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全知全能とまどろみ
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体を揺られている。まどろみから引きずり出されるような感覚に身を任せていたら、頭を思い切り叩かれたことで僕は目を開けた。緑の地面が、視界と平行に広がっている。
「……眠い」
どのくらい寝ていたんだろうか。恐らく、十数分か精々数十分くらいだろう。全然、寝足りない。どころか、変に寝始めたせいで寧ろ眠い。
「おい、お前……寝惚けてんじゃねえよ」
上体を起こすと、目の前には白山先輩が立っていた。いや、さっきからずっと立ってたんだろうけど、今気付いた。それに、沢山の人が僕の周囲を囲んでいる。見た所、山の中の空き地……なんか、キャンプ場みたいな感じの場所だ。ただ、一般人は居ないように見える。
「お前、二度と黒崎さんに近付かないって誓えよ。それと、黒崎さん関係のことで知ってることがあれば全部吐け。上からのお達しだ。従わなければ、ここで殺されてそのままお前は埋められる。良いな?」
物騒な脅しに僕は思わず周りを見回した。僕を囲んでいる男達は確かに僕への殺意を持っているように見えるし、一番外側からこちらを観察するように見ている明らかにカタギじゃなさそうな大人の人も居る。あの人が、この中だと一番偉そうだ。
「……あい」
僕は適当に頷いた。兎に角、眠かったからだ。白山先輩は眉を顰めて拳を握り締めたが、周りの人に止められていた。一応は僕が頷いたからかも知れない。
「じゃあ、誓え。それと、話せ。知ってること全部な」
「クラス同じだし、近付かないってのはぐぇッ」
地面に座ったままの僕の顔を白山先輩はぶん殴った。痛い。鈍い痛みが、眠気の中を走る。
「……クソだ」
僕は地面に転がりながら小さく呟いて、溜息を吐いた。帰って寝たい。
「おいッ、聞いてんのかよッ! オラッ、立てやッ!」
「ぐぅッ!?」
腹を蹴られて、僕は目を見開いた。ヤバい、これは。そろそろ動かないと、痛い。ダメだ。
「分かった、よ……立てば、良いんだろ」
僕はいまいち力の籠らない体で立ち上がり、周囲を睥睨した。数は……20くらい? 思ったより多いなぁ。車、一つしか無いように見えるけど、乗ってない人は徒歩で先に集合とかだったんだろうか。可哀想だ。
「はぁ……」
「溜息吐いてんじゃねぇよ。いつまで余裕ぶってんだ? お前、マジで死ぬぞ? ハハッ、舐めてんだろ? ここはお前の知ってるような平和な世界じゃねえのよ」
笑いながら、白山先輩は僕に顔を近付ける。襟首を掴まれて、持ち上げられた。
「分かったら、言うこと聞け。良いな?」
どうしたものか。誓うか? 誓えば終わる? 無いな。無いよ、こんな奴らに従うことなんて、何も無い。ていうか、寝せろよ。眠いんだよ。
「……おい、返事しろよ。また殴んぞ、お前」
魔術を使って片付ける訳にもいかない。全知全能の力に頼るとしても、不自然じゃない範囲だと……なんだ? 土砂崩れ、とか? いや、不自然だよね。記憶に干渉とかは、あんまりしたくないんだけど……こいつら相手なら、別に良いかなぁ。
「いや……」
20人も引き連れて来て、ヤクザまで保護者として同伴してるんだ。こんな山の中で。僕の想像より、警戒してるんじゃないのか? 実は、まだ仲間が居るとか……あぁ、駄目だ。頭が回らない。
「聞いてんのかよッ!」
「ぐッ」
腹を殴られ、僕は地面に膝を突く。襟首を再び掴まれた僕は、右の拳を固めて全力で白山先輩の顎を殴り上げた。
「テメェ……!」
「……あー、どうしよう」
信じられない物を見るような目で、白山先輩がこちらを見る。ダメだ、頭が回らない。疲れた。寝たい。
『おい、治』
「ん……」
『もう疲れたんだよな?』
「うん……」
そうだね、疲れてる。眠いしさ。そう頷いた僕の顎に、拳が迫る。僕は反射的にそれを回避して、ユモンの言葉に耳を傾ける。
『だったら、指輪を付けろ……オレ様に、後は任せとけ。良いな?』
「良いの?」
『あァ、良いぜェ』
「さっきから、何をぼそぼそ言ってんだよお前はッ!?」
白山先輩が僕の肩を押し飛ばした。僕は数メートルと後ろに退いて、制服の内ポケットから黄金色の指輪を取り出した。
「何だ、それ……」
眉を顰める白山先輩を僕は無視して、黄金色の指輪を自身の人差し指に嵌め込んだ。
『後は任せろ』
「うん、任せた」
