ある日、僕は全知全能になった。

暁月ライト

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全知全能と師事

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 そうして、デザートにギリギリあり付けた後、僕はゴーレムを作る為に家に戻った。とは言え、直ぐに創り始める訳ではない。インスタントのゴーレムは出来るようになったけど、手作業で作るゴーレムは苦手だし、まだまだ知識が足りてない。別に作れはするけど、発展的な内容になると難しいね。

「まだラクリオに習い始めたばっかりだけど……」

 インスタントゴーレムはハッキリ言って魔術的って言うか、今までの常識や技術が通用したから出来たけど、一から作るようなゴーレムはどちらかというと、安堂さんが言っていたような錬金術の分野に近い。魔術的な知識も勿論使うんだろうけど、それだけじゃ通用しない部分が余りにも多いということだ。

「まぁ……何とかなるかなぁ」

 着替えることなく部屋でうだうだしていた僕は、そのまま裏世界に飛んだ。

「あー、治様!」

「ん、おはよう……でも無いか。今日も元気で何よりだよ」

「ふふふ、元気だよー」

「あはは、良かった良かった」

 にこにこと元気に笑ってこちらに話しかけて来た若い女の子に、僕も笑い返して返事をした。見た目よりも純朴に見える少女だが、そもそも木人達の中に子供というのを見たことが無い。一応、神樹から生まれた生え子で、木人同士で生まれたら生まれ子みたいな話は聞いたし、生殖の概念がありそうなんだけど、どういう仕組みなんだろう。

 ……流石に聞けないけど。

「ラクリオ、どこに居るか知ってる?」

「んー、知らないけど、作業場じゃない?」

「まぁ、だよねぇ……行ってみるよ」

「うん、またねー!」

 僕も挨拶を返して手を振り返し、今度会った時は流石に名前でも聞こうと考えた。言葉を交わすのは三、四回目くらいだけど、いつまでも名前も知らないまま話してるってのもアレだしね。というか、木人の名前は全員覚えるくらいするべきなんだろうか。

「……っと」

 考えている内に、僕は作業場に辿り着いた。一応は公共施設だったらしいが、今では殆どラクリオが占領していると言っても良い。お陰で、新しく作業場が出来るんだとラクリオが言っていた。それを証明するように、作業場は原型を留めないほどに改造されており、外には何体ものゴーレムが壁にもたれ掛かるようにして置かれている。
 そんなちょっと物々しい作業場の入り口に立った僕は、取り敢えず大声で呼んでみることにした。

「おーい、ラクリオーっ! 居るかなー!?」

 すると、奥の方から荒っぽく返事が返って来た。さっさと来いとのお達しだった。

「よいしょっと」

 比較的開けている作業場の外の部分から、スライド式の大きな扉を開けて素材やら未完成のゴーレムやらが転がっている作業場の中の方に入ると、ラクリオが奥の方で台の上に寝かされたゴーレムを弄っているのが見えた。

「やぁ、ラクリオ。今日も来たよ」

「おう、今日も教えてやんよ。その前に、ちょいと作業を片付けるから待ってろい」

「うん、そこに並んでるのとか観察しとくよ」

 再び扉を開けて、作業場の外に出されているゴーレムを見に行った僕はそれを観察しながらふむふむと頷いていた。
 うん、あんまり分からない。

「う、うーむ……」

 いや、多少は知識も付いて来たから見れば分かるだろうと思ったけど……本当に、ちょっとしか分かることが無い。まだ、このタイプのゴーレムはまともに学べてないから仕方ないにしても……僕の知識と比べると高度過ぎて、意味が分からない部分も多い。

「あ、そういえば手作りのゴーレムって何て言うんだっけ」

 気が逸れた僕がそう尋ねると、こんな感じに返って来た。

 ――――クラフトゴーレム。または、アーティジナルゴーレムなどと呼ばれます。

 元々、ゴーレムの作成術はゴーレムクラフトと呼ばれていたらしい。その時の作り方であることから、クラフトゴーレムって呼ばれてるんだとか。逆にアーティジナルゴーレムは職人の手がけたゴーレム的な意味合いが強いっぽいね。僕が自分のゴーレムをそう呼んでたらちょっとカッコ悪いから、クラフトゴーレムと呼ぶことにしよう。

「どうだ、参考になったか」

 と、そこで扉が開いてラクリオが現れた。大きく参考には出来なかった僕は、したり顔で頷いてサムズアップした。

「君のクラフトゴーレムは上手だよ」

「あ、あぁ……?」

 僕はすたすたと先に作業場に入ることで、この会話を誤魔化すことにした。

「ところで、何だけど……クラフトゴーレムの方をしっかり教えて欲しいんだ」

「まぁ、確かにインスタントの方は簡単なとこだとかなり良くなって来たけどよ……急になんでだ?」

「んー、ちょっと僕の世界の事情で……クラフトゴーレムを使わなきゃいけなくなったんだよね。それも、ちゃんと戦力になる奴を」

「なんだそりゃ……魔術もゴーレムもロマンじゃなかったのか?」

 その予定だったんだけどさ。

「ちょっと、色々あってね……」

「ま、良い。なんにしても、オラが拒むなんて有り得ねぇからな。守護神様を好きに見させて貰ってる以上、借りは返さんとだしな」

「気にしなくても良いんだけどね……あ、でも教えては欲しいんだけど。しかも、急ぎで」

「……急ぎでも、手は抜かねぇからな。基礎から教え込んでやんよ」

 一応、基礎はもう教わったつもりだけど……と、返そうとした僕だが止めておいた。ラクリオが真剣な目をしていたからだ。
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