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全知全能と眠気
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眠気眼を擦りながら、僕は学校で授業を受けていた。一周回るとかも無く、ずっと眠かった。多分、昨日でブーストかけた分が疲労としてのしかかっているからだろう。
「ぁー……ねむぃ」
眠い。僕だって、考えはしたさ。この眠気、丸ごと消し飛ばしてやろうかって。だけど、止めておいた。これは戒めだ。もう、あんな無茶はそうそうしないようにしよう。ここで眠気を消してしまうと、あの無茶を日常的にやりかねない。
「…………ぐぅ」
「――――ぃ、おいッ!」
荒々しく響く声に、僕は瞼を開けた。顔を上げると、黒板の前で僕を睨み付けている少し年老いた先生の姿があった。元々は柔道とかをやってたらしくて、歳の割に体格も良いし顔も怖い。あと、怒ると声が大きくて怖い。
「お前なぁ……いっつも眠そうだとは思っていたが、遂に寝腐ったな!?」
「あ、す、すみません……」
よりによって保健の授業で寝てしまった。体育の先生だから、怖いのに……やらかした。
「ちょっと、昨日眠れてなくて……すみません」
「……宿題か? まさか、ゲームじゃないだろうな!?」
「勉強、っすかね……なんか、始めたら辞め時が見えなくなって、ずっとやっちゃって……」
「……本当か? 何の勉強だ。言ってみろ」
ゴーレムの勉強だとか、言えない。
「あー、その、学校の内容じゃないんですけど、工学系の勉強を……してました」
「アレだろ、あいてぃーか?」
「えっと、はい。そうですね。ソフトもハードも、どっちもって言うか、なんですけど」
一応、プログラミング的な要素はあるし、コンピューターを作るような作業に近い……筈だ。僕はそういうのからっきしだから、実際のところは分からないけど。
「……勉強は良いが、その勉強一つの為に学校の授業を全て寝過ごしたら勿体無いだろう。きちんと、健全な身体で学業には臨むこと。分かったな!?」
「は、はいっ!」
僕はこくこくと頷くと、先生はふんと鼻息を立てて黒板に体の向きを戻した。意外にもあっさりと許されたので、僕は若干呆然としつつも、結構反省していた。ただ怒りに任せて怒られるよりも、正論で怒られる方が心に来るものがあるみたいだ。
「……よし」
周りから笑われていそうな雰囲気を感じつつも、僕は気合を入れ直した。黒崎さんとの話して、授業は真面目に受けようと決めたんだ。授業中に寝落ちなんて、以ての外である。頑張ろう。
そうして、保健の授業も終えた僕は机に突っ伏して可能な限りの時間を寝て過ごしていた。
早く、帰って寝たい。
そう強く願う僕の肩を、とんとんと誰かが叩いた。善斗っぽくは無いし、黒崎さんって感じでも無い……誰だろう。
「へ?」
絵空かな、そう思いつつ顔を上げたそこに立っていたのは、寅嶋さんだった。黄色いラインの走った黒い髪が特徴的だ。明らかに校則違反だけど、この髪色は名前の寅嶋から来てるんだろうか。だとしたら、安直過ぎて結構ダサい気がする。
「えっと、どうしました……?」
「なんだよ、その敬語……そうじゃねェ。お前、パイセンに何したんだよ」
パイセン……あ、そうだった。この前、喧嘩して僕が勝ったんだった。
「白山先輩には、声かけられたよ」
「なんて答えたんだよ……いや、ちょっと付いてこい。話聞かせろ」
「え、寝たい」
「駄目に決まってんだろッ!? 死ぬぞ、お前マジでッ!」
やかましく騒ぐ寅嶋さんに、僕は仕方なく体を起こしてついて行くことにした。周りの人に見られながら、僕は居心地の悪さを感じつつも呼び出しを受け入れた。
階段を昇り、人の居ない屋上前の踊り場に着くと、直ぐに寅嶋さんは続きを尋ねて来た。
「それで、なんて答えたんだよ?」
「普通に、断ったよ……?」
「なに断ってんだよテメェ!?」
「ご、ごめんって」
いやぁ、嘘吐けば良かった。頭が回ってないよ、全然。眠すぎて。
「それで……その、お前、喧嘩したのか? 白山先輩と」
「してないよ。する訳無いでしょうに」
僕がそう答えると、寅嶋さんはふぅと安堵したような息を吐いた。
「だよなァ。流石に、それは有り得ねぇと思ったんだけどよ……若干、噂っつか、聞いてな。パイセン、お前と話しに行くって言った次の日に怪我負ってたから、喧嘩したんじゃねえかって。子分どもの間で話されてたんだよ」
「ほぇぇ……話をして、直ぐに帰ったから大丈夫だよ。人も居たし、殴られなかったから。うん」
本当は滅茶苦茶殴られたんだけどね。でも、もう全部治ってるからバレることは無い。
「そう、か……分かった。それで、肝心の要件なんだけどよ」
あ、聞きに来ただけじゃなかったんだ。要件とかあったんだね。
「パイセンから、伝言を預かってる」
「えー」
聞きたく無さ過ぎるなぁ。
「今日の放課後、裏門の方で待ってるから来いっていう……呼び出し、だ」
「無理。何が何でも帰って寝るからね、僕は」
そう答えると、寅嶋さんは呆れたような安堵したような表情をした。
「まぁ、伝えに来たのは来たが……俺もそうした方が良いと思う。先生にでも、何なら警察にでも相談した方が良い。バックがバックだけに、潰せはしねェだろうが、身を守る手段にはなるかも知れねェし」
