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全知全能と大規模形成
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話し合った結果、一先ずは逃げて行ったゴブリンを追いかけるよりも、向こうが襲い掛かって来るのを待つことになった。
「そういえば、ゴブリンって売れるの?」
「あんまりだね。一応、売れなくも無いけど……態々、解体して持って帰る価値があるかって言うと無いね」
「倒しても、旨味が無いんだね……」
「クソだからなぁ、ゴブリンは。ホント、この世の害悪だよ」
忌まわしげに言ったウィーに、僕は苦笑した。
「完璧に保管できるなら脳も売れるんだけどね」
「えぇ、脳なんて売れるの……食べるとか?」
美味しいのかなぁ。あんまり、考えたくないけど。
「食べる訳無い。ゴブリンは美味しくないし、臭いから。脳みそはちゃんと保管出来てたら、色々使える。魔術でも、錬金術でも」
「そ、そうなんだ……」
「ある程度の知能を持った、思考領域だから。高度な分野だと、自律思考出来る術式を作り出したりも出来る……らしい」
「なんか怖いなぁ……」
自分の分野だからか割と詳しいナーシャの説明に、僕は若干の恐怖を覚えた。確かに、思考能力の塊だけど……それを、そのまま思考領域として利用するのは中々、非人道的な感じがする。
「おいっ」
ウィーが声を上げた。僕達は足を止め、気配を探る。少しして、僕も気付いた。ゴブリン達が来てる。それも、かなりの数みたいだ。最近、山狩りじゃないけど……森中を冒険者が探索したって言うのに。
「思ったよりも大所帯で来やがったな……どうする? ナーシャのアレでもぶっかましちまうか?」
「こんな森の中で使える術じゃない。大火事になる」
「ゴブリンなら……落ち着いて戦えば、どうにかなる。堅実にやろう」
「取り敢えず、逃げるフリしながら罠でも撒いとくか。ここら辺、使えそうな植物も多いしな」
三人が話し合うのを僕は黙って聞いていたが、少し落ち着いたところで手を上げた。
「罠を撒いて逃げながら戦うなら、相手を遅延した方が良いよね?」
「うん、そうだね。退きながら少しずつ仕留めて、向こうが数を減らして撤退し始めたら逆に追撃するつもりだ」
既に踵を返しているアシラに言うと、アシラは僕の提案を肯定した。僕は頷き、ゴブリン達の迫っている方を向いた。
「『大地よ、応えよ。名も無き者よ、今だけ動け』」
一応、杖の代わりとして持っている黄金の指輪を嵌めた指先を伸ばし、僕は魔術を唱える。
「『即応構築』」
地面が蠢き、一体のゴーレムが起き上がる。僕はそんなゴーレムに術式を刻んだ石を埋め込んで、自律思考可能なゴーレムとした。
「凄い……インスタントゴーレムで、ここまで精密に動けるように命令を組み込めるなんて……それに、後からコアを埋め込んで……」
「ゴーレムか? まぁ、足止めにはなるかも知れねぇけど……そろそろ動かねぇと追いつかれるぞ?」
「『大地よ、今立ち上がれ。群れを成せ。沈黙せし意思を、今呼び覚ませ』」
僕はぶつぶつと呟いているナーシャを無視し、急かしてくるウィーを手で制して、更なる術を唱え始めた。
「『眠りを破れ。大地の魔力を糧に、あるがままに形を成せ』」
周辺の大地が、蠢き始める。大地に満ちた魔力が励起していく。展開された魔法陣が、大地に広く影響を与えて行く。
「『大規模変成術』」
そうして、大地は起き上がった。群れを成して、起き上がった。土塊の人型が、無数に起き上がっていく。際限すら無いかのように、次々と。
「よーし、後はさっきの個体と群体を接続させて、個体を意思決定の最上位にするだけっと」
僕は展開したままの魔法陣を弄り、さっき作った個体と群れを接続させた。個体を上位にして、その意思に従うようにすればある程度自動で動いてくれる筈である。
「な、なんだこりゃ……ご、ゴーレムが……いち、にぃ、さん、しぃ……」
「そんな簡単な詠唱で、この規模のゴーレムを……あ、有り得ない……」
「……治を見てると、頭がおかしくなりそうだよ」
混乱した様子のウィー、言葉を失ったナーシャ、頭を抱えたアシラ。結構自慢の術なので、驚いてくれて嬉しい限りだ。
「まぁ、僕からの直接的な命令が通りにくかったりとか、魔力を大地の魔力参照で動かしてるから一体一体の制御がかなり甘くて支配権を盗られやすいとか、色々問題は多いけど……命令部分は同じ素材からの優秀なゴーレムを作って全体の意思をその個体に委ねることである程度は解決出来るし、支配権を盗られやすい部分は一個体を盗られたところで大して意味ないから無問題って感じかな」
