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全知全能とインスタント
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目の前でゴーレムになった土の山を見て、紫苑ちゃんは激しく問い詰めて来た。
「詠唱無しで、魔法陣はどこよ!? いや、直接ゴーレムの中に生み出してそれをそのまま式にしたってこと……?」
「ん、正解」
これはタイパ重視の術だからね。術を発動する魔法陣をそのままゴーレムの中に刻み込む式として流用することで、時間の短縮にもなる上に、無詠唱がしやすいように位相の調整や波長の共鳴が簡略化されている。
僕にとっても、無詠唱というのは簡単に出来るものじゃない。だけど、この魔術の無詠唱は鼻歌交じりでも出来るくらいなのだ。
「しかも、ただ形を整えただけじゃないわよね……これ」
席を立って、土のゴーレムをまさぐり倒す紫苑ちゃん。それを見て安堂さんと朝熊さんが眉を顰める。
「お嬢様、お行儀が悪いですよ」
「食事中にお手を汚してはいけませんよ」
安堂さんに連れ戻されて、朝熊さんに手を拭かれた紫苑ちゃんはむすっとした顔をしたが、また席を立とうとはしなかった。
「やっぱり、ここら辺の魔術っぽくは無いわね。少なくとも、自然に満ちた場所で……魔力に富んだ土が普通にある場所が前提の魔術ね。どこで学んだのよ、こんなの? アフリカの奥地かなんかで代々伝わってる魔術か何かなの?」
「いや……友達から習った」
「どこにこんな魔術使える友達が居るのよ……少なくとも都会じゃあんまり使えないでしょうに、これ」
「大丈夫だよ、石用に最適化されたバージョンとかもあるし」
後は、対象の素材を問わずに無生物ならゴーレム化出来るっていうありがちな奴もある。ただ、それは汎用性が高い代わりに土版とか石版とかと比べるとコスパが悪いね。
「……都会で、周りの道路がこれになって襲い掛かって来たら怖いわね」
「道路だと……出来るのかな。やってみないと分からないけど」
アレは石判定で良いのだろうか。アスファルトって何で出来てるんだろう、コンクリートは石だけど石じゃないみたいな感じだよね。半分混ざってるくらいなら、どうなんだろう。性能は下がるけどゴーレム化は出来そうかな。
「そもそも、魔力がちょっと勿体無いよね」
「そうなの? あ、魔力が宿ってる土とか石が前提だものね」
「うん……」
コンセプトである生成の速度的には変わらないし、言っちゃえば足りない分の魔力を突っ込んでやれば良いんだけど、それをやると普通のゴーレム魔術よりも魔力を食っちゃうのがさっきの超即席ゴーレム化魔術である。タイパは良くても、コスパは悪くなっちゃうのだ。
「ここの土は、なんかちょっと魔力が宿ってたね。アレって、庭の土だよね?」
「そうよ。うちで色々やってるもの。ちょっと漏れ出して馴染んじゃうぶんには仕方ないわ。態々取り除くのも面倒だもの。あ、それとその土は庭の方に戻らせておいてくれるかしら?」
「お嬢様……勝手に庭を抉るのはお止め下さい」
元に戻すのは自分なんだぞと言いたい訳ではないだろうが、咎めるように安堂さんが言った。紫苑ちゃんはふんと顔を逸らした。
まぁ、アレくらいの魔力が籠ってるくらいなんてことは無いだろう。籠り過ぎると魔力に依存した植物とかが出来ちゃったりとか、そういうことも起きかねないけど。
「じゃあ、戦闘になったら私が庭の土を大量に出してあげれば良いわね!」
「お嬢様……?」
「いやぁ、折角の庭が荒れちゃうよ。それなら、予め魔力を込めた石でも用意しておくか……最初っからゴーレムを作り上げておいて、それを呼び出す方が良いんじゃないかな」
安堂さんの表情にすかさず僕が言うと、紫苑ちゃんは動きを止めてこちらを見た。
「それ、採用しましょう。どうせ、本体はそこまで強くないんでしょう? だったら、有事まではゴーレムを作るのに集中して貰った方が良いわよね」
「おぉ……」
どうなんだろう。僕、ぶっちゃけそんなにインスタントじゃない方のゴーレムは得意じゃないんだよなぁ。
「まぁ、頑張ってみるよ」
「えぇ、頑張りなさい。あ、そういえば、私に命令権を貸せるようには出来るのかしら?」
「ん、勿論」
僕はゴーレムに命令を下した後、促すように紫苑ちゃんに手を差し出した。
「もう、私に所有権が移ってるの?」
「簡易的に、だけどね。単純にあの人の言うことも聞きなよってしただけ。ちゃんとやるなら、思念の命令だけで動かせるように出来るよ」
僕はまだハンバーグ食べてるから、今はそこまでしないけどね。
「……お前、食うの遅いぞ」