「うん、なるほど。分かったよ。安全第一にしておく」
そんな面倒なイベントは絶対にパスだ。帰って寝る。残念ながら、僕の今日の予定はもう埋まっているのである。
「ぁー……ねむぃ」
眠い。僕だって、考えはしたさ。この眠気、丸ごと消し飛ばしてやろうかって。だけど、止めておいた。これは戒めだ。もう、あんな無茶はそうそうしないようにしよう。ここで眠気を消してしまうと、あの無茶を日常的にやりかねない。
「…………ぐぅ」
「――――ぃ、おいッ!」
荒々しく響く声に、僕は瞼を開けた。顔を上げると、黒板の前で僕を睨み付けている少し年老いた先生の姿があった。元々は柔道とかをやってたらしくて、歳の割に体格も良いし顔も怖い。あと、怒ると声が大きくて怖い。
「お前なぁ……いっつも眠そうだとは思っていたが、遂に寝腐ったな!?」
「あ、す、すみません……」
よりによって保健の授業で寝てしまった。体育の先生だから、怖いのに……やらかした。
「ちょっと、昨日眠れてなくて……すみません」
「……宿題か? まさか、ゲームじゃないだろうな!?」
「勉強、っすかね……なんか、始めたら辞め時が見えなくなって、ずっとやっちゃって……」
「……本当か? 何の勉強だ。言ってみろ」
ゴーレムの勉強だとか、言えない。
「あー、その、学校の内容じゃないんですけど、工学系の勉強を……してました」
「アレだろ、あいてぃーか?」
「えっと、はい。そうですね。ソフトもハードも、どっちもって言うか、なんですけど」
一応、プログラミング的な要素はあるし、コンピューターを作るような作業に近い……筈だ。僕はそういうのからっきしだから、実際のところは分からないけど。
「……勉強は良いが、その勉強一つの為に学校の授業を全て寝過ごしたら勿体無いだろう。きちんと、健全な身体で学業には臨むこと。分かったな!?」
「は、はいっ!」
僕はこくこくと頷くと、先生はふんと鼻息を立てて黒板に体の向きを戻した。意外にもあっさりと許されたので、僕は若干呆然としつつも、結構反省していた。ただ怒りに任せて怒られるよりも、正論で怒られる方が心に来るものがあるみたいだ。
「……よし」
周りから笑われていそうな雰囲気を感じつつも、僕は気合を入れ直した。黒崎さんとの話して、授業は真面目に受けようと決めたんだ。授業中に寝落ちなんて、以ての外である。頑張ろう。
そうして、保健の授業も終えた僕は机に突っ伏して可能な限りの時間を寝て過ごしていた。
早く、帰って寝たい。
そう強く願う僕の肩を、とんとんと誰かが叩いた。善斗っぽくは無いし、黒崎さんって感じでも無い……誰だろう。
「へ?」
絵空かな、そう思いつつ顔を上げたそこに立っていたのは、寅嶋さんだった。黄色いラインの走った黒い髪が特徴的だ。明らかに校則違反だけど、この髪色は名前の寅嶋から来てるんだろうか。だとしたら、安直過ぎて結構ダサい気がする。
「えっと、どうしました……?」
「なんだよ、その敬語……そうじゃねェ。お前、パイセンに何したんだよ」
パイセン……あ、そうだった。この前、喧嘩して僕が勝ったんだった。
「白山先輩には、声かけられたよ」
「なんて答えたんだよ……いや、ちょっと付いてこい。話聞かせろ」
「え、寝たい」
「駄目に決まってんだろッ!? 死ぬぞ、お前マジでッ!」
やかましく騒ぐ寅嶋さんに、僕は仕方なく体を起こしてついて行くことにした。周りの人に見られながら、僕は居心地の悪さを感じつつも呼び出しを受け入れた。
階段を昇り、人の居ない屋上前の踊り場に着くと、直ぐに寅嶋さんは続きを尋ねて来た。
「それで、なんて答えたんだよ?」
「普通に、断ったよ……?」
「なに断ってんだよテメェ!?」
「ご、ごめんって」
いやぁ、嘘吐けば良かった。頭が回ってないよ、全然。眠すぎて。
「それで……その、お前、喧嘩したのか? 白山先輩と」
「してないよ。する訳無いでしょうに」
僕がそう答えると、寅嶋さんはふぅと安堵したような息を吐いた。
「だよなァ。流石に、それは有り得ねぇと思ったんだけどよ……若干、噂っつか、聞いてな。パイセン、お前と話しに行くって言った次の日に怪我負ってたから、喧嘩したんじゃねえかって。子分どもの間で話されてたんだよ」
「ほぇぇ……話をして、直ぐに帰ったから大丈夫だよ。人も居たし、殴られなかったから。うん」
本当は滅茶苦茶殴られたんだけどね。でも、もう全部治ってるからバレることは無い。
「そう、か……分かった。それで、肝心の要件なんだけどよ」
あ、聞きに来ただけじゃなかったんだ。要件とかあったんだね。
「パイセンから、伝言を預かってる」
「えー」
聞きたく無さ過ぎるなぁ。
「今日の放課後、裏門の方で待ってるから来いっていう……呼び出し、だ」
「無理。何が何でも帰って寝るからね、僕は」
そう答えると、寅嶋さんは呆れたような安堵したような表情をした。
「まぁ、伝えに来たのは来たが……俺もそうした方が良いと思う。先生にでも、何なら警察にでも相談した方が良い。バックがバックだけに、潰せはしねェだろうが、身を守る手段にはなるかも知れねェし」
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