ラクリオと一緒に考えた術だけど、結構悪くないと思う。インスタントゴーレムに当てる時間を、クラフトゴーレムに当ててたら、あんな苦労は無かったんだろうなぁ……。
「そういえば、ゴブリンって売れるの?」
「あんまりだね。一応、売れなくも無いけど……態々、解体して持って帰る価値があるかって言うと無いね」
「倒しても、旨味が無いんだね……」
「クソだからなぁ、ゴブリンは。ホント、この世の害悪だよ」
忌まわしげに言ったウィーに、僕は苦笑した。
「完璧に保管できるなら脳も売れるんだけどね」
「えぇ、脳なんて売れるの……食べるとか?」
美味しいのかなぁ。あんまり、考えたくないけど。
「食べる訳無い。ゴブリンは美味しくないし、臭いから。脳みそはちゃんと保管出来てたら、色々使える。魔術でも、錬金術でも」
「そ、そうなんだ……」
「ある程度の知能を持った、思考領域だから。高度な分野だと、自律思考出来る術式を作り出したりも出来る……らしい」
「なんか怖いなぁ……」
自分の分野だからか割と詳しいナーシャの説明に、僕は若干の恐怖を覚えた。確かに、思考能力の塊だけど……それを、そのまま思考領域として利用するのは中々、非人道的な感じがする。
「おいっ」
ウィーが声を上げた。僕達は足を止め、気配を探る。少しして、僕も気付いた。ゴブリン達が来てる。それも、かなりの数みたいだ。最近、山狩りじゃないけど……森中を冒険者が探索したって言うのに。
「思ったよりも大所帯で来やがったな……どうする? ナーシャのアレでもぶっかましちまうか?」
「こんな森の中で使える術じゃない。大火事になる」
「ゴブリンなら……落ち着いて戦えば、どうにかなる。堅実にやろう」
「取り敢えず、逃げるフリしながら罠でも撒いとくか。ここら辺、使えそうな植物も多いしな」
三人が話し合うのを僕は黙って聞いていたが、少し落ち着いたところで手を上げた。
「罠を撒いて逃げながら戦うなら、相手を遅延した方が良いよね?」
「うん、そうだね。退きながら少しずつ仕留めて、向こうが数を減らして撤退し始めたら逆に追撃するつもりだ」
既に踵を返しているアシラに言うと、アシラは僕の提案を肯定した。僕は頷き、ゴブリン達の迫っている方を向いた。
「『大地よ、応えよ。名も無き者よ、今だけ動け』」
一応、杖の代わりとして持っている黄金の指輪を嵌めた指先を伸ばし、僕は魔術を唱える。
「『即応構築』」
地面が蠢き、一体のゴーレムが起き上がる。僕はそんなゴーレムに術式を刻んだ石を埋め込んで、自律思考可能なゴーレムとした。
「凄い……インスタントゴーレムで、ここまで精密に動けるように命令を組み込めるなんて……それに、後からコアを埋め込んで……」
「ゴーレムか? まぁ、足止めにはなるかも知れねぇけど……そろそろ動かねぇと追いつかれるぞ?」
「『大地よ、今立ち上がれ。群れを成せ。沈黙せし意思を、今呼び覚ませ』」
僕はぶつぶつと呟いているナーシャを無視し、急かしてくるウィーを手で制して、更なる術を唱え始めた。
「『眠りを破れ。大地の魔力を糧に、あるがままに形を成せ』」
周辺の大地が、蠢き始める。大地に満ちた魔力が励起していく。展開された魔法陣が、大地に広く影響を与えて行く。
「『大規模変成術』」
そうして、大地は起き上がった。群れを成して、起き上がった。土塊の人型が、無数に起き上がっていく。際限すら無いかのように、次々と。
「よーし、後はさっきの個体と群体を接続させて、個体を意思決定の最上位にするだけっと」
僕は展開したままの魔法陣を弄り、さっき作った個体と群れを接続させた。個体を上位にして、その意思に従うようにすればある程度自動で動いてくれる筈である。
「な、なんだこりゃ……ご、ゴーレムが……いち、にぃ、さん、しぃ……」
「そんな簡単な詠唱で、この規模のゴーレムを……あ、有り得ない……」
「……治を見てると、頭がおかしくなりそうだよ」
混乱した様子のウィー、言葉を失ったナーシャ、頭を抱えたアシラ。結構自慢の術なので、驚いてくれて嬉しい限りだ。
「まぁ、僕からの直接的な命令が通りにくかったりとか、魔力を大地の魔力参照で動かしてるから一体一体の制御がかなり甘くて支配権を盗られやすいとか、色々問題は多いけど……命令部分は同じ素材からの優秀なゴーレムを作って全体の意思をその個体に委ねることである程度は解決出来るし、支配権を盗られやすい部分は一個体を盗られたところで大して意味ないから無問題って感じかな」
ラクリオと一緒に考えた術だけど、結構悪くないと思う。インスタントゴーレムに当てる時間を、クラフトゴーレムに当ててたら、あんな苦労は無かったんだろうなぁ……。
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