「ユモンが早いだけだから」
「うるせぇよ。デザートも早く食べたいだろうがッ!」
僕は溜息を吐き、ユモンを気にすることなくハンバーグを食べ始めた。実際、デザートも気になるけど……あれ、デザートって僕にも出るのかな。出ると良いなぁ。
「詠唱無しで、魔法陣はどこよ!? いや、直接ゴーレムの中に生み出してそれをそのまま式にしたってこと……?」
「ん、正解」
これはタイパ重視の術だからね。術を発動する魔法陣をそのままゴーレムの中に刻み込む式として流用することで、時間の短縮にもなる上に、無詠唱がしやすいように位相の調整や波長の共鳴が簡略化されている。
僕にとっても、無詠唱というのは簡単に出来るものじゃない。だけど、この魔術の無詠唱は鼻歌交じりでも出来るくらいなのだ。
「しかも、ただ形を整えただけじゃないわよね……これ」
席を立って、土のゴーレムをまさぐり倒す紫苑ちゃん。それを見て安堂さんと朝熊さんが眉を顰める。
「お嬢様、お行儀が悪いですよ」
「食事中にお手を汚してはいけませんよ」
安堂さんに連れ戻されて、朝熊さんに手を拭かれた紫苑ちゃんはむすっとした顔をしたが、また席を立とうとはしなかった。
「やっぱり、ここら辺の魔術っぽくは無いわね。少なくとも、自然に満ちた場所で……魔力に富んだ土が普通にある場所が前提の魔術ね。どこで学んだのよ、こんなの? アフリカの奥地かなんかで代々伝わってる魔術か何かなの?」
「いや……友達から習った」
「どこにこんな魔術使える友達が居るのよ……少なくとも都会じゃあんまり使えないでしょうに、これ」
「大丈夫だよ、石用に最適化されたバージョンとかもあるし」
後は、対象の素材を問わずに無生物ならゴーレム化出来るっていうありがちな奴もある。ただ、それは汎用性が高い代わりに土版とか石版とかと比べるとコスパが悪いね。
「……都会で、周りの道路がこれになって襲い掛かって来たら怖いわね」
「道路だと……出来るのかな。やってみないと分からないけど」
アレは石判定で良いのだろうか。アスファルトって何で出来てるんだろう、コンクリートは石だけど石じゃないみたいな感じだよね。半分混ざってるくらいなら、どうなんだろう。性能は下がるけどゴーレム化は出来そうかな。
「そもそも、魔力がちょっと勿体無いよね」
「そうなの? あ、魔力が宿ってる土とか石が前提だものね」
「うん……」
コンセプトである生成の速度的には変わらないし、言っちゃえば足りない分の魔力を突っ込んでやれば良いんだけど、それをやると普通のゴーレム魔術よりも魔力を食っちゃうのがさっきの超即席ゴーレム化魔術である。タイパは良くても、コスパは悪くなっちゃうのだ。
「ここの土は、なんかちょっと魔力が宿ってたね。アレって、庭の土だよね?」
「そうよ。うちで色々やってるもの。ちょっと漏れ出して馴染んじゃうぶんには仕方ないわ。態々取り除くのも面倒だもの。あ、それとその土は庭の方に戻らせておいてくれるかしら?」
「お嬢様……勝手に庭を抉るのはお止め下さい」
元に戻すのは自分なんだぞと言いたい訳ではないだろうが、咎めるように安堂さんが言った。紫苑ちゃんはふんと顔を逸らした。
まぁ、アレくらいの魔力が籠ってるくらいなんてことは無いだろう。籠り過ぎると魔力に依存した植物とかが出来ちゃったりとか、そういうことも起きかねないけど。
「じゃあ、戦闘になったら私が庭の土を大量に出してあげれば良いわね!」
「お嬢様……?」
「いやぁ、折角の庭が荒れちゃうよ。それなら、予め魔力を込めた石でも用意しておくか……最初っからゴーレムを作り上げておいて、それを呼び出す方が良いんじゃないかな」
安堂さんの表情にすかさず僕が言うと、紫苑ちゃんは動きを止めてこちらを見た。
「それ、採用しましょう。どうせ、本体はそこまで強くないんでしょう? だったら、有事まではゴーレムを作るのに集中して貰った方が良いわよね」
「おぉ……」
どうなんだろう。僕、ぶっちゃけそんなにインスタントじゃない方のゴーレムは得意じゃないんだよなぁ。
「まぁ、頑張ってみるよ」
「えぇ、頑張りなさい。あ、そういえば、私に命令権を貸せるようには出来るのかしら?」
「ん、勿論」
僕はゴーレムに命令を下した後、促すように紫苑ちゃんに手を差し出した。
「もう、私に所有権が移ってるの?」
「簡易的に、だけどね。単純にあの人の言うことも聞きなよってしただけ。ちゃんとやるなら、思念の命令だけで動かせるように出来るよ」
僕はまだハンバーグ食べてるから、今はそこまでしないけどね。
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