漸く、これで眠れる。二日も徹夜でフルパワー作業は……流石に、無しだ。僕は、暗い海の中に沈んでいくような、そんな心地の良い感覚に身を任せることにした。
「……眠い」
どのくらい寝ていたんだろうか。恐らく、十数分か精々数十分くらいだろう。全然、寝足りない。どころか、変に寝始めたせいで寧ろ眠い。
「おい、お前……寝惚けてんじゃねえよ」
上体を起こすと、目の前には白山先輩が立っていた。いや、さっきからずっと立ってたんだろうけど、今気付いた。それに、沢山の人が僕の周囲を囲んでいる。見た所、山の中の空き地……なんか、キャンプ場みたいな感じの場所だ。ただ、一般人は居ないように見える。
「お前、二度と黒崎さんに近付かないって誓えよ。それと、黒崎さん関係のことで知ってることがあれば全部吐け。上からのお達しだ。従わなければ、ここで殺されてそのままお前は埋められる。良いな?」
物騒な脅しに僕は思わず周りを見回した。僕を囲んでいる男達は確かに僕への殺意を持っているように見えるし、一番外側からこちらを観察するように見ている明らかにカタギじゃなさそうな大人の人も居る。あの人が、この中だと一番偉そうだ。
「……あい」
僕は適当に頷いた。兎に角、眠かったからだ。白山先輩は眉を顰めて拳を握り締めたが、周りの人に止められていた。一応は僕が頷いたからかも知れない。
「じゃあ、誓え。それと、話せ。知ってること全部な」
「クラス同じだし、近付かないってのはぐぇッ」
地面に座ったままの僕の顔を白山先輩はぶん殴った。痛い。鈍い痛みが、眠気の中を走る。
「……クソだ」
僕は地面に転がりながら小さく呟いて、溜息を吐いた。帰って寝たい。
「おいッ、聞いてんのかよッ! オラッ、立てやッ!」
「ぐぅッ!?」
腹を蹴られて、僕は目を見開いた。ヤバい、これは。そろそろ動かないと、痛い。ダメだ。
「分かった、よ……立てば、良いんだろ」
僕はいまいち力の籠らない体で立ち上がり、周囲を睥睨した。数は……20くらい? 思ったより多いなぁ。車、一つしか無いように見えるけど、乗ってない人は徒歩で先に集合とかだったんだろうか。可哀想だ。
「はぁ……」
「溜息吐いてんじゃねぇよ。いつまで余裕ぶってんだ? お前、マジで死ぬぞ? ハハッ、舐めてんだろ? ここはお前の知ってるような平和な世界じゃねえのよ」
笑いながら、白山先輩は僕に顔を近付ける。襟首を掴まれて、持ち上げられた。
「分かったら、言うこと聞け。良いな?」
どうしたものか。誓うか? 誓えば終わる? 無いな。無いよ、こんな奴らに従うことなんて、何も無い。ていうか、寝せろよ。眠いんだよ。
「……おい、返事しろよ。また殴んぞ、お前」
魔術を使って片付ける訳にもいかない。全知全能の力に頼るとしても、不自然じゃない範囲だと……なんだ? 土砂崩れ、とか? いや、不自然だよね。記憶に干渉とかは、あんまりしたくないんだけど……こいつら相手なら、別に良いかなぁ。
「いや……」
20人も引き連れて来て、ヤクザまで保護者として同伴してるんだ。こんな山の中で。僕の想像より、警戒してるんじゃないのか? 実は、まだ仲間が居るとか……あぁ、駄目だ。頭が回らない。
「聞いてんのかよッ!」
「ぐッ」
腹を殴られ、僕は地面に膝を突く。襟首を再び掴まれた僕は、右の拳を固めて全力で白山先輩の顎を殴り上げた。
「テメェ……!」
「……あー、どうしよう」
信じられない物を見るような目で、白山先輩がこちらを見る。ダメだ、頭が回らない。疲れた。寝たい。
『おい、治』
「ん……」
『もう疲れたんだよな?』
「うん……」
そうだね、疲れてる。眠いしさ。そう頷いた僕の顎に、拳が迫る。僕は反射的にそれを回避して、ユモンの言葉に耳を傾ける。
『だったら、指輪を付けろ……オレ様に、後は任せとけ。良いな?』
「良いの?」
『あァ、良いぜェ』
「さっきから、何をぼそぼそ言ってんだよお前はッ!?」
白山先輩が僕の肩を押し飛ばした。僕は数メートルと後ろに退いて、制服の内ポケットから黄金色の指輪を取り出した。
「何だ、それ……」
眉を顰める白山先輩を僕は無視して、黄金色の指輪を自身の人差し指に嵌め込んだ。
『後は任せろ』
「うん、任せた」
漸く、これで眠れる。二日も徹夜でフルパワー作業は……流石に、無しだ。僕は、暗い海の中に沈んでいくような、そんな心地の良い感覚に身を任せることにした。
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