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全知全能と88点
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そうして、夜も開けようかという頃には遂に僕も基礎から発展したような内容のゴーレムを作り上げることに成功していた。
「……88点、だな」
「おぉ、本当!? それ、良い意味だよね!?」
長時間の作業と夜明けまで起きているせいでテンションが高くなっている僕がそう尋ねると、ラクリオはこくりと頷いた。
「あぁ、良い意味に決まってる。改良点は多くあっても、ミスは殆ど無くなったな。ちょっとあるようなミスも、お前の知識が足りない部分だろうし……後は、無駄を消していけば現状のお前の知識の中だと百点になるくらいなもんだ」
「おぉ……やっぱり、回路とか核の中に刻む術式はどの程度まで効率を重視して、どの程度まで安定性を考慮すべきかの塩梅か掴めてなくてさ」
「だろうな。ま、そこら辺は慣れってもんだ。やってきゃ、出来るようになる……が、ここまで一日で出来るようになるって方が、オラに取っちゃ意味が分かんねぇんだがな」
「あはは……僕はその、集中力を保つコツとかを知ってるからね」
特殊な呼吸やらツボやらで、僕は最高の集中力を保っていた。本当は話を聞いている時だけそうしているつもりだったのだが、作業の中でも集中力が必要だと判断してそうしたのである。
「マジか、そんなもんあんのか!? ちょっと、オラにも教えろ……!」
「いや、ラクリオに教えたら良くないことになりそうだからなぁ……」
「何がだよ?」
「これって、次の日に負担がかかっちゃうんだ。流石に集中力を上げていた分が丸々明日に繰り越されるって訳じゃないけど、ずっと続けてるとあっという間にガタが来るような代物ではある」
呼吸は気やら魔力やらが関わる所だから兎も角として、ツボに関しては別に外的な力で何とかしている訳ではない。言えば、脳の性能を無理やり引き出しているような行為に他ならない訳だ。
「大丈夫だ、節度を守って使う。だから、教えろ」
「……健康な奴を教えておくよ、君には」
僕はゴーレムを実際に動かすよりも先に、ラクリオに集中力を保ちやすくなるツボと良い感じの呼吸を教えることになった。仕方ない、ギブアンドテイクである。
♢
ラクリオとの話も終わった僕は、最後に幾つかアドバイスを貰った後に完成したゴーレムに乗ってソラの所へと向かった。途中で気付いたけど、この歳で肩車って恥ずかしいし結構怖い。
「よっと」
僕は神樹の前で降りて、ゴーレムに手を振った。この世界の素材で作ったこのゴーレムを向こうの世界に持って行く訳には行かない。彼にはこの世界の住民に活用して貰おう。
「今日も会いに来たよ、ソラ」
神樹に手を触れる。瞬間、僕の視界が入れ替わった。そこは、白い世界だ。真っ白で、暖かい光に満ちている以外には何もない世界。しかし、それも当然である。ここは精神の世界だ。心だけの世界であって、物は何も不要だ。
「待っていた。愛おしい貴方のことを」
「あはは、それは光栄だよ。遅くなってごめんね」
僕はその世界に立っていた世にも美しい女性……琥珀色の瞳、完璧なまでに整った輪郭、透き通るような白磁の肌を持つ、陽光を具現化したように美しく、そして輝かしく見えるその人、ソラの前に歩いて行った。
……本当に、綺麗過ぎて慣れないなぁ。一応、親子だから慣れないといけないんだけど。でも、悠久の時を生きているソラが僕の娘って言うのも、ちょっとおかしな話ではあるけど。ただの高校生だし、僕は。
「さて……今日は何の話をしようかな」
「何でも、良い。貴方の話したいことであれば」
僕はふむと頷き、考え込むような仕草を取った。と言っても、頭の中に浮かぶような話題は一つしか無いんだけど。
「じゃあ、ゴーレムの話かなぁ……最近、ラクリオにゴーレムの製作術を習ってるのは話したよね?」
「聞いた。ラクリオは、石の人を目指していると。そして、貴方は石の人よりも弱いゴーレムを作ろうとしている、と」
いや別に、イシよりも弱いゴーレムが作りたい訳じゃないんだけどね。基礎から習っているから、仕方なくそうしているだけだ。
「まぁ、イシより弱いゴーレムを作ってるのは事実なんだけど……別に、イシってゴーレムじゃないから」
「……確かに。あれは、石の人」
うん。まぁ、そうだ。ゴーレムでは無いと思うから、なんと形容するべきか分からないけど、石の人と呼ぶのが良いかも知れない。普通のゴーレムよりも、ちょっとスリムで人っぽいし。腕は長いけどさ。核とか無いから、胸の辺りをずんぐりむっくりとさせる必要が無いのである。
「でも、今までの興味本位の習い事じゃなくて……今はちゃんとゴーレムを作れるようならなきゃいけなくって、何でかって言うと……」
