシを信じてるんだよ」
「ハハッ、なるほどなぁ。そりゃあ良い言い方だ。んじゃ、どっちが勝つか勝負だな?」
「受けて立つよ。イシがね」
この里の戦闘力は意外にも平均的にというか、底が高くて、戦闘担当じゃないラクリオにすら僕は勝てない。何というか、戦闘民族って感じだ。まぁ、生まれた理由を考えれば当然ではあるけどね、ソラに防衛機能として生み出された存在だから。
「よぅし、張り合いが出て来たな……気合い入れて行けよ、お前も」
「……」
ラクリオの言葉に、ゴーレムは無言のまま前に出た。その先に居るのは当然……イシだ。
「イシ、前と同じ感じでお願い。出来るだけ物は壊さないようにね」
僕のお願いに、イシはこくりと頷いて前に出た。
「一応、私が結界は張っとくわ。その中をリングってことにしましょー」
「おぉ、頼んだ! これで、間近で観戦が出来るな!」
「うん、ありがとスイ」
スイは開けた場所に歩くと、その場に杖を突き立てて何かを唱えると、青い広域の結界が展開された。僕とラクリオがゴーレムとイシを結界の中に入れる頃には、結界の周囲には観客の木人達が集まっていた。
「なんか人が集まっちゃったね……」
「まぁ、誰が何人見てようが関係ねぇよ」
毅然と言い放ったラクリオ。僕は頷き、結界の中で向かい合うゴーレム達を見た。
「じゃあ、始めようか」
「おう、行こうぜ」
メラメラと目を静かに滾らせて言うラクリオ。その腕が伸ばされ、指先がゴーレムに向けられると……その大きな体が、動き出した。
「おぉ、動き始めたぞ」
「守護神様は動かないが……」
ゴーレムが、その腕をイシへと真っ直ぐに振り抜いた。
「よっしゃ、行けぇッ!!」
瞬間、ゴーレムの腕から強い青色の光が溢れ出し、その拳の先に青色の魔法陣が浮かぶ。それがイシの体に触れる瞬間にイシの胴体に魔法陣が押し付けられ、そこにゴーレムの拳が直撃した。
着弾。そう表現するのが相応しいような轟音。拳が魔法陣の張り付いたイシの胸に触れると同時に、青い魔力の光が一瞬だけ爆発するように溢れ出した。
「凄い威力……!」
魔道具がそのまま腕になったような、そんな無法さだ。直撃の瞬間を見ただけでも、その威力の程が分かる。魔力の光の眩さに焼かれた目を細めていた僕だったが、目を開いた時には……
「な、なん……」
ラクリオが目を剥く。そこに立っていたのは、無傷のイシだった。
「う、嘘だろ!? 殻蜥蜴すら一撃で倒したんだぞ!?」
「……」
驚嘆するラクリオに一瞥もすることなく、イシは眼前のゴーレムへと踏み出した。
「よし、起動しろ!」
ラクリオの言葉に応じるように、ゴーレムの体に刻まれた文字が青白く輝き、青い結晶の目に光が宿った。ゴーレムは僅かに身動ぎして、その目がラクリオの方を見る。
「ちょっと動いてみろ。連携四番」
その命令を聞いたゴーレムが、突然俊敏な動きで手足を振るい出した。空手の型のように決められた動きを、流れるように目にも留まらぬ速さで見せたゴーレムに、僕は息を呑んだ。この質量の物体が、あんな速度で動くというのは驚異的である。
「へへ、どうよ……オラも、中々のもん作るだろ?」
「うん、驚いたよ」
とは言え、これでイシが負けるとは微塵も思えないけれど。
「まぁ、分かってる。こんな程度で勝てるわきゃねぇって話だろ」
黙りこくった僕に、ラクリオは笑った。
「今回で勝ちを拾えるとは、オラも思っちゃいねぇさ……だが、次は、その次は……はたまたその次なら……勝てるかも知れねぇだろ?」
「そう、だねぇ……」
勝てるかなぁ。木人の寿命がどのくらいかは知らないけど、それが尽きるまでにイシに勝てるように……なれば、良いけれど。