こくこくと頷いて真っ直ぐこちらを見ているソラの目に、ちょっと照れそうになりながらも僕は話を続けて、それも終わる頃には結局夜は完全に明けてしまっていたのだった。
「……88点、だな」
「おぉ、本当!? それ、良い意味だよね!?」
長時間の作業と夜明けまで起きているせいでテンションが高くなっている僕がそう尋ねると、ラクリオはこくりと頷いた。
「あぁ、良い意味に決まってる。改良点は多くあっても、ミスは殆ど無くなったな。ちょっとあるようなミスも、お前の知識が足りない部分だろうし……後は、無駄を消していけば現状のお前の知識の中だと百点になるくらいなもんだ」
「おぉ……やっぱり、回路とか核の中に刻む術式はどの程度まで効率を重視して、どの程度まで安定性を考慮すべきかの塩梅か掴めてなくてさ」
「だろうな。ま、そこら辺は慣れってもんだ。やってきゃ、出来るようになる……が、ここまで一日で出来るようになるって方が、オラに取っちゃ意味が分かんねぇんだがな」
「あはは……僕はその、集中力を保つコツとかを知ってるからね」
特殊な呼吸やらツボやらで、僕は最高の集中力を保っていた。本当は話を聞いている時だけそうしているつもりだったのだが、作業の中でも集中力が必要だと判断してそうしたのである。
「マジか、そんなもんあんのか!? ちょっと、オラにも教えろ……!」
「いや、ラクリオに教えたら良くないことになりそうだからなぁ……」
「何がだよ?」
「これって、次の日に負担がかかっちゃうんだ。流石に集中力を上げていた分が丸々明日に繰り越されるって訳じゃないけど、ずっと続けてるとあっという間にガタが来るような代物ではある」
呼吸は気やら魔力やらが関わる所だから兎も角として、ツボに関しては別に外的な力で何とかしている訳ではない。言えば、脳の性能を無理やり引き出しているような行為に他ならない訳だ。
「大丈夫だ、節度を守って使う。だから、教えろ」
「……健康な奴を教えておくよ、君には」
僕はゴーレムを実際に動かすよりも先に、ラクリオに集中力を保ちやすくなるツボと良い感じの呼吸を教えることになった。仕方ない、ギブアンドテイクである。
♢
ラクリオとの話も終わった僕は、最後に幾つかアドバイスを貰った後に完成したゴーレムに乗ってソラの所へと向かった。途中で気付いたけど、この歳で肩車って恥ずかしいし結構怖い。
「よっと」
僕は神樹の前で降りて、ゴーレムに手を振った。この世界の素材で作ったこのゴーレムを向こうの世界に持って行く訳には行かない。彼にはこの世界の住民に活用して貰おう。
「今日も会いに来たよ、ソラ」
神樹に手を触れる。瞬間、僕の視界が入れ替わった。そこは、白い世界だ。真っ白で、暖かい光に満ちている以外には何もない世界。しかし、それも当然である。ここは精神の世界だ。心だけの世界であって、物は何も不要だ。
「待っていた。愛おしい貴方のことを」
「あはは、それは光栄だよ。遅くなってごめんね」
僕はその世界に立っていた世にも美しい女性……琥珀色の瞳、完璧なまでに整った輪郭、透き通るような白磁の肌を持つ、陽光を具現化したように美しく、そして輝かしく見えるその人、ソラの前に歩いて行った。
……本当に、綺麗過ぎて慣れないなぁ。一応、親子だから慣れないといけないんだけど。でも、悠久の時を生きているソラが僕の娘って言うのも、ちょっとおかしな話ではあるけど。ただの高校生だし、僕は。
「さて……今日は何の話をしようかな」
「何でも、良い。貴方の話したいことであれば」
僕はふむと頷き、考え込むような仕草を取った。と言っても、頭の中に浮かぶような話題は一つしか無いんだけど。
「じゃあ、ゴーレムの話かなぁ……最近、ラクリオにゴーレムの製作術を習ってるのは話したよね?」
「聞いた。ラクリオは、石の人を目指していると。そして、貴方は石の人よりも弱いゴーレムを作ろうとしている、と」
いや別に、イシよりも弱いゴーレムが作りたい訳じゃないんだけどね。基礎から習っているから、仕方なくそうしているだけだ。
「まぁ、イシより弱いゴーレムを作ってるのは事実なんだけど……別に、イシってゴーレムじゃないから」
「……確かに。あれは、石の人」
うん。まぁ、そうだ。ゴーレムでは無いと思うから、なんと形容するべきか分からないけど、石の人と呼ぶのが良いかも知れない。普通のゴーレムよりも、ちょっとスリムで人っぽいし。腕は長いけどさ。核とか無いから、胸の辺りをずんぐりむっくりとさせる必要が無いのである。
「でも、今までの興味本位の習い事じゃなくて……今はちゃんとゴーレムを作れるようならなきゃいけなくって、何でかって言うと……」
こくこくと頷いて真っ直ぐこちらを見ているソラの目に、ちょっと照れそうになりながらも僕は話を続けて、それも終わる頃には結局夜は完全に明けてしまっていたのだった。
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