「ま、兎も角見てくれよ。オラのゴーレムの雄姿って奴をな……!」
ニヤリと笑みを浮かべて、ゴーレムを連れて出て行ったラクリオ。僕もその後ろを付いて行くと、周りもまたアレかとガヤガヤ話しながら集まり始めた。
「治、来てたのね」
「うん、ついさっきね」
僕の横に並び立ったのは、スイだった。緑色の髪に、琥珀色の目。その手には木製の杖を持っている。
「何よ、先に私に顔を見せてくれたら良いのに」
「あはは、こっちは約束だからさ。ラクリオがまたイシに挑みたいって言うからね」
ふーん、とスイはラクリオと共に歩くゴーレムを見た。
「またアレをやるのね……無理じゃないの?」
「そんなの分かってるよ。ラクリオも」
「それでも、試すのね?」
「失敗から得られる経験もあるってことだね」
僕らが話していると、ラクリオがこちらを向いて目を細めた。
「お前ら……オラが万に一つでも勝つとは思わねぇのかよ。オラはまだちょっと信じてるぞ」
「あはは、イシの強さは僕が一番分かってるからね……僕は、イシを信じてるんだよ」
「ハハッ、なるほどなぁ。そりゃあ良い言い方だ。んじゃ、どっちが勝つか勝負だな?」
「受けて立つよ。イシがね」
この里の戦闘力は意外にも平均的にというか、底が高くて、戦闘担当じゃないラクリオにすら僕は勝てない。何というか、戦闘民族って感じだ。まぁ、生まれた理由を考えれば当然ではあるけどね、ソラに防衛機能として生み出された存在だから。
「よぅし、張り合いが出て来たな……気合い入れて行けよ、お前も」
「……」
ラクリオの言葉に、ゴーレムは無言のまま前に出た。その先に居るのは当然……イシだ。
「イシ、前と同じ感じでお願い。出来るだけ物は壊さないようにね」
僕のお願いに、イシはこくりと頷いて前に出た。
「一応、私が結界は張っとくわ。その中をリングってことにしましょー」
「おぉ、頼んだ! これで、間近で観戦が出来るな!」
「うん、ありがとスイ」
スイは開けた場所に歩くと、その場に杖を突き立てて何かを唱えると、青い広域の結界が展開された。僕とラクリオがゴーレムとイシを結界の中に入れる頃には、結界の周囲には観客の木人達が集まっていた。
「なんか人が集まっちゃったね……」
「まぁ、誰が何人見てようが関係ねぇよ」
毅然と言い放ったラクリオ。僕は頷き、結界の中で向かい合うゴーレム達を見た。
「じゃあ、始めようか」
「おう、行こうぜ」
メラメラと目を静かに滾らせて言うラクリオ。その腕が伸ばされ、指先がゴーレムに向けられると……その大きな体が、動き出した。
「おぉ、動き始めたぞ」
「守護神様は動かないが……」
ゴーレムが、その腕をイシへと真っ直ぐに振り抜いた。
「よっしゃ、行けぇッ!!」
瞬間、ゴーレムの腕から強い青色の光が溢れ出し、その拳の先に青色の魔法陣が浮かぶ。それがイシの体に触れる瞬間にイシの胴体に魔法陣が押し付けられ、そこにゴーレムの拳が直撃した。
着弾。そう表現するのが相応しいような轟音。拳が魔法陣の張り付いたイシの胸に触れると同時に、青い魔力の光が一瞬だけ爆発するように溢れ出した。
「凄い威力……!」
魔道具がそのまま腕になったような、そんな無法さだ。直撃の瞬間を見ただけでも、その威力の程が分かる。魔力の光の眩さに焼かれた目を細めていた僕だったが、目を開いた時には……
「な、なん……」
ラクリオが目を剥く。そこに立っていたのは、無傷のイシだった。
「う、嘘だろ!? 殻蜥蜴すら一撃で倒したんだぞ!?」
「……」
驚嘆するラクリオに一瞥もすることなく、イシは眼前のゴーレムへと踏み出した。
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